【Q&A】得られる胚が少なく、移植しても流産ばかりです。どうしたらいいですか？ －浅田先生
専門医Q&A 不妊治療
【Q&A】得られる胚が少なく、移植しても流産ばかりです。どうしたらいいですか？ －浅田先生
AMHが低く、何度も採卵を繰り返し。。。浅田レディースクリニックの浅田義正先生にお答えいただきました。
相談者：にぃなさん（40歳）
得られる胚が少なく、移植しても流産ばかりです。どうしたらいいですか？AMHが低く、何度も何度も採卵を繰り返して、1個の初期胚と4個の胚盤胞を得ました。しかし、4個の凍結胚盤胞移植（全てホルモン補充周期）について、1回目は化学流産、2回目は心拍確認後に稽留流産、3回目は判定日からhcgが低く、遅い胎嚢確認後に稽留流産、4回目（今回）は心拍確認後に稽留流産という結果になりました。不育症の検査も一通りおこなって、3回目の胚移植からアスピリンも服用しています。
残っている凍結胚は初期胚のみで、また採卵を開始することを考えています。ただ、ここまでの治療に4年近くかかっており、これまでに移植した胚よりも条件は悪くなりますし、そもそも今後の採卵で移植できる胚が得られるのかも不安です。さらには、移植できる胚ができても、（また、もし着床できても）結局出産に至らないのではないか・・とも思ってしまいます。
年齢の問題もあり、もう子供を授かるのは難しいのではないかと思いつつ、やっぱりまだ諦められません。私にできることは何かありますか。そして、採卵を優先するとすれば、何個くらいの胚を貯めてから移植に進むのが良いのでしょうか。今はただただ「これからどうしたら？」と思っていますので、その他、何かアドバイスがありましたら、どんな小さなことでも構いませんので、教えて下さい。よろしくお願いします。
浅田先生からの回答
ＡＭＨが0.51で予備能が低く、1回の卵巣刺激で多くの卵が採れないということになるので、簡易の卵巣刺激をされているのだと思います。ただ、4年近くで4回の胚移植というのは、あまり効率が良いとはいえません。もう少し効率的に受精卵ができる施設に転院してみるのも、一つの良い方法でしょう。
本来、流産が続くというのは、それほど悪いことではありません。
流産あるいは不育症という、特定の障害や疾患があるわけではありません。受精卵は、胚盤胞の翌日にはほぼ着床はしていますが、そこから早く成長が止まれば“妊娠しない”ことに、遅く成長が止まれば“流産”あるいは“死産”ということになります。ですから、流産を繰り返しているということは決して悪いことではなく、出産という目標から遠のいているわけでもありません。
また、アスピリンを服用されていますが、アスピリンやヘパリンで流産を防げるというエビデンスはありません。抗リン脂質抗体症候群というほんの一部の人だけに有効かもしれませんが、不育症の人に対するエビデンスが確立した治療法は現在ありません。
受精卵はひとつひとつが兄弟姉妹のように違い、その中の遺伝子の組合せもすべて異なります。赤ちゃんまで育つのか、それとも早く発育が止まってしまうのか、その確率も同じではありません。40歳であれば、妊娠したとしても50％程度は流産してしまいます。また、世界的なデータでいえば、一人の赤ちゃんが生まれるために、40歳では平均で30～40個もの卵子が必要となります。ですから、効率よく採卵できる方法で治療を行わなければ、妊娠までたどり着けないことになってしまうかもしれません。
最近ではPGT-Aという、染色体の異数性検査が可能になってきました。そのような検査が出来る施設を受診し、流産に終わってしまう染色体異常胚を移殖対象からあらかじめ除外することも戦略の一つです。
ただ、そのためには必然的に多くの受精卵が必要になるため、やはり効率的に受精卵を得ることが重要といえるでしょう。40歳程度の場合、受精卵全体の70～80％には染色体異常があることが明らかになっています。
思った以上に多くの受精卵が必要だという認識をお持ちいただければと思います。
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