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子宮筋腫が見つかり、 稽留流産という結果に。 筋腫と流産の因果関係は? 

コラム 不妊治療

子宮筋腫が見つかり、 稽留流産という結果に。 筋腫と流産の因果関係は? 

子宮がんの検査をしたのに、子宮筋腫は見逃された?
稽留流産は筋腫のせい? 筋腫があっても妊娠可能?
とくおかレディースクリニックの徳岡先生に伺いました。

2019.3.24

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※2019年2月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring」の記事です。


のものもさん(42歳)からの相談
相談内容
昨年5月から妊活をはじめ、タイミング法3回、人工授精2回失敗。9月にタイミング法で妊娠しましたが、その後稽留流産しました。また、昨日術後に超音波検査したところ、1.6㎝の子宮筋腫が見つかりました。昨年4月に子宮がん検査をしたのですが異常はなく、筋腫があることも知らされなかったので、かなりショックです。42歳という年齢ですが、まだまだ子どもを諦めたくありません! 筋腫がこれからどのぐらい大きくなるのかわかりませんが、妊娠できますか? 半年後、それとももっと早くに、もう一度子宮がんの検査を受けたほうがいいですか? また、これからどんな点に気をつけて過ごせばよいでしょうか。冷え性なので、サプリメントや食生活などでアドバイスがあればお願いします。

●これまでの治療データ
【検査・治療歴】タイミング法、人工授精2回
【妊娠歴】流産、中絶
【精子データ】不明
【サプリメントの使用】なし

まとめ
●子宮筋腫の治療より、不妊治療に専念して!
●基本的な検査をご夫婦で受けましょう。
●勉強会などに参加して正しい知識を。

お話を伺った先生のご紹介

徳岡 晋 先生(とくおかレディースクリニック)


防衛医科大学校卒業。同校産婦人科学講座入局。自衛隊中央病院産婦人科勤務後、防衛医科大学校医学研究科に入学し、学位(医学博士)取得。2005 年、とくおかレディースクリニックを開設。

≫ とくおかレディースクリニック

子宮がんの検査では、子宮筋腫までは見つけられないものなのでしょうか。


子宮がんの検査において、エコー(超音波)検査までされていれば筋腫があることもわかったかもしれませんが、通常の子宮がん検査ではほとんど見つけられないと思います。子宮がんの検査では、細いチューブやブラシのような器具で子宮内膜の細胞を少しだけ採取し、正常な細胞かどうかを顕微鏡で観察します。触診をすることもありますが、1.6 ㎝程度の小さい筋腫でしたら、ベテランの医師でも見逃してしまう可能性のほうが高く、検査そのものには問題はなかったと思います。
したがって、「半年後、もしくはもっと早い時期に子宮がんの再検査をしたほうがよいか」とのご質問の答えも、「NO」です。子宮がんと筋腫はまったく違う疾患で、詳しい検査方法も異なるからです。


稽留流産をされたとのこと。原因は筋腫でしょうか。筋腫だとしたら、早めに治療したほうがいいですか。


子宮筋腫は、子宮筋層にできるこぶのような腫瘍です。「腫瘍」と聞くと恐ろしく思われるでしょうが、良性のものがほとんです。よほど大きい、またはかなり数が多い、といったことがない限りは悪さをしないので安心してください。もちろん、筋腫があっても妊娠は可能です。ご相談者ののものもさんの筋腫は1.6 ㎝とのことですから、ご心配にはおよびません。経過観察を続けるに越したことはありませんが、急激に大きくなることはまれです。今後2、3年のうちに筋腫が妊娠の妨げになるほど大きくなるとは考えにくいですし、手術を施したり、薬物を使って治療するとしたら、それだけ体に負担がかかり、さらに治療期間も長くなります。それを経てからだと不妊の治療のほうが遅れてしまいます。42歳というご年齢を考えると、一刻も早く不妊治療に専念なさるべきだと考えます。
本格的な不妊治療に進めばエコー検査は必ずありますから、筋腫の経過観察も同時に行えます。今回の流産は残念でしたが、原因として考えられるのは筋腫ではなく、やはりご年齢によるものだと思います。年齢を重ねると、どうしても卵子の染色体異常が増え、それとともに流産もしやすくなり、結果として妊娠が成立しにくくなります。


タイミング法3回、人工授精2回を経た後に、タイミング法で妊娠。しかし、流産。このプロセスと結果をどう思われますか。


流産してしまいましたが、妊娠できる体であることがわかったというのは貴重な情報だと思います。難しいかもしれませんが、結果を引きずらずに、前向きにとらえていただきたいものです。ただし、自然妊娠にこだわってタイミング法を続けるのは賢明ではないかもしれません。ご年齢から考えても、早めに体外受精にステップアップなさったほうがよいのではないでしょうか。
日を追うごとに卵子の質は老化し、染色体異常を起こしやすくなります。今のうちにできるだけ多くの正常な卵子を採取・保存し、選択した精子と受精させることができれば、余裕をもって不妊治療に取り組めると思います。また、アンケートシートに検査歴の記載がなかったことが気になりました。AMH(抗ミュラー管ホルモン)の数値なども、きちんと把握しておきましょう。まずは、パートナーの方の精液検査も含めて、不妊治療に欠かせない基本的な検査をしっかり行うことが大切です。


自分に合った治療法、治療方針などは、どのようにしたら情報を得られますか。


「子どもを授かるためにどこまでの治療を施すか」というのは、もちろんご夫婦のお考えしだいです。できるだけ自然妊娠に近い形を望む方、可能性があるなら高度な治療もいとわない方、それぞれで、40歳を過ぎたら必ず体外受精にステップアップしなければならない、ということではありません。
多くの不妊治療専門クリニックでは勉強会などを催しているので、一度ご夫婦で参加してみてはいかがでしょうか。年齢や治療方法による妊娠率なども開示しているので、ぜひ参考にしてください。勉強会はオープンで、どなたでも参加できますし、不妊治療専門医に直接質問することも可能ですから、疑問や不安に思うことがあれば遠慮せずに相談を。検査結果を重視して治療方針を決める、検査結果にかかわらず最短で妊娠できる治療法を考えるなど、各クリニックの個性もさまざまで、クリニック選びの指標にもなります。


冷え性とのこと。食生活など、自分で気をつけるべきことはありますか。


まずは、ストレスをためないことです。上手に気持ちを切り替えて、前向きに治療に取り組んでください。食生活では、バランスよく食べることとともに、楽しく、おいしく、を優先しましょう。「体を冷やすから、この食材はダメ」とストイックになると、ストレスに。当院では、リフレクソロジー、ヨガ、お灸といったプログラムも設けていて、冷え性やストレスの解消になると好評です。しっかり食べ、ほどよく運動し、ぐっすり眠る、そんな生活が健康な体づくりの基本です。
年齢にかかわらず、これまでの検査結果や妊娠の状況を主治医とともによく検討し、最適な治療法を選ばれるのが一番だと思います。


先生から
不妊原因は子宮筋腫ではなく、年齢。
子どもを望むならまわり道せず、体外受精へステップアップを!

出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.41 2019 Spring
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