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先生からの転院のすすめは もう見放されたということ?
自分からではなく、治療を担当している先生から転院をすすめられると「もう見放されたのかも……」と思う人もいるようです。その真意はどこにあるのでしょうか。秋山レディースクリニックの秋山芳晃先生にお話を伺いました。
2019.3.1
コラム 不妊治療
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顕微授精で前核1個だと異常受精なのですか?
皆さんの治療に関する相談を全国のドクターにお聞きして、 誌面でアドバイスをお届けする人気企画「ジネコ セカンドオピニオン」。 ジネコの応援ドクターが丁寧にお答えいたします。
2018.12.22
コラム 不妊治療
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顕微授精で移植4回目も失敗。どうしたらいい?
ユーザーの悩みのなかに「医師とのコミュニケーションがうまくいかない」と困っているケースをよく見受けます。質問するためには、どんなことを知るべきか、また、どんな質問を投げかけるとよいか、臼井医院不妊治療センターの臼井彰先生にお聞きしました。
2018.12.21
コラム 不妊治療
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採卵ごとに刺激法を変えると受精率も変わる?
採卵時にはいくつか刺激法がありますが、一つの刺激法で結果が出なかった場合、別の刺激法を試せば受精率は上がるのでしょうか。そんな質問に対し、福井ウィメンズクリニックの福井先生が意外な視点からアドバイスをしてくれました。
2018.12.20
コラム 不妊治療
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アンタゴニスト法、ショート法どちらが自分に合ってる?
治療は進んでいくけれど、本当にそれが自分に合っている治療かわからない…。そのような時はどんなふうにドクターに聞くとよいのか、またどう気持ちを伝えればよいのかを、とくおかレディースクリニックの徳岡晋先生にお聞きしました。
2018.12.16
コラム 不妊治療
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顕微授精で着床しません。どんな治療をすればいいの?
皆さんの治療に関する相談を全国のドクターにお聞きして、 誌面でアドバイスをお届けする人気企画「ジネコ セカンドオピニオン」。 ジネコの応援ドクターが丁寧にお答えいたします。
2018.12.14
コラム 不妊治療
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ホルモン補充周期と自然周期、 メリット・デメリットは?
顕微授精で治療中。ホルモン補充のほうが着床率がいい?自然周期ではダメ?津田沼IVFクリニックの吉川守先生に伺いました!
2018.10.19
専門医Q&A 不妊治療
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レスキューICSIの胚盤胞だと妊娠率は下がりますか?
レスキューICSIの胚盤胞だと妊娠率は下がりますか?
2018.9.4
コラム 不妊治療
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27歳で採卵を繰り返すも、結果が出ずに悩んでいます
27歳で採卵を繰り返すも、結果が出ずに悩んでいます
2018.9.3
コラム 不妊治療
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顕微授精での受精卵の成長が悪く、1個も胚盤胞まで育ちません
顕微授精での受精卵の成長が悪く、1個も胚盤胞まで育ちません
2018.9.2
コラム 不妊治療
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精子も卵子も見た目はよいのに、受精しないのはなぜ?
精子も卵子も見た目はよいのに、受精しないのはなぜ?
2018.8.31
コラム 不妊治療
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空胞が続き、採卵できても受精しません
空胞の理由、空胞が続く場合の治療方法について、 芝公園かみやまクリニック 神山先生にお話を伺いました。
2018.6.8
専門医Q&A 不妊治療
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カルシウム刺激をしても受精卵が思うように育たない…
顕微授精をした受精卵にカルシウム刺激をしても効果が出ない時、どうしたら良いのかをはなおかIVFクリニック院長先生に伺います。
2018.4.25
専門医Q&A 不妊治療
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ホルモン補充周期で移植するも3回陰性。転院後の治療方針について
良好な受精卵を3回移植するも陰性。転勤に伴い転院した場合の治療について、はるねクリニック銀座の清水真弓先生に伺いました。
2018.3.24
専門医Q&A 不妊治療
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2度の初期流産。 このまま胚移植を続けるか、 若いうちに採卵するべき?
ちゅらさん(40歳)からの相談 相談内容 2月に採卵した凍結胚が8個あります。3日目胚2個、5日目胚盤胞2個、6日目胚盤胞4個、すべて顕微授精です。4月の二段階胚移植では、胎嚢を確認できず初期流産。6月の胚盤胞移植(2個)では8週で心拍が停止し、掻爬手術をしました(不育症検査で第12因子、プロテインS低下のためヘパリンを使用しています)。まだ凍結胚が4個残っていますが、残りの凍結胚も染色体異常の可能性は高いでしょうか。担当医は「凍結胚を使いきりましょう」とおっしゃっていましたが、もうつらい思いをしたくありません。少しでも若いうちに採卵をしたほうがよいのか迷っています。 これまでの治療データ ●検査・治療歴不妊治療歴5年。体外受精、顕微授精、不育症検査にて血液凝固系異常あり ●不妊の原因となる病名卵管水腫、腹膜炎による卵管癒着全 ●精子データ 異常なし ●漢方・サプリメントの使用なし ちゅらさんは2回流産を繰り返しています。先生のご意見をお聞かせください。お気持ちとしてはつらいと思います。流産の原因は染色体異常がある場合が60~70%、そのほかの原因がある場合が30~40%とされています。とくに染色体異常の確率は母体の年齢とともに上がり、40歳以上では80%以上になります。ちゅらさんも染色体異常が2回続いている可能性は否定できないですね。また、染色体異常と不育症が重なっていることも考えられます。このような方に対して、当院では絨毛染色体検査をおすすめしています。この検査では流死産後に得られる検体から胎盤絨毛組織や胎盤組織を採取・培養し、染色体の数や構造の異常がないかを調べて、染色体異常か不育症かを判別することができます。流産を2回以上繰り返していても絨毛染色体検査で染色体異常が見つかれば、たまたま染色体異常の受精卵が着床しただけで、次に染色体異常でない受精卵に出会えれば妊娠が継続できる可能性はあります。一方で染色体が正常であれば、不育症が原因ということになり、それに適した治療が必要になります。 ちゅらさんの場合は染色体異常か不育症かどちらかわかりませんが、不育症検査で第12因子とプロテインSが低下していますので、今後、胚移植をされる場合は、血液の循環を良くするアスピリンとヘパリンで同時に治療する必要があります。現在はヘパリン単独で治療をされているようですが、アスピリンとヘパリンそれぞれ単独で使用するよりも、それらを同時に併用するほうがより有効とされています。 また、2回連続で流産をしていても卵子は個々に違います。同じ周期に採卵した受精卵が連続して染色体異常だったとしても、ほかの受精卵もすべて染色体異常かどうかはわかりませんし、染色体異常の確率が高くなるということもありません。 このまま胚移植を続けるか? または、先に採卵しておいたほうがよいのでしょうか?40歳以上の方については、意見が分かれるところだと思います。治療の基本原則は、患者様の体の負担が少ない方法を選択するということです。残りの受精卵が1〜2個しかないということであれば話は別ですが、この方は4つ残っています。胚移植は凍結融解胚移植でも、自然周期移植でも子宮内膜を着床しやすい環境に整えるだけですので、胚移植を続けるほうが体への負担は少ないでしょう。ただ、どのようなグレードの凍結胚が残っているのかがわかりません。基本的に胚移植を続ける場合は、受精卵のグレードが良いことが前提になります。たとえば、6日目の胚盤胞の妊娠率は25〜30%で、5日目の胚盤胞に比べると妊娠率は約半分になります。もしもグレードが良い5日目の胚盤胞などが残っていれば、胚移植を続けられるといいと思います。 一方で、6日目の胚盤胞で、しかもグレードが良くないということであれば、この方もおっしゃるように、年齢が少しでも若いうちにグレードの良い卵子を採卵するという選択もあると思います。しかし、排卵誘発剤による体への負担をはじめ、採卵時の出血や細菌感染のリスクもありますのでケースバイケースです。 40歳以上の方には、胚盤胞移植と分割胚移植どちらがいいのでしょうか?良い受精卵を選定するという意味では、体外環境で受精卵の成長スピードが早く、高い着床率が期待できる胚盤胞のほうがいいのですが、40歳以上の方の受精卵は体外環境でのストレスに弱く体外での長期培養に適していないという説があり、初期胚で早く体内に戻すほうがよいとされています。分割胚から胚盤胞の成長過程で理想的なのは、1番が卵管内の自然環境で、2番目が体外環境です。 ちゅらさんはおそらく二段階胚移植をされているのだと思います。二段階胚移植は、同じ周期に2〜3日目の初期胚と5〜6日目の胚盤胞を二段階のタイミングに分けて移植する方法ですが、2つメリットがあります。1つ目は、初期胚と胚盤胞の2つの培養環境が異なる胚移植を同時に試せることです。先ほどお話ししたように、分割胚から胚盤胞まで卵管の中で育つのが一番良いとされていますので、グレードの低い受精卵が体外よりもいい環境で胚盤胞まで育ち、卵管から子宮に戻って着床することがあるかもしれません。2つ目は胚盤胞の着床率を上げる可能性です。1回目に移植した初期胚が子宮内膜を刺激することによって、次の胚盤胞が着床しやすくなる効果もあるといわれています。この方法は着床障害がある40代の方にも適しており、ちゅらさんのような方に合っていると思います。 Doctor’s advice ●残りの受精卵も染色体異常とは限りません。 ●体の負担を考えると胚移植の継続がベター。 ●二段階胚移植は着床障害の40代にもおすすめ。 先生から 移植を続けるか、採卵するかは40代では意見が分かれるところ。 体への負担などを考慮して検討を 奥 裕嗣 先生(レディースクリニック北浜) 1992 年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopause にて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF 大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010 年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。先生が通勤リュックに入れて、いつも持ち歩いているのは趣味のカメラ。かつては、この季節になると京都の醍醐寺や原谷苑のしだれ桜の撮影に行かれたそう。「祗園新橋の夜桜もおすすめ。近くにある割烹『さか本』からの眺めも最高ですよ」。≫ レディースクリニック北浜出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2018.2.26
コラム 不妊治療
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顕微授精の受精率71%は低い? 治療継続か転院か悩んでいます
「今の病院は私の年齢での顕微授精の受精率が71%と聞き、少し低い気がして転院も検討中。転院候補の病院は金額が2倍になりそうです。」
2018.2.25
コラム 不妊治療
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移植9回で陽性ゼロ。 AMHも1.1で焦ります
「胚盤胞を使い果たし、AMHが1.1ng/mlしかなく焦ります。6月の子宮鏡検査では異常なしでした。私はどうしたら着床し、妊娠できるのでしょうか?」
2018.2.25
コラム 不妊治療
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「子どもがいると楽しいだろうな」と考えるも積極的になれず… タイミング法で妊娠すると思っていたけれど、 夫の精子の数が少ないことが判明。 治療への興味もあって顕微授精へ。
妊活説明会に参加したものの、まだ他人事だった二人。 最初はそれほど子どもを望んでいなかったマミさんが 歩んできた不妊治療の道のりです。子どもが欲しい主人と今じゃないと思う私の葛藤取材に応じてくれたのは、少しお腹のふくらみを感じるくらいの妊娠中期に入ったというマミさん。 ご主人との出会いは恋活パーティで、いわゆる婚活イベント。出会って2週間でつきあいはじめ、その月にはプロポーズされたそう。この時子どもがあまり好きではなかったというマミさんでしたが、「この人と子どもがいる生活ができたら楽しいだろうな」と直感し、理想の家族像が浮かんだのだとか。 とはいえ、結婚後もあまり子づくりに積極的ではなく、「主人は兄弟も多く、子ども好きで、早く欲しがっていました。でも私は二人の時間も楽しみたいし、いずれ…くらいにしか思っていなかったんです」。 そんなふうになんとなく子づくりに対して、のらりくらりとやり過ごしていたのですが、結婚して1年2カ月くらい経った頃、ご主人に「家族というのは子どもがいて、子育てをして成長していくものだと思う。子どもがいなかったら結婚している意味がないよ」と言われたそうです。マミさんは「結婚ってそれだけじゃない…」と意見が合わず喧嘩。 「主人に“働く意味が見いだせない、子どもがいることで仕事も頑張れる”と言われて、もう何も言えなくなりました」とマミさん。“子どもがいたら楽しいのだろうな”と自己暗示をしながら葛藤する日々が続きました。 「私は二人のままでも幸せだと思っていたのですが、主人がかわいそうというか…子づくりへの転機でしたね」 子づくりを決断すると、ご主人から“子どもができたらなかなか旅行にも行けなくなるから、今のうちに行っておこう”と提案が。ディズニーランドが大好きなマミさんを、本場アメリカまで連れていってくれたのです。「本音をいうと、あ~、もうこれで逃げられないなって思いましたね」と苦笑するマミさん。自然妊娠を望むも…思うようにいかず悩む日々これまでにも冷えの予防のために、鍼灸院に通っていたマミさん。妊娠にいいといわれるツボを聞き、自宅でお灸をすることも。本格的に妊活に取り組むべく、スマートフォンのアプリを活用して、妊娠しやすい時期を予測し、タイミング法での自然妊娠を期待していました。 「すぐ妊娠すると思っていたのに、毎月生理がきてしまって…。そのたびになんだか悲しくて。私が心の底で妊娠しないことを望んでいるから、なかなか妊娠しないのかもと疑心暗鬼になっていました」 30歳を目前に控えていることもあり、不妊外来を受診してみようかと意識してはいるものの、まだ自分はそこまでしなくても…と悩んでいた時に、県が主催している妊活を応援するプロジェクトで説明会をやっているのを知り、ご夫婦で参加しました。 「説明会で初めて、体外受精や顕微授精という治療法があること、治療や検査に対して県の助成金があることを知りました。ただ、その説明を聞いて、なんとなくタイミング法以外は人工的な感じがしたので、タイミング法でできなければ赤ちゃんは諦めようと、二人で話しました」夫婦二人で検査を受け、顕微授精への決断通っていたスポーツジムで先輩女性たちからのアドバイスや、インターネットでも調べて、近くて通院しやすい不妊治療クリニックへ通うことに。「受診する前に説明会に参加するのですが、びっくりしたことにそれが2カ月待ちだったのです。こんなに治療したい人がいるということに驚きました」とマミさん。 説明会後、2回目の受診時にはフーナーテストとAMHの検査。AMHの値が40代という結果にショックを受けつつも、すぐさま精液検査も受けると、精子が少ないことが判明。その検査結果を受けて医師から「顕微授精でしか赤ちゃんは授からないよ」と伝えられました。 「主人はショックだったようですが、もともとタイミング法以外は治療をしないと考えていたので、もう治療は終了かなって思いました」 クリニックの先生からは、顕微授精へのステップアップを促されたそうですが、検査結果を受けて二人で再度話し合うことに。 「主人は子どもが欲しいという気持ちがあったので、『治療は継続してほしい。また顕微授精は高度な医療なので、興味がありやってみたいと思う』と言われました」 さまざまな妊活ブログに、“治療はつらい”と書かれているのを見て“本当につらいの?”という怖いもの見たさもあり、また「事前に費用が40~60万円くらいと聞いていたので、これくらいならチャレンジしてもいいかな」と治療を進めることに。 麻酔が効いていてマミさんは覚えていなかったそうですが、採卵時に過呼吸のようになり、恐怖でかなり叫んでいたと、看護師さんたちに後から聞いたそう。 卵子は17個採卵でき、9個受精しました。 「ここで初めて知ったのですが、採卵した分だけ費用がかさむのです。たくさん採卵できたことをまずは喜びつつも、正直大変だなって思いました」 顕微授精という人工的な治療に抵抗はあったものの、受精したと医師から聞いた時は“子どもを授かるって奇跡なのだ”と改めて感動したというマミさん。その後、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)でお腹が張ったり、情緒不安定でご主人と喧嘩することもあったそうです。さまざまな不安を抱え、カウンセリングを活用「一般的に妊活をされる方と比べ、私はそこまで赤ちゃんが欲しいと思っていなかったこともあり、不安な気持ちもあまり人に話せなかった」というマミさん。そんな気持ちを癒してくれたのがクリニック内のカウンセリングでした。感情を素直にぶつけることができて、気持ちを落ち着けることができたのだそうです。 「この時点でこれまでの検査や治療費を一括請求されたのですが、当初言われていた費用の上限を超えていました。これから移植するのに…どれだけかかるんだろうって不安にはなりましたね」 それからまた気持ちの浮き沈みもあり、カウンセラーに「もう流れに任せるしかないね」と背中を押してもらったこともあり、治療を継続。体調を見ながら時期を見計らい、グレードの一番良い卵をお腹に戻しました。 一度で妊娠したことが判明した時は冷静に受け止めつつも、自然と顔がほころび笑顔になったというマミさん。その時の気持ちをあらためて伺うと、「1回で成功したことに驚いて、なんだかふわふわした気分でした。口元が緩み、主人に妊娠を伝えるメールを打つ手が震えていたのを覚えています」。 妊娠初期は眠気やお腹の痛みのようなハリで体調があまり思わしくなかったそうですが、現在は気持ちも落ち着いてきて食欲もモリモリ。「赤ちゃんに本の読み聞かせでもしようかな」と思ったり、「お風呂で“気持ちいいね”ってお腹に話しかけている自分がいます」と少しはにかみながら話すマミさん。 「これからどんな日々が待っているかわかりませんが、今は身を任せようと思います」 また、「悩むなら、できるだけ早く夫婦で検査をしてほしいですね」と取材を締めくくってくれました。自分の妊活を記録に留めておこうと、「妊活まんが」を記していました。夫婦の心情や治療内容が一目でわかるイラストが描かれています。 出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.37 2018 Spring≫ 掲載記事一覧はこちら
2018.2.19
コラム 不妊治療
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良好な胚盤胞を移植しても 着床しないのはなぜ?
相談者:まぁこさん(33歳) 着床しません 不妊歴3年の男性不妊ということで、去年の10月から顕微授精にステップアップしました。一度目の採卵はアンタゴニスト法で6個採れ、3個の受精、うち1つを新鮮胚移植し陰性。12月に5日目胚盤胞3AAを移植し陰性。1月に5日目胚盤胞2ICMをアシステッドハッチングありで、5AAを移植して陰性。 2月にショート法で採卵し、14個採れて7個胚盤胞に。4月に5日目胚盤胞アシステッドハッチングありで5AA移植し陰性。5月に5日目胚盤胞アシステッドハッチングありで3AB、5AB移植し陰性。 6月に子宮鏡検査をするも異常なし。 8月に5日目胚盤胞アシステッドハッチングありで5AA、4AB移植し陰性。9月に5日目胚盤胞アシステッドハッチングありで5AB、6AA移植し陰性。6回目の移植では自然周期、7回目の移植ではスクラッチ法を試してみましたが、かすりもせずの結果です。 一度も陽性を見たことがなく、AMHが1.1しかないのでかなり焦ります。転院するにもどういう所に行けばいいのかわからず、時間だけが過ぎていきます。今すべての胚盤胞を使い果たしてしまったので、転院すべきか、もう少しここにいて試すべきなのか悩んでいます。私はどうしたら着床し、妊娠できるのでしょうか。 良好胚盤胞を移植しても着床しない原因は?33歳でAMH(抗ミュラー管ホルモン)が1.1ng/mlというのは確かに低値といえますが、ショート法で一度に14個採卵できたのなら、卵巣予備能は十分と考えられます。 また、14個採卵して7個の凍結胚盤胞のすべてが良好胚盤胞(6AA~3AB)であるならば、33歳女性のICSIの成績としては良好であると思います。 これだけ条件を満たしており、33歳女性の良好胚盤胞移植後の継続妊娠率(報告により異なりますが、20~50%程度)を考えると、7回の反復不成功は非常にまれだといえるのではないでしょうか。 主治医の先生も原因として受精卵側の要因(一般的に良好胚盤胞でも約半数は染色体異常が含まれるためすべてが継続妊娠できるわけではないこと)への対策として2個胚移植を試みたり、子宮内膜側の要因への対策として子宮鏡検査を行ったりスクラッチ法(スクラッチ法は有効であったという報告もありますが、エビデンスレベルの低い治療法)を試みたりされているようです。今後の対応策として、主治医の先生はどのようなご意見をもっていらっしゃるのでしょうか。着床するために他にできることはありますか?確率的に考えますと、良好胚盤胞でも約半数は染色体異常が含まれるためすべてが継続妊娠できるわけではないことを考慮してもこれだけの良好胚を移植して7回とも着床しなかったということは、やはり子宮内膜側に原因があるように思われます。もう少し詳しく内膜の状態を評価して、他に行える対策がないか調べてみてもよいかもしれません。 比較的新しい子宮内膜の検査法としては、ERAという分子学的診断(子宮内膜の胚受容能の検査)が挙げられます。また、着床を妨げている原因が慢性子宮内膜炎であるとの考えから、その炎症を抑える抗生剤治療を行っている施設もあります。いずれも有効性を論じた報告はありますが、スクラッチ法やシート法と同様に確立された治療法とまではいえません。しかし、現状と異なるアプローチとして、試してみる価値はあるのではないでしょうか。そのような検査や治療を行っている施設を調べて、転院するのも1つの方法かと思います。 まだ方策はあり、卵子も採れているので妊娠の可能性はあると思いますが、AMHが低値だったということは少し気に掛けていただいたほうがいいでしょう。AMHが低い(残存卵子数が少ない)女性の卵子数が将来、どれだけ早く減っていくかは推測できません。特にふたり以上のお子さんを望まれている場合は、受精卵(余剰胚)を凍結保存しておくとよいでしょう。 石川先生より まとめ ●ERAなどさらに詳しく内膜を評価する方法もあります。 ●ふたり以上の出産を望むなら受精卵(余剰胚)の凍結保存を。 [無料]気軽にご相談ください 石川聖子 先生 1996年東京医科大学、2000年東京女子医科大学大学院医学研究科卒業。米国留学、東京女子医科大学生殖内分泌・不妊外来・ARTチーフ等を経て、銀座レディースクリニック院長に就任。医学博士・日本産科婦人科学会産婦人科専門医・日本生殖医学会生殖医療専門医。≫ 銀座レディースクリニック
2017.12.28
専門医Q&A 不妊治療
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一つだけ大きい卵胞があると、受精率が下がるのでしょうか?
一つだけ大きい卵胞があると、受精率が下がるのでしょうか? 花岡 嘉奈子 先生(はなおかIVFクリニック品川) 相談者:ひーろさん(37歳) 遺残卵胞(?)がある場合の採卵について 不妊専門クリニックに通っています。D3の診察で12mmの卵胞が見え、E2は70位でした。大きな卵胞の他は小さい卵が7つ位見えました。今周期も普通通り採卵周期に入ると言われたのですが、大きい卵胞がある場合受精率が下がるとネットなどで目にします。先生に問題はないか聞いたところ、「良くはないが、この程度の大きさなら問題はない。生理周期が26日と短いから、前の周期の卵胞ではない。良い卵が取れる可能性はある」と言われました。4回目の採卵で、無駄にしたくありません。先生のおっしゃることは正しいのでしょうか?? D3で12㎜の大きな卵胞が1つあるとのことですが、どうして1つだけ大きくなるのでしょうか。 通常D3だと10㎜くらいなので、少し気になりますね。 卵子は排卵の3カ月前から育ち始めています。それぞれの卵子の成長のペースが違い、足並みが揃わないことはあります。また、前の周期も採卵しているのであれば、その周期の卵子が残っていることもありますし、卵胞ではなく水たまりのようなものができているだけということもあります。もう少し育ててみれば、それが何なのかがはっきりわかると思います。 ただ、ひーろさんの場合、前周期の卵胞ではないといわれているとのことなので、1つだけ勢いよく育ったのではないかと思われます。 ネットなどで、大きな卵胞があると受精率が悪くなるといううわさがあるようですが、本当ですか? 大きな卵胞があるからといって、他にいい卵子ができないということはありません。ネット上の噂だけの話ですね。 受精率が低くなるというのは、おそらく大きな卵胞に合わせて採卵をしたために、卵胞の小さい未熟な卵子を採卵してしまっているからだと思います。体外受精だと翌日に受精を確認するまでは成熟卵だったかどうかがわかりません。精子を振りかけて、次の日受精していなければ未成熟卵だった可能性がある、とその時わかるわけです。 顕微授精であれば、授精させる時に卵子の殻をむくので、成熟しているかどうかが受精させる前にわかります。未成熟卵が多ければ採卵の時期が早かったのだということになります。 多くの卵子が成熟するまで待って採卵すれば、一つの大きな卵胞が原因で受精率が低くなるということはありません。 このような場合、採卵はどのようにしたらよいでしょうか? 考えられる方法として、カウフマンで一度リセットをしてまた新たに卵子を育てるか、小さいほうの卵胞が育つまで待ってから採卵する方法があります。 採卵を小さいほうの卵胞に合わせるためには、アンタゴニストなどを使って排卵を抑えます。今12㎜の卵胞が20㎜になった時、他の小さな卵胞は15mmくらいだったとします。その時点でアンタゴニストを使って排卵を抑え、小さい卵胞たちが育つのを待ちます。大きい卵胞が28㎜、小さい卵胞が22㎜くらいになるまで待って採卵すれば、より多くの成熟した状態の卵子を採卵できると思います。 また別の方法として、排卵のトリガーである点鼻薬やHCGを打った後、通常の36時間後ではなく、2時間くらい採卵の時間を遅らせると、成熟卵が多く採れる可能性が高くなります。ただしこの場合は、排卵してしまう可能性もあるということを理解しておく必要があります。 花岡先生より まとめ 大きな卵胞が一つあるからといって、受精率が低くなるということはありません。小さいほうの卵子が成熟するまで待ってから採卵すれば、成熟卵が多く採れて受精の確率も上がると思います。周期が短く排卵が早い人は、早めに採卵しようとするため未成熟卵が多くなりがちです。排卵を抑える薬を使いながら、卵子が成熟するのを待ったほうがいいでしょう。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 花岡 嘉奈子 先生(はなおかIVFクリニック品川) 1993年東邦大学医学部卒。東邦大学医学部第一産婦人科学教室入局。 大森赤十字病院産婦人科出向、東邦大学医療センター産婦人科、キネマアートクリニックを経て、2008年はなおかレディースクリニック院長に。2012年より現職。 医学博士。産婦人科専門医。生殖医療専門医。 クリニックで一番大切にしているのは、患者さんが誰にでも声をかけやすい雰囲気をつくること。患者さんには日頃から「納得いくまでは帰らないでね」と声をかけているそう。 ≫ はなおかIVFクリニック品川 一つだけ大きい卵胞があると、受精率が下がるのでしょうか? 花岡 嘉奈子 先生(はなおかIVFクリニック品川) 相談者:ひーろさん(37歳) 遺残卵胞(?)がある場合の採卵について 不妊専門クリニックに通っています。D3の診察で12mmの卵胞が見え、E2は70位でした。大きな卵胞の他は小さい卵が7つ位見えました。今周期も普通通り採卵周期に入ると言われたのですが、大きい卵胞がある場合受精率が下がるとネットなどで目にします。先生に問題はないか聞いたところ、「良くはないが、この程度の大きさなら問題はない。生理周期が26日と短いから、前の周期の卵胞ではない。良い卵が取れる可能性はある」と言われました。4回目の採卵で、無駄にしたくありません。先生のおっしゃることは正しいのでしょうか?? D3で12㎜の大きな卵胞が1つあるとのことですが、どうして1つだけ大きくなるのでしょうか。 通常D3だと10㎜くらいなので、少し気になりますね。 卵子は排卵の3カ月前から育ち始めています。それぞれの卵子の成長のペースが違い、足並みが揃わないことはあります。また、前の周期も採卵しているのであれば、その周期の卵子が残っていることもありますし、卵胞ではなく水たまりのようなものができているだけということもあります。もう少し育ててみれば、それが何なのかがはっきりわかると思います。 ただ、ひーろさんの場合、前周期の卵胞ではないといわれているとのことなので、1つだけ勢いよく育ったのではないかと思われます。 ネットなどで、大きな卵胞があると受精率が悪くなるといううわさがあるようですが、本当ですか? 大きな卵胞があるからといって、他にいい卵子ができないということはありません。ネット上の噂だけの話ですね。 受精率が低くなるというのは、おそらく大きな卵胞に合わせて採卵をしたために、卵胞の小さい未熟な卵子を採卵してしまっているからだと思います。体外受精だと翌日に受精を確認するまでは成熟卵だったかどうかがわかりません。精子を振りかけて、次の日受精していなければ未成熟卵だった可能性がある、とその時わかるわけです。 顕微授精であれば、授精させる時に卵子の殻をむくので、成熟しているかどうかが受精させる前にわかります。未成熟卵が多ければ採卵の時期が早かったのだということになります。 多くの卵子が成熟するまで待って採卵すれば、一つの大きな卵胞が原因で受精率が低くなるということはありません。 このような場合、採卵はどのようにしたらよいでしょうか? 考えられる方法として、カウフマンで一度リセットをしてまた新たに卵子を育てるか、小さいほうの卵胞が育つまで待ってから採卵する方法があります。 採卵を小さいほうの卵胞に合わせるためには、アンタゴニストなどを使って排卵を抑えます。今12㎜の卵胞が20㎜になった時、他の小さな卵胞は15mmくらいだったとします。その時点でアンタゴニストを使って排卵を抑え、小さい卵胞たちが育つのを待ちます。大きい卵胞が28㎜、小さい卵胞が22㎜くらいになるまで待って採卵すれば、より多くの成熟した状態の卵子を採卵できると思います。 また別の方法として、排卵のトリガーである点鼻薬やHCGを打った後、通常の36時間後ではなく、2時間くらい採卵の時間を遅らせると、成熟卵が多く採れる可能性が高くなります。ただしこの場合は、排卵してしまう可能性もあるということを理解しておく必要があります。 花岡先生より まとめ 大きな卵胞が一つあるからといって、受精率が低くなるということはありません。小さいほうの卵子が成熟するまで待ってから採卵すれば、成熟卵が多く採れて受精の確率も上がると思います。周期が短く排卵が早い人は、早めに採卵しようとするため未成熟卵が多くなりがちです。排卵を抑える薬を使いながら、卵子が成熟するのを待ったほうがいいでしょう。 [無料]気軽にご相談ください お話を伺った先生のご紹介 花岡 嘉奈子 先生(はなおかIVFクリニック品川) 1993年東邦大学医学部卒。東邦大学医学部第一産婦人科学教室入局。 大森赤十字病院産婦人科出向、東邦大学医療センター産婦人科、キネマアートクリニックを経て、2008年はなおかレディースクリニック院長に。2012年より現職。 医学博士。産婦人科専門医。生殖医療専門医。 クリニックで一番大切にしているのは、患者さんが誰にでも声をかけやすい雰囲気をつくること。患者さんには日頃から「納得いくまでは帰らないでね」と声をかけているそう。 ≫ はなおかIVFクリニック品川
2017.10.2
専門医Q&A 不妊治療