-
知っておきたい!日本の伝統&年末年始 年末編
知っておきたい!日本の伝統& 年末年始 多くの伝統的な行事が忘れられていくなか、年末から年始にかけての行事は今も多くの人に受け継がれています。 でも意外と本来の意味や決まりは知られていないのでは?この機会に正しい知識とマナーを身につけましょう。 年末編 年末は、新年に年神様を迎えるための準備の時期 私たち日本人は、年に回ご先祖様をお迎えしています。1回は仏教と結びついているお盆、そしてもう1回は神道と結びついているお正月です。ご先祖様を迎えるというのは、新しい年神様をお迎えするということ。年末は年神様をお迎えするための準備をする時期です。昔は12月13日から「お正月ことはじめ」といい、お正月の準備を始めていました。しかし最近はその前にクリスマスという大きなイベントがあるので、26日からが本格的な新年の準備期間になっています。年神様をお迎えするためにまずすること、それが大掃除です。家を掃除して、清めてきれいになったという証しがしめ飾りです。そして年神様が降りてくる時に目印にするのが門松。27、28日頃に飾るのが一般的です。 お歳暮は下から上の人へ一年間の感謝の気持ち お歳暮はご先祖様への感謝の気持ちが、親やお世話になった人に広がっていったものです。だからお歳暮は下のものから目上の方への贈り物です。気持ちですから背伸びをせず、身の丈に合った金額の物を贈ります。今は3000円くらいが目安でしょう。贈るものは、もともとはご先祖様へのお供えなので食べ物が多いのですが、その方の好きなものでOKです。またお正月に必要なものも喜ばれます。12月初めから20日頃に届けるのが一般的ですが、「12月半ば頃に『お正月に使っていただきたいと思い、30日に数の子をお送りします』と連絡しておいて贈るのもいい」と岩下先生はおっしゃいます。「受け取る方はお正月用に買わなくて済みますよね。ある日突然来るのもうれしいけど、予告があるのもワクワクしてうれしいものですよ」(岩下先生) 監修岩下宣子 先生現代礼法研究所代表兼マナーデザイナー。 全日本作法会の内田宗輝先生、小笠原流小笠原清信先生に師事し、マナーを学ぶ。 お茶の水女子大学の森下はるみ教授より動作学を学ぶ。 企業・学校での研修指導、講演、TV出演など幅広く活躍中。 『好感度がアップする美しいマナー』(幻冬舎)他、著書多数。 新しいものを一つ用意すると 新しい年に向けてけじめがつきます 12月は仕事も忙しいし、お歳暮を贈って、年賀状を書いて……。毎年、あっという間に年末が来てしまい、お正月の準備がままならないという人も多いのではないでしょうか?普段の掃除がやっとで、大掃除までとても手が回らないという人のために、岩下先生に掃除のポイントを教えていただきました。「忙しくてなかなか家中の大掃除ができない時は、お正月にみんなが集まる場所、リビングならリビングだけでもきれいにしておくといいですね。おせちを食べたり、おとそを飲んだり、お祝いする場所だけはきれいにしておきましょう」なかなかゆっくりしたおごそかな気持ちでお正月を迎えられないという人にもアドバイスをいただきました。「お正月に何か一つ、新しいものをおろすといいですよ。昔は1年間我慢して、お正月に全部新しいものに替えたものです。新しい年に新しいものというのは、新鮮な気持ちになります。靴下、歯ブラシ、下着、なにか新しいものを元旦の朝におろすと、けじめがつきます。形から入ることで心がともなってきますよ」 すぐにお悔やみの返事を出しましょう。年内に送れない場合は、1月8日~2月3日頃に寒中見舞いとして出します。また知らずに年賀状を出してしまった場合、すぐにお詫びの書状を出します。 カードをもらうのは「おはよう」の挨拶と一緒。すぐにハガキで「ありがとう」と伝えるか、電話で感想とともにお礼の気持ちを伝えるといいでしょう。自分がされたら嬉しいことを考えて、相手にもするようにしましょう。 お歳暮は日頃の感謝の気持ちをお礼として渡すものなので、基本的にお礼のお礼は不要です。いただいたら受け取ったことの報告を兼ねて、できるだけ早くお礼状を送りましょう。親しい方には電話でもいいでしょう。 年越し蕎麦は「細く長く生きられるように」という願いから。また金を扱う職人が、散らばった金を丸めたそば粉で集めたことから、「そばから金が入ってくる」ともいわれています。夕食にしても紅白を見ながらでもOK。 正月飾りは28日までにするのが習わし。29日は「苦松」「苦立て」といって嫌います。お餅もつきません。また31日は「一夜飾り(葬式の飾り)」といって、縁起が良くないとされています。 年賀状の正しい書き方 Q 宛名の「様」と「殿」はどう使い分ける? A 「殿」は鎌倉時代にできた歴史的に古い呼び方で、本来は建物を表すものでした。以前、官庁が郵便物に「殿」を使ったことで、上から下への呼び方として認識されるようになりましたが、今ではあまり使われなくなりました。年賀状は「様」を使いましょう。また恩師には、「先生」とするほうがいいでしょう。 Q 連名で出す時の「様」や、「御中」の使い方は? A 宛名を連名にする時は、必ずそれぞれに「様」をつけましょう。二人の名前の間に「様」を一つというのは絶対だめ。また勤務先に出す場合、「○○会社御中 □□様」と書く人がいますが、それは間違いです。「御中」は名前がわからない場合に使うものなので、「○○会社 □□様」でいいのです。 Q 冒頭の挨拶はどう書くのが正しい? A 「新年明けましておめでとう」と書く人が意外と多いですが、“明ける”は“終わる”という意味。「新年おめでとう」か「明けましておめでとう」が正しい使い方です。また「迎春」「新春」など二文字は軽いので、同じ年か年下の人に使います。目上の人には「謹賀新年」「恭賀新年」などを使いましょう。 知っておきたい!日本の伝統& 年末年始 多くの伝統的な行事が忘れられていくなか、年末から年始にかけての行事は今も多くの人に受け継がれています。 でも意外と本来の意味や決まりは知られていないのでは?この機会に正しい知識とマナーを身につけましょう。 年末編 年末は、新年に年神様を迎えるための準備の時期 私たち日本人は、年に回ご先祖様をお迎えしています。1回は仏教と結びついているお盆、そしてもう1回は神道と結びついているお正月です。ご先祖様を迎えるというのは、新しい年神様をお迎えするということ。年末は年神様をお迎えするための準備をする時期です。昔は12月13日から「お正月ことはじめ」といい、お正月の準備を始めていました。しかし最近はその前にクリスマスという大きなイベントがあるので、26日からが本格的な新年の準備期間になっています。年神様をお迎えするためにまずすること、それが大掃除です。家を掃除して、清めてきれいになったという証しがしめ飾りです。そして年神様が降りてくる時に目印にするのが門松。27、28日頃に飾るのが一般的です。 お歳暮は下から上の人へ一年間の感謝の気持ち お歳暮はご先祖様への感謝の気持ちが、親やお世話になった人に広がっていったものです。だからお歳暮は下のものから目上の方への贈り物です。気持ちですから背伸びをせず、身の丈に合った金額の物を贈ります。今は3000円くらいが目安でしょう。贈るものは、もともとはご先祖様へのお供えなので食べ物が多いのですが、その方の好きなものでOKです。またお正月に必要なものも喜ばれます。12月初めから20日頃に届けるのが一般的ですが、「12月半ば頃に『お正月に使っていただきたいと思い、30日に数の子をお送りします』と連絡しておいて贈るのもいい」と岩下先生はおっしゃいます。「受け取る方はお正月用に買わなくて済みますよね。ある日突然来るのもうれしいけど、予告があるのもワクワクしてうれしいものですよ」(岩下先生) 監修岩下宣子 先生現代礼法研究所代表兼マナーデザイナー。 全日本作法会の内田宗輝先生、小笠原流小笠原清信先生に師事し、マナーを学ぶ。 お茶の水女子大学の森下はるみ教授より動作学を学ぶ。 企業・学校での研修指導、講演、TV出演など幅広く活躍中。 『好感度がアップする美しいマナー』(幻冬舎)他、著書多数。 新しいものを一つ用意すると 新しい年に向けてけじめがつきます 12月は仕事も忙しいし、お歳暮を贈って、年賀状を書いて……。毎年、あっという間に年末が来てしまい、お正月の準備がままならないという人も多いのではないでしょうか?普段の掃除がやっとで、大掃除までとても手が回らないという人のために、岩下先生に掃除のポイントを教えていただきました。「忙しくてなかなか家中の大掃除ができない時は、お正月にみんなが集まる場所、リビングならリビングだけでもきれいにしておくといいですね。おせちを食べたり、おとそを飲んだり、お祝いする場所だけはきれいにしておきましょう」なかなかゆっくりしたおごそかな気持ちでお正月を迎えられないという人にもアドバイスをいただきました。「お正月に何か一つ、新しいものをおろすといいですよ。昔は1年間我慢して、お正月に全部新しいものに替えたものです。新しい年に新しいものというのは、新鮮な気持ちになります。靴下、歯ブラシ、下着、なにか新しいものを元旦の朝におろすと、けじめがつきます。形から入ることで心がともなってきますよ」 すぐにお悔やみの返事を出しましょう。年内に送れない場合は、1月8日~2月3日頃に寒中見舞いとして出します。また知らずに年賀状を出してしまった場合、すぐにお詫びの書状を出します。 カードをもらうのは「おはよう」の挨拶と一緒。すぐにハガキで「ありがとう」と伝えるか、電話で感想とともにお礼の気持ちを伝えるといいでしょう。自分がされたら嬉しいことを考えて、相手にもするようにしましょう。 お歳暮は日頃の感謝の気持ちをお礼として渡すものなので、基本的にお礼のお礼は不要です。いただいたら受け取ったことの報告を兼ねて、できるだけ早くお礼状を送りましょう。親しい方には電話でもいいでしょう。 年越し蕎麦は「細く長く生きられるように」という願いから。また金を扱う職人が、散らばった金を丸めたそば粉で集めたことから、「そばから金が入ってくる」ともいわれています。夕食にしても紅白を見ながらでもOK。 正月飾りは28日までにするのが習わし。29日は「苦松」「苦立て」といって嫌います。お餅もつきません。また31日は「一夜飾り(葬式の飾り)」といって、縁起が良くないとされています。 年賀状の正しい書き方 Q 宛名の「様」と「殿」はどう使い分ける? A 「殿」は鎌倉時代にできた歴史的に古い呼び方で、本来は建物を表すものでした。以前、官庁が郵便物に「殿」を使ったことで、上から下への呼び方として認識されるようになりましたが、今ではあまり使われなくなりました。年賀状は「様」を使いましょう。また恩師には、「先生」とするほうがいいでしょう。 Q 連名で出す時の「様」や、「御中」の使い方は? A 宛名を連名にする時は、必ずそれぞれに「様」をつけましょう。二人の名前の間に「様」を一つというのは絶対だめ。また勤務先に出す場合、「○○会社御中 □□様」と書く人がいますが、それは間違いです。「御中」は名前がわからない場合に使うものなので、「○○会社 □□様」でいいのです。 Q 冒頭の挨拶はどう書くのが正しい? A 「新年明けましておめでとう」と書く人が意外と多いですが、“明ける”は“終わる”という意味。「新年おめでとう」か「明けましておめでとう」が正しい使い方です。また「迎春」「新春」など二文字は軽いので、同じ年か年下の人に使います。目上の人には「謹賀新年」「恭賀新年」などを使いましょう。
2010.12.7
コラム くらし
-
野田聖子・小渕優子 スペシャル対談 3
野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3 声をあげることが大事世論が国を動かす 前回の野田さんの記事を読んだ方々から、多くの反響をいただきました。その大多数が「できるだけ早く保険適用をしてほしい」という声。そして、「前向きな対策のために、一個人としてできることは何でしょうか?」という意見も目立ちました。 野田:こうした雑誌を通してでもいいので、みなさんが声をあげることは、とても大きな力になります。 余談ですが、こんな事例がありました。性同一性障害の方々が、以前は泣き寝入りをしていたのですが、ある方が世論に「苦しい、助けて」と訴えたのです。その一件が、国民を後押しして、性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法案が、あっという間に通りました。ほとんど何の審議もなしに、です。 みなさんに言いたいのは、逆転は自分たちの力で勝ち取ることができるということ。具体的な行動としては、福島大臣にメールをするとか、マスコミを引き連れて申し入れをするとかでしょうか。 小渕:そうですね、建設的に話をしないといけないので、福島大臣がプロジェクトを立ち上げて、窓口を設け、話を聞ける態勢をとるべきだと思います。 野田:あとは、厚生労働省の長妻大臣や、厚生労働省の保険局医療課、少子化対策企画室があります。こちらへメールや電話で、みなさんの声を伝えることもできると思います。 ジネコとしても、読者からの声をまとめて、申し入れをしていきたいと思います。 野田:何か言われたら、「野田と小渕が、予算委員会で聞く」と言っていましたと伝えてもかまいません。 心強いお言葉をありがとうございます。野田さん、小渕さん、そして厚生労働省の担当者との対談企画なども実現できれば、ウェーブの一つになるのではないかと希望が見えてきました。では、最後になりますが、読者のみなさんへ応援メッセージをお願いします。 小渕:保険適用に関してなかなか進んでいないという現状のなか、精神的にも肉体的にも経済的にも苦しんでいる方が大勢いらっしゃるかと思います。保険適用が難しいのであれば、助成金を増やすなり、使える幅を広げるなりの方法があるはずです。 私たちは野党という立場ですが、当事者の声に寄り添いながら、少しでも実現できるようにしていきたいと思っています。 野田:みなさんはチャレンジャーです。失敗しても立ち上がり、痛い注射とまずい薬とコントロールされた生活をして……。それだけでも立派なのですから、まずは自分をほめてあげてください。私は、同じ苦しみを味わった仲間として、ささいな相談にものりたいですし、みなさんの声を福島大臣や長妻大臣にぶつけていく、良きパートナーでありたいと思っています。 小渕優子 1973年生まれ。衆議院議員。96年成城大学経済学部経営学科卒業後、東京放送に入社。のち、父、小渕恵三氏の内閣総理大臣就任を機に退職し、総理大臣私設秘書となる。00年、父・恵三氏の急逝に伴い衆議院議員選挙に出馬し、初当選。以後4回連続当選。06年、文部科学大臣政務官、前麻生内閣で、内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)を務める。現在2児の母親でもあり、安心して子育て、教育ができる社会を目指している。 野田聖子 1960年生まれ。衆議院議員。オリンピック開催年にちなみ、「聖子」と名付けられる。乙女座・A型。83年、上智大学外国語学部比較文化学科を卒業後、帝国ホテルに入社。84年、祖母・野田光の死去に伴い、野田卯一の養女となり野田姓を継ぐ。86年、岐阜に移住、87年岐阜県議会選挙当選。93年、32歳で衆議院議員選挙初当選。以後、当選6回。98年、郵政大臣就任。前麻生内閣で内閣府特命担当大臣(科学技術政策・食品安全)、消費者行政推進担当大臣、宇宙開発担当大臣を務める。現在は野党の立場として、党派を越えた活動を続けている。> 野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3 野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3 声をあげることが大事世論が国を動かす 前回の野田さんの記事を読んだ方々から、多くの反響をいただきました。その大多数が「できるだけ早く保険適用をしてほしい」という声。そして、「前向きな対策のために、一個人としてできることは何でしょうか?」という意見も目立ちました。 野田:こうした雑誌を通してでもいいので、みなさんが声をあげることは、とても大きな力になります。 余談ですが、こんな事例がありました。性同一性障害の方々が、以前は泣き寝入りをしていたのですが、ある方が世論に「苦しい、助けて」と訴えたのです。その一件が、国民を後押しして、性同一性障害者の性別の取り扱いの特例に関する法案が、あっという間に通りました。ほとんど何の審議もなしに、です。 みなさんに言いたいのは、逆転は自分たちの力で勝ち取ることができるということ。具体的な行動としては、福島大臣にメールをするとか、マスコミを引き連れて申し入れをするとかでしょうか。 小渕:そうですね、建設的に話をしないといけないので、福島大臣がプロジェクトを立ち上げて、窓口を設け、話を聞ける態勢をとるべきだと思います。 野田:あとは、厚生労働省の長妻大臣や、厚生労働省の保険局医療課、少子化対策企画室があります。こちらへメールや電話で、みなさんの声を伝えることもできると思います。 ジネコとしても、読者からの声をまとめて、申し入れをしていきたいと思います。 野田:何か言われたら、「野田と小渕が、予算委員会で聞く」と言っていましたと伝えてもかまいません。 心強いお言葉をありがとうございます。野田さん、小渕さん、そして厚生労働省の担当者との対談企画なども実現できれば、ウェーブの一つになるのではないかと希望が見えてきました。では、最後になりますが、読者のみなさんへ応援メッセージをお願いします。 小渕:保険適用に関してなかなか進んでいないという現状のなか、精神的にも肉体的にも経済的にも苦しんでいる方が大勢いらっしゃるかと思います。保険適用が難しいのであれば、助成金を増やすなり、使える幅を広げるなりの方法があるはずです。 私たちは野党という立場ですが、当事者の声に寄り添いながら、少しでも実現できるようにしていきたいと思っています。 野田:みなさんはチャレンジャーです。失敗しても立ち上がり、痛い注射とまずい薬とコントロールされた生活をして……。それだけでも立派なのですから、まずは自分をほめてあげてください。私は、同じ苦しみを味わった仲間として、ささいな相談にものりたいですし、みなさんの声を福島大臣や長妻大臣にぶつけていく、良きパートナーでありたいと思っています。 小渕優子 1973年生まれ。衆議院議員。96年成城大学経済学部経営学科卒業後、東京放送に入社。のち、父、小渕恵三氏の内閣総理大臣就任を機に退職し、総理大臣私設秘書となる。00年、父・恵三氏の急逝に伴い衆議院議員選挙に出馬し、初当選。以後4回連続当選。06年、文部科学大臣政務官、前麻生内閣で、内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)を務める。現在2児の母親でもあり、安心して子育て、教育ができる社会を目指している。 野田聖子 1960年生まれ。衆議院議員。オリンピック開催年にちなみ、「聖子」と名付けられる。乙女座・A型。83年、上智大学外国語学部比較文化学科を卒業後、帝国ホテルに入社。84年、祖母・野田光の死去に伴い、野田卯一の養女となり野田姓を継ぐ。86年、岐阜に移住、87年岐阜県議会選挙当選。93年、32歳で衆議院議員選挙初当選。以後、当選6回。98年、郵政大臣就任。前麻生内閣で内閣府特命担当大臣(科学技術政策・食品安全)、消費者行政推進担当大臣、宇宙開発担当大臣を務める。現在は野党の立場として、党派を越えた活動を続けている。> 野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3
2010.10.6
コラム くらし
-
野田聖子・小渕優子 スペシャル対談 2
野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3 野田:残念ながら、プライオリティ(優先順位)が低いということなのでしょう。民主党を批判するわけではないのですが、政権が変わってから5ヶ月以上が過ぎた段階で、準備すら始めていないというのは、不妊治療をしている人たちの心を弄んでいるように思われても仕方がないように思います。 小渕:不妊治療をしている患者さんたちは、タイムリミットという切実な現状に立たされているので、そのことを考えても、誠意が足りないように感じてしまいますよね。 子ども手当と不妊治療、どちらが少子化対策か? 小渕さんは、大臣でいらっしゃったときに不妊治療を少子化問題の一環として捉えるよう働きかけをしてくださいました 小渕:不妊治療を少子化問題の一環として考え、10万円だった助成金を15万円に予算を組み替えました。そのとき、不妊治療の問題を扱っている人から「私たちは国のために不妊治療をしているのではない」と反対され、本当にデリケートで難しい問題だと痛感したのを覚えています。 でも、世の中の景気が悪くなってきた時期でしたし、経済的な理由だけで治療を諦めてほしくなかったので、助成金を増やしました。 野田:段階的であったとしても、助成金は一時的なものではなく、恒久的でないと意味がありませんよね。 小渕:おっしゃる通りです。それに、回数や期間の制限、システムの複雑さなどについて、もっと議論を詰める必要がありました。そのことも踏まえて、福島大臣にバトンタッチをしたのですが、ここまでやってきたことをゼロに戻すようなことは、なんとしても避けたいですね。 野田:対策とは、今いる子どもを育てることではなく、子どもを増やすことなのです。 日本は、家を重視する文化なので、結婚をしていないと子どもが産みにくい環境ですよね。ですから、結婚制度を見直し子どもを産む環境を整えていくことや、不妊に対して医療的にサポートをしていくことが、少子化対策の原点だと思うのです。 小渕:確かに、その通りだと思います。たとえば、私には今、2人の子どもがいますから、子ども手当は5万2千円いただけるわけですが、だからといって3人目を産みましょうとは考えません。それとこれとは、別問題ですよね。 野田:あるアンケートで、約7割の人が「子ども手当をもらったら、貯金する」と答えたそうです。果たして、子ども手当が少子化対策につながるのかどうか……。 小渕:大臣をしていたときに感じたのですが、少子化問題は発信の仕方がとても難しい。子育て中の女性や、これから子どもを産もうと考えている当事者は切実な問題として捉えているのですが、年配の方や男性たちには「自分とは関係ない」という雰囲気がありました。でも、少子化問題は国の課題です。誰もが自分の問題として捉え、できることに取り組んでいかないといけません。そのためには、意識改革が必要で、子どもは国の宝だから、子どもを育てる環境をみんなで作っていくという意識が大切だと思うのです。 野田:不妊治療も、性別を問わず、あらゆる年代の方に理解を持っていただく必要がありますよね。 野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3 野田:残念ながら、プライオリティ(優先順位)が低いということなのでしょう。民主党を批判するわけではないのですが、政権が変わってから5ヶ月以上が過ぎた段階で、準備すら始めていないというのは、不妊治療をしている人たちの心を弄んでいるように思われても仕方がないように思います。 小渕:不妊治療をしている患者さんたちは、タイムリミットという切実な現状に立たされているので、そのことを考えても、誠意が足りないように感じてしまいますよね。 子ども手当と不妊治療、どちらが少子化対策か? 小渕さんは、大臣でいらっしゃったときに不妊治療を少子化問題の一環として捉えるよう働きかけをしてくださいました 小渕:不妊治療を少子化問題の一環として考え、10万円だった助成金を15万円に予算を組み替えました。そのとき、不妊治療の問題を扱っている人から「私たちは国のために不妊治療をしているのではない」と反対され、本当にデリケートで難しい問題だと痛感したのを覚えています。 でも、世の中の景気が悪くなってきた時期でしたし、経済的な理由だけで治療を諦めてほしくなかったので、助成金を増やしました。 野田:段階的であったとしても、助成金は一時的なものではなく、恒久的でないと意味がありませんよね。 小渕:おっしゃる通りです。それに、回数や期間の制限、システムの複雑さなどについて、もっと議論を詰める必要がありました。そのことも踏まえて、福島大臣にバトンタッチをしたのですが、ここまでやってきたことをゼロに戻すようなことは、なんとしても避けたいですね。 野田:対策とは、今いる子どもを育てることではなく、子どもを増やすことなのです。 日本は、家を重視する文化なので、結婚をしていないと子どもが産みにくい環境ですよね。ですから、結婚制度を見直し子どもを産む環境を整えていくことや、不妊に対して医療的にサポートをしていくことが、少子化対策の原点だと思うのです。 小渕:確かに、その通りだと思います。たとえば、私には今、2人の子どもがいますから、子ども手当は5万2千円いただけるわけですが、だからといって3人目を産みましょうとは考えません。それとこれとは、別問題ですよね。 野田:あるアンケートで、約7割の人が「子ども手当をもらったら、貯金する」と答えたそうです。果たして、子ども手当が少子化対策につながるのかどうか……。 小渕:大臣をしていたときに感じたのですが、少子化問題は発信の仕方がとても難しい。子育て中の女性や、これから子どもを産もうと考えている当事者は切実な問題として捉えているのですが、年配の方や男性たちには「自分とは関係ない」という雰囲気がありました。でも、少子化問題は国の課題です。誰もが自分の問題として捉え、できることに取り組んでいかないといけません。そのためには、意識改革が必要で、子どもは国の宝だから、子どもを育てる環境をみんなで作っていくという意識が大切だと思うのです。 野田:不妊治療も、性別を問わず、あらゆる年代の方に理解を持っていただく必要がありますよね。 野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3
2010.10.6
コラム くらし
-
野田聖子・小渕優子 スペシャル対談 1
野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3 野田聖子・小渕優子 スペシャル対談 不妊治療保険適用、少子化問題を今、問う 民主党政権発足以来、早5ヶ月以上がたちました。 民主党が掲げるマニフェストの一つ、不妊治療保険適用の問題について『ジネコ』でコメントを求めたところ断わられた経緯があります。 少子化対策問題も含め、今回は野田聖子さんと内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)を務めた小渕優子さんに、この二つの問題についてお話を伺いました。 不妊治療の保険適用現在の進捗状況は? 前号(「ジネコ」2009年冬号)に引き続き、野田さんにご登場いただきました。今回は、小渕さんとの対談が実現し、さらに充実したお話が伺えるかと思います。どうぞよろしくお願いします。 野田:イントロダクションとして、小渕さんをお呼びした経緯を少しお話しします。私は、女性議員のなかで信頼している方が二人いるのですが、一人は小渕さん、もう一人は橋本聖子さんです。小渕さんは、自然妊娠で2人のお子さんを授かり、私は不妊治療の〝ファイター”(笑)で、その中間に位置しているのが橋本さんです。 橋本さんは、現在3人のお子さんがいらっしゃいますが、アスリートなので体脂肪率が9%なんですって。そうすると生理が止まってしまうらしく、子どもを産むタイミングのときだけ不妊治療をしていらっしゃる。 小渕:三者三様ですね。 野田:そうなんです。なので、不妊治療や少子化問題に関することを、感情論ではなくリーズナブルに(納得できる、妥当に)解決していける、ベストな取り合わせだと思っているのです。 小渕:私が内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)をしていたときに、野田さんのご紹介でFine(不妊体験者を支援するNPO法人)の方々からお話を伺い、さまざまな取り組みをしました。 野田:不妊治療を知らない人に知らせるだけでなく、自然妊娠で子どもを産んだ女性とも分かち合える、やさしい社会を目指そうという取り組みの第一歩でしたよね。小渕: 志半ばで政権交代してしまったので……。野田:そうですよね。では、新政権になった民主党は、マニフェストにあげた「不妊治療の保険適用」について、現段階で、何をどのように進めているのか、厚生労働省と民主党の政策担当者に、先ほど直接聞いてきました。 小渕:どうでしたか? 野田:答えは、「現状何も動いていません」とのこと。 小渕:……。 『ジネコ』でも、民主党事務局の厚生労働担当者にお聞きしたところ、同じ答えが返ってきました。それはやはり、マニフェストに掲げた項目が多すぎて、手がつけられないということなのでしょうか? 野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3 野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3 野田聖子・小渕優子 スペシャル対談 不妊治療保険適用、少子化問題を今、問う 民主党政権発足以来、早5ヶ月以上がたちました。 民主党が掲げるマニフェストの一つ、不妊治療保険適用の問題について『ジネコ』でコメントを求めたところ断わられた経緯があります。 少子化対策問題も含め、今回は野田聖子さんと内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)を務めた小渕優子さんに、この二つの問題についてお話を伺いました。 不妊治療の保険適用現在の進捗状況は? 前号(「ジネコ」2009年冬号)に引き続き、野田さんにご登場いただきました。今回は、小渕さんとの対談が実現し、さらに充実したお話が伺えるかと思います。どうぞよろしくお願いします。 野田:イントロダクションとして、小渕さんをお呼びした経緯を少しお話しします。私は、女性議員のなかで信頼している方が二人いるのですが、一人は小渕さん、もう一人は橋本聖子さんです。小渕さんは、自然妊娠で2人のお子さんを授かり、私は不妊治療の〝ファイター”(笑)で、その中間に位置しているのが橋本さんです。 橋本さんは、現在3人のお子さんがいらっしゃいますが、アスリートなので体脂肪率が9%なんですって。そうすると生理が止まってしまうらしく、子どもを産むタイミングのときだけ不妊治療をしていらっしゃる。 小渕:三者三様ですね。 野田:そうなんです。なので、不妊治療や少子化問題に関することを、感情論ではなくリーズナブルに(納得できる、妥当に)解決していける、ベストな取り合わせだと思っているのです。 小渕:私が内閣府特命担当大臣(少子化対策・男女共同参画)をしていたときに、野田さんのご紹介でFine(不妊体験者を支援するNPO法人)の方々からお話を伺い、さまざまな取り組みをしました。 野田:不妊治療を知らない人に知らせるだけでなく、自然妊娠で子どもを産んだ女性とも分かち合える、やさしい社会を目指そうという取り組みの第一歩でしたよね。小渕: 志半ばで政権交代してしまったので……。野田:そうですよね。では、新政権になった民主党は、マニフェストにあげた「不妊治療の保険適用」について、現段階で、何をどのように進めているのか、厚生労働省と民主党の政策担当者に、先ほど直接聞いてきました。 小渕:どうでしたか? 野田:答えは、「現状何も動いていません」とのこと。 小渕:……。 『ジネコ』でも、民主党事務局の厚生労働担当者にお聞きしたところ、同じ答えが返ってきました。それはやはり、マニフェストに掲げた項目が多すぎて、手がつけられないということなのでしょうか? 野田聖子・小渕優子スペシャル対談1 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談2 ┃ 野田聖子・小渕優子スペシャル対談3
2010.10.6
コラム くらし