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体重が重いのでダイエット中だけどほかにどのようなことをすればいい?
相談者 りえ さん(37歳) 【不妊の原因:不明】 ○少し動くだけで汗が出る ○湯船にゆっくり浸かれない ○肩こりや頭痛が慢性的にある ○レバーのような経血の塊が出る ○頬が赤っぽい ○のぼせやほてりがある ○寝不足の日が多い ○太りやすい 胃腸の消化吸収を良くして血液量を増やし子宮、卵巣に十分な栄養を与えることが必要 肥満は妊娠をしづらくする一因ですが、心血管病、糖尿病の原因にもなります。ダイエットでは炭水化物・蛋白質・脂肪を極端に減らして、体重を落とすことは禁忌です。これらの摂取量が少なくなると血糖値が下がりすぎてエネルギー不足となり、貧血の原因になり、月経にも影響がおよびます。BMIが25以上ならば、和食中心に切り替えてください。さらに脂肪燃焼を促す運動療法を行うことが基本です。 胃腸の働きが悪く、消化吸収能力が低下し余分な水分廃棄物がたまるのが肥満の原因 中医学では肥満の原因は、生まれつきの胃腸虚弱、食べ過ぎなどの飲食不節制、精神的ストレス、オーバーワークなどで「湿熱痰飲気滞血お」が内生することによると考えています。具体的には、胃腸の働きが悪く、消化吸収能力が低下し、余分な水分廃棄物がたまり、むくみ、水太り、だるい、めまい、吐き気などを生じます。 栄養を吸収できずエネルギーが不足し、血液不足で貧血やめまいが生じる場合は「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」などの漢方薬が有効です。またエネルギー不足で元気不足、動くと汗が出たり、体がだるくなる症状には「麦味参(ばくみさん)」、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」。血液不足により肝血が不足し、体の陰分が不足して熱を押さえることができず、顔・頬が赤くなる症状には「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」。湯に入ると熱が頭に昇り、のぼせが生じ、湯船にゆっくり浸かれない症状には、「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」、「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」。血陰が不足するので高齢とともに腎に影響し、「肝腎陰虚」となり耳鳴りも生じた場合は、「耳鳴丸(じめいがん)」を。 胃腸の消化吸収が弱いと血が不足して脳にも栄養がめぐらず不眠に。その場合は「帰脾湯(きひとう)」、「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」。不眠動悸の症状には「天王補心丹(てんのうほしんたん)」、「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」を。 血流がとどこおり子宮や卵巣の環境が悪いなどの肥満が原因の諸症状に漢方薬を試してみる 更年期に入ると、同じくのぼせ・ほてり・寝汗・不眠・動悸などが出現します。水分老廃物によって血液の流れがとどこおり、肩こりや頭痛となった場合には、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、「逍遥丸(しょうようがん)」、「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」、「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」、「温胆湯(うんたんとう)」を用います。月経は血液がとどこおり排泄されず、子宮や卵巣の環境が悪くなり、卵の育ちも今一歩になります。つまり、胃腸の消化吸収を良くして血液量を増やし、体のすみずみまで、とくに子宮、卵巣に十分な栄養を与えることが必要となります。 佐々木 弘隆先生 国際中医専門員(国際中医師)学会認定不妊カウンセラー。中国南京中医薬大学病院にて周期療法の大家である国医大師、夏桂成教授のもとで研修。さらに山東省、成都、西安の各大学病院にて研鑽を積む。本来備わっている「妊娠する力」を高める手助けを行っている。 相談者 りえ さん(37歳) 【不妊の原因:不明】 ○少し動くだけで汗が出る ○湯船にゆっくり浸かれない ○肩こりや頭痛が慢性的にある ○レバーのような経血の塊が出る ○頬が赤っぽい ○のぼせやほてりがある ○寝不足の日が多い ○太りやすい 胃腸の消化吸収を良くして血液量を増やし子宮、卵巣に十分な栄養を与えることが必要 肥満は妊娠をしづらくする一因ですが、心血管病、糖尿病の原因にもなります。ダイエットでは炭水化物・蛋白質・脂肪を極端に減らして、体重を落とすことは禁忌です。これらの摂取量が少なくなると血糖値が下がりすぎてエネルギー不足となり、貧血の原因になり、月経にも影響がおよびます。BMIが25以上ならば、和食中心に切り替えてください。さらに脂肪燃焼を促す運動療法を行うことが基本です。 胃腸の働きが悪く、消化吸収能力が低下し余分な水分廃棄物がたまるのが肥満の原因 中医学では肥満の原因は、生まれつきの胃腸虚弱、食べ過ぎなどの飲食不節制、精神的ストレス、オーバーワークなどで「湿熱痰飲気滞血お」が内生することによると考えています。具体的には、胃腸の働きが悪く、消化吸収能力が低下し、余分な水分廃棄物がたまり、むくみ、水太り、だるい、めまい、吐き気などを生じます。 栄養を吸収できずエネルギーが不足し、血液不足で貧血やめまいが生じる場合は「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」、「十全大補湯(じゅうぜんたいほとう)」などの漢方薬が有効です。またエネルギー不足で元気不足、動くと汗が出たり、体がだるくなる症状には「麦味参(ばくみさん)」、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、「衛益顆粒(えいえきかりゅう)」。血液不足により肝血が不足し、体の陰分が不足して熱を押さえることができず、顔・頬が赤くなる症状には「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」。湯に入ると熱が頭に昇り、のぼせが生じ、湯船にゆっくり浸かれない症状には、「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」、「杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)」。血陰が不足するので高齢とともに腎に影響し、「肝腎陰虚」となり耳鳴りも生じた場合は、「耳鳴丸(じめいがん)」を。 胃腸の消化吸収が弱いと血が不足して脳にも栄養がめぐらず不眠に。その場合は「帰脾湯(きひとう)」、「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」。不眠動悸の症状には「天王補心丹(てんのうほしんたん)」、「酸棗仁湯(さんそうにんとう)」を。 血流がとどこおり子宮や卵巣の環境が悪いなどの肥満が原因の諸症状に漢方薬を試してみる 更年期に入ると、同じくのぼせ・ほてり・寝汗・不眠・動悸などが出現します。水分老廃物によって血液の流れがとどこおり、肩こりや頭痛となった場合には、「補中益気湯(ほちゅうえっきとう)」、「逍遥丸(しょうようがん)」、「冠元顆粒(かんげんかりゅう)」、「半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)」、「温胆湯(うんたんとう)」を用います。月経は血液がとどこおり排泄されず、子宮や卵巣の環境が悪くなり、卵の育ちも今一歩になります。つまり、胃腸の消化吸収を良くして血液量を増やし、体のすみずみまで、とくに子宮、卵巣に十分な栄養を与えることが必要となります。 佐々木 弘隆先生 国際中医専門員(国際中医師)学会認定不妊カウンセラー。中国南京中医薬大学病院にて周期療法の大家である国医大師、夏桂成教授のもとで研修。さらに山東省、成都、西安の各大学病院にて研鑽を積む。本来備わっている「妊娠する力」を高める手助けを行っている。
2015.1.28
コラム 妊活
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二人目は自然妊娠で産みたいが、産後5か月で乳腺が詰まりやすく、母乳量が少ない。出産で子宮内膜症は改善するの?
相談者 ひよこえみ さん(33歳) 【不妊の原因:子宮内膜症】 ○なんだか疲れやすい ○胃腸が弱い ○冷え性である ○月経前になると乳房や下腹部が張る ○ゲップやおならが出やすい ○イライラをため込みやすい ○気分によって食欲にムラがある ○肌や髪にツヤがない ○肩こりや頭痛が慢性的にある ○レバーのような経血の塊がでる ○のどが乾きやすい ○寝不足の日が多い ○とくにおなかや下半身が冷える ○冷たい飲みもの・料理は苦手 ○肌は脂性で吹き出物が出やすい ○体が重く、いつもだるい ○むくみやすい ○痰が出やすい ○いつも眠い 漢方医学では子宮内膜症をお血と考えており、お血体質を改善することで根本治療ができる まずは、第一子のご出産おめでとうございます。子宮内膜症は不妊症の原因になることもありますので、体外受精1回目で妊娠できたことは良かったですね。子宮内膜症とは、もともと子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜が、それ以外の場所に発生し、そこで増殖する疾患です。 通常の子宮内膜は月経のときに子宮から経血とともに排泄されますが、卵巣や腹腔内などに子宮内膜の細胞があると月経のたびに出血し、その場にとどこおり、痛みや不快な症状を引きおこします。 妊娠すると子宮内膜症が一時的に改善しても月経が再開すると再発することもあり注意が必要 妊娠すると月経が止まり、子宮内膜は剥がれないため子宮内膜症の症状もおきません。場合によっては一時的に改善することもあります。けれども、根本から治ったわけではないので、月経が再開すると再発することもあります。 漢方医学では子宮内膜症を「お血」と考えており、「お血」体質を改善することで根本治療となり、重度のケースを除けばたいへん有効です。 現在は産後5か月で月経はまだきていないようですね。時期からみて月経がきていないのは心配ありません。ただ、母乳が出にくいのは少し心配ですね。乳腺が細く詰まりやすいという症状は、漢方医学では「肝経」のとどこおりと考えられ、「お血」とも関係があります。 気になる症状から、月経前の張りやイライラ、ゲップやおならが出やすいなどの「肝気鬱結(肝経のとどこおり)」、胃腸が弱い、疲れやすい、いつも眠いなどの「脾胃気虚」、そして子宮内膜症による月経痛や肩こり、頭痛、冷え性などの「お血」の症状がみられます。 漢方薬で肝気のめぐりを良くして胃腸を整えお血体質の改善を行うことで自然妊娠できる このような症状から考えると、肝気のめぐりを良くして胃腸を整え「お血」を改善することにより、第二子を自然妊娠で授かるための体質改善ができると思います。同時に母乳の分泌も良くなるでしょう。 具体的な漢方薬としては、肝気のめぐりを良くして胃腸を整える「逍遥散(しょうようさん)」や「加味逍遥散(かみしょうようさん)」、冷え性や「お血」を改善する「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」や「血府逐お丸(けっぷちくおがん)」、「折衝飲(せっしょういん)」などを2~3種類選択し、状況に合わせて組み合わせると良いと思います。漢方薬で体質改善を行い、第二子を自然妊娠で授かりますよう、心より願っています。 小島 晃先生 1990年東京薬科大学卒業。1993年からイスクラ中医薬研修塾で1年間学び、1994年より小島薬局本店で漢方相談に従事する。1995年から3年間北京中医薬大学日本校でさらに中医学を研鑽し、1998年の卒業と同時に国際中医師試験に合格。2008年にイスクラ中医薬経営塾の講師に就任。2008年に湖北民族学院客員教授に就任。2011年に湖北中医薬大学客員教授に就任。 相談者 ひよこえみ さん(33歳) 【不妊の原因:子宮内膜症】 ○なんだか疲れやすい ○胃腸が弱い ○冷え性である ○月経前になると乳房や下腹部が張る ○ゲップやおならが出やすい ○イライラをため込みやすい ○気分によって食欲にムラがある ○肌や髪にツヤがない ○肩こりや頭痛が慢性的にある ○レバーのような経血の塊がでる ○のどが乾きやすい ○寝不足の日が多い ○とくにおなかや下半身が冷える ○冷たい飲みもの・料理は苦手 ○肌は脂性で吹き出物が出やすい ○体が重く、いつもだるい ○むくみやすい ○痰が出やすい ○いつも眠い 漢方医学では子宮内膜症をお血と考えており、お血体質を改善することで根本治療ができる まずは、第一子のご出産おめでとうございます。子宮内膜症は不妊症の原因になることもありますので、体外受精1回目で妊娠できたことは良かったですね。子宮内膜症とは、もともと子宮の内側にしか存在しないはずの子宮内膜が、それ以外の場所に発生し、そこで増殖する疾患です。 通常の子宮内膜は月経のときに子宮から経血とともに排泄されますが、卵巣や腹腔内などに子宮内膜の細胞があると月経のたびに出血し、その場にとどこおり、痛みや不快な症状を引きおこします。 妊娠すると子宮内膜症が一時的に改善しても月経が再開すると再発することもあり注意が必要 妊娠すると月経が止まり、子宮内膜は剥がれないため子宮内膜症の症状もおきません。場合によっては一時的に改善することもあります。けれども、根本から治ったわけではないので、月経が再開すると再発することもあります。 漢方医学では子宮内膜症を「お血」と考えており、「お血」体質を改善することで根本治療となり、重度のケースを除けばたいへん有効です。 現在は産後5か月で月経はまだきていないようですね。時期からみて月経がきていないのは心配ありません。ただ、母乳が出にくいのは少し心配ですね。乳腺が細く詰まりやすいという症状は、漢方医学では「肝経」のとどこおりと考えられ、「お血」とも関係があります。 気になる症状から、月経前の張りやイライラ、ゲップやおならが出やすいなどの「肝気鬱結(肝経のとどこおり)」、胃腸が弱い、疲れやすい、いつも眠いなどの「脾胃気虚」、そして子宮内膜症による月経痛や肩こり、頭痛、冷え性などの「お血」の症状がみられます。 漢方薬で肝気のめぐりを良くして胃腸を整えお血体質の改善を行うことで自然妊娠できる このような症状から考えると、肝気のめぐりを良くして胃腸を整え「お血」を改善することにより、第二子を自然妊娠で授かるための体質改善ができると思います。同時に母乳の分泌も良くなるでしょう。 具体的な漢方薬としては、肝気のめぐりを良くして胃腸を整える「逍遥散(しょうようさん)」や「加味逍遥散(かみしょうようさん)」、冷え性や「お血」を改善する「婦宝当帰膠(ふほうとうきこう)」や「血府逐お丸(けっぷちくおがん)」、「折衝飲(せっしょういん)」などを2~3種類選択し、状況に合わせて組み合わせると良いと思います。漢方薬で体質改善を行い、第二子を自然妊娠で授かりますよう、心より願っています。 小島 晃先生 1990年東京薬科大学卒業。1993年からイスクラ中医薬研修塾で1年間学び、1994年より小島薬局本店で漢方相談に従事する。1995年から3年間北京中医薬大学日本校でさらに中医学を研鑽し、1998年の卒業と同時に国際中医師試験に合格。2008年にイスクラ中医薬経営塾の講師に就任。2008年に湖北民族学院客員教授に就任。2011年に湖北中医薬大学客員教授に就任。
2015.1.23
コラム 妊活
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健康診断は問題なく健康体だけど現在、改善しつつある過食嘔吐歴7年は不妊の原因になるの?
相談者 はまこ さん(33歳) 【不妊の原因:不明・多嚢胞性卵巣症候群・高プロラクチン・多嚢胞】 ○冷え性である ○月経前になると乳房や下腹部が張る ○気分によって食欲にムラがある ○肩こりや頭痛が慢性的にある ○寒がりである ○手足がいつも冷たい ○太りやすい ○体が重く、いつもだるい ○むくみやすい ○痰が出やすい ○いつも眠い 妊娠に過食嘔吐は不利になるので治療や漢方薬で改善して妊娠力を強くする 過食嘔吐は心理的な原因で、食べものを大量に食べたあと自己誘発性嘔吐する、下剤を使って排出するなどをくり返す病気で、摂食障害のひとつです。体重が減少するほかに、女性ホルモンのバランスが乱れ、その結果として無月経がおこることがあります。無月経期間が長く続くと子宮、卵巣に影響を与え、不妊の原因となります。 また、妊娠しても過食嘔吐の習慣は栄養欠損となり、胎児に影響を与え、流産や不育症になることもあります。 漢方薬で体質改善しホルモンのバランスや卵胞の発育、生殖機能をつかさどる「腎」機能を上げる 妊娠に関係する性腺刺激ホルモンを分泌放出するのは視床下部で、摂食行動をつかさどる本態行動の中枢でもあり、さらに、悲しみや怒り、不安、ストレスなど情動行動の中枢でもあります。 つまり摂食障害やストレスはホルモン中枢である視床下部に悪影響を与え、妊娠には不利になります。はまこさんの不妊の原因も過食嘔吐が引きおこすホルモンバランスの不調と深く関係するのです。 はまこさんは今日まで大変努力され、過食嘔吐が改善されていい方向へ向かっていますので、さらに漢方薬で体質改善することをおすすめします。 中医学ではホルモンのバランスや卵胞の発育、生殖機能をつかさどるのは「腎」の力と考えます。冷え性、寒がり、手足がいつも冷たい体質は「腎陽虚」です。「鹿茸製剤」「胎盤製剤」などで温め、「腎」機能を上げる漢方薬が必要です。「補腎陽」で妊娠力とともに免疫力も生命力も強くなります。 「気分変調症」の状態が回復すると諸症状は改善され、ホルモンも安定して妊娠しやすい体になる 気分によって食欲にムラがある、慢性的肩こり、頭痛、倦怠感、いつも眠いなどの「気分変調症」がみられます。 これらは中医学では「肝鬱」といいます。慢性的肩こり頭痛は「肝鬱によるお血」、倦怠感や眠いは「肝鬱による気虚」と考えます。月経前の乳房と下腹部の張りは「肝鬱気滞」といい、プロラクチンと関係します。浮腫みやすい、痰が出やすいは「痰湿」と考え、「肝鬱」により代謝機能が悪く「湿」が溜まり、多嚢胞や多嚢胞卵巣症候群と関係します。「理気薬」「疏肝薬」「解鬱薬」などの漢方薬を利用しながら「肝鬱」を改善して、しばらくは心理療法のサポートも必要です。「肝鬱」の状態が回復すると諸症状は改善され、ホルモンも安定して妊娠しやすい体になると思います。 峯崎 リヨ子先生 薬剤師。日本不妊カウンセリング学会会員、認定不妊カウンセラー。認定日本食品保健指導士。日本中医薬研究会の不妊講座で周期調節法を学び「南京中医薬大学病院」「広州中医薬大学病院」などで研修。不妊症をはじめ、さまざまな相談を受けている。「最新東洋医学の名医134 人(有楽出版社)」で紹介される。 相談者 はまこ さん(33歳) 【不妊の原因:不明・多嚢胞性卵巣症候群・高プロラクチン・多嚢胞】 ○冷え性である ○月経前になると乳房や下腹部が張る ○気分によって食欲にムラがある ○肩こりや頭痛が慢性的にある ○寒がりである ○手足がいつも冷たい ○太りやすい ○体が重く、いつもだるい ○むくみやすい ○痰が出やすい ○いつも眠い 妊娠に過食嘔吐は不利になるので治療や漢方薬で改善して妊娠力を強くする 過食嘔吐は心理的な原因で、食べものを大量に食べたあと自己誘発性嘔吐する、下剤を使って排出するなどをくり返す病気で、摂食障害のひとつです。体重が減少するほかに、女性ホルモンのバランスが乱れ、その結果として無月経がおこることがあります。無月経期間が長く続くと子宮、卵巣に影響を与え、不妊の原因となります。 また、妊娠しても過食嘔吐の習慣は栄養欠損となり、胎児に影響を与え、流産や不育症になることもあります。 漢方薬で体質改善しホルモンのバランスや卵胞の発育、生殖機能をつかさどる「腎」機能を上げる 妊娠に関係する性腺刺激ホルモンを分泌放出するのは視床下部で、摂食行動をつかさどる本態行動の中枢でもあり、さらに、悲しみや怒り、不安、ストレスなど情動行動の中枢でもあります。 つまり摂食障害やストレスはホルモン中枢である視床下部に悪影響を与え、妊娠には不利になります。はまこさんの不妊の原因も過食嘔吐が引きおこすホルモンバランスの不調と深く関係するのです。 はまこさんは今日まで大変努力され、過食嘔吐が改善されていい方向へ向かっていますので、さらに漢方薬で体質改善することをおすすめします。 中医学ではホルモンのバランスや卵胞の発育、生殖機能をつかさどるのは「腎」の力と考えます。冷え性、寒がり、手足がいつも冷たい体質は「腎陽虚」です。「鹿茸製剤」「胎盤製剤」などで温め、「腎」機能を上げる漢方薬が必要です。「補腎陽」で妊娠力とともに免疫力も生命力も強くなります。 「気分変調症」の状態が回復すると諸症状は改善され、ホルモンも安定して妊娠しやすい体になる 気分によって食欲にムラがある、慢性的肩こり、頭痛、倦怠感、いつも眠いなどの「気分変調症」がみられます。 これらは中医学では「肝鬱」といいます。慢性的肩こり頭痛は「肝鬱によるお血」、倦怠感や眠いは「肝鬱による気虚」と考えます。月経前の乳房と下腹部の張りは「肝鬱気滞」といい、プロラクチンと関係します。浮腫みやすい、痰が出やすいは「痰湿」と考え、「肝鬱」により代謝機能が悪く「湿」が溜まり、多嚢胞や多嚢胞卵巣症候群と関係します。「理気薬」「疏肝薬」「解鬱薬」などの漢方薬を利用しながら「肝鬱」を改善して、しばらくは心理療法のサポートも必要です。「肝鬱」の状態が回復すると諸症状は改善され、ホルモンも安定して妊娠しやすい体になると思います。 峯崎 リヨ子先生 薬剤師。日本不妊カウンセリング学会会員、認定不妊カウンセラー。認定日本食品保健指導士。日本中医薬研究会の不妊講座で周期調節法を学び「南京中医薬大学病院」「広州中医薬大学病院」などで研修。不妊症をはじめ、さまざまな相談を受けている。「最新東洋医学の名医134 人(有楽出版社)」で紹介される。
2015.1.15
コラム 妊活
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不眠気味で午前中は寝ていることが多い。生活リズムの乱れは不妊につながるの?
相談者 Ku さん(32歳) 【不妊の原因:多嚢胞性卵巣症候群】 ○なんだか疲れやすい ○朝、起きることができない ○少し動くだけで汗が出る ○カゼをひきやすい ○月経前になると乳房や下腹部が張る ○ゲップやおならが出やすい ○イライラをため込みやすい ○眠れないことが多い ○気分によって食欲にムラがある ○めまいや立ちくらみがよくある ○目がかすんだり疲れる ○顔にシミやクマが出やすい ○肩こりや頭痛が慢性的にある ○からいものをよく食べる ○寒がりである ○とくにおなかや下半身が冷える ○体が重く、いつもだるい ○むくみやすい 卵巣機能低下など不妊につながる睡眠不足生活養生のなかでも睡眠がいちばん大切 生活リズムの乱れが不妊につながるかどうか悩んでいらっしゃるKuさんにアドバイスします。まず、腎・生殖器が働いてホルモンをつくる時間帯は夜10時から午前2時の間といわれています。この時間帯に眠っている時間が多いほど、ホルモンをつくり、精を補うことができます。 生活の養生としては、このホルモンをつくる時間帯に眠っていることが大切です。夜10時に就寝するのが無理な方も多いでしょうが、せめて、11時には寝て、睡眠時間として7時間は取ってほしいと思います。体にある60兆個ある細胞のうち、1兆個が夜寝ている間に、入れ替わります。 睡眠時間が少ないと体の修復が進まないので、朝起きても体がだるい、疲れやすいという状態になります。もちろん、体が疲れていると卵巣機能も低下します。 ホルモンがつくられるといわれる夜10時から午前2時の時間帯に眠っている時間をなるべく多くする なんだか疲れやすい、朝起きることができない、少し動くだけで汗が出る、かぜを引きやすい、めまいや立ちくらみがよくある、目がかすんだり疲れる、顔にシミやクマが出やすい、肩こりや頭痛が慢性的にあるなどの症状は、睡眠不足からおこる症状です。 月経前になると乳房や下腹部が張る、イライラをため込みやすい、眠れないことが多い、気分によって食欲にムラがあるなどは、ストレスからおこる症状です。ストレスは同じようにかかってきても、考え方を変えることによって軽減させることができます。 「思考が細胞をコントロールする」という言葉があります。少しでもストレスにならないような考え方をして、よく眠れるようになるといいですね。 メラトニンがいちばん分泌されるのが夜11時ごろ、その時間に寝て朝は7時ごろに起きるようにする また、睡眠のリズムを整えることも大切です。眠りに入らせる物質であるメラトニンの働きを活用しましょう。 メラトニンがいちばん分泌されるのが夜11時ごろ。その時間に寝て、朝は7時ごろに起きるようにします。起きたら、すぐにカーテンを開けて朝日を浴びてください。日光がメラトニンの分泌を促進するからです。規則正しく睡眠のリズムを整えることで、脳内リズムも整います。そうなれば不眠も解消されていくはずです。 生活の養生のなかで睡眠がいちばん大切だと思います。睡眠のリズムを整えて、ぐっすり眠ってください。 歳森 三千代先生 薬剤師。昭和26年生まれ。長崎大学薬学部卒業後、林原生物化学研究所に勤務後、75年続く福神トシモリ薬局を支える。平成15年より本格的に子宝相談を始め、760人余りの方から妊娠の報告を受ける。現在も全国各地の相談者の声に寄り添い活躍中。著者に『私の子宝相談』(吉備人出版)、『続・私の子宝相談』(幻冬舎ルネッサンス)がある。 相談者 Ku さん(32歳) 【不妊の原因:多嚢胞性卵巣症候群】 ○なんだか疲れやすい ○朝、起きることができない ○少し動くだけで汗が出る ○カゼをひきやすい ○月経前になると乳房や下腹部が張る ○ゲップやおならが出やすい ○イライラをため込みやすい ○眠れないことが多い ○気分によって食欲にムラがある ○めまいや立ちくらみがよくある ○目がかすんだり疲れる ○顔にシミやクマが出やすい ○肩こりや頭痛が慢性的にある ○からいものをよく食べる ○寒がりである ○とくにおなかや下半身が冷える ○体が重く、いつもだるい ○むくみやすい 卵巣機能低下など不妊につながる睡眠不足生活養生のなかでも睡眠がいちばん大切 生活リズムの乱れが不妊につながるかどうか悩んでいらっしゃるKuさんにアドバイスします。まず、腎・生殖器が働いてホルモンをつくる時間帯は夜10時から午前2時の間といわれています。この時間帯に眠っている時間が多いほど、ホルモンをつくり、精を補うことができます。 生活の養生としては、このホルモンをつくる時間帯に眠っていることが大切です。夜10時に就寝するのが無理な方も多いでしょうが、せめて、11時には寝て、睡眠時間として7時間は取ってほしいと思います。体にある60兆個ある細胞のうち、1兆個が夜寝ている間に、入れ替わります。 睡眠時間が少ないと体の修復が進まないので、朝起きても体がだるい、疲れやすいという状態になります。もちろん、体が疲れていると卵巣機能も低下します。 ホルモンがつくられるといわれる夜10時から午前2時の時間帯に眠っている時間をなるべく多くする なんだか疲れやすい、朝起きることができない、少し動くだけで汗が出る、かぜを引きやすい、めまいや立ちくらみがよくある、目がかすんだり疲れる、顔にシミやクマが出やすい、肩こりや頭痛が慢性的にあるなどの症状は、睡眠不足からおこる症状です。 月経前になると乳房や下腹部が張る、イライラをため込みやすい、眠れないことが多い、気分によって食欲にムラがあるなどは、ストレスからおこる症状です。ストレスは同じようにかかってきても、考え方を変えることによって軽減させることができます。 「思考が細胞をコントロールする」という言葉があります。少しでもストレスにならないような考え方をして、よく眠れるようになるといいですね。 メラトニンがいちばん分泌されるのが夜11時ごろ、その時間に寝て朝は7時ごろに起きるようにする また、睡眠のリズムを整えることも大切です。眠りに入らせる物質であるメラトニンの働きを活用しましょう。 メラトニンがいちばん分泌されるのが夜11時ごろ。その時間に寝て、朝は7時ごろに起きるようにします。起きたら、すぐにカーテンを開けて朝日を浴びてください。日光がメラトニンの分泌を促進するからです。規則正しく睡眠のリズムを整えることで、脳内リズムも整います。そうなれば不眠も解消されていくはずです。 生活の養生のなかで睡眠がいちばん大切だと思います。睡眠のリズムを整えて、ぐっすり眠ってください。 歳森 三千代先生 薬剤師。昭和26年生まれ。長崎大学薬学部卒業後、林原生物化学研究所に勤務後、75年続く福神トシモリ薬局を支える。平成15年より本格的に子宝相談を始め、760人余りの方から妊娠の報告を受ける。現在も全国各地の相談者の声に寄り添い活躍中。著者に『私の子宝相談』(吉備人出版)、『続・私の子宝相談』(幻冬舎ルネッサンス)がある。
2015.1.15
コラム 妊活
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第一子の育児で寝不足気味。日中の昼寝で補える?完全ミルク育児なのに半年以上月経がない
相談者 おとわ さん(27歳) 【不妊の原因:多嚢胞性卵巣症候群・高プロラクチン・月経不順】 ○月経が乱れやすい ○湯船にゆっくり浸かれない ○便が黒ずんでいる事がある ○太りやすい 昼間の睡眠は活動的な日中の疲れを少しとるだけ夜の睡眠が体や精神を休め、ホルモン分泌も整える 小さなお子さまを育てていると、夜はなかなか熟睡できませんよね。とくに月齢が小さいと、3~4時間おきに起こされてミルクをあげたりおむつを替えたりで、寝た気がしない、寝たのに疲れが取れないというお母さんは多いはずです。 日中の昼寝が夜の寝不足を補えるかというと、残念ながらそれはできません。というのも、日中と夜では睡眠の質が違うからです。中医学では日中は陽に属し活動的な時間、夜は陰に属し静かに休む時間となります。昼間の睡眠は、活動的な日中の疲れを少しとる程度にすぎません。夜きちんと寝ることで、体を休めたり、精神を休めたり、成長ホルモンや女性ホルモンの分泌も整います。 とくに22時から2時までは、自然界の陰気が一番補充され、体内ではホルモン分泌が最も盛んになる重要な時間帯です。ですからこの時間帯に寝ることを、いつも患者さんにおすすめしています。 赤ちゃんの夜泣きがひどくて熟睡できないならベビーマッサージ、小児用の漢方や鍼もおすすめ お子さんの夜泣きの頻度は多いほうですか? もしも、夜泣きがひどくて熟睡できないのなら、ベビーマッサージなどで親子でのスキンシップをはかってみてください。マッサージなどで皮膚を刺激すると、ストレスホルモンの分泌が下がり、免疫機能が向上します。また、リラックス効果が高まることで夜ぐっすり眠れるようにもなります。マッサージは、赤ちゃんとパパやママの間に信頼関係も生まれます。 「甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)」「抑肝散(よくかんさん)」などは、お子さまの「疳の虫(かんのむし)」などに効果的ですので、もしも夜泣きで悩んでいるのでしたら、一度試されてみるのもいいと思います。また、小児鍼もありますよ。 出産後の月経再開の時期は個人差があるので1年くらいはあせる必要はないので様子をみよう もうひとつの質問である「完全ミルク育児なのに半年以上月経がこない」ですが、授乳していても早く月経が再開する人もいるし、おとわさんのような人もいて、かなり個人差があります。 もともと多嚢胞卵巣症候群や高プロラクチン血症などの基礎疾患も月経がきちんとこない原因になっていますので、月経がくるのに時間がかかるタイプなんだと思います。1年くらいはあせる必要はないと思いますので、少し様子をみてくださいね。 古村 恵利子先生 薬剤師・鍼灸師。大手製薬企業や病院など、西洋の医療に携わった後に、漢方の道を志す。自身の婦人科疾患、皮膚疾患の治療を通して東洋医学と出会い、その素晴らしさや必要性を痛感する。「漢方薬は体全体のバランスを整えて、本来あるべき体質に戻すもの。原因を見つけて体質改善=治病求本、健康な心が健康な体をつくる=心身一如」を念頭に、女性のあらゆる悩みに応えている。 相談者 おとわ さん(27歳) 【不妊の原因:多嚢胞性卵巣症候群・高プロラクチン・月経不順】 ○月経が乱れやすい ○湯船にゆっくり浸かれない ○便が黒ずんでいる事がある ○太りやすい 昼間の睡眠は活動的な日中の疲れを少しとるだけ夜の睡眠が体や精神を休め、ホルモン分泌も整える 小さなお子さまを育てていると、夜はなかなか熟睡できませんよね。とくに月齢が小さいと、3~4時間おきに起こされてミルクをあげたりおむつを替えたりで、寝た気がしない、寝たのに疲れが取れないというお母さんは多いはずです。 日中の昼寝が夜の寝不足を補えるかというと、残念ながらそれはできません。というのも、日中と夜では睡眠の質が違うからです。中医学では日中は陽に属し活動的な時間、夜は陰に属し静かに休む時間となります。昼間の睡眠は、活動的な日中の疲れを少しとる程度にすぎません。夜きちんと寝ることで、体を休めたり、精神を休めたり、成長ホルモンや女性ホルモンの分泌も整います。 とくに22時から2時までは、自然界の陰気が一番補充され、体内ではホルモン分泌が最も盛んになる重要な時間帯です。ですからこの時間帯に寝ることを、いつも患者さんにおすすめしています。 赤ちゃんの夜泣きがひどくて熟睡できないならベビーマッサージ、小児用の漢方や鍼もおすすめ お子さんの夜泣きの頻度は多いほうですか? もしも、夜泣きがひどくて熟睡できないのなら、ベビーマッサージなどで親子でのスキンシップをはかってみてください。マッサージなどで皮膚を刺激すると、ストレスホルモンの分泌が下がり、免疫機能が向上します。また、リラックス効果が高まることで夜ぐっすり眠れるようにもなります。マッサージは、赤ちゃんとパパやママの間に信頼関係も生まれます。 「甘麦大棗湯(かんばくたいそうとう)」「抑肝散(よくかんさん)」などは、お子さまの「疳の虫(かんのむし)」などに効果的ですので、もしも夜泣きで悩んでいるのでしたら、一度試されてみるのもいいと思います。また、小児鍼もありますよ。 出産後の月経再開の時期は個人差があるので1年くらいはあせる必要はないので様子をみよう もうひとつの質問である「完全ミルク育児なのに半年以上月経がこない」ですが、授乳していても早く月経が再開する人もいるし、おとわさんのような人もいて、かなり個人差があります。 もともと多嚢胞卵巣症候群や高プロラクチン血症などの基礎疾患も月経がきちんとこない原因になっていますので、月経がくるのに時間がかかるタイプなんだと思います。1年くらいはあせる必要はないと思いますので、少し様子をみてくださいね。 古村 恵利子先生 薬剤師・鍼灸師。大手製薬企業や病院など、西洋の医療に携わった後に、漢方の道を志す。自身の婦人科疾患、皮膚疾患の治療を通して東洋医学と出会い、その素晴らしさや必要性を痛感する。「漢方薬は体全体のバランスを整えて、本来あるべき体質に戻すもの。原因を見つけて体質改善=治病求本、健康な心が健康な体をつくる=心身一如」を念頭に、女性のあらゆる悩みに応えている。
2015.1.15
コラム 妊活
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PCOS治療中。漢方も考えているが体に合うのか不安。どのような体質改善が必要?
相談者 hirotan さん(29歳) 【不妊の原因:多嚢胞性卵巣症候群】 ○少し動くだけで汗が出る ○冷え性である ○月経が乱れやすい ○月経前になると乳房や下腹部が張る ○ゲップやおならが出やすい ○爪がもろく割れやすい ○顔にシミやクマが出やすい ○肌が乾燥しやすい ○のどが乾きやすい ○とくにおなかや下半身が冷える ○太りやすい ○むくみやすい ○冷たいものをよく摂る ○口の中がよく粘つく まずはしっかりと妊娠できる体の基礎を漢方薬の服用で準備してみる hirotanさんのチェック表を拝見する限り、改善していった方がいいと思われる点が多々見受けられます。順をおって説明していきましょう。 「気」には、体にためておく力があるが気が低下しているとためておくことができない 1. 人は体温調節のために汗をかくことは、通常の生理反応としてなんら問題はないのですが、「少し動くと汗が出る」のは、体の元気が少し不足しておきるもので、通常とは違うタイプの汗だと考えます。 漢方では「自汗(自然に出る汗)」というのがあり、この自汗が起きてしまう原因は「気」の不足だと考えます。元気の「気」には、体にとどめておく力があると考えられていますが、「気」が低下しているから汗をとどめておくことができず、少し動くと汗がでるのです。 2. 「月経の乱れ」「乳房、下腹部の張り」「ゲップ、おなら」は、「気」の流れの乱れにより引き起こされていると考えられます。漢方では「気血」の流れが正常に流れなくなると、張り・おならなどが多くなるという考えがあります。その原因はストレスによるものが多いのです。ストレスは月経周期を狂わせる大きな要因です。 3. 「爪がもろく…」「肌が乾燥しやすい」というのは、「血」の弱さが原因であると考えます。 漢方のなかには「血虚」という表現があり、これにあてはまる方は、hirotan さんと同じ症状をうったえることが多いのです。 また、「喉が渇きやすい」「冷たい物をよく摂る」「口の中が粘つく」は、この「血虚」の状態が進行し、血の不足や弱さだけでなく「津液(体内の正常な水)」にもおよんできたと考えられます。 顔にシミやクマが出やすいのは血の流れのとどこおりによって引きおこされた 4. 「顔にシミやクマが出やすい」ですが、これは1から3の状態が長い期間続き、血の流れのとどこおりによって引きおこされたと考えます。漢方では「お血」と表現します。 冒頭にもお話ししましたが、hirotanさんには、1から4を改善する漢方薬を服用することを強くおすすめします。hirotanさんはまだ29歳と若いので、漢方で体質改善してから、西洋の不妊治療を行っても遅くはないと思います。まずは、しっかりと妊娠できる体の基礎を漢方薬で準備しましょう。 岩本 治美先生 東京薬科大学卒。神奈川中医学研究会で漢方の研鑽を積み、30年以上漢方相談に従事。とくに女性特有の悩みが得意で、多くの女性の悩みを改善してきた。最近は不妊に悩まれている女性の相談に多くの時間を割いている。日本不妊カウンセリング学会会員。 相談者 hirotan さん(29歳) 【不妊の原因:多嚢胞性卵巣症候群】 ○少し動くだけで汗が出る ○冷え性である ○月経が乱れやすい ○月経前になると乳房や下腹部が張る ○ゲップやおならが出やすい ○爪がもろく割れやすい ○顔にシミやクマが出やすい ○肌が乾燥しやすい ○のどが乾きやすい ○とくにおなかや下半身が冷える ○太りやすい ○むくみやすい ○冷たいものをよく摂る ○口の中がよく粘つく まずはしっかりと妊娠できる体の基礎を漢方薬の服用で準備してみる hirotanさんのチェック表を拝見する限り、改善していった方がいいと思われる点が多々見受けられます。順をおって説明していきましょう。 「気」には、体にためておく力があるが気が低下しているとためておくことができない 1. 人は体温調節のために汗をかくことは、通常の生理反応としてなんら問題はないのですが、「少し動くと汗が出る」のは、体の元気が少し不足しておきるもので、通常とは違うタイプの汗だと考えます。 漢方では「自汗(自然に出る汗)」というのがあり、この自汗が起きてしまう原因は「気」の不足だと考えます。元気の「気」には、体にとどめておく力があると考えられていますが、「気」が低下しているから汗をとどめておくことができず、少し動くと汗がでるのです。 2. 「月経の乱れ」「乳房、下腹部の張り」「ゲップ、おなら」は、「気」の流れの乱れにより引き起こされていると考えられます。漢方では「気血」の流れが正常に流れなくなると、張り・おならなどが多くなるという考えがあります。その原因はストレスによるものが多いのです。ストレスは月経周期を狂わせる大きな要因です。 3. 「爪がもろく…」「肌が乾燥しやすい」というのは、「血」の弱さが原因であると考えます。 漢方のなかには「血虚」という表現があり、これにあてはまる方は、hirotan さんと同じ症状をうったえることが多いのです。 また、「喉が渇きやすい」「冷たい物をよく摂る」「口の中が粘つく」は、この「血虚」の状態が進行し、血の不足や弱さだけでなく「津液(体内の正常な水)」にもおよんできたと考えられます。 顔にシミやクマが出やすいのは血の流れのとどこおりによって引きおこされた 4. 「顔にシミやクマが出やすい」ですが、これは1から3の状態が長い期間続き、血の流れのとどこおりによって引きおこされたと考えます。漢方では「お血」と表現します。 冒頭にもお話ししましたが、hirotanさんには、1から4を改善する漢方薬を服用することを強くおすすめします。hirotanさんはまだ29歳と若いので、漢方で体質改善してから、西洋の不妊治療を行っても遅くはないと思います。まずは、しっかりと妊娠できる体の基礎を漢方薬で準備しましょう。 岩本 治美先生 東京薬科大学卒。神奈川中医学研究会で漢方の研鑽を積み、30年以上漢方相談に従事。とくに女性特有の悩みが得意で、多くの女性の悩みを改善してきた。最近は不妊に悩まれている女性の相談に多くの時間を割いている。日本不妊カウンセリング学会会員。
2015.1.15
コラム 妊活