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精液検査結果の急激な悪化について

専門医Q&A 女性の健康

精液検査結果の急激な悪化について

短期間で急激な悪化だった為、何か原因があると思うのですが考えられる原因は何でしょうか？処方された薬が合わなかったのか、市販の亜鉛サプリを飲み始めたのが駄目だったのかが当方の心当たりです。

2017.3.27

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chiemiさん(30歳)

昨年11月に男性不妊が分かり、不妊治療中です。
最初の精液検査は私の通う婦人科で、量0.8ml、数900万、運動率22％でした。
この時からメチコバール、ユベラN、補中益気湯を処方され飲んでいました。
3週間後に詳しい検査のため泌尿器科へ行き、量1.6ml、数4200万、運動率32％で血液検査なども問題なく、タイミング法でしばらく様子を見てはどうかと言われました。
しかし3回のタイミングでも妊娠せず、今年から人工授精を始めました。
人工授精1回目は、量0.2ml、数100万、運動率10％（洗浄後は数200万、運動率5％）
人工授精2回目は、量0.5ml、数20万、運動率10％（洗浄後は数20万、運動率10％）
と、顕微授精レベルの結果となりました。
短期間で急激な悪化だった為、何か原因があると思うのですが考えられる原因は何でしょうか？
処方された薬が合わなかったのか、市販の亜鉛サプリを飲み始めたのが駄目だったのかが当方の心当たりです。
お力添えのほど、宜しくお願い申し致します。

お話を伺った先生のご紹介

田中温　先生 (セントマザー産婦人科医院)

「赤ちゃんがなかなかできない」というつらさは、精神的にも身体的にも、とても苦しいものです。そして、治療を始めるとなると、さらに経済的な負担も大きくなります。
当院では、不妊治療を中心に、長い年月、多くの患者様の診療を行ってまいりました。いつもたくさんの患者様の真摯な思いに胸を打たれます。私たち、スタッフ一同は、これからも、たゆまない研究努力を怠らず、患者様をサポートできる体制を日々充実させ、患者様の苦しみに心をよりそわせながら、おひとり、おひとりの患者様の願いがかなうよう、お手伝いさせていただければと思っております。

≫ セントマザー産婦人科医院

精液検査の結果について、急激に悪化した印象を持たれていますが、精液検査の初見とその後の結果に大きな違いはありません。なぜなら、精液の量が非常に少なく、汗が１滴２滴滲んだ程度の量で精子数を測っているだけのことですから、いずれも100点満点で２点か３点。通常の射精量は最低でも２ccはありますから、マスターベーションが上手にできていないか、もしくは逆行性射精であると考えられます。これは、どんなにサプリメントを摂取しても意味はなく、そもそもの治療方針が間違っています。問題は精液が微量だということですから、ホルモン値や睾丸の大きさを測定するなど、男性機能の状態を正確に把握することが先決です。
　精液が少ない人の大半がマスターベーション後、精液を容器内にうまく入れる仕方を知らないというのが、多くのご夫婦を診察している上での見解です。特に、性欲の薄い人がこのタイプですから、いくら薬やサプリメントを服用したとしても、根本の問題は解決しません。日本では未だにマスターベーションの話題をタブー視する傾向にありますが、性的な欲望と魅力を持つことは、人間の生命力を維持し、生殖機能にも影響する。その意味をよく理解してください。
　「逆行性射精」は構造上の問題で、射精時には閉じているはずの内尿道口が開いたままになっているため、精液が膀胱内に逆流してしまう症状です。直腸や前立腺の手術をしている人、糖尿病、また高血圧の薬を服用している人に多く、射精後すぐの尿中に精子が確認されれば逆行性射精を疑います。来院してまず排尿し、空になった膀胱内に培養液を100cc入れてからマスターベーションをして、ただちに採尿した尿中に動いている精子が採取できれば治療可能です。
安易に薬やサプリメントを頼って服用するのではなく、その症状について正しい診断をつけ、原因に即した治療をすることが重要です。

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