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卵子の質が悪く多嚢胞も。今後も同じ治療を続けるべき?

コラム 不妊治療

卵子の質が悪く多嚢胞も。今後も同じ治療を続けるべき?

「医師からは、「またチャレンジしよう」と言われますが、今後も同じ治療を繰り返して質の良い卵子が採れるのを待つしかないのでしょうか。」

2017.11.17

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卵子の質が悪く多嚢胞も。今後も同じ治療を続けるべき?


松山 毅彦 先生(厚仁病院 生殖医療部門)







相談者:プルさくさん(39歳)


このまま同じ病院でもいいのか? 転院か?


2015年に治療を再開しました。最初は自然周期でしたが、途中でゴナールエフ®、レトロゾール、セトロタイド®、セロフェン®などを使用しながら10回も採卵をしています。夫婦ともにこれといった原因はありませんが、なかなか良好な受精卵ができません。今年の春には年齢のわりにAMHが高いため多嚢胞性卵巣症候群の可能性が大きいと診断されました。担当の医師からは「卵子の質がいまいちだ」と言われていますが、自分ではどうすることもできず、先日は空胞という結果が出てショックを受けています。医師からは、「またチャレンジしよう」と言われますが、今後も同じ治療を繰り返して質の良い卵子が採れるのを待つしかないのでしょうか。



 



回数を重ねるごとによくない結果が出ていますが、上向きになる可能性があるのでしょうか。


卵子の質については年齢も関係すると思いますが、プルさくさんの場合は年齢のわりにAMHが高いと診断されているのですから、下降線を辿っているとは思えません。卵巣の力は周期によって違いますから、次周期に同じ刺激法を採用しても、結果が違うことも多いです。


空胞は何を意味するのでしょう。


空胞は、採卵した卵胞に卵子が入っていない状態という意味で使われることが多いようです。プルさくさんの経過をみると、ゴナールエフ®、レトロゾール、セトロタイド®などを使用していますが、後半はレトロゾール単独で採卵したり、セロフェン®を併用したりといわゆる低刺激で採卵していますね。レトロゾール単独では1個採れて、その前はセロフェン®との併用で3個採れています。低刺激周期の場合は、もともと採れる個数が少なく、それがたまたま空胞だったということはありえます。ですから、それほど落胆しなくてもいいと思いますよ。私の場合は低刺激周期でクロミフェンを使いますが、たとえば3つ採卵してすべて空胞だったとしても、次の周期では必ずしも空胞とは限りません。このように、毎回同じ方法で採卵しても採れる個数や内容はまったく違います。


では、今後も同じ治療を繰り返していくしかないのでしょうか。


同じように思えますが、プルさくさんの経緯をみると担当の先生は少しずつ刺激法を変えているようです。最初のほうは刺激周期で採卵していますが、後半からはレトロゾールを使った低刺激周期に変わってきていますね。ですから、今の先生とよく相談しながら治療を続けてもいいのではとも思います。

私が見る限り、良い排卵誘発方法を選択していただいているように思えますが、それだけに結果が出ていないのが悩ましいですね。セカンドオピニオンも兼ねて転院を考えるのも悪くはないと思います。


転院すれば、何が変わるのでしょうか。


医師によって得意な方法をもっていることは多いです。おそらく担当の先生は多嚢胞性卵巣症候群の場合にゴナールエフ®のようなFSH製剤を使う、比較的基本に忠実な方法をとっていると思います。私もまずそこからスタートしますが、多少のアレンジを加えることによって、結果が変わることも経験しています。

転院については、私なら考えられる策を講じても結果が出ないときに患者さんから相談があれば、快く紹介状を書きます。優先すべきは、患者さんが健康な赤ちゃんを授かることですから。




松山先生より まとめ


●卵巣の力は周期ごとに違うので、同じに見えても結果は変わる。
●何か疑問があれば、先生と治療方針を相談しましょう。



 



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お話を伺った先生のご紹介





松山 毅彦 先生(厚仁病院 生殖医療部門)


東海大学医学部卒業。小田原市立病院産婦人科医長、東海大学付属大磯病院産婦人科勤務、永遠幸レディースクリニック副院長を経て、1996年厚仁病院産婦人科を開設。日本生殖医学会生殖医療専門医。毎年、年末年始も診療で忙しい松山先生。仕事の合間を縫って、長崎に住むお母さまを訪ねる予定とのこと。香川から長崎まで日帰りで行くそうで、鉄道好きの先生にとっては移動も楽しみのひとつなのだそうです。


≫ 厚仁病院 生殖医療部門


 


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter
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