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卵管が狭くなっているけど自然妊娠を希望しています。鍼灸で改善することはできますか?
相談者こさむさん(39歳)■ 結婚9年にして初めて不妊で卵管通水を受けました。そのとき痛みが結構ありました。「痛みがあるのは通りが悪くなっているから。体外受精をしましょう」と医師からいわれました。しかし翌日看護師さんにたずねると「狭くなっているけど通っているから自然妊娠の可能性がないわけではない」とのこと。体外受精はやりたくないのです。鍼灸は効果ありますか? 月経血の逆流を防ぐのはもちろん、ピックアップ障害を改善するためにも鍼灸治療を 卵管通水検査で痛みがあったのは、卵管内が月経血で汚れているか、クラミジアによる卵管の癒着や子宮内膜症の可能性も考えられます。クラミジアや子宮内膜症の検査は済んでいますか?まだなら不妊症の相談に行ったとき、一緒に検査をしましょう 卵管を逆流した血液が卵管内部にこびりき、汚れが落ちなくなるから狭くなる 月経血は本来、子宮から膣側に排出されるのですが、卵管を逆流し、お腹のなかに落ちる方も多いのです。調査によると3割の方にそのような傾向があるそうです。毎周期、逆流した血液が卵管内部にこびりつき、汚れが落ちなくなり詰まっていくのです。卵管が完全に詰まる前に逆流を治さないと、体外受精をするしか妊娠の可能性がなくなります。逆流の原因は自律神経失調が考えられます。不妊治療や仕事などのストレスで自律神経が上手く機能しなくなり、卵管本来の役目を果たさなくなるのです。卵管は卵巣とつながっていません。卵巣から飛び出る卵子を卵管が受け取るのですが、つながっていないので取りこぼしがあります。いつも取りこぼしている状態をピックアップ障害と呼びます。取りこぼしがあれば精子と出会えないので、妊娠もしないのです。 卵管が完全に詰まってしまう前に、鍼灸治療を早めにはじめましょう 妊娠の可能性はあるけれど妊娠が難しいのは、西洋医学ではピックアップ障害に対するすべがないからです。卵管がピックアップできる機能を持っていれば、受精は可能でしょう。また、卵管内の液体が卵子に栄養をあたえながら分割できる状態ならば妊娠も可能でしょう。しかし、現状の汚れた卵管内部では、どうなのでしょうという疑問もあります。ですから自律神経失調を調整することと、通水もしくは子宮卵管造影検査を卵管内部の掃除を目的として行なうのがいいのではないでしょうか。鍼灸治療は自律神経の機能調整にすぐれています。月経血の逆流を防ぐのはもちろん、ピックアップ障害の改善にも、鍼灸治療をおすすめします。卵管が完全に詰まってしまう前に、早めの鍼灸治療を。 関村 順一 先生 鍼灸教員養成科の婦人科治療専任講師。治療院のスタッフとともに女性を健康にし、明るい将来像が持てるために奮闘中。頭痛、腹痛、月経痛など、おきているものにはすべて何らかの原因がある。その原因を東洋医学で分析し、患者さんに合うマクロビオティックに基づく指導と鍼灸治療で生活の向上を数多く手伝い、現在も活躍中。 ■ あわせて読みたい ■ 原因不明の不妊はピックアップ障害かも。体外受精しか治療法はない? 腹腔鏡手術の体外法によりピックアップ障害を引き起こすことはある? 2人目での不妊原因不明なのですが体外受精は有効ですか? 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる 相談者こさむさん(39歳)■ 結婚9年にして初めて不妊で卵管通水を受けました。そのとき痛みが結構ありました。「痛みがあるのは通りが悪くなっているから。体外受精をしましょう」と医師からいわれました。しかし翌日看護師さんにたずねると「狭くなっているけど通っているから自然妊娠の可能性がないわけではない」とのこと。体外受精はやりたくないのです。鍼灸は効果ありますか? 月経血の逆流を防ぐのはもちろん、ピックアップ障害を改善するためにも鍼灸治療を 卵管通水検査で痛みがあったのは、卵管内が月経血で汚れているか、クラミジアによる卵管の癒着や子宮内膜症の可能性も考えられます。クラミジアや子宮内膜症の検査は済んでいますか?まだなら不妊症の相談に行ったとき、一緒に検査をしましょう 卵管を逆流した血液が卵管内部にこびりき、汚れが落ちなくなるから狭くなる 月経血は本来、子宮から膣側に排出されるのですが、卵管を逆流し、お腹のなかに落ちる方も多いのです。調査によると3割の方にそのような傾向があるそうです。毎周期、逆流した血液が卵管内部にこびりつき、汚れが落ちなくなり詰まっていくのです。卵管が完全に詰まる前に逆流を治さないと、体外受精をするしか妊娠の可能性がなくなります。逆流の原因は自律神経失調が考えられます。不妊治療や仕事などのストレスで自律神経が上手く機能しなくなり、卵管本来の役目を果たさなくなるのです。卵管は卵巣とつながっていません。卵巣から飛び出る卵子を卵管が受け取るのですが、つながっていないので取りこぼしがあります。いつも取りこぼしている状態をピックアップ障害と呼びます。取りこぼしがあれば精子と出会えないので、妊娠もしないのです。 卵管が完全に詰まってしまう前に、鍼灸治療を早めにはじめましょう 妊娠の可能性はあるけれど妊娠が難しいのは、西洋医学ではピックアップ障害に対するすべがないからです。卵管がピックアップできる機能を持っていれば、受精は可能でしょう。また、卵管内の液体が卵子に栄養をあたえながら分割できる状態ならば妊娠も可能でしょう。しかし、現状の汚れた卵管内部では、どうなのでしょうという疑問もあります。ですから自律神経失調を調整することと、通水もしくは子宮卵管造影検査を卵管内部の掃除を目的として行なうのがいいのではないでしょうか。鍼灸治療は自律神経の機能調整にすぐれています。月経血の逆流を防ぐのはもちろん、ピックアップ障害の改善にも、鍼灸治療をおすすめします。卵管が完全に詰まってしまう前に、早めの鍼灸治療を。 関村 順一 先生 鍼灸教員養成科の婦人科治療専任講師。治療院のスタッフとともに女性を健康にし、明るい将来像が持てるために奮闘中。頭痛、腹痛、月経痛など、おきているものにはすべて何らかの原因がある。その原因を東洋医学で分析し、患者さんに合うマクロビオティックに基づく指導と鍼灸治療で生活の向上を数多く手伝い、現在も活躍中。 ■ あわせて読みたい ■ 原因不明の不妊はピックアップ障害かも。体外受精しか治療法はない? 腹腔鏡手術の体外法によりピックアップ障害を引き起こすことはある? 2人目での不妊原因不明なのですが体外受精は有効ですか? 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる
2013.6.26
コラム 不妊治療
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ひどい冷え性と不妊治療でストレスを感じていることに悩んでいます
相談者 ようこさん(33歳)■ ひどい冷え性に悩んでいます。排卵から月経時に腹痛があり、不妊治療にストレスを感じています。そのせいかちょっとしたことでも落ち込みます。とくに月経がくるたびに「今回もだめだった」とがっかりしてしまいます。 鍼灸で腎陽を補えば、自分で体を温める力がつき、生殖機能の働きがアップする ひどい冷えに悩んでいるとのことですが、典型的な陽虚証という症状がうかがえます。体全体の代謝機能が低下しているのが原因です。 腎陽虚証によって体を温めることができず、結果、瘀血になってしまう 体を温め、適度な運動をする。ストレスにはへそ下丹田で腹式呼吸を 日常で気を付けることは、積極的に体を温めることです。とくに下半身の冷えが強いと思いますので、しっかりとお風呂に浸かって、体の芯から温めましょう。瘀血には適度な運動が効果的です。一日30分程度のウォーキングやヨガ、太極拳など、体に負担にならない運動をしましょう。ストレスがたまっているようですから、へその下3寸のところにある、へそ下丹田で深く息を吸い込む、複式呼吸をすると、体がリラックスして気を補えます。鍼灸治療では、腎陽を補う治療が中心になります。腎陽を補うことで、自分で体を温める力をつけ、生殖機能をUPさせていきます。体が温かくなり気が充実してくると、余分な水分も減り、血液を送りだす力もでて、体全体の循環が改善していきます。 神薗 克也 先生 芝浦工業大学工学部卒、日本鍼灸理療専門学校卒、鍼灸師・登録販売者。2004年翠明館治療室を開設。2009年より漢方専門薬店を併設。不妊症をメインとして、鍼灸と漢方を用いで体の内外より総合的に治療を行っている。 ■ あわせて読みたい ■ 冷え性なのに汗っかきなので温めると逆に冷えてしまう。なにか対策はある? 半身浴や運動も効果無い40年来の冷え性。33歳以降の月経変化。気になるこの2点は改善できるの? 冷え性や月経不順、イライラや落ち込みを解消して、妊娠力を上げたいのですが 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる 相談者 ようこさん(33歳)■ ひどい冷え性に悩んでいます。排卵から月経時に腹痛があり、不妊治療にストレスを感じています。そのせいかちょっとしたことでも落ち込みます。とくに月経がくるたびに「今回もだめだった」とがっかりしてしまいます。 鍼灸で腎陽を補えば、自分で体を温める力がつき、生殖機能の働きがアップする ひどい冷えに悩んでいるとのことですが、典型的な陽虚証という症状がうかがえます。体全体の代謝機能が低下しているのが原因です。 腎陽虚証によって体を温めることができず、結果、瘀血になってしまう 体を温め、適度な運動をする。ストレスにはへそ下丹田で腹式呼吸を 日常で気を付けることは、積極的に体を温めることです。とくに下半身の冷えが強いと思いますので、しっかりとお風呂に浸かって、体の芯から温めましょう。瘀血には適度な運動が効果的です。一日30分程度のウォーキングやヨガ、太極拳など、体に負担にならない運動をしましょう。ストレスがたまっているようですから、へその下3寸のところにある、へそ下丹田で深く息を吸い込む、複式呼吸をすると、体がリラックスして気を補えます。鍼灸治療では、腎陽を補う治療が中心になります。腎陽を補うことで、自分で体を温める力をつけ、生殖機能をUPさせていきます。体が温かくなり気が充実してくると、余分な水分も減り、血液を送りだす力もでて、体全体の循環が改善していきます。 神薗 克也 先生 芝浦工業大学工学部卒、日本鍼灸理療専門学校卒、鍼灸師・登録販売者。2004年翠明館治療室を開設。2009年より漢方専門薬店を併設。不妊症をメインとして、鍼灸と漢方を用いで体の内外より総合的に治療を行っている。 ■ あわせて読みたい ■ 冷え性なのに汗っかきなので温めると逆に冷えてしまう。なにか対策はある? 半身浴や運動も効果無い40年来の冷え性。33歳以降の月経変化。気になるこの2点は改善できるの? 冷え性や月経不順、イライラや落ち込みを解消して、妊娠力を上げたいのですが 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる
2013.6.26
コラム 不妊治療
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良い採卵・受精・分割にするために鍼灸は効果的ですか?通う頻度はどれくらい?
相談者 ペコさん(39歳)■ KLC系列のクリニックで初めて採卵をしましたが、1つは受精せず、1つは3分割で停止してしまいました。先生から「加齢と1か月前まで通っていた病院で使用したHCG注射の影響が考えられる。このままでは同じことのくり返しなので、フラノバールで調整をとりましょう」といわれました。良い採卵・受精・分割にするために鍼灸は効果的でしょうか? 鍼灸治療の前に生活習慣を改善することが、良い結果につながる 受精しなかったり、分割が進まない体験をされている方は、ペコさんに限らずうちの患者さんでもいらっしゃいますよ。治療も大切ですが、その前に生活習慣の改善をしましょう。それが良い結果につながっていくからです。 体脂肪率は高くても低くても影響がある。適正が妊娠しやすい体の条件 一人ひとり改善する内容は違いますが、ペコさんの場合は今までの経緯を拝読したところ、3か月ほど前から月経血の量が減ったことや、流産を体験されていることから、体の冷え、とくに下半身の冷えの影響もあるのではないかと思えます。せっかく血流を良くする当帰芍薬を服用されているのですから、衣類や寝具、入浴法、睡眠時間、疲労、食生活や生活習慣の改善をプラスしてみてください。相乗効果が出ると思いますよ。また、ペコさんの体重は身長と年令からは適正範囲ですが、体脂肪は適正範囲でしょうか?体脂肪は少なすぎても多すぎても卵に影響します。もしも体脂肪が、年令から見て適正範囲を超えているなら、食事の時間帯や内容、バランスを改善してください。適正な体脂肪率になれば、より早く妊娠しやすい条件の体に整うと思います。一人ひとり違う生活習慣のなかで、自分自身の負担になっている点を改善し養生することは、自然妊娠でも、人工授精や体外受精でも、良い結果につながりますよ。 初めのうちは1週間から10日に1回の間隔での通院をするのがおすすめ 鍼灸治療を行うことで、女性の卵巣に影響する腎や脾の機能や、生殖機能のなかでも、卵巣や卵管に影響する肝・膀胱(婦人科に関係のある経絡)の機能が高まるという例が、当院の患者さんにも多くいます。鍼灸治療の通院期間や回数は症状によって個人差があります。私の所では、東洋医学的に良導絡という機械で子宮や卵巣の状態が把握できるので、その数値によって治療期間の目安がつきます。最終的には月1~2回で大丈夫ですが、初めのうちは1週間から10日に1回の間隔での通院が一般的で効果も期待できると思います。 直永 せつ子 先生自分自身の不妊を夫の治療で克服した体験を活かしたくって、明治東洋医学専門学校鍼灸科卒業後、日本不妊カウンセリング学会認定、不妊カウンセラーの資格を取る。不妊患者さんのメンタルをサポートしながら、必要な方には栄養指導面のアドバイスも行う。 相談者 ペコさん(39歳)■ KLC系列のクリニックで初めて採卵をしましたが、1つは受精せず、1つは3分割で停止してしまいました。先生から「加齢と1か月前まで通っていた病院で使用したHCG注射の影響が考えられる。このままでは同じことのくり返しなので、フラノバールで調整をとりましょう」といわれました。良い採卵・受精・分割にするために鍼灸は効果的でしょうか? 鍼灸治療の前に生活習慣を改善することが、良い結果につながる 受精しなかったり、分割が進まない体験をされている方は、ペコさんに限らずうちの患者さんでもいらっしゃいますよ。治療も大切ですが、その前に生活習慣の改善をしましょう。それが良い結果につながっていくからです。 体脂肪率は高くても低くても影響がある。適正が妊娠しやすい体の条件 一人ひとり改善する内容は違いますが、ペコさんの場合は今までの経緯を拝読したところ、3か月ほど前から月経血の量が減ったことや、流産を体験されていることから、体の冷え、とくに下半身の冷えの影響もあるのではないかと思えます。せっかく血流を良くする当帰芍薬を服用されているのですから、衣類や寝具、入浴法、睡眠時間、疲労、食生活や生活習慣の改善をプラスしてみてください。相乗効果が出ると思いますよ。また、ペコさんの体重は身長と年令からは適正範囲ですが、体脂肪は適正範囲でしょうか?体脂肪は少なすぎても多すぎても卵に影響します。もしも体脂肪が、年令から見て適正範囲を超えているなら、食事の時間帯や内容、バランスを改善してください。適正な体脂肪率になれば、より早く妊娠しやすい条件の体に整うと思います。一人ひとり違う生活習慣のなかで、自分自身の負担になっている点を改善し養生することは、自然妊娠でも、人工授精や体外受精でも、良い結果につながりますよ。 初めのうちは1週間から10日に1回の間隔での通院をするのがおすすめ 鍼灸治療を行うことで、女性の卵巣に影響する腎や脾の機能や、生殖機能のなかでも、卵巣や卵管に影響する肝・膀胱(婦人科に関係のある経絡)の機能が高まるという例が、当院の患者さんにも多くいます。鍼灸治療の通院期間や回数は症状によって個人差があります。私の所では、東洋医学的に良導絡という機械で子宮や卵巣の状態が把握できるので、その数値によって治療期間の目安がつきます。最終的には月1~2回で大丈夫ですが、初めのうちは1週間から10日に1回の間隔での通院が一般的で効果も期待できると思います。 直永 せつ子 先生自分自身の不妊を夫の治療で克服した体験を活かしたくって、明治東洋医学専門学校鍼灸科卒業後、日本不妊カウンセリング学会認定、不妊カウンセラーの資格を取る。不妊患者さんのメンタルをサポートしながら、必要な方には栄養指導面のアドバイスも行う。
2013.6.26
コラム 不妊治療
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妊娠できる体質に改善するには鍼灸治療がいいのでしょうか。毎日の生活でできることはありますか?
相談者 やくもさん(45歳)■ 以前切迫流産をしました。月経痛がひどく、最近は月経血の量も少なくなってきています。体温が低いせいか、なかなか夜寝付けない日が多いことが気になっています。生活を見直し体質改善を鍼灸治療で行ってみようかと考えています。 不妊治療だけではなく、トータル的な体質改善のためにも鍼灸治療を 東洋医学( 中国医学)では、女性の場合の「不妊」は「不孕 」と呼び、代表的な原因が数種類あります。それらの証(病名)は「腎虚」、「気血両虚」、「肝気欝結 」、「痰湿」、「血瘀」、「陰虚血熱」などです。 子宮や卵巣に筋腫、膿腫、ポリープがある状態は瘀血傾向にあると考える 聞きなれない言葉ばかりだと思いますが、簡単に説明すると、根本的なエネルギー不足、体自体や生殖器にとどこおったり、発生する不要物、精神的なストレスなどが「不妊」の要因だということです。これらの要因が子宮や卵巣の働きを悪くして「不妊」を招くのです。その要因を取り除いていくのが東洋医学(鍼灸)における「不妊」治療です。やくもさんの症状で気になるのは、子宮や卵巣に筋腫、膿腫、ポリープなどがあるということです。東洋医学ではこれらの状態は瘀血傾向にあると考えられます。瘀血とは体のなかの血のめぐりが悪くなり、とどこおりができて不要なものが集まり、それが子宮や卵巣の腫瘍やポリープなどの塊になってしまうのです。めぐりが悪くなりとどこおる原因も、ストレス、冷え、体力低下などさまざま。 十分な睡眠で疲れをとり、無理のない程度の運動でストレスを発散する 体質改善するには、睡眠を十分とって疲れをとること、無理のない程度に自然の中で散歩をしたり、深呼吸をしてストレスを発散することです。体を動かしたり、深呼吸をすることで、体のなかはもちろん、子宮や卵巣のなかのめぐりも良くなります。ただし過度な運動や、義務になってしまうと、ストレスや疲れがたまって逆効果になるので注意してください。鍼灸治療を受けるには、実際に話をうかがって東洋医学的な診察を行う必要があります。そして不妊になった原因を突き止め、それに対して必要な治療を行っていきます。そうすることで、子宮や卵巣の機能が向上し、妊娠しやすい体になっていくのです。妊娠しやすい体になるということは、妊娠を維持し、元気に出産、産後を送れる状態のことです。総合的な体質改善をするためにも鍼灸治療を受けることをおすすめします。 湯浅 佳子 先生 東洋医学的な視点から身体と心のバランスを整えることが、子宮や卵巣の機能改善につながっていくと考えるのが鍼灸治療による不妊治療。鍼灸に抵抗のある方には不妊患者様専用のアロママッサージも行っている。 相談者 やくもさん(45歳)■ 以前切迫流産をしました。月経痛がひどく、最近は月経血の量も少なくなってきています。体温が低いせいか、なかなか夜寝付けない日が多いことが気になっています。生活を見直し体質改善を鍼灸治療で行ってみようかと考えています。 不妊治療だけではなく、トータル的な体質改善のためにも鍼灸治療を 東洋医学( 中国医学)では、女性の場合の「不妊」は「不孕 」と呼び、代表的な原因が数種類あります。それらの証(病名)は「腎虚」、「気血両虚」、「肝気欝結 」、「痰湿」、「血瘀」、「陰虚血熱」などです。 子宮や卵巣に筋腫、膿腫、ポリープがある状態は瘀血傾向にあると考える 聞きなれない言葉ばかりだと思いますが、簡単に説明すると、根本的なエネルギー不足、体自体や生殖器にとどこおったり、発生する不要物、精神的なストレスなどが「不妊」の要因だということです。これらの要因が子宮や卵巣の働きを悪くして「不妊」を招くのです。その要因を取り除いていくのが東洋医学(鍼灸)における「不妊」治療です。やくもさんの症状で気になるのは、子宮や卵巣に筋腫、膿腫、ポリープなどがあるということです。東洋医学ではこれらの状態は瘀血傾向にあると考えられます。瘀血とは体のなかの血のめぐりが悪くなり、とどこおりができて不要なものが集まり、それが子宮や卵巣の腫瘍やポリープなどの塊になってしまうのです。めぐりが悪くなりとどこおる原因も、ストレス、冷え、体力低下などさまざま。 十分な睡眠で疲れをとり、無理のない程度の運動でストレスを発散する 体質改善するには、睡眠を十分とって疲れをとること、無理のない程度に自然の中で散歩をしたり、深呼吸をしてストレスを発散することです。体を動かしたり、深呼吸をすることで、体のなかはもちろん、子宮や卵巣のなかのめぐりも良くなります。ただし過度な運動や、義務になってしまうと、ストレスや疲れがたまって逆効果になるので注意してください。鍼灸治療を受けるには、実際に話をうかがって東洋医学的な診察を行う必要があります。そして不妊になった原因を突き止め、それに対して必要な治療を行っていきます。そうすることで、子宮や卵巣の機能が向上し、妊娠しやすい体になっていくのです。妊娠しやすい体になるということは、妊娠を維持し、元気に出産、産後を送れる状態のことです。総合的な体質改善をするためにも鍼灸治療を受けることをおすすめします。 湯浅 佳子 先生 東洋医学的な視点から身体と心のバランスを整えることが、子宮や卵巣の機能改善につながっていくと考えるのが鍼灸治療による不妊治療。鍼灸に抵抗のある方には不妊患者様専用のアロママッサージも行っている。
2013.6.26
コラム 不妊治療
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鍼灸や漢方薬で妊娠しやすい体質に改善することができるのでしょうか?
相談者 ばにらさん(45歳)■ 鍼灸をはじめて半年になります。前回と今回は排卵チェックを予定日の1、2日前から数日しても陽性になりませんでした。しかし、予定日あたりから胸の張りははっきりとありました。以前の排卵チェックでは、月経の14日前にはっきり陽性になっていました。老化が原因だと思いますが、ほかに原因はありますか?鍼灸から漢方薬に切り替えたほうがいいのでしょうか? 病院の血液検査とエコーで卵胞の状態を確認し、週に1回の鍼灸治療で体質改善を 排卵検査薬は尿に排出されるLHを測定し、一定量測定できたら陽性となります。陽性ではないのは、LHサージが予定より早く終わってしまったか、LHサージがおこっていないかのどちらかです。 40歳を超えると、前の周期の卵胞が排卵されず、残像卵胞となる可能性がある まず、検査日を今より2、3日早めて検査してみましょう。もしかすると月経から8~10目ぐらいで、LHがすでに上昇しているかもしれません。ただし、この時期で陽性反応がでても、未熟卵のまま排卵している可能性があるので、妊娠は期待できないかもしれません。年齢が40歳を超えると、前の周期の卵胞がきちんと排卵されずに残像卵胞として残っている可能性があるため、クリニックで血液検査とエコーで卵胞の状態を確認することをおすすめします。また、気になる症状として経血量の減少や日数短縮をあげてますが、FSHおよびAMHの数値をみれば、卵巣年齢がどれぐらいなのか目安になります。鍼灸治療を続けるかお悩みのようですが、通院頻度と治療回数は、不妊治療の目的によって変わります。体外受精・人工授精の代替補完治療の場合は、前後に通院して治療を受けるのがおすすめです。 結果を残すためには、体のメンテナンスをかねて、週1回の鍼灸の継続を 自然妊娠や体外受精の準備のために、体質改善や妊娠しやすい体づくりを希望する場合は2~3か月前から治療を受けるといいでしょう。週に1回のペースでコンスタントに通院したほうが、スポット的に治療を受けるより妊娠率が高くなります。40歳を過ぎると時間的なあせりから、治療を早く展開していきたいと考える方がほとんどですが、残念ながら妊娠にいたるまでの治療期間、治療回数は35歳を境に増えることが当院の不妊治療分析データから分かってます。結果を残すためには、排卵前、排卵以降と分けるのではなく、週に1回、体のメンテナンスをかねて、一定期間治療を継続することが必要です。治療に併せて、食事、生活習慣の改善することで、シナジー効果が発揮され、より妊娠力が高まります。 徐 大兼 先生 アキュラ鍼灸院院長。日本不妊カウンセリング学会評議員。日本受精着床学会会員。日本生殖医療学会会員。1967年、代々鍼灸を営む家系の4代目として生まれる。2002年、渋谷・表参道にてアキュラ鍼灸院開業。2004年、妊娠前後に特化したサプリメントの販売を開始。2011年『カラダを温めれば不妊は治る!』(インデックス・コミュニケーションズ)第3刷発行 相談者 ばにらさん(45歳)■ 鍼灸をはじめて半年になります。前回と今回は排卵チェックを予定日の1、2日前から数日しても陽性になりませんでした。しかし、予定日あたりから胸の張りははっきりとありました。以前の排卵チェックでは、月経の14日前にはっきり陽性になっていました。老化が原因だと思いますが、ほかに原因はありますか?鍼灸から漢方薬に切り替えたほうがいいのでしょうか? 病院の血液検査とエコーで卵胞の状態を確認し、週に1回の鍼灸治療で体質改善を 排卵検査薬は尿に排出されるLHを測定し、一定量測定できたら陽性となります。陽性ではないのは、LHサージが予定より早く終わってしまったか、LHサージがおこっていないかのどちらかです。 40歳を超えると、前の周期の卵胞が排卵されず、残像卵胞となる可能性がある まず、検査日を今より2、3日早めて検査してみましょう。もしかすると月経から8~10目ぐらいで、LHがすでに上昇しているかもしれません。ただし、この時期で陽性反応がでても、未熟卵のまま排卵している可能性があるので、妊娠は期待できないかもしれません。年齢が40歳を超えると、前の周期の卵胞がきちんと排卵されずに残像卵胞として残っている可能性があるため、クリニックで血液検査とエコーで卵胞の状態を確認することをおすすめします。また、気になる症状として経血量の減少や日数短縮をあげてますが、FSHおよびAMHの数値をみれば、卵巣年齢がどれぐらいなのか目安になります。鍼灸治療を続けるかお悩みのようですが、通院頻度と治療回数は、不妊治療の目的によって変わります。体外受精・人工授精の代替補完治療の場合は、前後に通院して治療を受けるのがおすすめです。 結果を残すためには、体のメンテナンスをかねて、週1回の鍼灸の継続を 自然妊娠や体外受精の準備のために、体質改善や妊娠しやすい体づくりを希望する場合は2~3か月前から治療を受けるといいでしょう。週に1回のペースでコンスタントに通院したほうが、スポット的に治療を受けるより妊娠率が高くなります。40歳を過ぎると時間的なあせりから、治療を早く展開していきたいと考える方がほとんどですが、残念ながら妊娠にいたるまでの治療期間、治療回数は35歳を境に増えることが当院の不妊治療分析データから分かってます。結果を残すためには、排卵前、排卵以降と分けるのではなく、週に1回、体のメンテナンスをかねて、一定期間治療を継続することが必要です。治療に併せて、食事、生活習慣の改善することで、シナジー効果が発揮され、より妊娠力が高まります。 徐 大兼 先生 アキュラ鍼灸院院長。日本不妊カウンセリング学会評議員。日本受精着床学会会員。日本生殖医療学会会員。1967年、代々鍼灸を営む家系の4代目として生まれる。2002年、渋谷・表参道にてアキュラ鍼灸院開業。2004年、妊娠前後に特化したサプリメントの販売を開始。2011年『カラダを温めれば不妊は治る!』(インデックス・コミュニケーションズ)第3刷発行
2013.6.26
コラム 不妊治療
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二度続けて流産。 不育症の検査も視野に 治療を考えていますが、 自分でできることは?
相談者 わしゃしゃさん(32歳)■ 不妊治療をおこない、今年5月、9月と二度続けて流産しました。不育症の検査も視野に今後の治療を進めていこうと思っていますが、自分でも何かできることはないかと、体質改善法を探しています。身長は168㎝で体重が50㎏です。 脾の力を高めて体重を増やせば、ホルモンバランスが安定して妊娠力も高まる 5月、9月と二度続けての流産、おつらかったですね。でも、わしゃしゃさんには、妊娠できる力があるのは間違いないということです。流産自体は、珍しいことではありません。妊娠経験者の40%が流産を経験しているといわれます。病院の検査は大切ですが、同時に体質改善で、気になるさまざまな症状を良くして、妊娠力を高めましょう。 BMIが18.5を下回ると女性ホルモンバランスが崩れ、排卵障害のリスク高に まず気になるのが、体重と身長のバランスであるBMIが17.7しかないことです。18.5を下回ると女性ホルモンバランスが悪くなり、多嚢胞性卵巣など、排卵障害のリスクが高まるといわれています。実際に、PCOS、高プロラクチン血症などのトラブルもあるようなので、52.2kgの体重はほしいところです。体重を意識的に減らしているなら、食べる量を増やしましょう。胃下垂などで太りにくい体質ならば、「中気下陥」状態の可能性があります。これは、内臓などを本来あるべき場所に留められず下がってしまう体質のこと。下痢や痔といったトラブルが出やすく、大切な胎児をしっかり子宮内に留める力が弱ります。この状態では、胃腸(漢方では脾といいます)は正しい働きができません。そうなると「気血」が不足し、体調もイマイチになり、婦人科のさまざまなトラブルを招く原因となってしまうのです。 脾と腎の力を高める漢方薬で体質改善をし、妊娠力をつけ流産しにくい体に 気になる数々の症状も根本的には脾の弱りが原因になっている可能性が高いようです。中気下陥の状態を改善し、胃腸を元気にすると、食事が美味しくなり、体が健康な状態に変わります。体重が増えて普通体重になると、ホルモンバランスが安定して妊娠力も高まります。そして、赤ちゃんをしっかり支えられて流産しにくい体にもなるのです。同時に妊娠力そのものである「腎」の力が重要になります。腎の力はホルモンや生殖の力なのですが、腎が弱ると妊娠を維持する力が弱り、流産しやすくなるのです。脾と腎の力を高めていく漢方薬で体質改善をし、元気な赤ちゃんが授かることを願っております。 堀江 昭佳 先生 出雲大社の参道で88年続く老舗漢方薬局の4代目。薬学部を卒業後、薬剤師となったのち、本場中国の漢方医から学ぶなか、不妊に悩む友人の相談を受け、漢方で妊娠したことに感動し、婦人科分野、なかでも不妊症を専門とするようになる。とくに不妊 相談者 わしゃしゃさん(32歳)■ 不妊治療をおこない、今年5月、9月と二度続けて流産しました。不育症の検査も視野に今後の治療を進めていこうと思っていますが、自分でも何かできることはないかと、体質改善法を探しています。身長は168㎝で体重が50㎏です。 脾の力を高めて体重を増やせば、ホルモンバランスが安定して妊娠力も高まる 5月、9月と二度続けての流産、おつらかったですね。でも、わしゃしゃさんには、妊娠できる力があるのは間違いないということです。流産自体は、珍しいことではありません。妊娠経験者の40%が流産を経験しているといわれます。病院の検査は大切ですが、同時に体質改善で、気になるさまざまな症状を良くして、妊娠力を高めましょう。 BMIが18.5を下回ると女性ホルモンバランスが崩れ、排卵障害のリスク高に まず気になるのが、体重と身長のバランスであるBMIが17.7しかないことです。18.5を下回ると女性ホルモンバランスが悪くなり、多嚢胞性卵巣など、排卵障害のリスクが高まるといわれています。実際に、PCOS、高プロラクチン血症などのトラブルもあるようなので、52.2kgの体重はほしいところです。体重を意識的に減らしているなら、食べる量を増やしましょう。胃下垂などで太りにくい体質ならば、「中気下陥」状態の可能性があります。これは、内臓などを本来あるべき場所に留められず下がってしまう体質のこと。下痢や痔といったトラブルが出やすく、大切な胎児をしっかり子宮内に留める力が弱ります。この状態では、胃腸(漢方では脾といいます)は正しい働きができません。そうなると「気血」が不足し、体調もイマイチになり、婦人科のさまざまなトラブルを招く原因となってしまうのです。 脾と腎の力を高める漢方薬で体質改善をし、妊娠力をつけ流産しにくい体に 気になる数々の症状も根本的には脾の弱りが原因になっている可能性が高いようです。中気下陥の状態を改善し、胃腸を元気にすると、食事が美味しくなり、体が健康な状態に変わります。体重が増えて普通体重になると、ホルモンバランスが安定して妊娠力も高まります。そして、赤ちゃんをしっかり支えられて流産しにくい体にもなるのです。同時に妊娠力そのものである「腎」の力が重要になります。腎の力はホルモンや生殖の力なのですが、腎が弱ると妊娠を維持する力が弱り、流産しやすくなるのです。脾と腎の力を高めていく漢方薬で体質改善をし、元気な赤ちゃんが授かることを願っております。 堀江 昭佳 先生 出雲大社の参道で88年続く老舗漢方薬局の4代目。薬学部を卒業後、薬剤師となったのち、本場中国の漢方医から学ぶなか、不妊に悩む友人の相談を受け、漢方で妊娠したことに感動し、婦人科分野、なかでも不妊症を専門とするようになる。とくに不妊
2013.6.26
コラム 不妊治療
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医師から卵子の質の改善につながる治療はないといわれました。漢方薬なら改善できる?
相談者 ゆうゆうさん(37歳)■ 約4年半当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を飲んで、月経痛や冷え性は劇的に改善しました。今の悩みは卵子の質が良くないことです。医師からは卵子の質の改善につながる治療はないといわれました。受精卵の質が悪いのにも関わらず、妊娠経験が二度あります。悲しいことに「死産」「流産」となりましたが……。卵子の質に問題があるのでしょうか?漢方薬で改善できるなら教えてください。 卵の改善には腎の改善が不可欠。流産予防には妊娠前から後も、気血を補う漢方薬を 卵の改善は漢方薬で役立てることがあると思います。漢方では腎は生命力をつかさどると考え、命の発生・誕生に大きく関わっています。また、腎は「先天の精」といわれるくらい、生まれながらのエネルギーとの関わりが深いとも考えられています。 腎の改善には腎陽虚と腎陰虚と大きく2つのパターンに分かれる 卵の改善には、この腎の状態を改善することが重要です。卵の改善以外でも排卵が確認しづらい、低温期から高温期への移行に時間がかかる、高温期の上昇が遅い、排卵期の体温上昇が緩やかなども、腎を改善する漢方薬で良くなることが多くあります。腎の改善は大きく2つのパターンに分かれます。1つ目は腎陽虚と呼ばれる状態。これは体を温める力が弱い方に多く見られます。2つ目は腎陰虚と呼ばれる状態です。こちらはホルモン療法を長く続けている方に多く見られます。当帰芍薬散は血のめぐりを改善するので、服用で冷え性が改善されたのでしょう。しかし、腎経に入っていく漢方薬ではないので、これのみで卵の改善は難しいと思います。 気の流れが悪い状態の肝気鬱結は、血の流れの悪さにも関係してくる 月経前の頭痛や周期のばらつき、月経中のイライラ感・不安感があることから、情感の不安定さもありますね。この状態を中医学では肝気鬱結といいます。体中の気がスムーズにめぐっていないことを指します。この状態がある方は基礎体温を一定に保つことができません。この肝気鬱結も妊娠のしづらさに関係しています。また、気の流れの悪さは血の流れの悪さにも関係してきますので、それも考慮した漢方薬をおすすめします。月経周期の遅れや着床後すぐの流産などを考慮すると、腎の弱さに脾の弱さも加わっていると思われます。脾が弱いから衝任胞宮の気血が不足し、胞宮の機能が低下していると考えられます。流産しないために、妊娠前だけでなく妊娠後も気血を補う漢方薬を。妊娠中に服用できる漢方薬もあるし、妊娠中は服用できない漢方薬もありますので、専門家の意見を聞いて服用してください。 岩本 治美 先生 東京薬科大学卒。夫の家が薬局経営していたので2人の子供を育てながら調剤業務に従事。子育ても一段落したころ現在の漢方の恩師に出会い、漢方の勉強をはじめる。その後、漢方相談薬局として多くのお客さまの相談に対応。月経不順・月経痛・月経前症候群・更年期など、女性特有の症状に対応。なかでも不妊の相談が多く、たくさんの喜びの声をいただいている。 ■ あわせて読みたい ■ 卵子のグレードと実際の質は違うのでしょうか? 排卵までに時間がかかった...卵子は質が落ちますか? 卵子の質が悪く受精せず自然周期採卵なら妊娠できますか? 女性のための健康生活マガジン JINEKO 相談者 ゆうゆうさん(37歳)■ 約4年半当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)を飲んで、月経痛や冷え性は劇的に改善しました。今の悩みは卵子の質が良くないことです。医師からは卵子の質の改善につながる治療はないといわれました。受精卵の質が悪いのにも関わらず、妊娠経験が二度あります。悲しいことに「死産」「流産」となりましたが……。卵子の質に問題があるのでしょうか?漢方薬で改善できるなら教えてください。 卵の改善には腎の改善が不可欠。流産予防には妊娠前から後も、気血を補う漢方薬を 卵の改善は漢方薬で役立てることがあると思います。漢方では腎は生命力をつかさどると考え、命の発生・誕生に大きく関わっています。また、腎は「先天の精」といわれるくらい、生まれながらのエネルギーとの関わりが深いとも考えられています。 腎の改善には腎陽虚と腎陰虚と大きく2つのパターンに分かれる 卵の改善には、この腎の状態を改善することが重要です。卵の改善以外でも排卵が確認しづらい、低温期から高温期への移行に時間がかかる、高温期の上昇が遅い、排卵期の体温上昇が緩やかなども、腎を改善する漢方薬で良くなることが多くあります。腎の改善は大きく2つのパターンに分かれます。1つ目は腎陽虚と呼ばれる状態。これは体を温める力が弱い方に多く見られます。2つ目は腎陰虚と呼ばれる状態です。こちらはホルモン療法を長く続けている方に多く見られます。当帰芍薬散は血のめぐりを改善するので、服用で冷え性が改善されたのでしょう。しかし、腎経に入っていく漢方薬ではないので、これのみで卵の改善は難しいと思います。 気の流れが悪い状態の肝気鬱結は、血の流れの悪さにも関係してくる 月経前の頭痛や周期のばらつき、月経中のイライラ感・不安感があることから、情感の不安定さもありますね。この状態を中医学では肝気鬱結といいます。体中の気がスムーズにめぐっていないことを指します。この状態がある方は基礎体温を一定に保つことができません。この肝気鬱結も妊娠のしづらさに関係しています。また、気の流れの悪さは血の流れの悪さにも関係してきますので、それも考慮した漢方薬をおすすめします。月経周期の遅れや着床後すぐの流産などを考慮すると、腎の弱さに脾の弱さも加わっていると思われます。脾が弱いから衝任胞宮の気血が不足し、胞宮の機能が低下していると考えられます。流産しないために、妊娠前だけでなく妊娠後も気血を補う漢方薬を。妊娠中に服用できる漢方薬もあるし、妊娠中は服用できない漢方薬もありますので、専門家の意見を聞いて服用してください。 岩本 治美 先生 東京薬科大学卒。夫の家が薬局経営していたので2人の子供を育てながら調剤業務に従事。子育ても一段落したころ現在の漢方の恩師に出会い、漢方の勉強をはじめる。その後、漢方相談薬局として多くのお客さまの相談に対応。月経不順・月経痛・月経前症候群・更年期など、女性特有の症状に対応。なかでも不妊の相談が多く、たくさんの喜びの声をいただいている。 ■ あわせて読みたい ■ 卵子のグレードと実際の質は違うのでしょうか? 排卵までに時間がかかった...卵子は質が落ちますか? 卵子の質が悪く受精せず自然周期採卵なら妊娠できますか? 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2013.6.25
コラム 不妊治療
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冷え性で体外受精を4回しましたが、 一度も着床しません。年齢的に卵の老化が心配
相談者 TOAさん(42歳)■ 冷え性が体質だと思っていましたが、不妊治療をはじめたころから、冷えは良くないことを知りました。漢方薬を服用しましたが、長年の冷えは解消されませんでした。子宮筋腫が大きくなってきているといわれ、体外受精は4回したのですが、一度も着床しません。年齢的に卵が老化してしまっているのではないかと不安です。どのように体質改善したらいいのでしょうか? 原因をいろいろ探して悩むよりも、体質改善のために不妊に詳しい漢方薬局で相談を 不妊治療で卵巣やホルモンなどの生殖能力に関係する臓器は「腎」で、その働きが重要です。自覚症状を診てみますと、低温期が長い、月経期間が短い、月経血量が少ないなど、「腎陰」の働きが弱いし、高温期が短い、体温が全体的に低い、冷え性など「腎陽」の働きも弱いようです。 生殖能力の働きを高める動物生薬が配合されている「補腎薬」を用いる 疲れやすい、足腰のだるさや冷えなどから「脾腎両虚」の症状があります。また、子宮筋腫が大きくなっていることから「瘀血」の症状もみられます。治療のポイントとしては、生殖能力の働きを高める「補腎薬」を用います。八味丸も補腎薬ですが、動物生薬が配合されている中成薬で「腎精不足」を補います。それから子宮筋腫が大きくなってきているということなので、瘀血症状をより改善するために「活血破血薬」を用います。さらに着床がしにくいことから、子宮内膜を補う「補血薬」も用います。「当帰芍薬散」は補血薬ですが、補血薬に補気薬も配合されていて、疲れやすい状態も改善される「気血双補薬」の方がいいでしょう。 不安な気持ちは「不妊カウンセラー」に相談すると気持ちが安らかになる 年齢的に卵が老化しているのかが不安ということですが、それに関連する検査の1つである「AMH」の数値はどうなのでしょうか?不妊治療は、みなさん不安で一杯です。その不安を「不妊カウンセラー」の方に相談してみてください。きっと気持ちが安らかになると思います。日常生活では、体を冷やさないように、冷たい飲食物は控えめにしてください。またホルモンの働きが良くなるように、午後10時~午前2時は熟睡しているように、早寝の心がけを。瘀血の改善、予防にはウォーキングなどの軽い運動や、体を温めて血行を良くする入浴を毎日しましょう。不妊の原因をいろいろ探して悩むよりも、今より少しでも妊娠しやすい体質に変えるために、不妊に詳しい漢方薬局で相談をしてみてください。西洋医学と中医学を上手に組み合わせて、TOA さんが子宝に恵まれますように。 渡邊 英俊 先生 薬剤師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・教員免許を持つ。西洋医学を学び、中医師より中医学の教えを受け、北京で研修をする。また不妊学会で研鑽を積み、学会認定の「不妊カウンセラー」「生殖医療相談士」を取得する。県外からも男女不妊症の患者様が来店され、信頼を得ている。NHK や民放のテレビ・ラジオに出演したり、専門学校の講師や講演会でも活躍中。 相談者 TOAさん(42歳)■ 冷え性が体質だと思っていましたが、不妊治療をはじめたころから、冷えは良くないことを知りました。漢方薬を服用しましたが、長年の冷えは解消されませんでした。子宮筋腫が大きくなってきているといわれ、体外受精は4回したのですが、一度も着床しません。年齢的に卵が老化してしまっているのではないかと不安です。どのように体質改善したらいいのでしょうか? 原因をいろいろ探して悩むよりも、体質改善のために不妊に詳しい漢方薬局で相談を 不妊治療で卵巣やホルモンなどの生殖能力に関係する臓器は「腎」で、その働きが重要です。自覚症状を診てみますと、低温期が長い、月経期間が短い、月経血量が少ないなど、「腎陰」の働きが弱いし、高温期が短い、体温が全体的に低い、冷え性など「腎陽」の働きも弱いようです。 生殖能力の働きを高める動物生薬が配合されている「補腎薬」を用いる 疲れやすい、足腰のだるさや冷えなどから「脾腎両虚」の症状があります。また、子宮筋腫が大きくなっていることから「瘀血」の症状もみられます。治療のポイントとしては、生殖能力の働きを高める「補腎薬」を用います。八味丸も補腎薬ですが、動物生薬が配合されている中成薬で「腎精不足」を補います。それから子宮筋腫が大きくなってきているということなので、瘀血症状をより改善するために「活血破血薬」を用います。さらに着床がしにくいことから、子宮内膜を補う「補血薬」も用います。「当帰芍薬散」は補血薬ですが、補血薬に補気薬も配合されていて、疲れやすい状態も改善される「気血双補薬」の方がいいでしょう。 不安な気持ちは「不妊カウンセラー」に相談すると気持ちが安らかになる 年齢的に卵が老化しているのかが不安ということですが、それに関連する検査の1つである「AMH」の数値はどうなのでしょうか?不妊治療は、みなさん不安で一杯です。その不安を「不妊カウンセラー」の方に相談してみてください。きっと気持ちが安らかになると思います。日常生活では、体を冷やさないように、冷たい飲食物は控えめにしてください。またホルモンの働きが良くなるように、午後10時~午前2時は熟睡しているように、早寝の心がけを。瘀血の改善、予防にはウォーキングなどの軽い運動や、体を温めて血行を良くする入浴を毎日しましょう。不妊の原因をいろいろ探して悩むよりも、今より少しでも妊娠しやすい体質に変えるために、不妊に詳しい漢方薬局で相談をしてみてください。西洋医学と中医学を上手に組み合わせて、TOA さんが子宝に恵まれますように。 渡邊 英俊 先生 薬剤師・鍼灸師・あん摩マッサージ指圧師・教員免許を持つ。西洋医学を学び、中医師より中医学の教えを受け、北京で研修をする。また不妊学会で研鑽を積み、学会認定の「不妊カウンセラー」「生殖医療相談士」を取得する。県外からも男女不妊症の患者様が来店され、信頼を得ている。NHK や民放のテレビ・ラジオに出演したり、専門学校の講師や講演会でも活躍中。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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筋腫や囊胞ができやすい体質を漢方で改善し、予防できるでしょうか?
相談者 みーみーさん(36歳)■ 体質的に筋腫や内膜症(チョコレート囊胞)ができやすいようで、筋腫は20数個もあり、なかにはゴルフボール大のものも数個あり、昨年開腹手術で全部とりましたました。しかし、1年も経たないうちに再発しています。昨年の夏から不妊治療もはじめたのですが、チョコレート囊胞が悪化しています。漢方薬で体質改善をし、筋腫の予防ができたらと思うのですが……。 漢方では瘀血と気の体質と考えます。積極的に改善を望むなら漢方や鍼灸の治療を 筋腫やチョコレート嚢腫は状況によっては妊娠の妨げとなることもありますので、できれば筋腫の再発や嚢腫の悪化は避けたいですね。 妊娠が成立するには、元気な卵子が育ち、受精卵を受け入れる温かい子宮内膜も必要 みーみーさんの場合、筋腫、嚢腫、レバー状の塊などができやすいという特徴がありますが、漢方ではこのような状態を「瘀血」といいます。月経痛もその症状の1つです。また、月経前のイライラなど感情、情緒の変化がおこりやすいのは「気滞」という体質によります。瘀血は血の質や流れが良くないことから生じ、全身の栄養不良や老廃物の蓄積をまねきます。妊娠が成立するには、元気な卵子が育ち、受精卵を受け入れる温かい子宮内膜も必要です。しかし、良質な血液が卵巣、子宮に届かなければ卵巣機能、卵子の生育状態、さらに子宮内膜にも悪影響をあたえます。気滞とはストレス状態が長く続き、気のめぐりが停滞した状態で、西洋医学では自律神経のアンバランスと考えられています。この気滞がホルモンバランスにも影響し、瘀血を増悪させる原因にもなります。 漢方には瘀血や気滞を改善する「活血薬」「理気薬」という独特な薬がある こうした体質は一朝一夕でできあがるものではありません。長年続けてきた食事や運動、生活スタイルなど、日常のすべてが体質づくりに関わっていますから、日々の生活を見直すことも大切です。瘀血を改善するには、体を冷やさないこと。寒い環境は避け、入浴は湯舟に浸かってください。運動も血行を改善するので定期的に行いましょう。気滞の改善には香味野菜や酸っぱいものを多く摂ってください。また、「心のゆとり」をつくるようにしましょう。趣味などに没頭できる時間を持つのもいいですね。漢方や鍼灸を利用するのもおすすめです。漢方には瘀血や気滞を改善するため、それぞれに「活血薬」「理気薬」という独特な薬があります。鍼灸でツボを刺激するとホルモン系、神経系などに作用し、気血の流れを整えます。漢方、鍼灸どちらかでもいいし、両方でもかまいません。西洋医学の治療と併用することで、ホルモン剤による副作用緩和も期待できます。 引間 紀之 先生 星薬科大学、東京医療専門学校卒、薬剤師・鍼灸師。升屋栄貫堂開設以来、不妊相談が大半をしめる。体質、状況に応じた漢方、鍼灸、骨盤矯正など、適切な治療を選択。継続的な生活面のアドバイスも好評。妊娠中や産後のケアに通う女性も多い 相談者 みーみーさん(36歳)■ 体質的に筋腫や内膜症(チョコレート囊胞)ができやすいようで、筋腫は20数個もあり、なかにはゴルフボール大のものも数個あり、昨年開腹手術で全部とりましたました。しかし、1年も経たないうちに再発しています。昨年の夏から不妊治療もはじめたのですが、チョコレート囊胞が悪化しています。漢方薬で体質改善をし、筋腫の予防ができたらと思うのですが……。 漢方では瘀血と気の体質と考えます。積極的に改善を望むなら漢方や鍼灸の治療を 筋腫やチョコレート嚢腫は状況によっては妊娠の妨げとなることもありますので、できれば筋腫の再発や嚢腫の悪化は避けたいですね。 妊娠が成立するには、元気な卵子が育ち、受精卵を受け入れる温かい子宮内膜も必要 みーみーさんの場合、筋腫、嚢腫、レバー状の塊などができやすいという特徴がありますが、漢方ではこのような状態を「瘀血」といいます。月経痛もその症状の1つです。また、月経前のイライラなど感情、情緒の変化がおこりやすいのは「気滞」という体質によります。瘀血は血の質や流れが良くないことから生じ、全身の栄養不良や老廃物の蓄積をまねきます。妊娠が成立するには、元気な卵子が育ち、受精卵を受け入れる温かい子宮内膜も必要です。しかし、良質な血液が卵巣、子宮に届かなければ卵巣機能、卵子の生育状態、さらに子宮内膜にも悪影響をあたえます。気滞とはストレス状態が長く続き、気のめぐりが停滞した状態で、西洋医学では自律神経のアンバランスと考えられています。この気滞がホルモンバランスにも影響し、瘀血を増悪させる原因にもなります。 漢方には瘀血や気滞を改善する「活血薬」「理気薬」という独特な薬がある こうした体質は一朝一夕でできあがるものではありません。長年続けてきた食事や運動、生活スタイルなど、日常のすべてが体質づくりに関わっていますから、日々の生活を見直すことも大切です。瘀血を改善するには、体を冷やさないこと。寒い環境は避け、入浴は湯舟に浸かってください。運動も血行を改善するので定期的に行いましょう。気滞の改善には香味野菜や酸っぱいものを多く摂ってください。また、「心のゆとり」をつくるようにしましょう。趣味などに没頭できる時間を持つのもいいですね。漢方や鍼灸を利用するのもおすすめです。漢方には瘀血や気滞を改善するため、それぞれに「活血薬」「理気薬」という独特な薬があります。鍼灸でツボを刺激するとホルモン系、神経系などに作用し、気血の流れを整えます。漢方、鍼灸どちらかでもいいし、両方でもかまいません。西洋医学の治療と併用することで、ホルモン剤による副作用緩和も期待できます。 引間 紀之 先生 星薬科大学、東京医療専門学校卒、薬剤師・鍼灸師。升屋栄貫堂開設以来、不妊相談が大半をしめる。体質、状況に応じた漢方、鍼灸、骨盤矯正など、適切な治療を選択。継続的な生活面のアドバイスも好評。妊娠中や産後のケアに通う女性も多い
2013.6.25
コラム 不妊治療
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排卵誘発剤を使用しなければ、低温期が長くて高温期が低め。漢方で改善できる?
相談者 Harukaさん(34歳)■ 太り気味なのが原因でしょうか、いつ排卵したかがわかりにくく、月経周期が不安定で早まったり遅れたりして、月経がくるたびに落ち込みます。排卵誘発剤のクロミッドを使用しなければ、低温期が長くて高温期が低めになります。このような体質を漢方で改善することは可能でしょうか? 自然にホルモン分泌できる体へ導いていくために、気血を補う食材と体を温める温灸を 月経期・卵胞期・排卵期・黄体期と、それぞれの時期におこるホルモン分泌の変化が順調であることが妊娠しやすい体の条件です。そして、「質の良い卵子と精子が出会うこと」「柔らかいふかふかの子宮内膜をつくること」が必要です。 腎の機能を高める「温補腎陽」と気血を補う「益気養血」の作用がある漢方薬を harukaさんは、月経周期が不安定で低温期が長く、高温期への移行に時間がかかることから、卵胞が十分に育ちにくく、排卵がスムーズ行われていない。そのため黄体ホルモンが十分に分泌されないので、高温期の体温が低くなり不安定になるのだと思われます。このような状態を漢方では、体のエネルギーである「気」が不足し、生殖力の源である「腎」の機能が低下している「腎虚」といいます。さらに月経がはじまっても体温が下がらないのは、血のめぐりが悪くなっている「瘀血」が考えられます。まずは腎の機能を高め、温かな子宮環境を保つ「温補腎陽」と気血を補う「益気養血」の作用がある漢方薬を使っていくといいでしょう。クロミッドを使用されているようですが、長く使うと子宮内膜が薄くなる傾向があり、受精しても着床しにくくなったり、排卵前のおりものも少なくなることから排卵が分かりにくくなります。服用後体重が増える方も多いのです。 月経期は妊娠のチャンスをつくる時期。月経1日目は妊娠1日目と考えましょう 今のharukaさんには自然にホルモン分泌できる体へ導いていくほうがいいのではないでしょうか。月経期は、最も体を大切にする時期です。気血を補うこと、気血のめぐりを良くする2点に注意してみましょう。気血を補うのは、ナツメ、プルーン、干しぶどうや、黒豆、黒ごま、黒米などの黒い色の食べ物、小松菜、春菊などの野菜です。これらの食材を使ったお粥がおすすめ。気血のめぐりを良くするには、体を冷やさないこと。なかでも温灸はとても良い方法です。月経がきて落ち込むことはストレスを生み、気のめぐりを悪くします。月経期は妊娠のチャンスをつくる時期です。月経1日目は妊娠1日目と考え、明るい気持ちを持つよう心がけましょう。 矢野間 明美 先生 漢方薬生薬認定薬剤師・日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー・日本臨床栄養協会認定栄養情報担当者(NR)・子宝カウンセラー。子宝カウンセリング歴25年。家族のように親身になって相談を受ける姿勢と心温まるカウンセリングには定評がある。 相談者 Harukaさん(34歳)■ 太り気味なのが原因でしょうか、いつ排卵したかがわかりにくく、月経周期が不安定で早まったり遅れたりして、月経がくるたびに落ち込みます。排卵誘発剤のクロミッドを使用しなければ、低温期が長くて高温期が低めになります。このような体質を漢方で改善することは可能でしょうか? 自然にホルモン分泌できる体へ導いていくために、気血を補う食材と体を温める温灸を 月経期・卵胞期・排卵期・黄体期と、それぞれの時期におこるホルモン分泌の変化が順調であることが妊娠しやすい体の条件です。そして、「質の良い卵子と精子が出会うこと」「柔らかいふかふかの子宮内膜をつくること」が必要です。 腎の機能を高める「温補腎陽」と気血を補う「益気養血」の作用がある漢方薬を harukaさんは、月経周期が不安定で低温期が長く、高温期への移行に時間がかかることから、卵胞が十分に育ちにくく、排卵がスムーズ行われていない。そのため黄体ホルモンが十分に分泌されないので、高温期の体温が低くなり不安定になるのだと思われます。このような状態を漢方では、体のエネルギーである「気」が不足し、生殖力の源である「腎」の機能が低下している「腎虚」といいます。さらに月経がはじまっても体温が下がらないのは、血のめぐりが悪くなっている「瘀血」が考えられます。まずは腎の機能を高め、温かな子宮環境を保つ「温補腎陽」と気血を補う「益気養血」の作用がある漢方薬を使っていくといいでしょう。クロミッドを使用されているようですが、長く使うと子宮内膜が薄くなる傾向があり、受精しても着床しにくくなったり、排卵前のおりものも少なくなることから排卵が分かりにくくなります。服用後体重が増える方も多いのです。 月経期は妊娠のチャンスをつくる時期。月経1日目は妊娠1日目と考えましょう 今のharukaさんには自然にホルモン分泌できる体へ導いていくほうがいいのではないでしょうか。月経期は、最も体を大切にする時期です。気血を補うこと、気血のめぐりを良くする2点に注意してみましょう。気血を補うのは、ナツメ、プルーン、干しぶどうや、黒豆、黒ごま、黒米などの黒い色の食べ物、小松菜、春菊などの野菜です。これらの食材を使ったお粥がおすすめ。気血のめぐりを良くするには、体を冷やさないこと。なかでも温灸はとても良い方法です。月経がきて落ち込むことはストレスを生み、気のめぐりを悪くします。月経期は妊娠のチャンスをつくる時期です。月経1日目は妊娠1日目と考え、明るい気持ちを持つよう心がけましょう。 矢野間 明美 先生 漢方薬生薬認定薬剤師・日本不妊カウンセリング学会認定不妊カウンセラー・日本臨床栄養協会認定栄養情報担当者(NR)・子宝カウンセラー。子宝カウンセリング歴25年。家族のように親身になって相談を受ける姿勢と心温まるカウンセリングには定評がある。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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過敏性腸の漢方薬は不妊治療中でも服用できるのでしょうか?
相談者 Kinaさん(44歳)■ 高齢不妊治療中です。過敏性腸の持病があって、漢方薬の小建中湯と平胃散を1年近く服用しています。体に合っていたらしく、効果があるのでこのまま服用を続けたいと思っています。不妊治療または結果を出せて妊娠した場合、そのまま服用を続けても良いのでしょうか。 妊娠したら体調、体質を専門家にもう一度相談して、漢方薬の点検をしましょう 小建中湯や平胃散といった漢方を飲まれて、調子が良いということは、脾虚、食滞(胃腸が弱く、食べた物がなかなか消化できないため、お腹に残りやすい)の体質ではないかと考えられます。 妊娠前に服用していた漢方は、妊娠してもそのまま継続できる場合が多い 小建中湯は、胃腸が弱い、疲れやすい、風邪ひきやすい、さらに子どもの体質改善にも使われる漢方です。私自身子どものころ、ずっと飲んでいた馴染み深い漢方薬です。小建中湯には、体の中を温めながら元気にする「温中補虚」や、ひきつるような腹痛を緩和する「和裏緩急」の働きがあります。一方、平胃散には、胃腸の働きや水はけを良くする「燥湿運脾」や「行気和胃」の働きがあります。妊娠前に服用して調子の良い漢方は、そのまま継続できる場合が多いのですが、漢方に詳しい先生に、妊娠後の状態を報告し、続けて服用できるか相談しましょう。漢方薬は病名ではなく、体質で選びます。とくに妊娠中は普段と違い体も過敏になっています。妊娠されたら、体調、体質を漢方に詳しい先生にもう一度相談して、漢方薬を点検しましょう。 卵巣や子宮も体の一部。漢方で体の調子が整えば、妊娠しやすい状態のよい卵ができる Kinaさんが、毎日の生活で気をつけたいことをあげておきます。 ①チョコレート、ケーキなど甘いものは避けて ②刺身や生野菜などの生ものを食べ過ぎないように ③冷たい食べもの、飲みものは避けて ④脂っぽい食事はほどほどに ⑤よくかんでゆっくり食べることも大切 ⑥食べものが停滞しやすいので、食べ過ぎには注意を ⑦ストレスは簡単に避けられるものではありませんが、受け流す、割り切る、発散するなどの工夫や、好きな香り、スポーツ、お風呂など、自分の心地良い時間をつくる心がけを 卵巣や卵、子宮も、自分の体の一部分です。体調が良いことは、卵の状態が良いことにつながります。この調子で、体を整えて、素敵なお母さんになれますように。 深谷 幹子 先生 国立湖北民族大学客員教授、広西中医学大学講師、妊娠授乳サポート薬剤師。周期調節法の第一人者である南京中医薬大学の夏教授、男性不妊専門病院の叢先生のもとで外来研修受ける。妊娠に向け、母体の健康維持も考えながら行う、体にあったアドバイスと漢方処方は定評がある。 相談者 Kinaさん(44歳)■ 高齢不妊治療中です。過敏性腸の持病があって、漢方薬の小建中湯と平胃散を1年近く服用しています。体に合っていたらしく、効果があるのでこのまま服用を続けたいと思っています。不妊治療または結果を出せて妊娠した場合、そのまま服用を続けても良いのでしょうか。 妊娠したら体調、体質を専門家にもう一度相談して、漢方薬の点検をしましょう 小建中湯や平胃散といった漢方を飲まれて、調子が良いということは、脾虚、食滞(胃腸が弱く、食べた物がなかなか消化できないため、お腹に残りやすい)の体質ではないかと考えられます。 妊娠前に服用していた漢方は、妊娠してもそのまま継続できる場合が多い 小建中湯は、胃腸が弱い、疲れやすい、風邪ひきやすい、さらに子どもの体質改善にも使われる漢方です。私自身子どものころ、ずっと飲んでいた馴染み深い漢方薬です。小建中湯には、体の中を温めながら元気にする「温中補虚」や、ひきつるような腹痛を緩和する「和裏緩急」の働きがあります。一方、平胃散には、胃腸の働きや水はけを良くする「燥湿運脾」や「行気和胃」の働きがあります。妊娠前に服用して調子の良い漢方は、そのまま継続できる場合が多いのですが、漢方に詳しい先生に、妊娠後の状態を報告し、続けて服用できるか相談しましょう。漢方薬は病名ではなく、体質で選びます。とくに妊娠中は普段と違い体も過敏になっています。妊娠されたら、体調、体質を漢方に詳しい先生にもう一度相談して、漢方薬を点検しましょう。 卵巣や子宮も体の一部。漢方で体の調子が整えば、妊娠しやすい状態のよい卵ができる Kinaさんが、毎日の生活で気をつけたいことをあげておきます。 ①チョコレート、ケーキなど甘いものは避けて ②刺身や生野菜などの生ものを食べ過ぎないように ③冷たい食べもの、飲みものは避けて ④脂っぽい食事はほどほどに ⑤よくかんでゆっくり食べることも大切 ⑥食べものが停滞しやすいので、食べ過ぎには注意を ⑦ストレスは簡単に避けられるものではありませんが、受け流す、割り切る、発散するなどの工夫や、好きな香り、スポーツ、お風呂など、自分の心地良い時間をつくる心がけを 卵巣や卵、子宮も、自分の体の一部分です。体調が良いことは、卵の状態が良いことにつながります。この調子で、体を整えて、素敵なお母さんになれますように。 深谷 幹子 先生 国立湖北民族大学客員教授、広西中医学大学講師、妊娠授乳サポート薬剤師。周期調節法の第一人者である南京中医薬大学の夏教授、男性不妊専門病院の叢先生のもとで外来研修受ける。妊娠に向け、母体の健康維持も考えながら行う、体にあったアドバイスと漢方処方は定評がある。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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来年から不妊治療を 開始する予定。少しでも 妊娠しやすい体に改善 したいのですが……
相談者 雪乃さん(47歳)■ 今年の1月~7月まで排卵誘発(自然、ショート2回)をして、3回顕微授精をしましたが陰性でした(男性不妊)。来年からまた治療を開始する予定ですので、少しでも妊娠しやすい体に改善したいと思っています。とくに手足先、お尻、お腹がひんやりとしているのを改善したいのですが……。 6か月間本腰を入れて、ご夫婦ともに体質改善をするのが、妊娠する一番の早道 妊娠力は夫婦の片方の弱さを片方が補ってこそついてくるもので、それがよい結果につながるのです。最高の治療をしながら結果がでなくて、心身ともにヘトヘトになって、不安定な状態だと思います。 腎がしっかり充実するために、まずは、生活の見直しをしてみましょう 雪乃さんは41才ですから、まだまだ時間は十分あります。6か月間本腰を入れて、ご夫婦の体質改善をするのが、一番の早道です。東洋医学でいう腎がしっかり充実すれば生命力も妊娠力も充実します。先天的に腎が弱くても、後天的に腎を強くすることができますし、それで子宝にも恵まれます。現代社会の生活は、ストレスが多く、ハードな毎日です。それが不妊を引きおこし、その不妊治療で腎の力をそこないがちです。まずは、生活を見直してみましょう。なかでも気をつけたいのが食事ですね。赤ちゃんが授かりやすくなる食材は、黒豆、黒ゴマ、ひじき、海藻、いか、かき、いわし、鮭、いくら、かれい、きな粉、ナッツ類などです。 夫婦で不妊症改善のツボを、お互いに押し合うのもおすすめ 雪乃さんの体質は漢方的に腎陽虚で気血両虚と考えられます。症状に合わせた漢方薬や健康食品を飲み、しっかり土台づくりをしてください。ご夫婦で不妊症改善のツボを押し合うのもおすすめです ・気海 へそから指幅2本下 ・関元 へそから指幅4本下 ・中極 へそから指幅5本下 ・三陰交 内くるぶしの中心から指幅4本上 ・太衝 足の甲で、第1指と第2指の骨が交わるところのくぼみのなか ・天住 ・風池 首の後ろを通っている2本の太い筋の外側にあるくぼみのなか ・腎兪 直立したとき、肘が脇腹にあたる位置と同じ高さの背骨から、左右外側へ指幅2本ずれたところ ・次髎 ・中髎 仙骨には左右に4つずつのくぼみがあり、上から2つ目のくぼみが次髎。3つ目のくぼみが中髎 ・胞盲 次髎から左右に指幅3本外側 ・湧泉 足のつま先から、かかとの約1~3のところにあるくぼみのなか 野口 藤子 先生 京都薬科大学(天然物教室)卒後、大阪大学病院に勤務。関西系統中医学、八蒙会、微小循環研究会にて研鑚。不妊症、耳鳴り、生活習慣病、統合医療相談などを専門としている。 相談者 雪乃さん(47歳)■ 今年の1月~7月まで排卵誘発(自然、ショート2回)をして、3回顕微授精をしましたが陰性でした(男性不妊)。来年からまた治療を開始する予定ですので、少しでも妊娠しやすい体に改善したいと思っています。とくに手足先、お尻、お腹がひんやりとしているのを改善したいのですが……。 6か月間本腰を入れて、ご夫婦ともに体質改善をするのが、妊娠する一番の早道 妊娠力は夫婦の片方の弱さを片方が補ってこそついてくるもので、それがよい結果につながるのです。最高の治療をしながら結果がでなくて、心身ともにヘトヘトになって、不安定な状態だと思います。 腎がしっかり充実するために、まずは、生活の見直しをしてみましょう 雪乃さんは41才ですから、まだまだ時間は十分あります。6か月間本腰を入れて、ご夫婦の体質改善をするのが、一番の早道です。東洋医学でいう腎がしっかり充実すれば生命力も妊娠力も充実します。先天的に腎が弱くても、後天的に腎を強くすることができますし、それで子宝にも恵まれます。現代社会の生活は、ストレスが多く、ハードな毎日です。それが不妊を引きおこし、その不妊治療で腎の力をそこないがちです。まずは、生活を見直してみましょう。なかでも気をつけたいのが食事ですね。赤ちゃんが授かりやすくなる食材は、黒豆、黒ゴマ、ひじき、海藻、いか、かき、いわし、鮭、いくら、かれい、きな粉、ナッツ類などです。 夫婦で不妊症改善のツボを、お互いに押し合うのもおすすめ 雪乃さんの体質は漢方的に腎陽虚で気血両虚と考えられます。症状に合わせた漢方薬や健康食品を飲み、しっかり土台づくりをしてください。ご夫婦で不妊症改善のツボを押し合うのもおすすめです ・気海 へそから指幅2本下 ・関元 へそから指幅4本下 ・中極 へそから指幅5本下 ・三陰交 内くるぶしの中心から指幅4本上 ・太衝 足の甲で、第1指と第2指の骨が交わるところのくぼみのなか ・天住 ・風池 首の後ろを通っている2本の太い筋の外側にあるくぼみのなか ・腎兪 直立したとき、肘が脇腹にあたる位置と同じ高さの背骨から、左右外側へ指幅2本ずれたところ ・次髎 ・中髎 仙骨には左右に4つずつのくぼみがあり、上から2つ目のくぼみが次髎。3つ目のくぼみが中髎 ・胞盲 次髎から左右に指幅3本外側 ・湧泉 足のつま先から、かかとの約1~3のところにあるくぼみのなか 野口 藤子 先生 京都薬科大学(天然物教室)卒後、大阪大学病院に勤務。関西系統中医学、八蒙会、微小循環研究会にて研鑚。不妊症、耳鳴り、生活習慣病、統合医療相談などを専門としている。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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プロゲステロンが標準より低く、黄体機能不全といわれました。効果的な漢方薬は?
相談者 よこたんさん(34歳)■ 現在人工授精をしています。黄体期初期のプロゲステロンが5.2㎎/ml と標準より低く黄体機能不全と診断されました。現在は排卵後にHCG注射とルトラールで治療しています。漢方薬に興味があり、服用することで少しでも黄体機能不全を改善できたらと思っています。私の体質に合った良い漢方薬があれば教えて欲しいのです……。 黄体機能不全卵質の悪さがポイント。良い卵ができるように低温期も補助する プロゲステロンは高温期に、排卵後の卵胞からでてくるホルモンで、不足の状態を黄体機能不全といい、西洋医学では、高温期を中心に治療します。一方、東洋医学では、卵の質が悪いとホルモンの分泌も悪くなることにポイントをおきます。ですから良い卵ができるように低温期も補助することを考えます。 腎陽と気血を補う漢方薬で腎と血の不足を改善し、妊娠しやすくする また排卵の状態が悪いと、黄体になるのに時間がかかり黄体初期のホルモン値が上がらないので、排卵を助ける漢方薬も大切になります。低温期から高温期の移行に時間がかかる原因は、ストレスや気血の不足などです。それが卵の質、排卵の状態などにも影響して、黄体機能不全になる可能性が高いのです。生命を生み出す源の腎の力が弱いと良い卵ができず、加えて気血の不足があると、体温も低くなり、妊娠しにくくなると考えます。このような場合には腎陽と気血を補う漢方薬がおすすめ。腎陽を補なって体を温める漢方薬には、参茸補血丸や双料参茸丸、参馬補腎丸などがあります。また、腎は陰(水)の働きと陽(火)の働きがあり、卵の成長にはどちらも大切です。この陰と陽のバランスがとれるよう、月経周期に合わせて、杞菊地黄丸など腎陰を補う漢方薬が必要になる場合もあります。いずれにしろ周期調節法で漢方を服用することをおすすめします。加えて血を補う、婦宝当帰膠もおすすめです。 治療が長引くと体に負担がかかるため、一度休んで体調を整えるのも一案 病院の治療と漢方薬は安心して併用できます。ホルモン治療を長く続けていると、腎に負担がかかり、腎虚になる傾向があるので、腎を補う漢方薬はとても大切です。治療が長期化すると副作用の影響も大きくなるので、体の負担を考えて体調が整うまで、治療をお休みするのも1つの方法です。日常生活で行える養生法で大切なポイントは、冷たい物の飲食を避け、体を冷やさないような服装を心がけることです。また、十分な睡眠時間をとるように心がけ、ストレスを緩和するような時間を少しでもつくるようにしましょう。 竹内 聡 先生 2003年以降毎年1回、不妊周期調節法の大家南京中医薬大学付属病院老中医「夏桂成」のもとで研修を受け、実績を重ねる。2004年中国政府認定A 級国際中医専門員の資格取得。2007年NPO法人日本カウンセリング学会より不妊カウンセラーに認定される。 ■ あわせて読みたい ■ 女性ホルモンと妊娠ープロゲステロンー プロゲステロンの値が低くても妊娠は可能でしょうか? プロゲステロン服用終了後、生理後も高温期継続。私の体、大丈夫でしょうか? 漢方の本陣薬局 女性のための健康生活マガジン JINEKO 相談者 よこたんさん(34歳)■ 現在人工授精をしています。黄体期初期のプロゲステロンが5.2㎎/ml と標準より低く黄体機能不全と診断されました。現在は排卵後にHCG注射とルトラールで治療しています。漢方薬に興味があり、服用することで少しでも黄体機能不全を改善できたらと思っています。私の体質に合った良い漢方薬があれば教えて欲しいのです……。 黄体機能不全卵質の悪さがポイント。良い卵ができるように低温期も補助する プロゲステロンは高温期に、排卵後の卵胞からでてくるホルモンで、不足の状態を黄体機能不全といい、西洋医学では、高温期を中心に治療します。一方、東洋医学では、卵の質が悪いとホルモンの分泌も悪くなることにポイントをおきます。ですから良い卵ができるように低温期も補助することを考えます。 腎陽と気血を補う漢方薬で腎と血の不足を改善し、妊娠しやすくする また排卵の状態が悪いと、黄体になるのに時間がかかり黄体初期のホルモン値が上がらないので、排卵を助ける漢方薬も大切になります。低温期から高温期の移行に時間がかかる原因は、ストレスや気血の不足などです。それが卵の質、排卵の状態などにも影響して、黄体機能不全になる可能性が高いのです。生命を生み出す源の腎の力が弱いと良い卵ができず、加えて気血の不足があると、体温も低くなり、妊娠しにくくなると考えます。このような場合には腎陽と気血を補う漢方薬がおすすめ。腎陽を補なって体を温める漢方薬には、参茸補血丸や双料参茸丸、参馬補腎丸などがあります。また、腎は陰(水)の働きと陽(火)の働きがあり、卵の成長にはどちらも大切です。この陰と陽のバランスがとれるよう、月経周期に合わせて、杞菊地黄丸など腎陰を補う漢方薬が必要になる場合もあります。いずれにしろ周期調節法で漢方を服用することをおすすめします。加えて血を補う、婦宝当帰膠もおすすめです。 治療が長引くと体に負担がかかるため、一度休んで体調を整えるのも一案 病院の治療と漢方薬は安心して併用できます。ホルモン治療を長く続けていると、腎に負担がかかり、腎虚になる傾向があるので、腎を補う漢方薬はとても大切です。治療が長期化すると副作用の影響も大きくなるので、体の負担を考えて体調が整うまで、治療をお休みするのも1つの方法です。日常生活で行える養生法で大切なポイントは、冷たい物の飲食を避け、体を冷やさないような服装を心がけることです。また、十分な睡眠時間をとるように心がけ、ストレスを緩和するような時間を少しでもつくるようにしましょう。 竹内 聡 先生 2003年以降毎年1回、不妊周期調節法の大家南京中医薬大学付属病院老中医「夏桂成」のもとで研修を受け、実績を重ねる。2004年中国政府認定A 級国際中医専門員の資格取得。2007年NPO法人日本カウンセリング学会より不妊カウンセラーに認定される。 ■ あわせて読みたい ■ 女性ホルモンと妊娠ープロゲステロンー プロゲステロンの値が低くても妊娠は可能でしょうか? プロゲステロン服用終了後、生理後も高温期継続。私の体、大丈夫でしょうか? 漢方の本陣薬局 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2013.6.25
コラム 不妊治療
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婦人病・免疫疾患を 抱えていますが、子宮環境を良くするために効果的なものは?
相談者 春薫さん(40歳)■ 高プロラクチン血症、抗核抗体値が高い、筋腫持ちなので薬を服用しながら不妊治療を行っていますが、良い結果につながりません。卵子の老化なども気になります。子宮環境を良くするために効果的なものはありますか? 漢方薬を服用しながら、よく休みよく動くというメリハリのある生活を送りましょう 婦人病・免疫疾患を抱えて不妊治療しているが結果に結びつかない春薫さん。東洋医学的に子宮環境を良くして幸運を引き寄せたいのですね。漢方では体内を「気血水」で満たし、スムーズにめぐっているのを健康と考えます。 気滞と瘀血が原因で体内の流れをとどこおらせ、さまざまな症状を引きおこす 気のとどこおり(気滞)からおこる症状は、高温期中の下落、PMS(精神不安・食欲不安定・便秘・腹部脹満)、HPRL(高プロラクチン血症)、胸の張りです。血のとどこおり(血瘀)は、低温期に体温が下がらない・その後上昇、月経痛、婦人病各種、着床障害、のぼせ。水のとどこおり(痰飲)は、腰がだるい、浮腫みなどです。免疫疾患と卵巣嚢腫・子宮内ポリープは痰飲の絡むことが多いようです。「気血水」が体に不足している場合を虚証といいますが、春薫さんは血虚証と腎虚証が見られます。月経量が少ない、めまい・立ちくらみが血虚証で、基礎体温で温度差が少ない、足腰のだるさや冷えなどが腎虚証です。これらから気滞と瘀血が原因のようです。体内の流れが良くないことがわかったのではないでしょうか。 規則正しい生活をした上で無理のない運動を持続していくことが大切 もちろん流れが悪くなるのは、それなりの理由があるのです。理由はいくつかありますが、春薫さんの場合は体内の虚に乗じて、外因(風・寒・湿)、内因(ストレス)、食毒などの病因が入ってきています。これは体の弱り、すなわち体のウロに病因が入って、めぐりをとどこおらせ、偏った体質を形成するのです。体内の過剰な部分、不足している部分が複雑に絡み合った場合の養生法ですが、体内のめぐりの悪さは年齢や体力不足からきているので、規則正しい生活をした上で無理のない運動を持続していくことが大切です。よく休みよく動くというメリハリのある生活が求められます。漢方薬の得意分野は補うことです。春薫さんには栄養をつける補血薬と体をイキイキさせる補腎薬がおすすめ。その上で血をサラサラにする駆瘀血薬、気のめぐりを良くする理気薬や疏肝薬が効果的だと思います。 鈴木 康弘 先生 漢方薬業界に属して20 年。千葉県松戸市厚養堂薬局、田村稲生先生を師事し、平成11年医薬品免許:薬種商販売業を取得。静岡県浜松市にて漢方薬専門店を開業し7年目を迎える。正しい漢方薬の普及を心がけ、日々相談力を磨いている。 相談者 春薫さん(40歳)■ 高プロラクチン血症、抗核抗体値が高い、筋腫持ちなので薬を服用しながら不妊治療を行っていますが、良い結果につながりません。卵子の老化なども気になります。子宮環境を良くするために効果的なものはありますか? 漢方薬を服用しながら、よく休みよく動くというメリハリのある生活を送りましょう 婦人病・免疫疾患を抱えて不妊治療しているが結果に結びつかない春薫さん。東洋医学的に子宮環境を良くして幸運を引き寄せたいのですね。漢方では体内を「気血水」で満たし、スムーズにめぐっているのを健康と考えます。 気滞と瘀血が原因で体内の流れをとどこおらせ、さまざまな症状を引きおこす 気のとどこおり(気滞)からおこる症状は、高温期中の下落、PMS(精神不安・食欲不安定・便秘・腹部脹満)、HPRL(高プロラクチン血症)、胸の張りです。血のとどこおり(血瘀)は、低温期に体温が下がらない・その後上昇、月経痛、婦人病各種、着床障害、のぼせ。水のとどこおり(痰飲)は、腰がだるい、浮腫みなどです。免疫疾患と卵巣嚢腫・子宮内ポリープは痰飲の絡むことが多いようです。「気血水」が体に不足している場合を虚証といいますが、春薫さんは血虚証と腎虚証が見られます。月経量が少ない、めまい・立ちくらみが血虚証で、基礎体温で温度差が少ない、足腰のだるさや冷えなどが腎虚証です。これらから気滞と瘀血が原因のようです。体内の流れが良くないことがわかったのではないでしょうか。 規則正しい生活をした上で無理のない運動を持続していくことが大切 もちろん流れが悪くなるのは、それなりの理由があるのです。理由はいくつかありますが、春薫さんの場合は体内の虚に乗じて、外因(風・寒・湿)、内因(ストレス)、食毒などの病因が入ってきています。これは体の弱り、すなわち体のウロに病因が入って、めぐりをとどこおらせ、偏った体質を形成するのです。体内の過剰な部分、不足している部分が複雑に絡み合った場合の養生法ですが、体内のめぐりの悪さは年齢や体力不足からきているので、規則正しい生活をした上で無理のない運動を持続していくことが大切です。よく休みよく動くというメリハリのある生活が求められます。漢方薬の得意分野は補うことです。春薫さんには栄養をつける補血薬と体をイキイキさせる補腎薬がおすすめ。その上で血をサラサラにする駆瘀血薬、気のめぐりを良くする理気薬や疏肝薬が効果的だと思います。 鈴木 康弘 先生 漢方薬業界に属して20 年。千葉県松戸市厚養堂薬局、田村稲生先生を師事し、平成11年医薬品免許:薬種商販売業を取得。静岡県浜松市にて漢方薬専門店を開業し7年目を迎える。正しい漢方薬の普及を心がけ、日々相談力を磨いている。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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不妊治療と漢方薬を併用していますが、薬の数が多くなり金銭的なダメージがあります
相談者 祈梨さん(31歳)■ 病院の先生からは「とくに問題ない」といわれますが、体外受精しても着床しづらく、うまくいきません。体質改善のため漢方専門のの薬局でアドバイスをもらい漢方服用を始めたら、基礎体温が整ってきました。このまま続けて妊娠までいきたいのですが、薬の数が多くて服用するのが苦痛なうえ、薬代がとても高額になり、金銭面、精神面でもダメージがあります。 治したい症状が多い程、漢方薬せて、日常生活での養生も行いましょう 気になる症状から診て、「血虚」「肝気鬱血」「瘀血 」の状態が考えられます。中医学では、血と気はつながっていますので、気のめぐりが悪いことから、血のめぐりも悪くなり(逆もある)、結果、瘀血の状態になり、いろいろな症状がでているのだと思います。 周期調節法をメインにしながら、補血作用のある婦宝当帰膠をベースにする 血虚の状態は子宮内膜の血流も悪くなりますし、内膜症などの基礎疾患も卵巣機能の低下により着床に影響がでている可能性があります。妊娠しやすい体質にするには血虚、肝鬱、瘀血の状態を少しで改善していくことで、子宮内膜も血流が良くなり、フカフカの温かいベッドをつくることで着床しやすい体になると思います。また、血が増えて血のめぐりが良くなると気のめぐりも良くなり、精神的にも落ち着き、ストレスにも強い体になります。すでに漢方薬で基礎体温が整ってきたようなので、体外受精をされるなら、なおさら漢方薬で心身のバランスを整えておくことをおすすめします。周期調節法をメインにしながら、補血作用のある婦宝当帰膠をベースに、月経の状態、FSH,LH,CA125,などの検査データ、基礎体温表などを考慮しながら漢方薬を決めていく必要があります。 日常生活の養生で漢方薬の種類を減らし、1つずつ症状を改善していきましょう ご質問にもあるように金銭面での心配は当然あると思います。専門薬局でそのことも相談しながら、できる範囲で行うのがいいと思います。漢方薬で、一番辛い症状から1つずつ改善していき日常生活での養生も併せてぜひ行ってみてください。 ①食事は野菜中心の和食に良質のたんぱく質 ②女性ホルモンの分泌が盛んになる夜10時、遅くても11時には眠れなくても横になる ③ヨガやストレッチなどの適度な運動で、全身の血流と気の流れを良くしましょう ④肩の力を抜いて、ゆったりと過ごす時間、リラックスできる時間をつくる。交感神経と副交感神経のバランスをとることがホルモン分泌にも関係してきます以上のことをぜひ楽しみながら続けてみてください。 岡 理絵 先生 板橋中央総合病院で病棟薬剤師などを経て、大慶堂漢方薬局で「子宝相談」を専門に、中国研修や日本不妊カウンセリング学会などで日々鍛錬中。ゆっくりと相談ができ、癒されていただける環境づくりをモットーに本来持っている妊娠力を高め、妊娠しやすい心とカラダづくりを応援します。 相談者 祈梨さん(31歳)■ 病院の先生からは「とくに問題ない」といわれますが、体外受精しても着床しづらく、うまくいきません。体質改善のため漢方専門のの薬局でアドバイスをもらい漢方服用を始めたら、基礎体温が整ってきました。このまま続けて妊娠までいきたいのですが、薬の数が多くて服用するのが苦痛なうえ、薬代がとても高額になり、金銭面、精神面でもダメージがあります。 治したい症状が多い程、漢方薬せて、日常生活での養生も行いましょう 気になる症状から診て、「血虚」「肝気鬱血」「瘀血 」の状態が考えられます。中医学では、血と気はつながっていますので、気のめぐりが悪いことから、血のめぐりも悪くなり(逆もある)、結果、瘀血の状態になり、いろいろな症状がでているのだと思います。 周期調節法をメインにしながら、補血作用のある婦宝当帰膠をベースにする 血虚の状態は子宮内膜の血流も悪くなりますし、内膜症などの基礎疾患も卵巣機能の低下により着床に影響がでている可能性があります。妊娠しやすい体質にするには血虚、肝鬱、瘀血の状態を少しで改善していくことで、子宮内膜も血流が良くなり、フカフカの温かいベッドをつくることで着床しやすい体になると思います。また、血が増えて血のめぐりが良くなると気のめぐりも良くなり、精神的にも落ち着き、ストレスにも強い体になります。すでに漢方薬で基礎体温が整ってきたようなので、体外受精をされるなら、なおさら漢方薬で心身のバランスを整えておくことをおすすめします。周期調節法をメインにしながら、補血作用のある婦宝当帰膠をベースに、月経の状態、FSH,LH,CA125,などの検査データ、基礎体温表などを考慮しながら漢方薬を決めていく必要があります。 日常生活の養生で漢方薬の種類を減らし、1つずつ症状を改善していきましょう ご質問にもあるように金銭面での心配は当然あると思います。専門薬局でそのことも相談しながら、できる範囲で行うのがいいと思います。漢方薬で、一番辛い症状から1つずつ改善していき日常生活での養生も併せてぜひ行ってみてください。 ①食事は野菜中心の和食に良質のたんぱく質 ②女性ホルモンの分泌が盛んになる夜10時、遅くても11時には眠れなくても横になる ③ヨガやストレッチなどの適度な運動で、全身の血流と気の流れを良くしましょう ④肩の力を抜いて、ゆったりと過ごす時間、リラックスできる時間をつくる。交感神経と副交感神経のバランスをとることがホルモン分泌にも関係してきます以上のことをぜひ楽しみながら続けてみてください。 岡 理絵 先生 板橋中央総合病院で病棟薬剤師などを経て、大慶堂漢方薬局で「子宝相談」を専門に、中国研修や日本不妊カウンセリング学会などで日々鍛錬中。ゆっくりと相談ができ、癒されていただける環境づくりをモットーに本来持っている妊娠力を高め、妊娠しやすい心とカラダづくりを応援します。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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月経前困難症と月経前にひどくなるアレルギー症状を改善したいのですが
相談者 マピコさん(40歳)■ 足の冷え、月経前の情緒不安定やむくみなど、月経前困難症を改善したいと思っています。また、月経前にアレルギー症状(じん麻疹、鼻炎)がひどくなるのは、何か因果関係があるのでしょうか? 西洋医学のホルモン療法と中医学の漢方薬の効果を最大限に活かせる「周期調節法」を マピコさんの気になる症状で、一番先に目に入ったのが「不妊治療にストレスを感じている」でした。 PMSや月経前のアレルギー改善が「妊娠しやすい体質」につながる 月経前の不定愁訴、つまり月経前症候群(PMS)の症状である、イライラ、怒りっぽい、落ち込みやすいという情緒不安定、また、過食気味、食欲不振、月経前のむくみ、足の冷えなど、ストレスからでている心身の不調。これらをご自身も改善したいと思うのはもっともなことです。中医学ではPMSを「気滞」「肝鬱気滞」と考え、対処します。ストレスから「気」の流れが悪くなって「気滞」または「気滞瘀血」となり、それが「肝熱」や「鬱熱」を生じてイライラ、怒りっぽい、落ち込みやすいという症状がおこるのです。また、「気滞」で流れが悪くなると、足の冷えやむくみが生じます。この症状の改善には「疏肝理気」「理気活血」の漢方薬で「気の流れ」を良くします。また、月経前にアレルギー症状(じん麻疹、鼻炎)もひどくなるようですが、これは月経前のホルモンが不安定になることで免疫も不安定となり、アレルギーがひどくなるのです。この原因を中医学では「肝鬱」と「腎虚」と考えます。ですので「疏肝」と「補腎」の漢方薬で症状改善し免疫を安定させます。PMSや月経前のアレルギー改善が、自律神経系、ホルモン系、免疫系を安定させ「妊娠しやすい体質」につながるのです。とはいっても「妊娠力」を上げるには自身の弱点を知り、その体質改善をしなければなりません。 周期調節法なら身体全体の機能を整えながら、妊娠しやすい体質に改善できる マピコさんには、中医学の漢方による「周期調節法」をおすすめします。この方法は、西洋医学のホルモン変化に合わせて中医学の漢方薬効果を最大限に活かし「妊娠しやすい体質」に近づけます。周期調節法のメリットは、身体全体の機能を整えながら、「質の良い卵」「着床しやすいふかふかの子宮内膜」をつくり、妊娠しやすい体質に改善できることです。マピコさんに合った周期調節法で体質改善し「妊娠力」を高めたら、西洋医学の治療が、より効率よくいくと思います。 峯崎 リヨ子先生 薬剤師。日本不妊カウンセリング学会会員、認定不妊カウンセラー。認定日本食品保健指導士。日本中医薬研究会の不妊講座で周期調節法を学び「南京中医薬大学病院」「広州中医薬大学病院」などで研修。不妊症をはじめ、さまざまな相談を受けている。「最新東洋医学の名医134人(有楽出版社)」で紹介される。 相談者 マピコさん(40歳)■ 足の冷え、月経前の情緒不安定やむくみなど、月経前困難症を改善したいと思っています。また、月経前にアレルギー症状(じん麻疹、鼻炎)がひどくなるのは、何か因果関係があるのでしょうか? 西洋医学のホルモン療法と中医学の漢方薬の効果を最大限に活かせる「周期調節法」を マピコさんの気になる症状で、一番先に目に入ったのが「不妊治療にストレスを感じている」でした。 PMSや月経前のアレルギー改善が「妊娠しやすい体質」につながる 月経前の不定愁訴、つまり月経前症候群(PMS)の症状である、イライラ、怒りっぽい、落ち込みやすいという情緒不安定、また、過食気味、食欲不振、月経前のむくみ、足の冷えなど、ストレスからでている心身の不調。これらをご自身も改善したいと思うのはもっともなことです。中医学ではPMSを「気滞」「肝鬱気滞」と考え、対処します。ストレスから「気」の流れが悪くなって「気滞」または「気滞瘀血」となり、それが「肝熱」や「鬱熱」を生じてイライラ、怒りっぽい、落ち込みやすいという症状がおこるのです。また、「気滞」で流れが悪くなると、足の冷えやむくみが生じます。この症状の改善には「疏肝理気」「理気活血」の漢方薬で「気の流れ」を良くします。また、月経前にアレルギー症状(じん麻疹、鼻炎)もひどくなるようですが、これは月経前のホルモンが不安定になることで免疫も不安定となり、アレルギーがひどくなるのです。この原因を中医学では「肝鬱」と「腎虚」と考えます。ですので「疏肝」と「補腎」の漢方薬で症状改善し免疫を安定させます。PMSや月経前のアレルギー改善が、自律神経系、ホルモン系、免疫系を安定させ「妊娠しやすい体質」につながるのです。とはいっても「妊娠力」を上げるには自身の弱点を知り、その体質改善をしなければなりません。 周期調節法なら身体全体の機能を整えながら、妊娠しやすい体質に改善できる マピコさんには、中医学の漢方による「周期調節法」をおすすめします。この方法は、西洋医学のホルモン変化に合わせて中医学の漢方薬効果を最大限に活かし「妊娠しやすい体質」に近づけます。周期調節法のメリットは、身体全体の機能を整えながら、「質の良い卵」「着床しやすいふかふかの子宮内膜」をつくり、妊娠しやすい体質に改善できることです。マピコさんに合った周期調節法で体質改善し「妊娠力」を高めたら、西洋医学の治療が、より効率よくいくと思います。 峯崎 リヨ子先生 薬剤師。日本不妊カウンセリング学会会員、認定不妊カウンセラー。認定日本食品保健指導士。日本中医薬研究会の不妊講座で周期調節法を学び「南京中医薬大学病院」「広州中医薬大学病院」などで研修。不妊症をはじめ、さまざまな相談を受けている。「最新東洋医学の名医134人(有楽出版社)」で紹介される。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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冷え性や月経不順、イライラや落ち込みを解消して、妊娠力を上げたいのですが
相談者 ひまりさん(35歳) 体外受精をしていますが、着床するまでにいたりません。月経がくるたびにがっかりして落ち込んでしまいます。下痢をしやすく、足腰のだるさや冷えを感じ、疲れやすいのも気になります。 28才以降妊娠力は徐々に低下していくので、妊娠力を上げる腎の機能を補う漢方薬と鍼灸の治療を 冷え症や下痢をしやすく足腰がだるいことから「脾腎陽虚」の体質だと思います。また、冷えが進むと血液循環が悪くなる「瘀血」体質が子宮筋腫、子宮内膜症などの原因になっているのでしょう。 妊娠機能をつかさどる「腎」のサポートは多くの女性にとって必要なこと 月経前のイライラや怒りっぽく落ち込みやすい、「肝鬱」もあるので、これらの体質を踏まえて月経周期に合わせた漢方の服用がおすすめ。妊娠機能をつかさどる「腎」をサポートしていくことは多くの女性にとって必要なこと。とくに、ひまりさんの年齢になると、腎の働きを助ける漢方薬が必要となってきます。東洋医学では「女性は7の倍数」で体が変化すると考えられており、28才が最も妊娠に適している時期で、それ以降妊娠力は徐々に低下していくと考えられています。ですから妊娠力を上げるためには、腎の機能を補う漢方薬が不可欠となります。 漢方薬と鍼や灸を併用は血液循環がよりよくなり冷えの改善や着床を手助けする 日常生活では体を冷やさないことを心がけます。外からの防寒はもちろんですが、体のなかから温めるために、冷たいものは控えます。加えて体を温めるような食材でバランスのとれた食事を摂るようにしましょう。また、腰回りの血流を良くするために腹筋、背筋を使うような運動を積極的に行いましょう。夜は疲れた体を休める時間です。十分な英気を養うために、せめて日付が変わらないうちに寝るようにしましょう。冷え症には婦宝当帰膠、当帰芍薬散などの補血薬を服用します。また、血液循環を良くするために冠元顆粒、桂枝茯苓丸などの活血薬を併せるのもいいでしょう。さらに腎の機能を高めるために、さらに参茸補血丸(さんじょうほけつがん)、八味地黄丸などの補腎薬、そして気持ちを安定させるために逍遥丸、加味逍遥散などの疏肝薬も併せて服用することをおすすめします。漢方薬に加えて、鍼や灸を併用すると血液循環が良くなり、冷えの改善や着床の手助けをしてくれると思います。家庭で手軽にできる、温灸やツボ刺激療法を行ってみてください 古村 滋子 先生 薬剤師・鍼灸師・国際中医専門員・不妊カウンセラー。大学在籍中より漢方を学び、病院などで漢方相談を経験の後、健伸堂薬局と市兵衛薬局で不妊を中心に相談を受けている。 ■ あわせて読みたい ■ 冷え性なのに汗っかきなので温めると逆に冷えてしまう。なにか対策はある? 半身浴や運動も効果無い40年来の冷え性。33歳以降の月経変化。気になるこの2点は改善できるの? ひどい冷え性と不妊治療でストレスを感じていること に悩んでいます 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる 相談者 ひまりさん(35歳) 体外受精をしていますが、着床するまでにいたりません。月経がくるたびにがっかりして落ち込んでしまいます。下痢をしやすく、足腰のだるさや冷えを感じ、疲れやすいのも気になります。 28才以降妊娠力は徐々に低下していくので、妊娠力を上げる腎の機能を補う漢方薬と鍼灸の治療を 冷え症や下痢をしやすく足腰がだるいことから「脾腎陽虚」の体質だと思います。また、冷えが進むと血液循環が悪くなる「瘀血」体質が子宮筋腫、子宮内膜症などの原因になっているのでしょう。 妊娠機能をつかさどる「腎」のサポートは多くの女性にとって必要なこと 月経前のイライラや怒りっぽく落ち込みやすい、「肝鬱」もあるので、これらの体質を踏まえて月経周期に合わせた漢方の服用がおすすめ。妊娠機能をつかさどる「腎」をサポートしていくことは多くの女性にとって必要なこと。とくに、ひまりさんの年齢になると、腎の働きを助ける漢方薬が必要となってきます。東洋医学では「女性は7の倍数」で体が変化すると考えられており、28才が最も妊娠に適している時期で、それ以降妊娠力は徐々に低下していくと考えられています。ですから妊娠力を上げるためには、腎の機能を補う漢方薬が不可欠となります。 漢方薬と鍼や灸を併用は血液循環がよりよくなり冷えの改善や着床を手助けする 日常生活では体を冷やさないことを心がけます。外からの防寒はもちろんですが、体のなかから温めるために、冷たいものは控えます。加えて体を温めるような食材でバランスのとれた食事を摂るようにしましょう。また、腰回りの血流を良くするために腹筋、背筋を使うような運動を積極的に行いましょう。夜は疲れた体を休める時間です。十分な英気を養うために、せめて日付が変わらないうちに寝るようにしましょう。冷え症には婦宝当帰膠、当帰芍薬散などの補血薬を服用します。また、血液循環を良くするために冠元顆粒、桂枝茯苓丸などの活血薬を併せるのもいいでしょう。さらに腎の機能を高めるために、さらに参茸補血丸(さんじょうほけつがん)、八味地黄丸などの補腎薬、そして気持ちを安定させるために逍遥丸、加味逍遥散などの疏肝薬も併せて服用することをおすすめします。漢方薬に加えて、鍼や灸を併用すると血液循環が良くなり、冷えの改善や着床の手助けをしてくれると思います。家庭で手軽にできる、温灸やツボ刺激療法を行ってみてください 古村 滋子 先生 薬剤師・鍼灸師・国際中医専門員・不妊カウンセラー。大学在籍中より漢方を学び、病院などで漢方相談を経験の後、健伸堂薬局と市兵衛薬局で不妊を中心に相談を受けている。 ■ あわせて読みたい ■ 冷え性なのに汗っかきなので温めると逆に冷えてしまう。なにか対策はある? 半身浴や運動も効果無い40年来の冷え性。33歳以降の月経変化。気になるこの2点は改善できるの? ひどい冷え性と不妊治療でストレスを感じていること に悩んでいます 女性のための健康生活マガジン JINEKO 専門家に相談してみる
2013.6.25
コラム 不妊治療
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一人目を出産後二度の稽留流産に悩んでいます。次に向けておすすめの漢方はありますか?
相談者 もんぷちさん(32歳)■ 3月に稽留流産し、その後月経を3回見送って、また、妊娠したのですが、またも稽留流産という診断を受けました。2回とも心拍確認ができなかったのです。一人出産していることと、血液検査で何も異常がないことから、今回も偶然だといわれました。しかし、私は納得できず悩んでいます。次の妊娠に向けて、良い漢方などありますか? 保温、甘いもの冷たいものの過食を避け、水分を摂り過ぎないようにしながら漢方を 手術で子宮のなかを妊娠前の状態に戻したときは、漢方でいう「瘀血」が発生し、産後と同じようにいろいろな不定愁訴がでやすいことを考えて服薬します。一般的には「芎帰調血飲」や「芎帰調血飲第一加減」を用います。 妊娠中や妊娠する可能性のある時期は「脾」の働きを害する食事を避ける 子宮内膜に着床した受精卵が成長してゆく時期には「脾」の働きが最も重要になります。稽留流産は3~6か月の時期に起こりやすいようですが、その時期には「心包」から「三焦」「脾」「胃」と、主に消化器官に関わる臓器が形成され、それらに関与する経脈が働きます。胎児の脾が形成されるころは、母親の脾も重要な働きを余儀なくされるのです。それが不調なときに「ツワリ」が症状として出やすくなります。しばしば流産する方は、受精卵の成長がうまくいっていないのですから、妊娠中や妊娠する可能性のある時期の活に気をつけてください。「脾」の働きを害する食事は、甘いもの、砂糖の過食です。とくに果糖、グラニュー糖は消化吸収する過程で、ビタミンB1、とカルシウムを大量に消耗し、免疫の低下や精神神経の安定に影響します。次に冷たいものの過食。「脾」は冷えと湿気を嫌います。 体の余分な水分を排出するためには、自然塩を適宜食べることも必要 妊娠中に過食して太る人もいますが、これもいけません。妊婦は痩体が良いのです。お産もそのほうが軽く済みます。水分を多く摂取した水太りもいけません。妊娠中の養生薬に「当帰散(とうきさん)」や「白朮散」がありますが、「当帰」という薬は肝や腎の血を増やし、「白朮」という薬は、体のなかの余分な水分を排出します。体の余分な水分を排出する、ハトムギ茶や、体を温める玄米を焙煎したサプリメントもあります。また、水分を排出するためには、自然塩を適宜食べることも必要です。稽留流産に限らず流産を防ぐためには、保温に気を付け、甘いもの冷たいものの過食を避ける。そして水分の摂り過ぎに注意をしてください。これを守らなければ、どんな良い薬を飲んでも効果はないといえます。 真鍋 立夫 先生 明治薬科大学卒。経絡治療学会理事・伝統鍼灸学会評議員・バイディジタル-O-リングテスト協会認定鍼灸師・日本漢方交流会前理事長・香川県鍼灸師会前会長。宝永七年より300年以上続く薬局の伝統を継承し、鍼灸と漢方を組み合わせて治療に取り組んでいる。 相談者 もんぷちさん(32歳)■ 3月に稽留流産し、その後月経を3回見送って、また、妊娠したのですが、またも稽留流産という診断を受けました。2回とも心拍確認ができなかったのです。一人出産していることと、血液検査で何も異常がないことから、今回も偶然だといわれました。しかし、私は納得できず悩んでいます。次の妊娠に向けて、良い漢方などありますか? 保温、甘いもの冷たいものの過食を避け、水分を摂り過ぎないようにしながら漢方を 手術で子宮のなかを妊娠前の状態に戻したときは、漢方でいう「瘀血」が発生し、産後と同じようにいろいろな不定愁訴がでやすいことを考えて服薬します。一般的には「芎帰調血飲」や「芎帰調血飲第一加減」を用います。 妊娠中や妊娠する可能性のある時期は「脾」の働きを害する食事を避ける 子宮内膜に着床した受精卵が成長してゆく時期には「脾」の働きが最も重要になります。稽留流産は3~6か月の時期に起こりやすいようですが、その時期には「心包」から「三焦」「脾」「胃」と、主に消化器官に関わる臓器が形成され、それらに関与する経脈が働きます。胎児の脾が形成されるころは、母親の脾も重要な働きを余儀なくされるのです。それが不調なときに「ツワリ」が症状として出やすくなります。しばしば流産する方は、受精卵の成長がうまくいっていないのですから、妊娠中や妊娠する可能性のある時期の活に気をつけてください。「脾」の働きを害する食事は、甘いもの、砂糖の過食です。とくに果糖、グラニュー糖は消化吸収する過程で、ビタミンB1、とカルシウムを大量に消耗し、免疫の低下や精神神経の安定に影響します。次に冷たいものの過食。「脾」は冷えと湿気を嫌います。 体の余分な水分を排出するためには、自然塩を適宜食べることも必要 妊娠中に過食して太る人もいますが、これもいけません。妊婦は痩体が良いのです。お産もそのほうが軽く済みます。水分を多く摂取した水太りもいけません。妊娠中の養生薬に「当帰散(とうきさん)」や「白朮散」がありますが、「当帰」という薬は肝や腎の血を増やし、「白朮」という薬は、体のなかの余分な水分を排出します。体の余分な水分を排出する、ハトムギ茶や、体を温める玄米を焙煎したサプリメントもあります。また、水分を排出するためには、自然塩を適宜食べることも必要です。稽留流産に限らず流産を防ぐためには、保温に気を付け、甘いもの冷たいものの過食を避ける。そして水分の摂り過ぎに注意をしてください。これを守らなければ、どんな良い薬を飲んでも効果はないといえます。 真鍋 立夫 先生 明治薬科大学卒。経絡治療学会理事・伝統鍼灸学会評議員・バイディジタル-O-リングテスト協会認定鍼灸師・日本漢方交流会前理事長・香川県鍼灸師会前会長。宝永七年より300年以上続く薬局の伝統を継承し、鍼灸と漢方を組み合わせて治療に取り組んでいる。
2013.6.25
コラム 不妊治療
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FSH値の高い日が続くので、不妊治療が思うように進められず行き詰まっています
相談者 ハルさん(41歳)39歳半ばから不妊治療を受けていますが、月経3日目のFSH値がいつも高いのです。今月の数値は33 でした。高い数値が続くので治療が思うように進められず行き詰まっています。漢方の治療も行っており、婦宝当帰膠を服用しています。FSH 値を下げる効果が期待できる漢方薬はほかにもありますか? FSH値が高いのを手詰まりと考えず、体が休憩を欲しているサインだと捉える 競馬にたとえると、ホルモンを調整する「脳下垂体」と「卵巣」の関係は騎手と馬。そし て、FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)は手綱と鞭の関係です。ベストな状態は、お互いのバランスがとれていること。 バランスの良い食事・生活環境・睡眠と漢方で卵巣の回復と卵の質を良くする しかし、治療で内服や注射による排卵誘発で卵巣を刺激し続けると、卵巣は疲れだします。ですからFSH(手綱)を出しても、なかなか思うようにいかない。そこで脳下垂体(騎手)は「手綱が足りない。もうちょっと必要だな」と、FSHを高くするのです。つまりFSHが高くなる原因は「卵巣が疲れている」ことですから、元に戻すためには、卵巣を休ませて「力を回復させる」ことが大切です。あせる気持ちはよくわかりますが、休むという勇気が必要な時期かもしれません。漢方ではこのようなときに、早く卵巣を回復させる、次の周期の卵の質を良くするという2点から処方を考えます。バランスの良い食事・生活環境・睡眠を基本にして、漢方薬で腎陰・腎精を補います。 腎陰・腎精とはこの場合、卵を取り巻く機能と卵の質を意味します。処方としては六味地黄丸や杞菊地黄丸、鹿茸という生薬を使った漢方製剤があります。現在服用している婦宝当帰膠など補血の処方薬と併用してください。 そのときそのときの症状に応じて漢方薬の処方を変えていくことがポイント 治療を開始した時期からの月経不順も気になります。強い疲れやストレスによっても月経不順はおこります。不妊治療へのあせり、不安感などが強いと気の流れがとどこおります。このような症状には気の流れを整えて掃除をする、加か味み逍遥散などを併用します。この状態が悪化し、気鬱がたまり熱を生じると、寝付きが悪い、悪い夢を見るといった状況もおこります。こうなると、たまった熱を改善する琥珀などの処方がいいでしょう。状況に応じて処方を変える必要があります。FSH値が高いのを、「手詰まり」と考えないで、体が休憩を欲している「サイン」だと、前向きに捉えるようにしましょう。 福田 優基先生東大阪市で開業して30数年になる福田漢方薬局の二代目。大阪薬科大学を卒業し、高知漢法堂薬局を経て、福田漢方薬局で健康相談を担当。自身の経験から不妊症にも力を入れている。 ■ あわせて読みたい ■ FSH値が高く、妊娠は難しいと言われたのですが FSH値を下げる治療法はありますか? FSHは高くないのに卵胞がなかなか育たない……どうすればいい? 女性のための健康生活マガジン JINEKO 相談者 ハルさん(41歳)39歳半ばから不妊治療を受けていますが、月経3日目のFSH値がいつも高いのです。今月の数値は33 でした。高い数値が続くので治療が思うように進められず行き詰まっています。漢方の治療も行っており、婦宝当帰膠を服用しています。FSH 値を下げる効果が期待できる漢方薬はほかにもありますか? FSH値が高いのを手詰まりと考えず、体が休憩を欲しているサインだと捉える 競馬にたとえると、ホルモンを調整する「脳下垂体」と「卵巣」の関係は騎手と馬。そし て、FSH(卵胞刺激ホルモン)とLH(黄体化ホルモン)は手綱と鞭の関係です。ベストな状態は、お互いのバランスがとれていること。 バランスの良い食事・生活環境・睡眠と漢方で卵巣の回復と卵の質を良くする しかし、治療で内服や注射による排卵誘発で卵巣を刺激し続けると、卵巣は疲れだします。ですからFSH(手綱)を出しても、なかなか思うようにいかない。そこで脳下垂体(騎手)は「手綱が足りない。もうちょっと必要だな」と、FSHを高くするのです。つまりFSHが高くなる原因は「卵巣が疲れている」ことですから、元に戻すためには、卵巣を休ませて「力を回復させる」ことが大切です。あせる気持ちはよくわかりますが、休むという勇気が必要な時期かもしれません。漢方ではこのようなときに、早く卵巣を回復させる、次の周期の卵の質を良くするという2点から処方を考えます。バランスの良い食事・生活環境・睡眠を基本にして、漢方薬で腎陰・腎精を補います。 腎陰・腎精とはこの場合、卵を取り巻く機能と卵の質を意味します。処方としては六味地黄丸や杞菊地黄丸、鹿茸という生薬を使った漢方製剤があります。現在服用している婦宝当帰膠など補血の処方薬と併用してください。 そのときそのときの症状に応じて漢方薬の処方を変えていくことがポイント 治療を開始した時期からの月経不順も気になります。強い疲れやストレスによっても月経不順はおこります。不妊治療へのあせり、不安感などが強いと気の流れがとどこおります。このような症状には気の流れを整えて掃除をする、加か味み逍遥散などを併用します。この状態が悪化し、気鬱がたまり熱を生じると、寝付きが悪い、悪い夢を見るといった状況もおこります。こうなると、たまった熱を改善する琥珀などの処方がいいでしょう。状況に応じて処方を変える必要があります。FSH値が高いのを、「手詰まり」と考えないで、体が休憩を欲している「サイン」だと、前向きに捉えるようにしましょう。 福田 優基先生東大阪市で開業して30数年になる福田漢方薬局の二代目。大阪薬科大学を卒業し、高知漢法堂薬局を経て、福田漢方薬局で健康相談を担当。自身の経験から不妊症にも力を入れている。 ■ あわせて読みたい ■ FSH値が高く、妊娠は難しいと言われたのですが FSH値を下げる治療法はありますか? FSHは高くないのに卵胞がなかなか育たない……どうすればいい? 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2013.6.25
コラム 不妊治療
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まったく排卵がない多嚢胞性卵巣症候群ですが、改善できる良い漢方はありますか?
相談者 えれくとろさん(27歳)■ 重度の多嚢胞性症候群(PCOS)で、まったく排卵がない状態です。現在クロミッドの治療をしているのですが、自ら体質改善をしなければと思っています。PCOSにも効果のある漢方はあるのでしょうか?あいまいな質問で申し訳ないですが、よろしくお願いします。 カウンセリングが効き目に反映されるのが漢方。適切な漢方薬と養生が体質改善につながります。 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の改善、その先の妊娠をふまえた漢方相談は、私のところでも大変多いのです。クロミッドなどを服薬しても反応が低く、なかなか改善が見られなくて悩んでいる方も多いですね。また、薬を飲んでいればなんとか反応しているけど、薬による刺激がなければ月経不順に戻ってしまう、という声もよく耳にします。 自力で成熟卵胞ができ、スムーズに排卵をするために「体の力」を高める 一言でPCOSといっても、月経周期に大きな乱れがない方もいれば、年に数回しか月経がこない方もいます。PCOSの場合は、基礎体温で低温期が長く続き、不定期に排卵しそうな動向があるのに排卵にいたらず、排卵日が予測しづらい状況がみられます。初潮以来の月経不順を薬でコントロールしてこられた、えれくとろんさんが思っているように、自力で成熟卵胞ができて、人工的な(排卵誘発剤など)刺激がなくてもスムーズに排卵できるには「体の力」を高めることが重要になります。 PCOSは卵胞の成熟に関わるホルモンの働きや卵が育つ卵巣内環境、そして、排卵に関わるホルモンバランスや血流などの連携がうまくいかないことが原因とふまえて、漢方薬で対処していくのが良いのではないでしょうか。 十分な睡眠、疲労やストレスをためこまない、規則正しい生活リズムを心がける 具体的には、卵胞の成熟やホルモン活動に関わる「腎精」を養う「補腎薬」、血流を整え排卵を取り巻く環境を改善するための「駆瘀血薬」を中心に、状況に合わせた漢方薬を継続的に服用していくことで、順調に排卵を迎え、月経周期が安定する体質改善を目指していきます。日常生活では「睡眠を十分にとる」、「疲労やストレスをためこまない」、「規則正しい生活リズム」を心がけます。また、食事では甘いものや炭水化物を摂りすぎないことや冷たいもの、生ものなど体を冷やすものは控えることが大切になります。生活習慣やストレスは本人や家族が思っている以上に根深く、一人で解決しようと思うほど逆効果。子宝の先生やパートナーと二人三脚で一緒に乗り切ってほしいですね。 かしたに 陽子先生 漢方の一陽館薬局店主。漢方薬生薬認定薬剤師。学会認定不妊カウンセラー。経験と実績に基づいた不妊・子宝相談は、治療方針から体質改善まで、一人ひとりの状況に合わせた相談で定評がある。全国各地からお客様が相談にいらっしゃるのも特徴。漢方相談は予約制。 相談者 えれくとろさん(27歳)■ 重度の多嚢胞性症候群(PCOS)で、まったく排卵がない状態です。現在クロミッドの治療をしているのですが、自ら体質改善をしなければと思っています。PCOSにも効果のある漢方はあるのでしょうか?あいまいな質問で申し訳ないですが、よろしくお願いします。 カウンセリングが効き目に反映されるのが漢方。適切な漢方薬と養生が体質改善につながります。 多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の改善、その先の妊娠をふまえた漢方相談は、私のところでも大変多いのです。クロミッドなどを服薬しても反応が低く、なかなか改善が見られなくて悩んでいる方も多いですね。また、薬を飲んでいればなんとか反応しているけど、薬による刺激がなければ月経不順に戻ってしまう、という声もよく耳にします。 自力で成熟卵胞ができ、スムーズに排卵をするために「体の力」を高める 一言でPCOSといっても、月経周期に大きな乱れがない方もいれば、年に数回しか月経がこない方もいます。PCOSの場合は、基礎体温で低温期が長く続き、不定期に排卵しそうな動向があるのに排卵にいたらず、排卵日が予測しづらい状況がみられます。初潮以来の月経不順を薬でコントロールしてこられた、えれくとろんさんが思っているように、自力で成熟卵胞ができて、人工的な(排卵誘発剤など)刺激がなくてもスムーズに排卵できるには「体の力」を高めることが重要になります。 PCOSは卵胞の成熟に関わるホルモンの働きや卵が育つ卵巣内環境、そして、排卵に関わるホルモンバランスや血流などの連携がうまくいかないことが原因とふまえて、漢方薬で対処していくのが良いのではないでしょうか。 十分な睡眠、疲労やストレスをためこまない、規則正しい生活リズムを心がける 具体的には、卵胞の成熟やホルモン活動に関わる「腎精」を養う「補腎薬」、血流を整え排卵を取り巻く環境を改善するための「駆瘀血薬」を中心に、状況に合わせた漢方薬を継続的に服用していくことで、順調に排卵を迎え、月経周期が安定する体質改善を目指していきます。日常生活では「睡眠を十分にとる」、「疲労やストレスをためこまない」、「規則正しい生活リズム」を心がけます。また、食事では甘いものや炭水化物を摂りすぎないことや冷たいもの、生ものなど体を冷やすものは控えることが大切になります。生活習慣やストレスは本人や家族が思っている以上に根深く、一人で解決しようと思うほど逆効果。子宝の先生やパートナーと二人三脚で一緒に乗り切ってほしいですね。 かしたに 陽子先生 漢方の一陽館薬局店主。漢方薬生薬認定薬剤師。学会認定不妊カウンセラー。経験と実績に基づいた不妊・子宝相談は、治療方針から体質改善まで、一人ひとりの状況に合わせた相談で定評がある。全国各地からお客様が相談にいらっしゃるのも特徴。漢方相談は予約制。
2013.6.25
コラム 不妊治療