-
クリニックで妊娠判定をもらいました。すぐに産婦人科に行くべきですか?また、どんな検査をするの?
クリニックで妊娠判定をもらいました。すぐに産婦人科に行くべきですか?また、どんな検査をするの?(あさみさん・35歳) 初期は不安定な時期。早めに産婦人科で妊婦健診を受け、経過を見てもらうことが大切です。 改めて産婦人科の初診を受けます。予約が必要な病院もありますので、事前に電話で確認しましょう。当日の持ち物や、初診料(病気ではないので保険は使えません)などを確認しておくと安心です。 (1)受付、問診票に記入 病院に着いたら、まず受け付けを済ませ、渡された問診票に、月経歴、最終月経、既往症、妊娠・出産歴、手術歴、アレルギーの有無などを正確に記入します。医師が適切な診察・指導を行っていくために、不妊治療を受けて妊娠したことは必ず記入しましょう。かかっていたクリニックからの紹介状がある場合は、ここで一緒に提出しましょう。 (2)採尿 次にトイレで採尿。尿中に妊娠を示す“ヒト絨毛性ゴナドトロピン”というホルモンが排出されているか確認します。同時に、尿たんぱくと尿糖の有無を検査します。 (3)体重測定 妊娠中は体重管理がとても大切になります。この時の体重を基準として、その後の増加を判断していきます。BMI(肥満度)を計算するために、身長も測ります。 (4)血圧測定 看護師さんが測定してくれる病院と、備え付けの自動血圧計で自分で測る病院があります。最高血圧140㎜Hg以下で最低血圧90㎜Hg以下なら正常です。 (5)医師の問診 記入した問診票に沿って、医師が現在の様子などを質問します。下腹部の痛みや頭痛、吐き気など、普段と違うこと、気になる症状があればこの時に伝えましょう。 (6)内診 子宮の大きさや形や子宮口の状態を調べます。 (7)超音波検査 プローブをおなかの上から当たり、時期が早い場合には腟内に挿入して検査します。赤ちゃんの位置や心拍を確認します。 (8)検査結果と診断 すべての検査が終わったら、医師から検査結果を踏まえた説明を聞きます。妊娠週数や出産予定日、赤ちゃんの様子も教えてもらえるでしょう。妊娠生活の注意点なども説明されます。不安なことや質問があれば、この時に伝え、解決しておきましょう。 最後に会計して終了です。次回の妊婦健診の予約を入れる場合もあります。 当日の持ち物 □ 健康保険証 妊婦健診に保険は適用されませんが、カルテを作るために提示を求められます。万が一トラブルがあれば適用されます。 □ 基礎体温表 排卵日や妊娠に関する情報が得られます。 □ 生理用ナプキン 内診後、少し出血することがあります。 □ 現金 初診は検査が多いので、少し多めに持っていきましょう(2万円程度) 関連記事: 《 妊婦健診はどのくらいの間隔で受けるの? 》 ■ あわせて読みたい ■ 妊娠から出産までの基礎知識 妊娠中の体のトラブル対応マニュアル(1) 産婦人科選びの注意点を教えて 女性のための健康生活マガジン JINEKO クリニックで妊娠判定をもらいました。すぐに産婦人科に行くべきですか?また、どんな検査をするの?(あさみさん・35歳) 初期は不安定な時期。早めに産婦人科で妊婦健診を受け、経過を見てもらうことが大切です。 改めて産婦人科の初診を受けます。予約が必要な病院もありますので、事前に電話で確認しましょう。当日の持ち物や、初診料(病気ではないので保険は使えません)などを確認しておくと安心です。 (1)受付、問診票に記入 病院に着いたら、まず受け付けを済ませ、渡された問診票に、月経歴、最終月経、既往症、妊娠・出産歴、手術歴、アレルギーの有無などを正確に記入します。医師が適切な診察・指導を行っていくために、不妊治療を受けて妊娠したことは必ず記入しましょう。かかっていたクリニックからの紹介状がある場合は、ここで一緒に提出しましょう。 (2)採尿 次にトイレで採尿。尿中に妊娠を示す“ヒト絨毛性ゴナドトロピン”というホルモンが排出されているか確認します。同時に、尿たんぱくと尿糖の有無を検査します。 (3)体重測定 妊娠中は体重管理がとても大切になります。この時の体重を基準として、その後の増加を判断していきます。BMI(肥満度)を計算するために、身長も測ります。 (4)血圧測定 看護師さんが測定してくれる病院と、備え付けの自動血圧計で自分で測る病院があります。最高血圧140㎜Hg以下で最低血圧90㎜Hg以下なら正常です。 (5)医師の問診 記入した問診票に沿って、医師が現在の様子などを質問します。下腹部の痛みや頭痛、吐き気など、普段と違うこと、気になる症状があればこの時に伝えましょう。 (6)内診 子宮の大きさや形や子宮口の状態を調べます。 (7)超音波検査 プローブをおなかの上から当たり、時期が早い場合には腟内に挿入して検査します。赤ちゃんの位置や心拍を確認します。 (8)検査結果と診断 すべての検査が終わったら、医師から検査結果を踏まえた説明を聞きます。妊娠週数や出産予定日、赤ちゃんの様子も教えてもらえるでしょう。妊娠生活の注意点なども説明されます。不安なことや質問があれば、この時に伝え、解決しておきましょう。 最後に会計して終了です。次回の妊婦健診の予約を入れる場合もあります。 当日の持ち物 □ 健康保険証 妊婦健診に保険は適用されませんが、カルテを作るために提示を求められます。万が一トラブルがあれば適用されます。 □ 基礎体温表 排卵日や妊娠に関する情報が得られます。 □ 生理用ナプキン 内診後、少し出血することがあります。 □ 現金 初診は検査が多いので、少し多めに持っていきましょう(2万円程度) 関連記事: 《 妊婦健診はどのくらいの間隔で受けるの? 》 ■ あわせて読みたい ■ 妊娠から出産までの基礎知識 妊娠中の体のトラブル対応マニュアル(1) 産婦人科選びの注意点を教えて 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.1.23
コラム 妊娠・出産
-
妊娠したらまず準備!自分にぴったりのマタニティ下着選び
妊娠したらまず準備!自分にぴったりのマタニティ下着選び 待ちに待ったマタニティライフ!妊婦の体はこれからどんどん変化していきます。そんな時、身に着けるインナーは何を選んだらいいの?マタニティウェア専門メーカーとして4半世紀もの間、妊婦さんを応援する「エンジェリーベ」にお聞きしました。 大きくなるお腹やバストに対応するマタニティインナー 妊娠すると、今まで平気だったにおいで気分が悪くなったり、お肌が敏感になったり、体は刻々と変わっていきます。下着への感覚も同じで、特につわりが始まると、今まで着けていた下着なのに、みぞおちのあたりが苦しくなったり、お腹のゴムに違和感を覚えるようになったりもします。 そんな不安定な体は、マタニティ専用のインナーで優しく包んであげることがとても重要。ふつうの下着とは違い、ブラなら苦しくならないデザインだったり、ショーツなら大きくなるお腹をすっぽり包んで冷やさないデザインだったり、妊婦さんの負担にならない設計がされています。また、ショーツであれば初期から臨月、ブラなら産後の授乳まで、と長期間使えるよう工夫されているのもうれしいところ。デザインも豊富なので、自分 のお気に入りを準備しましょう! 妊娠初期は基本のブラジャーとショーツをまず準備 妊娠初期は、つわりで気分が悪くなり、今までの下着に圧迫感を感じる人も少なくありません。心身ともにストレスをなるべく感じないものを選びましょう。 初期にまずそろえておきたい下着は、マタニティブラジャーかハーフトップを2~3枚。これから大きくなっていくバストに対応するブラはマストアイテムです。産後の授乳もできるデザインで長期間使えるので、早めにそろえるのがおすすめです。そしてマタニティショーツも2~3枚は必要です。おへその上まですっぽり包むデザインなので、お腹を圧迫せず、冷えからも体を守ってくれます。 また、ブラとキャミソールが一体になった授乳兼用キャミソールも2~3枚あると便利です。汗を吸収するうえ、着心地もラクちんなので人気の高いアイテムです。 ほかに、中期から後期にかけて、お腹が大きくなるとできやすい「妊娠線」の予防のための妊娠線クリームや、母子手帳や診察券などの収納に便利な母子手帳ケースもそろえておくとよいでしょう。 マタニティショーツ お腹とヒップをしっかり包み込む ふつうのショーツに比べ、股上をしっかりとって伸縮性に優れた生地を使用、大きくなるお腹に対応できます。ウエストや足口も締め付け感がなく、くい込みにくいようデザインされています。おへその上までカバーするので、冷えからもお腹を守ります。 マタニティブラ ワイヤー入りでも圧迫感がなくラク! マタニティ期でも、大きくなるバストをしっかり支え、美しいバストラインをキープしたい人におすすめ。ワイヤーがゆるやかにバストを支え、バストの下垂を予防。ワーキング・マタニティや外出時におすすめです。 ハーフトップ リラックス時や就寝時に着けたい いわゆるノンワイヤーのブラジャー。かぶりタイプ中心で着脱も簡単です。締め付け感がなく、やわらかな素材でできているので、妊娠中お肌が敏感になった人や、みぞおちのあたりが苦しいと感じる時に。おうちでのくつろぎタイムにも。 マタニティキャミソール ハーフトップとキャミソールが一体化。 着け心地がラクなハーフトップと、夏場の汗を吸収したり、肌着にもなるキャミソールがドッキングしたタイプ。胸元がクロスになったクロスオープンタイプが多く、産後も素早く授乳ができます。1枚でサッと着られるのが嬉しい。 妊娠中期~後期は、お腹を支えるアイテムや産後下着の準備を 中期を過ぎるとお腹は日ごとに大きくなっていきます。バストは最終的には産前より約2カップ大きく、お腹は前へ大きく張り出していきます。ブラは初期に用意してあれば対応できますが、お腹はマタニティショーツだけでは物足りないことも。そんな時のために、ショーツとお腹を支えるサポートベルトが一体になったマタニティサポート、また、お腹をしっかり支える腹帯を2~3枚プラスすると安心です。 さらに、産後の出血やおりものの手当て用に、股の部分が全開になる産褥ショーツを準備するのも忘れないようにしましょう。 腹帯 ショーツとの重ねばきOK お腹が大きくなるにつれて感じる腰や背中の痛みを和らげ、お腹をサポート。大きく分けて、スカートの下に着けたり、リラックス時におすすめの「腹巻タイプ」、ショーツの下に着けられて、調節可能なベルトがついた「ママベルトタイプ」があります。 マタニティサポート ショーツ感覚で1枚でも気軽にはける お腹を支えるベルトとショーツが一体化したタイプ。1枚でさっとはけて動きやすく、アウターにも響きにくいのが特徴です。ヒップラインに配慮したものも多く、ワーキング・マタニティにもぴったり。 産褥ショーツ 産後すぐに必要!出産準備に! 出産後は、看護師さんが産後の出血やおりものの手当てをしてくれます。その時は、股の部分が全開する“産褥ショーツ”を使う場合が多いので、洗い替えも含めて3~4枚はあらかじめ準備しておきましょう。 ママにとって気持ちのよい素材を使い、変化していく体がラクでいられる商品をお届けし、妊娠前と変わらないおしゃれを楽しんでいただくこと。ママが笑顔でいられれば、赤ちゃんもきっと幸せなはず。そう信じ、また、長い歴史の中で、たくさんの先輩ママからいただいたご意見やアイデアを活かし、エンジェリーベは、お腹の中の赤ちゃんとママのための商品作りに徹しています。 http://www.angeliebe.co.jp ■ あわせて読みたい ■ 安心・妊婦生活ガイド(1) 大切な命を守ろう。妊娠中に避けたい4つのこと。 《妊婦さん要注意》妊娠中は普段の○倍鉄分が必要! 出産の基礎知識!気になる【会陰切開】ってどういうもの? 妊婦健診の基本検査 女性のための健康生活マガジン JINEKO 妊娠したらまず準備!自分にぴったりのマタニティ下着選び 待ちに待ったマタニティライフ!妊婦の体はこれからどんどん変化していきます。そんな時、身に着けるインナーは何を選んだらいいの?マタニティウェア専門メーカーとして4半世紀もの間、妊婦さんを応援する「エンジェリーベ」にお聞きしました。 大きくなるお腹やバストに対応するマタニティインナー 妊娠すると、今まで平気だったにおいで気分が悪くなったり、お肌が敏感になったり、体は刻々と変わっていきます。下着への感覚も同じで、特につわりが始まると、今まで着けていた下着なのに、みぞおちのあたりが苦しくなったり、お腹のゴムに違和感を覚えるようになったりもします。 そんな不安定な体は、マタニティ専用のインナーで優しく包んであげることがとても重要。ふつうの下着とは違い、ブラなら苦しくならないデザインだったり、ショーツなら大きくなるお腹をすっぽり包んで冷やさないデザインだったり、妊婦さんの負担にならない設計がされています。また、ショーツであれば初期から臨月、ブラなら産後の授乳まで、と長期間使えるよう工夫されているのもうれしいところ。デザインも豊富なので、自分 のお気に入りを準備しましょう! 妊娠初期は基本のブラジャーとショーツをまず準備 妊娠初期は、つわりで気分が悪くなり、今までの下着に圧迫感を感じる人も少なくありません。心身ともにストレスをなるべく感じないものを選びましょう。 初期にまずそろえておきたい下着は、マタニティブラジャーかハーフトップを2~3枚。これから大きくなっていくバストに対応するブラはマストアイテムです。産後の授乳もできるデザインで長期間使えるので、早めにそろえるのがおすすめです。そしてマタニティショーツも2~3枚は必要です。おへその上まですっぽり包むデザインなので、お腹を圧迫せず、冷えからも体を守ってくれます。 また、ブラとキャミソールが一体になった授乳兼用キャミソールも2~3枚あると便利です。汗を吸収するうえ、着心地もラクちんなので人気の高いアイテムです。 ほかに、中期から後期にかけて、お腹が大きくなるとできやすい「妊娠線」の予防のための妊娠線クリームや、母子手帳や診察券などの収納に便利な母子手帳ケースもそろえておくとよいでしょう。 マタニティショーツ お腹とヒップをしっかり包み込む ふつうのショーツに比べ、股上をしっかりとって伸縮性に優れた生地を使用、大きくなるお腹に対応できます。ウエストや足口も締め付け感がなく、くい込みにくいようデザインされています。おへその上までカバーするので、冷えからもお腹を守ります。 マタニティブラ ワイヤー入りでも圧迫感がなくラク! マタニティ期でも、大きくなるバストをしっかり支え、美しいバストラインをキープしたい人におすすめ。ワイヤーがゆるやかにバストを支え、バストの下垂を予防。ワーキング・マタニティや外出時におすすめです。 ハーフトップ リラックス時や就寝時に着けたい いわゆるノンワイヤーのブラジャー。かぶりタイプ中心で着脱も簡単です。締め付け感がなく、やわらかな素材でできているので、妊娠中お肌が敏感になった人や、みぞおちのあたりが苦しいと感じる時に。おうちでのくつろぎタイムにも。 マタニティキャミソール ハーフトップとキャミソールが一体化。 着け心地がラクなハーフトップと、夏場の汗を吸収したり、肌着にもなるキャミソールがドッキングしたタイプ。胸元がクロスになったクロスオープンタイプが多く、産後も素早く授乳ができます。1枚でサッと着られるのが嬉しい。 妊娠中期~後期は、お腹を支えるアイテムや産後下着の準備を 中期を過ぎるとお腹は日ごとに大きくなっていきます。バストは最終的には産前より約2カップ大きく、お腹は前へ大きく張り出していきます。ブラは初期に用意してあれば対応できますが、お腹はマタニティショーツだけでは物足りないことも。そんな時のために、ショーツとお腹を支えるサポートベルトが一体になったマタニティサポート、また、お腹をしっかり支える腹帯を2~3枚プラスすると安心です。 さらに、産後の出血やおりものの手当て用に、股の部分が全開になる産褥ショーツを準備するのも忘れないようにしましょう。 腹帯 ショーツとの重ねばきOK お腹が大きくなるにつれて感じる腰や背中の痛みを和らげ、お腹をサポート。大きく分けて、スカートの下に着けたり、リラックス時におすすめの「腹巻タイプ」、ショーツの下に着けられて、調節可能なベルトがついた「ママベルトタイプ」があります。 マタニティサポート ショーツ感覚で1枚でも気軽にはける お腹を支えるベルトとショーツが一体化したタイプ。1枚でさっとはけて動きやすく、アウターにも響きにくいのが特徴です。ヒップラインに配慮したものも多く、ワーキング・マタニティにもぴったり。 産褥ショーツ 産後すぐに必要!出産準備に! 出産後は、看護師さんが産後の出血やおりものの手当てをしてくれます。その時は、股の部分が全開する“産褥ショーツ”を使う場合が多いので、洗い替えも含めて3~4枚はあらかじめ準備しておきましょう。 ママにとって気持ちのよい素材を使い、変化していく体がラクでいられる商品をお届けし、妊娠前と変わらないおしゃれを楽しんでいただくこと。ママが笑顔でいられれば、赤ちゃんもきっと幸せなはず。そう信じ、また、長い歴史の中で、たくさんの先輩ママからいただいたご意見やアイデアを活かし、エンジェリーベは、お腹の中の赤ちゃんとママのための商品作りに徹しています。 http://www.angeliebe.co.jp ■ あわせて読みたい ■ 安心・妊婦生活ガイド(1) 大切な命を守ろう。妊娠中に避けたい4つのこと。 《妊婦さん要注意》妊娠中は普段の○倍鉄分が必要! 出産の基礎知識!気になる【会陰切開】ってどういうもの? 妊婦健診の基本検査 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.1.14
コラム 妊娠・出産
-
妊娠から出産までの基礎知識
妊娠から出産まで。赤ちゃんとママの成長 小さな受精卵だった赤ちゃん。生まれてくるまでの間に、おなかの中でどのように成長していくのでしょうか。そして母体はどんなふうに変化していくのでしょうか。安心・安全に過ごすための生活の注意点と合わせて10カ月の流れで見ていきましょう。 生まれてくる日まで大切にはぐくむために ひとつの卵子と精子が出合い、誕生した新しい命。それはとても神秘的で、奇跡ともいえるでしょう。おなかの中から外の世界に生まれ出てくる日まで、小さな命を大切にはぐくんでいきましょう。 トラブルなく安全に10カ月を過ごすために、注意点はいろいろありますが、とりわけ生殖医療を受けて命を授かった女性が、気をつけなくてはいけないことはあるのでしょうか? 吉村先生にお聞きしました。「日本で生殖医療を受ける方は、年齢の高い方が多くなっています。欧米との比較で、平均で2歳くらい高いというデータがあります。ですから、生殖医療を経て妊娠された方も、年齢が高い方が多いのが現状です。年齢による合併症のリスクも考えながら、妊娠期間を過ごすことが重要です」 流産が起こりやすい妊娠初期は安静に過ごしましょう 妊娠が判明するのは、早くて妊娠4週頃。超音波検査で、子宮の中に赤ちゃんが入った袋(胎のう)が確認できると、正常な妊娠と診断されます。「妊娠初期は、流産に気をつけなければいけない時期。平均すると、15%くらいの妊婦さんに、流産が起こります。40歳以上ですと、30~40%と非常に高い確率になります。流産は、ある程度は自然に起こる、防ぎようのないものですが、注意して安静に過ごすことが大事です」(吉村先生) 出血、おなかの張り、痛みなどが出た場合には、すぐに病院に行きましょう。妊娠6~7週になり、胎のうの中に赤ちゃんの心拍が確認できると、流産の危険はかなり減少します。ここまでくればひと安心。つわりがつらい時期でもありますが、赤ちゃんからの「元気に成長しているよ」というメッセージだと考え、気分転換しながら乗り切りましょう。 妊娠初期は赤ちゃんの主要な器官が形成される大切な時期。有害因子の影響を受けやすいので、自己判断での薬の服用は避け、飲酒・喫煙は早いうちにやめましょう。 バランスのよい食事で胎児にも栄養を送りましょう 妊娠4カ月頃になると、つわりもそろそろ終了。これまでの反動で、食欲に火がつくことがあります。極端な食べ過ぎは厳禁ですが、最近では以前のような体重増加制限はなくなってきているそうです。 「新生児の体重は20年前と比べると200gも減り、平均が2800gくらいになっています。これは大変なことです。今はやせている女性が多くなっていて、お母さんの栄養障害が胎児の成長に影響しているのかもしれません。 バーカー仮説というのがあるのですが、低出生体重児は将来、生活習慣病につながる可能性があると考えられています。生まれてくる子の将来のために、妊婦さんは健診をきちんと受け、食事のコントロールをして、適正に体重を増やしていくことが、とても大事です」(吉村先生) 安定期はバランスのいい食事と適度な運動を心がけましょう 胎盤が完成し、大きなトラブルもなく過ごせる中期(5~7カ月)は、妊婦さんには最も過ごしやすい時期。ヨガやウォーキング、水泳などの運動は、急激な体重増加を防止し、気分転換やリフレッシュにも最適です。この時期は赤ちゃんの機能も発達し、活発に動くようになり、ほとんどの人が胎動を感じるようになります。おなかも妊婦さんらしく大きくなり、母親になる実感がますます強くなってくるでしょう。 中期から後期にかけて注意するべきポイントはどんなところなのでしょうか? 「最も注意したいのは、妊娠高血圧症候群です。年齢の高い妊婦さんは妊娠高血圧症候群にかかる確率が高くなります。また一般的に、年齢が高くなれば、糖尿病などの内科的な合併症も増えます。病気が原因で、胎児機能不全になったり、早産を起こすこともあります」(吉村先生) 安定した時期ではありますが、おなかの張りや、出血、体の異変は見逃さないよう、常に注意しておきましょう。予防のためには、塩分を控えたバランスのよい食事が大切。そして何も問題ないと思っても、定期健診には必ず行き、医師の指示を受けましょう。 体外受精で生まれる子は自然妊娠の子と違うの? 体外受精で妊娠された方のなかには、無事に赤ちゃんが生まれてくるのか、障害や奇形はないのかということを気にしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 「2009年のデータによると、日本では全妊娠の2.5%、40人に1人が体外受精関連技術で生まれています。今の研究では、先天奇形率に関しては、体外受精と一般の妊娠で差がないとされています。またヨーロッパでは、体外受精で生まれた子どもは、知能レベルが平均よりも高いというデータも出ています。現在のところ体外受精による妊娠でも、心配なさることはないと思います。 しかしながら、10年、15年後の成長を追いかけたデータは、日本にはありません。これだけ体外受精で生まれる子どもが増えているのですから、今後はさまざまな観点から、長期的な成長を追って見ていくべきだと感じています」(吉村先生) 出産まであともう少し。1日でも長くおなかの中に 8カ月を過ぎると、子宮がさらに大きくなり、妊婦さんは動悸や腰痛などの症状が増えてきます。妊娠後期に、一番気をつけなければいけないのが早産。低体重で生まれてくると、脳や呼吸器に障害が出る可能性があります。34週を過ぎれば、赤ちゃんは外界でも生きていけるくらいまでに機能は発達していますが、産後の合併症のリスクを減らすために、1日でも長くおなかの中にいさせてあげることが大切です。おなかが張りやすい、疲れやすいと感じたら、無理をせず、すぐに横になり、安静にしましょう。10カ月の妊婦生活のゴールはもうすぐ。赤ちゃんもお母さんに会える日を楽しみにしています。 ■ あわせて読みたい ■ クリニックで妊娠判定をもらいました。すぐに産婦人科に行くべきですか?また、どんな検査をするの? 妊娠中の体のトラブル対応マニュアル(1) 産婦人科選びの注意点を教えて 初産ママは特に知っておきたい!母子健康手帳のここが大事! 女性のための健康生活マガジン JINEKO 妊娠から出産まで。赤ちゃんとママの成長 小さな受精卵だった赤ちゃん。生まれてくるまでの間に、おなかの中でどのように成長していくのでしょうか。そして母体はどんなふうに変化していくのでしょうか。安心・安全に過ごすための生活の注意点と合わせて10カ月の流れで見ていきましょう。 生まれてくる日まで大切にはぐくむために ひとつの卵子と精子が出合い、誕生した新しい命。それはとても神秘的で、奇跡ともいえるでしょう。おなかの中から外の世界に生まれ出てくる日まで、小さな命を大切にはぐくんでいきましょう。 トラブルなく安全に10カ月を過ごすために、注意点はいろいろありますが、とりわけ生殖医療を受けて命を授かった女性が、気をつけなくてはいけないことはあるのでしょうか? 吉村先生にお聞きしました。「日本で生殖医療を受ける方は、年齢の高い方が多くなっています。欧米との比較で、平均で2歳くらい高いというデータがあります。ですから、生殖医療を経て妊娠された方も、年齢が高い方が多いのが現状です。年齢による合併症のリスクも考えながら、妊娠期間を過ごすことが重要です」 流産が起こりやすい妊娠初期は安静に過ごしましょう 妊娠が判明するのは、早くて妊娠4週頃。超音波検査で、子宮の中に赤ちゃんが入った袋(胎のう)が確認できると、正常な妊娠と診断されます。「妊娠初期は、流産に気をつけなければいけない時期。平均すると、15%くらいの妊婦さんに、流産が起こります。40歳以上ですと、30~40%と非常に高い確率になります。流産は、ある程度は自然に起こる、防ぎようのないものですが、注意して安静に過ごすことが大事です」(吉村先生) 出血、おなかの張り、痛みなどが出た場合には、すぐに病院に行きましょう。妊娠6~7週になり、胎のうの中に赤ちゃんの心拍が確認できると、流産の危険はかなり減少します。ここまでくればひと安心。つわりがつらい時期でもありますが、赤ちゃんからの「元気に成長しているよ」というメッセージだと考え、気分転換しながら乗り切りましょう。 妊娠初期は赤ちゃんの主要な器官が形成される大切な時期。有害因子の影響を受けやすいので、自己判断での薬の服用は避け、飲酒・喫煙は早いうちにやめましょう。 バランスのよい食事で胎児にも栄養を送りましょう 妊娠4カ月頃になると、つわりもそろそろ終了。これまでの反動で、食欲に火がつくことがあります。極端な食べ過ぎは厳禁ですが、最近では以前のような体重増加制限はなくなってきているそうです。 「新生児の体重は20年前と比べると200gも減り、平均が2800gくらいになっています。これは大変なことです。今はやせている女性が多くなっていて、お母さんの栄養障害が胎児の成長に影響しているのかもしれません。 バーカー仮説というのがあるのですが、低出生体重児は将来、生活習慣病につながる可能性があると考えられています。生まれてくる子の将来のために、妊婦さんは健診をきちんと受け、食事のコントロールをして、適正に体重を増やしていくことが、とても大事です」(吉村先生) 安定期はバランスのいい食事と適度な運動を心がけましょう 胎盤が完成し、大きなトラブルもなく過ごせる中期(5~7カ月)は、妊婦さんには最も過ごしやすい時期。ヨガやウォーキング、水泳などの運動は、急激な体重増加を防止し、気分転換やリフレッシュにも最適です。この時期は赤ちゃんの機能も発達し、活発に動くようになり、ほとんどの人が胎動を感じるようになります。おなかも妊婦さんらしく大きくなり、母親になる実感がますます強くなってくるでしょう。 中期から後期にかけて注意するべきポイントはどんなところなのでしょうか? 「最も注意したいのは、妊娠高血圧症候群です。年齢の高い妊婦さんは妊娠高血圧症候群にかかる確率が高くなります。また一般的に、年齢が高くなれば、糖尿病などの内科的な合併症も増えます。病気が原因で、胎児機能不全になったり、早産を起こすこともあります」(吉村先生) 安定した時期ではありますが、おなかの張りや、出血、体の異変は見逃さないよう、常に注意しておきましょう。予防のためには、塩分を控えたバランスのよい食事が大切。そして何も問題ないと思っても、定期健診には必ず行き、医師の指示を受けましょう。 体外受精で生まれる子は自然妊娠の子と違うの? 体外受精で妊娠された方のなかには、無事に赤ちゃんが生まれてくるのか、障害や奇形はないのかということを気にしている方もいらっしゃるのではないでしょうか。 「2009年のデータによると、日本では全妊娠の2.5%、40人に1人が体外受精関連技術で生まれています。今の研究では、先天奇形率に関しては、体外受精と一般の妊娠で差がないとされています。またヨーロッパでは、体外受精で生まれた子どもは、知能レベルが平均よりも高いというデータも出ています。現在のところ体外受精による妊娠でも、心配なさることはないと思います。 しかしながら、10年、15年後の成長を追いかけたデータは、日本にはありません。これだけ体外受精で生まれる子どもが増えているのですから、今後はさまざまな観点から、長期的な成長を追って見ていくべきだと感じています」(吉村先生) 出産まであともう少し。1日でも長くおなかの中に 8カ月を過ぎると、子宮がさらに大きくなり、妊婦さんは動悸や腰痛などの症状が増えてきます。妊娠後期に、一番気をつけなければいけないのが早産。低体重で生まれてくると、脳や呼吸器に障害が出る可能性があります。34週を過ぎれば、赤ちゃんは外界でも生きていけるくらいまでに機能は発達していますが、産後の合併症のリスクを減らすために、1日でも長くおなかの中にいさせてあげることが大切です。おなかが張りやすい、疲れやすいと感じたら、無理をせず、すぐに横になり、安静にしましょう。10カ月の妊婦生活のゴールはもうすぐ。赤ちゃんもお母さんに会える日を楽しみにしています。 ■ あわせて読みたい ■ クリニックで妊娠判定をもらいました。すぐに産婦人科に行くべきですか?また、どんな検査をするの? 妊娠中の体のトラブル対応マニュアル(1) 産婦人科選びの注意点を教えて 初産ママは特に知っておきたい!母子健康手帳のここが大事! 女性のための健康生活マガジン JINEKO
2015.1.13
コラム 妊娠・出産
-
「おめでとうございます」のメッセージ
赤ちゃんエッセイ:「おめでとうございます」のメッセージ 画像:Shutterstock.com はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。 助産婦としてたくさんの赤ちゃんをとり上げてきて、一番最初にお母さんにいうことば。「おめでとうございます」このことばを口にする度、忘れられないことがあります。何年か前のその日、いつものように、私はある初産婦さんの出産に立ち合っていました。 赤ちゃんは産まれるまでに、回旋をしながら産まれてくるのですが、頭がすっかり出てくる第3回旋、肩が出やすいよう、身体ごと横に向く第4回旋、その時見えた赤ちゃんの顔は、ダウン症候群と呼ばれる顔にそっくりだったのです。(今のは、首の所で締まってて、ほっぺでギュッと圧迫されていたから、そう見えたんだ。ちゃんと産まれたら大丈夫。普通の赤ちゃんにちがいない)祈るような思いで、前在、後在の肩を出し、とり上げました。吸引し、啼泣したその子は、やはりダウン症候群と思われる顔でした。 私も側にいた医師も、とっさに息を呑んでやっと「○○さん、女の子ですよ」と声をかけることができたのでした。 その後医師がお母さんの処置をしている間私は計測中の赤ちゃんの側へ行ってみました。間違いない。猿線もある。今までダウン症候群の疑いのある子もいたけど、直接とり上げたのは初めて。どうしよう。どう対応したらいいのだろう。 赤ちゃんをお母さんの所へ、連れていく。気付かないだろうか。「かわいい。主人に似てるわ。目も、このお手々も」はしゃぐような彼女に、うなづきながら思った。まだ気付いていない。しかし、その後赤ちゃんが合併症の疑いもあり、NICUのある病院に赤ちゃんだけ運ばれることになり、医師から家族へ、家族から母親へと、病状とともに、ダウン症候群疑いということも、知らされてしまいました。 出産後、ホルモンの変調によるマタニティーブルーということばもあるようなこの時期に知らされてしまった彼女の苦しみはどれほど大きいものだったでしょう。 「私は若いのに、なぜ?」「ダウン症候群の子のことは、よく知ってる。出産後そうじゃないかと、こわかった。だから必死で、私や主人に似ている所を探そうとしたのに」「産まなければよかった」「あの子をかわいいと思う日がくるなんて考えられない」「障害のある子を産んだことのない、あなたになんかわかるはずがない」 その中で最も私をうちのめしたことばは、「あなたは私に『おめでとうございます』といってくれなかった!」 そうなのだ。あの日私は、このひとことを忘れた訳ではなかった。いうことができなかった。産まれない方が良いというわけではないが、これからこの母子を、どんな苦難や悲嘆が待ちうけているか。そう思うと、こわくていえなかった。 母親の鋭い直感で、彼女に悟られ、指摘されてしまったのです。彼女の態度は、悲しみを受容していく過程で最初に現れる当然の反応であると、理解はしていても、目の前で苦しんでいる彼女を見ながら「おめでとうございます」をいえなかった自分を責めていました。 彼女がそのまま退院してしまった後も、ずっと心の中で考え続けました。そんなことを考えていたある時「さっちゃんのまほうの手」という絵本と、四肢障害児を支える家族の会の活動を紹介する催しがあり、出かけてみました。そこで、たくさんのステキな笑顔に出合うことができました。この笑顔にたどりつくまで、皆苦しんだり悲しんだりしたんだろうけど、きっと乗りこえることができるんだ。母と子の力ってきっともっとすごいものなんだ。障害の種類も程度も違うけど、あの母子も絶対こんなステキな笑顔になれるにちがいない、そう信じることができました。 それから一年くらいたったでしょうか。彼女が娘さんを大事そうに抱いて病院に寄ってくれました。「こんなに大きくなりました」と笑顔で。かわいいふわふわの服を着た女の子は、私がおいでと手をさしのべても、母親である彼女にすがりつき、彼女も、宝もののように、ほっぺとほっぺをくっつけて、ステキな笑顔で笑ったのです。「この子のいない生活なんて、考えられない」といって。 だから私は、これからも、どんな赤ちゃんにも「おめでとうございます」ということができます。その子の人生のスタートを、祝福のことばで、迎えてあげたい。「産まれてきてよかったね。幸せになるんだよ」というメッセージも込めて。 提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト <!-- new media_line_me.LineButton({"pc":false,"lang":"ja","type":"e"}); // --> 赤ちゃんエッセイ:「おめでとうございます」のメッセージ 画像:Shutterstock.com はじめての妊娠、そして出産。楽しみでもあり、不安も少し…。そんな初心者ママを応援したいとスキナベーブでは毎年、赤ちゃんエッセイコンテストを開催しています。エッセイには、先輩ママや専門家の方の体験談がいっぱい。元気になれるエッセイが、きっと見つかります。ジネコでは、これまでの受賞作品の中から素敵なエッセイをピックアップしてご紹介してまいります。 助産婦としてたくさんの赤ちゃんをとり上げてきて、一番最初にお母さんにいうことば。「おめでとうございます」このことばを口にする度、忘れられないことがあります。何年か前のその日、いつものように、私はある初産婦さんの出産に立ち合っていました。 赤ちゃんは産まれるまでに、回旋をしながら産まれてくるのですが、頭がすっかり出てくる第3回旋、肩が出やすいよう、身体ごと横に向く第4回旋、その時見えた赤ちゃんの顔は、ダウン症候群と呼ばれる顔にそっくりだったのです。(今のは、首の所で締まってて、ほっぺでギュッと圧迫されていたから、そう見えたんだ。ちゃんと産まれたら大丈夫。普通の赤ちゃんにちがいない)祈るような思いで、前在、後在の肩を出し、とり上げました。吸引し、啼泣したその子は、やはりダウン症候群と思われる顔でした。 私も側にいた医師も、とっさに息を呑んでやっと「○○さん、女の子ですよ」と声をかけることができたのでした。 その後医師がお母さんの処置をしている間私は計測中の赤ちゃんの側へ行ってみました。間違いない。猿線もある。今までダウン症候群の疑いのある子もいたけど、直接とり上げたのは初めて。どうしよう。どう対応したらいいのだろう。 赤ちゃんをお母さんの所へ、連れていく。気付かないだろうか。「かわいい。主人に似てるわ。目も、このお手々も」はしゃぐような彼女に、うなづきながら思った。まだ気付いていない。しかし、その後赤ちゃんが合併症の疑いもあり、NICUのある病院に赤ちゃんだけ運ばれることになり、医師から家族へ、家族から母親へと、病状とともに、ダウン症候群疑いということも、知らされてしまいました。 出産後、ホルモンの変調によるマタニティーブルーということばもあるようなこの時期に知らされてしまった彼女の苦しみはどれほど大きいものだったでしょう。 「私は若いのに、なぜ?」「ダウン症候群の子のことは、よく知ってる。出産後そうじゃないかと、こわかった。だから必死で、私や主人に似ている所を探そうとしたのに」「産まなければよかった」「あの子をかわいいと思う日がくるなんて考えられない」「障害のある子を産んだことのない、あなたになんかわかるはずがない」 その中で最も私をうちのめしたことばは、「あなたは私に『おめでとうございます』といってくれなかった!」 そうなのだ。あの日私は、このひとことを忘れた訳ではなかった。いうことができなかった。産まれない方が良いというわけではないが、これからこの母子を、どんな苦難や悲嘆が待ちうけているか。そう思うと、こわくていえなかった。 母親の鋭い直感で、彼女に悟られ、指摘されてしまったのです。彼女の態度は、悲しみを受容していく過程で最初に現れる当然の反応であると、理解はしていても、目の前で苦しんでいる彼女を見ながら「おめでとうございます」をいえなかった自分を責めていました。 彼女がそのまま退院してしまった後も、ずっと心の中で考え続けました。そんなことを考えていたある時「さっちゃんのまほうの手」という絵本と、四肢障害児を支える家族の会の活動を紹介する催しがあり、出かけてみました。そこで、たくさんのステキな笑顔に出合うことができました。この笑顔にたどりつくまで、皆苦しんだり悲しんだりしたんだろうけど、きっと乗りこえることができるんだ。母と子の力ってきっともっとすごいものなんだ。障害の種類も程度も違うけど、あの母子も絶対こんなステキな笑顔になれるにちがいない、そう信じることができました。 それから一年くらいたったでしょうか。彼女が娘さんを大事そうに抱いて病院に寄ってくれました。「こんなに大きくなりました」と笑顔で。かわいいふわふわの服を着た女の子は、私がおいでと手をさしのべても、母親である彼女にすがりつき、彼女も、宝もののように、ほっぺとほっぺをくっつけて、ステキな笑顔で笑ったのです。「この子のいない生活なんて、考えられない」といって。 だから私は、これからも、どんな赤ちゃんにも「おめでとうございます」ということができます。その子の人生のスタートを、祝福のことばで、迎えてあげたい。「産まれてきてよかったね。幸せになるんだよ」というメッセージも込めて。 提供:スキナベーブ 赤ちゃんエッセイコンテスト <!-- new media_line_me.LineButton({"pc":false,"lang":"ja","type":"e"}); // -->
2014.12.18
コラム 妊娠・出産