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より精度の高い体外受精へ導く、最先端の 「タイムラプス・モニタリングシステム」とは?

コラム 不妊治療

より精度の高い体外受精へ導く、最先端の 「タイムラプス・モニタリングシステム」とは?

より精度の高い体外受精へ導く、最先端の 「タイムラプス・モニタリングシステム」とは?

2015.5.20

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プリモビジョンとエンブリオスコープのタイムラプス最先端技術を開発・販売しているヴィトロライフ社は、スウェーデンに本拠地を置く不妊治療関連商品のワールドリーダー。同社のタイムラプス・モニタリングシステムが今、脚光を浴びています。現在、導入台数を大幅に増やし、原則すべての体外受精に採用することとした福井ウィメンズクリニックの福井先生を訪問。その有用性をお聞きしました。


デリケートな胚にストレスをかけない安定した管理体制


「プリモビジョン」によるタイムラプス・モニタリングの技術は、どのような役割を果たすのでしょうか。


福井先生:タイムラプス・モニタリングシステムは、胚をインキュベーターに入れたまま観察ができるシステムです。これまでは、胚を観察する際は定期的に培養士がインキュベーターから取り出し、顕微鏡で観察していました。この作業のために胚が何度も外気や光に触れることになり、培養液中のph値が変わったり温度が低下したりと、胚に不要なストレスをかけてしまいます。しかし、この
タイムラプス・モニタリングシステムは、胚をインキュベーターに入れたまま観察ができるので、胚にとってより良い環境で培養することができます。


タイムラプス技術で撮った画像を、どのように活用されていますか。


福井先生:タイムラプスで撮った画像は、一定の間隔で撮り続けるため膨大な枚数となり、それをアニメーション化することで動画として見ることができま
す。胚の成長過程を確認することができるので、最終的な胚の選択に非常に役立っています。これまでは、移植前にどの胚がふさわしいかを見極める際の主な判断材料は移植前の胚の形状だけでした。ところがこのタイムラプス技術を採用してからは、胚の成長過程も参考にしながら選ぶことができるようになりました。これはとても画期的で、たとえば最終的にきれいな胚盤胞に育っていても、分裂の過程で問題が見つかればその胚は移植しても妊娠の可能性が低いと判断できるようになりました。


成長過程を見ることで異常を発見良好胚が選択しやすい


良好胚と不良胚の成長をタイムラプスでモニタリングした場合、どのような違いがありますか。


福井先生:良好胚の場合は、時間を追うごとにきれいに分裂しています。一方、不良胚は一度分割したものが時間を追うとくっついていたり、速度にばらつきがあったり、極端にスピードが遅かったりと、スムーズな動きが見えません。分割のしかたを見ると不良とわかる胚でも最終的に形が良ければ良好胚に見えてしまうのですから、タイムラプス技術で得られる情報の有用性を実感できます。


福井ウィメンズクリニック 福井 敬介 先生


「百聞は一見にしかず」コミュニケーションが円滑になる


患者さんや現場スタッフの方々からの反響はいかがでしょうか。


福井先生:写真ではなく動画を見ることで生命を感じることができます。映像を見ると、皆さん自分の卵に愛情が湧いてきて、不妊治療により前向きになるのを感じます。もし、うまく成長しなかったとしても、映像として動きが鈍る過程を見ることで、受け止め方が全然違ってくるんです。当院では胚の映像を有料(USB代)で提供しています。自宅に持ち帰り、夫婦で映像を見ることで、ご主人からの協力も得やすくなるのではないでしょうか。子どもが生まれて大きくなったら、見せてあげるのもいいでしょう。また、ラボの培養士たちからは、新人もベテランも安定した管理ができ、ストレスなく、仕事に取り組めているようです。映像には画像の何倍も説得力があるので、私自身も患者さんとのコミュニケーションにとても役立っています。


治療へのメリットは?


吉田先生:1個しか採卵できなかった患者さんに対しては、その胚を移植するしかありませんが、複数個の胚が採れて育った場合には「どの胚を移植すべきか」という選択がしいられます。特に反復ART不成功例の患者さんにとっては、できるだけ妊孕性が高い胚を選択するための指標が必要です。現在の胚の評価方法の多くは、形態から判断され、形の良い胚は妊孕性が高いと考えられていますが、実はそれだけでは測れないのです。5日目に見た目にもきれいな胚盤胞になっていても、胚盤胞になるまでの途中経過で、分割の仕方、スピードに異常があることも考えられます。胚の評価方法は、受精後から約1日後に2分割、3日後には8分割に、とステージごとに評価方法があります。見た目だけでなく、そのタイムステージに則って順調に育ってきたかどうかも大変重要なポイントとなります。医師としては、1つの胚からできるだけ多くの情報を得たい。プリモビジョンでは、その成長過程で起きた変化をさかのぼることができ、これまで以上に詳しくたどることができるのです。プリモビジョンは良好な胚を選ぶためだけではなく、異常胚を移植しないようにするためにも使うことが可能です。たとえば1個の割球が直接3個に分割してしまうことがあります。このような胚は妊娠する可能性が極めて低いため移植するべきではありません。


現在、タイムラプス・モニタリングの対象となる患者様はどのような方でしょうか。


福井先生:最初のうちは、40代以上の方を対象としていました。ところが思った以上に培養士や患者さんから反響があり、私自身も有用性があると感じたので、
半年後には、基本的にすべての患者さんを対象とすることに決め、一気に導入台数を増やしました。現在は、すべての機器が稼働している状況です。




▼ タイムラプスとは?



培養庫内の胚の成長過程を、定期的に自動撮影するシステム


タイムラプス(Time-lapse)とは、任意で設定した時間間隔でカメラのシャッターが押され、画像が記録される“コマ撮り”のこと。防犯カメラや気象などの定点観測などによく用いられる技術で、時間(time)経過(lapse)による画面の変化が動画よりも見てとりやすい。不妊治療分野では、シャーレを乗せることのできる超小型顕微鏡カメラで、胚の分割過程を撮影。それにより、胚が日を追って正常なプロセスを経て育ったかが確認しやすくなる。



胚の発生:1.前核期 2.2細胞期 3.3細胞期 4.4細胞期 5.8細胞期 6.桑実胚期 7.胚盤胞期


Primo Vision


タイムラプス・モニタリングシステムを用いることで、胚の発生をビデオで見ることが可能です。このビデオを解析することで最も良好な胚を選択することができます。







福井ウィメンズクリニック 福井敬介先生

日本大学医学部卒業後、愛媛大学産科婦人科に入局、同大学院医学専攻科修了。愛媛大学産科婦人科学助教授を経て、2001年、福井ウィメンズクリニックを開設。

≫ 福井ウィメンズクリニック




 




出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.26 2015 Summer
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