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不妊からのうつ病でしょうか?

専門医Q&A 不妊治療

不妊からのうつ病でしょうか?

2018.7.18

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相談者:ミルクさん(主婦/31歳)



子宮内膜症、卵巣嚢腫持ちで1年自然妊娠しなかったので、今年の初めに腹腔鏡手術をしましたが、タイミング法でも妊娠せず、さらに3ヵ月で卵巣嚢腫が再発してしまい、体外受精をすすめられました。今月体外受精をし、卵のグレードなどは良かったものの、着床せず、結果は陰性でした。

マイナスにならないように、楽しいことをするようにしていて、がんばろ~とその時は思いますが、1日のうちに暗くなる自分と明るくなる自分の2種類が交互に出てきてしまうのです。あまりにも感情が一定ではなく、それが毎日繰り返されるので病気かと思ってしまいます。いつでも涙を流せる状態です。

もともとマイナス思考ではあるのですが、関西出身で旦那の転勤で関東に来ており、結婚2年目くらいまでは環境に馴染めないことに悩み、やっと慣れてきたと思ったら、今は病気、不妊に悩んでいて、本当に毎日辛いです。
結婚、転勤、手術、不妊の環境の変化からのうつ病でしょうか。動悸や、息苦しさも感じます。こういう場合は心療内科に行ったほうが良いのでしょうか。



ミルクさんは今どのような状態なのでしょうか?


「うつ病ではないか」と心配されているようですね。睡眠や食欲の状態、もともとどれくらいの活動ができていたかなど、細かく聞いていくと軽度のうつ病と診断される可能性はありますが、お話をうかがった印象ではそこまで至っていないように感じます。


 


うつ病まではいかないけれど、大きな悩みを抱えており、それに加えてマイナス思考という性格要因もあってストレスをなかなか上手に裁けない。なんとか自力で気持ちをもちあげようとするのだけど、そこまでエネルギーが続かず、再び落ちていってしまう。落ち込んだり、明るくなったりを繰り返すのは、そういうことだと思います。


 


これまで、このような経験はなかったのですよね。基本的には健常な心をしっかり持っている方なのだと思います。ただ、病気や不妊治療、環境の変化などいろいろなことで手一杯になり、余裕がなくなっている感じがします。落ち込んではまた気持ちを奮い立たせて……と頑張ってはいるけれど、さすがにキャパシティを超えてしまい、心が悲鳴をあげている。心だけでなく、動悸や息切れなど、ストレスは体にも影響を及ぼしているようですね。これは決して特別なことではなく、誰でもこのような状況に置かれれば心身ともに苦しくなると思います。


 


 


解決策はありますか?


ミルクさんにまず声をかけたいのは「あなたは本当に大変な状況にありますよね」ということ。でも、もしかしたら自分が今とても大変な状況にいるということを、理解しているようで理解していないのかもしれません。


 


「マイナスの状態にならないように楽しいことをしよう」というのは大事なことですが、そのためには、マイナスな自分もちゃんと認めてあげることが前提です。自分が抱えているマイナスの気持ちをごまかして、ただ「元気にならなくちゃ」と思うだけでは、かえってプレッシャーになってしまいます。無理して持ち上げているから力が尽きてしまうんですね。


 


辛い時は、その辛い気持ちに浸って、しっかり落ち込んでください。誰にも会いたくなければ会わなくてもいい。「誰かに迷惑をかけてしまう」と思ったら、いずれ元気になったときに恩返しできればいいと思ってください。だって、あなたは本当に大変な状況にいるのだから。自分の辛い気持ちに逆らわないでいれば、ちょっと余裕が出てきて、徐々に心が上向いていきます。その時に楽しめることを見つけていけば、さらに落ち着いてくるはずです。


 


 


心療内科を受診すべき?


現段階では病気とまでは言えないと思いますが、このまま我慢してやっていくと心がどんどん疲弊してきて、結果的にうつ病になってしまうというパターンもあります。気持ちの浮き沈みがなくなって毎日のように落ち込み、マイナス思考が2週間続いたら精神科や心療内科の受診を考えてください。


 


また、不眠や食欲不振など身体症状が強くなってくると、自分ひとりの力で乗り切ることもますます大変になってきます。動悸や息切れが実は鉄分不足からくる貧血の症状だったなどということもありますから、心療内科で身体状態をチェックしてもらいながら心身両面の経過をみていくということも大切です。


 


 


 


安田先生より まとめ


「心療内科や精神科を受診するのはハードルが高い」と思っている方もいるかもしれません。「辛いけれど、どうしようか」と迷っていたら、一度受診されてみることをおすすめします。医師と話をするだけですっきりするというケースも結構ありますし、質問に答えることで自分が今どのような心の状態にあるのか気づくこともあります。どうしても受診に抵抗があり、もし通院されている施設に不妊カウンセリングがあるようなら、まずそこで相談されてみるのもいいかと思います。


 


お話を伺った先生のご紹介

安田 貴昭 先生(俵IVFクリニック)




浜松医科大学医学部卒業。日本精神神経学会精神科専門医・指導医、精神保健指定医、臨床心理士。埼玉医科大学総合医療センター・メンタルクリニック講師。俵IVFクリニックでは毎月第4木曜日、メンタルヘルス外来を担当。心の専門医として、不妊治療中や妊娠初期の患者さんのメンタルケアを行っています。


≫ 俵IVFクリニック

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