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3回の流産と化学流産のあと、1度も着床せず……。 このまま続けていいの?

コラム 不妊治療

3回の流産と化学流産のあと、1度も着床せず……。 このまま続けていいの?

「流産後のそれは、手術が原因で着床しにくいのかもしれないとのことでした。今後もこのまま胚盤胞を戻し続けていいのかと迷っています。」

2015.5.8

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セカンドオピニオン Part2|高度不妊治療(ART)


3回の流産と化学流産のあと、1度も着床せず……。 このまま続けていいの?



相談者:アビィさん(42歳)


流産後の着床障害について
3回の流産の後、1度化学流産を経験し、その後まったく着床しなくなりました。3回目の流産の後、不育症の検査などをした結果、甲状腺の若干の異常(バセドウ病)と子宮内癒着が見つかりました。その後、子宮内膜が最大で8㎜までしか厚くなりません。最後の妊娠から3年の間に採卵3回、卵胞は問題なく採取できて胚盤胞まで育ち、すでに8回は戻していますが、着床しません。戻す際には、培養液を着床しやすいものにしています。今、通っているクリニックでは、流産後のそれは、手術が原因で着床しにく
いのかもしれないとのことでした。今後もこのまま胚盤胞を戻し続けていいのかと迷っています。



最初に、着床障害とはどのような症状を指すのか教えてください。


宇津宮先生:着床は、卵子と精子が受精して受精卵になった後、子宮内膜に根を張り、定着することをいいます。反対に、何らかの原因によって受精卵が定着しないことがあり、その症状を着床障害とします。


アビィさんの流産3回、化学流産1回の経験は、その後の着床に影響していますか?


宇津宮先生:流産は、すべての妊娠の10~20%で起こりうるのですが、そのなかで流産を2回以上繰り返すことを反復流産、3回以上を習慣流産といいます。原因は1つではあ
りませんが、女性の加齢とともに増加すること、女性の高齢に起因する受精卵の染色体異常によるものが7割近くを占めることから、年齢が大きく影響していることがわかります。一方の化学流産は、尿検査などで妊娠反応はあるものの、子宮内に胎嚢が確認される前に流産となることを指します。通常の生理のような出血があり、習慣流産には含まれません。アビィさんの主治医は流産を繰り返すことから着床障害(不育症)を疑い、その後の検査・治療の選択に至ったのだと思われます。


着床しない理由として、どのようなことが考えられますか? 子宮内膜の厚さや癒着、甲状腺異常は関係していますか?


宇津宮先生:受精卵や胚盤胞が着床しにくい理由として、子宮内のトラブルの場合があります。そのため、アビィさんの主治医は子宮鏡検査も行ったと推測できます。アビィさんが気にしている子宮内膜の厚さについては、受精卵を受け入れる子宮環境として8㎜もあれば十分です。理解していただ
きたいのは、受精卵を子宮に戻せているのですから、子宮内膜の状態には問題はないということ。子宮鏡検査で癒着が見つかり、手術したことによって着床しにくくなっているとのことですが、きちんと手術して処置しているのですから、あまりネガティブに捉えないでいただきたいですね。甲状腺の異常が流産の直接的な原因になるのかは不明ですが、異常のある方が流産しやすい傾向はあります。バセドウ病は、甲状腺ホルモンが過剰に出てしまう病気です。しかし、アビィさんのケースでは心配する必要はありません。数値的にも妊娠に影響せず、投薬の必要もない軽度なもののようですから。さらに、子宮内膜の厚さは8㎜あるので黄体機能不全でもなく、抗リン脂質抗体など自己免疫異常の検査も行うなど、きちんとした専門の主治医のもとで確実に治療・検査を進めているようですから、心配ないということを理解していただきたいですね。


着床しやすい培養液とは?


宇津宮先生:そういう培養液は確かにあります。細胞を接着するために必要なヒアルロン酸が、通常の培養液よりも多く配合されていて、その培養液の中に入れると子宮に着床しやすいというアイデア商品ではありますが、果たしてそこまでの効果があるかは疑問です。当院でも使用してみたことはありますが、特に差は見受けられませんでした。


では、今後のアビィさんの治療について、先生のお考えをお聞かせください。


宇津宮先生:身長163㎝で体重32㎏ですから、痩せすぎなのが気になりますし、年齢の心配もありますが、ぜひとも止まらずに進んでいただきたい。相談内容の最後の一文に「このまま胚盤胞を戻し続けていいのか」と書いていますが、それでいいのです。ただし、方法は少し考える必要があるでしょう。


具体的にはどのようなことですか?


宇津宮先生:現在42歳なので、そろそろ排卵しなくなる可能性があることを念頭に置き、この1年を勝負だと思っていただきたい。迷っている時間はありません。40歳を過ぎると、受精卵10個のうち、戻せるグレードは1個程度。10個の良質な胚盤胞をつくるためには、20~25個の卵胞が必要になる、という計算です。3年前に妊娠を1度していますが、それから現在までに採卵は3回。1年に1回の計算で非常に少ない。採卵方法について記入がありませんが、自然周期ではないかと推測されます。10個の卵を採るために10カ月かかる自然周期は、現状で考えても正しい選択だとはいえません。排卵刺激をして卵を一度にたくさん採り、戻すタイミングなどもちゃんとコントロールしてあげることに重点を置いていただきたいですね。


最後に、アドバイスをお願いします。


宇津宮先生:アビィさんの着床しない原因は、年齢に起因する受精卵の染色体異常が大きいと思われます。染色体に異常があれば、当然、着床しません。とはいっても、悲観
的になることは決してありません。アビィさんの通っているクリニックは不妊治療の専門で、信頼できる主治医のもとで治療しているように見受けられます。だからこそ、排卵誘発で卵の数を増やし、時間をかけず、短い期間で何度もトライしていただきたいですね。



≫ ジネコ注目のスタッフ



大津 英子


患者さんの思いが詰まった、一人の“人”として接しています


管理胚培養士 大津 英子さん




私たち胚培養士は、採卵した卵子を患者さんの思いの詰まった“人”として、最後まで大切に扱うことを常に心掛けています。セント・ルカに勤務する胚培養士8名のうち有資格者は7名。勤続年数が長く、家族よりもたくさんの時間を共有してお互いに切磋琢磨し合える環境だと思っています。今年2年目の新人スタッフも資格取得に挑戦しますから、スタッフ全員が有資格者になる日も遠くありません。不妊治療を続けている患者さんにとって、採卵後の卵子がどう扱われているのか、どのように受精させているのかなど、わからないことだらけの分野だと思います。当院では、胚培養士自らがお答えしますから、不安や疑問などがあれば、何でも聞いていただきたいと思っています。





出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.26 2015 Summer
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