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勇気を出して踏み出した一歩から急展開

コラム 不妊治療

勇気を出して踏み出した一歩から急展開

2017冬号

2017.11.10

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若くても、身体的な原因が見つからなくても妊娠できない…。「ホルモンチェック」がきっかけで予想外の治療の道へ—— 。




 


偶然目にしたホルモン検査の広告から、加速度的に進んだ不妊治療。「自分で調べて悶々としているだけでは何も始まらない。とにかくクリニックへ行って良かった」妊娠に至った今、E・Sさんはそう振り返ります。


「早く赤ちゃんが欲しい」想いとは裏腹に妊娠できない


某企業の人事課に勤務しているというE・Sさん。取材に応じてくれたのはようやく産休に入ったばかりの日。大きくなったお腹を抱えながら対応してくれました。

仕事柄、社員が結婚して苗字が変わり、妊娠して休職して…そんな人生のドラマの一部を目の当たりにしてきたといいます。だから何となく自分も結婚したら1年くらいで妊娠するのかな…そんなふうに考えていました。

E・Sさんのご主人は2歳年下。自分の家族を大切にする、子どもが大好きな方なのだそうです。お二人は28歳、26歳という適齢期で結婚し、ご主人も「体に負担がかからない若いうちに赤ちゃんを…」と望んでいたそうですが、妊娠には至らず、入籍からいつしか約2年の月日が経過していました。

 



ネットでみつけた記事をきっかけにホルモン検査へ


一度不妊治療について考えたほうがいいのかな…そんなことを考えながら、パソコンでクリニックの検索をしていたある日、E・Sさんはたまたま東京・銀座の「はるねクリニック」で女性のホルモンチェックのプログラムがあることを知ります。

「銀座なら会社からでも通える距離。とりあえず私だけでも行ってみようと思って…」と検査を受けることにしました。

検査の結果は特に問題なし。その後、ご主人も精液検査を受けますが、こちらにも問題はありませんでした。

「年齢も若いから大丈夫、と言われてそのままタイミング法へと移行しました。クリニックに行くと次の予約を入れる形になり、あれよあれよという間に展開した感じです」

タイミング法では6周期チャレンジしたものの、なかなか結果には至りません。そのまま流れるように次は人工授精へ。

「このころからいよいよ医療行為が始まったという感覚。主人もいろいろ調べてくれたようで、“必要な時は仕事休むから”と前向きでした」
 ところが、回を重ねても妊娠の兆候はありません。「私の体に問題があるわけでもなく、先生の指導の下、タイミングもベストなはずだからさすがに妊娠できると思っていたのに…。私って母親になる資格もないの?」

体には問題がない、でも全力を尽くしていても妊娠できない、これから治療が長引いて会社に迷惑をかけるのかも…。いろいろな思いが交錯し、だんだん気が滅入っていったE・Sさん。人工授精を6回繰り返した結果、先生からステップアップを勧められます。

 



今できることをやろう、体外受精へチャレンジ


走り出した不妊治療。ご主人とは「ここまできてやめてしまうのはもったいない。お金のことは考えず、できることを最優先しよう」と話し合ったそうです。この時、初めて会社の上司にも報告。お子さんがいて子育てにも積極的な上司は「仕事のことは気にしなくていいよ」と理解してくれたそうです。

初めての採卵では3個採卵できましたが、そのうち1個は分割が止まってしまいました。チャンスは2回。1回目の移植、「今度こそは…」と期待が募りました。しかしながら判定日の先生の答えは「このまま生理がくると思いますよ」という言葉。残る1個がダメならまた怖い採卵かと思うとE・Sさんの気持ちは落ち込んでいく一方でした。このころご主人にも変化が。

「同じ時期くらいに結婚してすでに赤ちゃんがいるファミリーのホームパーティに呼ばれても、理由をつけて断っていたようなんです。きっと私が家で注射をしている姿を見たりして、彼自身も気が滅入っていたのでしょうね」

次の周期を待って再び移植。判定日を待てずにE・Sさんは自分で妊娠検査をしてみたところ陽性反応が。「今度こそは妊娠できたかも!」淡い期待を抱いて臨んだ判定日でしたが、またもや結果は陰性。

「先生も万全の態勢で臨んでくれているのにどうして? と思うと申し訳なくなって…。先生の前では泣けませんでした。でも、この日初めて主人の前で耐えきれず泣いてしまいました」

仕事はフルタイム、休日は吹奏楽の団体でクラリネットを演奏しているE・Sさん。気の重い不妊治療も仕事や趣味で気持ちを紛らわしてきた一方、ふと現実に戻り悲しみが襲うことも増えてきました。

また、自分がたまたま行ったホルモン検査がきっかけになり、体外受精にまで進んだ体験を包み隠さず友人に話していたE・Sさん。時には友人に「私は不妊治療のフルコースやってるわよ!」と冗談混じりにアドバイスもしていたそう。ところがその友人は1、2回の通院であっという間に妊娠。「普通、少し通えば妊娠できるんだ…」アドバイスをしていたのに置いて行かれてしまったような焦燥感も重なってきました。

 


 



想定外の不妊治療が夫婦の絆を深めてくれたのかも


2回目の採卵では10個の卵子を採卵、そして移植。判定を待っていた待合室で、何の偶然か珍しくお母さまから「元気?」とメッセージが。突然の電話に気持ちが高まった直後に担当の先生から「良かったわね!」と待ちに待った一言が! 「混乱して、主人よりも母に一番に報告したかもしれません(笑)」とE・Sさん。

判定直後から早々につわりが始まり、「会社でもドアから廊下に出たとたんに吐きそうになっていました。でも、妊娠は“自己都合”ですから。もっとつらい人もいるはずと思って乗り切りました」となんともプロフェッショナル。家へ帰ると倒れこむように寝込んでいたE・Sさんに、食事を作ってくれたり、買い物に行ってくれたりとご主人は全力でサポートしてくれたそうです。

その後、切迫流産にも見舞われ心配は尽きませんでしたが、戌の日を機にご主人のご両親にも報告ができました。

「不妊治療をせずに妊娠、出産した人にはできない体験や想いがあったことは決して無駄にはならなかったと思います。諦めずに、いつか自分たちを選んでくれる赤ちゃんが来ると信じてきてよかった。私たち夫婦にとって気持ちを確かめ合える良い機会だったと思います」
 E・Sさん夫婦に赤ちゃんが誕生するのはもう間もなくです。


 


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter
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