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悲しい別れと新たな決意

コラム 不妊治療

悲しい別れと新たな決意

2013春

2015.6.15

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不妊治療と不育治療を19年間続けていることりmama*さんとご主人のオット君。9回の流産を乗り越え、妊娠。しかし、4カ月検診の結果、つらい決断をすることに——。そして、経済的事情から体外受精を諦めようとした矢先、主治医が二人を思いやった打開策を提案してくれます。


悲しい別れの瞬間――毅然としていた夫の涙


結婚以来、不妊治療と不育治療を続けてきた、ことりmama*さんとオット君。2011年の夏、顕微授精を見送った後に、思いがけず自然妊娠をしていることがわかりました。無事に出産するため、徹底した絶対安静の日々を送ってきたことりmama*さんでしたが、4カ月検診で告げられたのは、赤ちゃんの染色体異常。「お腹の中で頑張って成長したとしても、生まれてきた瞬間に死んでしまう— 」。そう主治医の先生に告げられた二人は、赤ちゃんと悲しい別れをすることになりました。「2泊3日の入院の間、夫は会社を休んで、一緒に病室に泊まってくれ
ました。陣痛を起こす薬を投与され、私がお腹の赤ちゃんに何度も『ごめんね』と言いながら泣いていると、夫もお腹をなでてくれました。泣くのは、私のために必死に我慢してくれているようでした」(ことりmama*さん)そして、死産。産声を上げることなく生まれてきた赤ちゃんを、看護師長さんが二人のもとに連れてきてくれました。 小さな体だけど、とてもかわいい、立派な赤ちゃん。手と足の指の1本1本、目鼻口もあるのを目にした瞬間、それまで毅然としていたオット君が、涙を流して泣きました。「長く一緒にいて、こんなに泣いて
いるのを見るのは初めてでした。それまでの流産の時も、夫はつらい思いをしたと思うのですが、死産だった子を抱いた時に、『今までの子も、こんなふうに育っていたんだ』という実感が生まれたのだと思います」(ことりmama*さん)普段は優しく見守ってくれているオット君が、赤ちゃんを失ったことで見せた心の内。ことりmama*さんはそれを知って、もう一度、オット君に赤ちゃんを抱かせてあげようと決心したのです。


長年見守ってくれた先生が経済的な悩みに打開策を提案!


長い期間にわたる治療ですが、ことりmama*さんは休まずに続けてきたというわけではありませんでした。「不妊治療や不育治療は体もつらいですが、ゴールが見えないという点で精神的な負担がすごく大きくて。これまでも、何度か治療をお休みしています。でも、2~3周期休んでいる時、周りに妊娠した人が出てくると焦ってしまうんですよね。休んでばかりいられないって思うんです」(ことりmama*さん)しかし、体と心は前に進もうとしても、経済的な事情から、思うように治療ができない悩みもありました。「2年間のタイミング療法の後、人工授精に進み、主治医が体外受精のできるクリニックを開業したのをきっかけにステップアップしました。実はもっと早く体外受精をしたい気持ちがあったのですが、当時はまだ年齢が若かったし、費用の問題もあり断念していました。助成金制度ができて少しラクになりましたが、それでもまだ経済的な負担は大きいです」ことりmama*さんが住む北海道の場合、※特定不妊治療に対する助成金は、1回につき15万円まで。1年目は年3回、2年目以降は年2回まで申請が可能です。「15万円の助成金はとても助かりますが、それでもまだ大きな自己負担があります。それに、不育症でもあるので、妊娠してからはヘパリンの自己注射をします。私の場合は1日2本。病院や必要な本数によって費用は違うようですが、当時は保険適用外だったため、私は月4~6万円かかりました。今は保険が適用になり、ヘパリンの費用の負担はなくなりましたが、当時は大変でした」(ことりmama*さん)経済的負担を少しでも軽くするために、途中でお休み期間を入れたり、タイミング療法を取り入れたりと工夫もしました。「でも、これからはいろいろな事情で、体外受精をする経済的な余裕がなくて...。タイミング療法しかで
きませんと、先生に伝えました」すると先生は、励ますようにこう言ってくれたのです。「負担にならない範囲で顕微授精をしましょう。1年に2回顕微授精をして、それ以外の期間はタイミング療法でいこう。ことりmama*さんは、ずっと頑張ってきたんだから」これまでも、できるだけ費用がかからないように、できる範囲で配慮してくれていた先生からの、二人を思いやったご提案でした。「私たちの十数年間の治療を見守ってくださった先生が『体外受精は諦める』という告白をした私にしてくださった、配慮だったのだと思います。費用を抑えるために、排卵誘発剤の質を下げました。そうすると、採卵できる卵子の数は少なくなるんです。でも先生は、『そんなにたくさん卵子をつくらなくても、2個採卵できればいいんだから』と言ってくださって」こうして、ことりmama*さんは、諦めかけた体外受精での不妊治療を継続することになったのです。


コミュニケーションで築く主治医との信頼関係


ことりmama*さんの経済的な事情に配慮して、最善の治療方法を提案してくれた主治医の先生。普段の診察の際にも、ことりmama*さんが不安になるようなことは、あえて言わないようにしてくれているのが感じられるそう。「長く不妊治療をしているので、ホルモン数値を聞くと、私はその数字に縛られてしまうんです。気持ちが前に進まなくなってしまい、私にとってマイナスになります。先生はそれをわかっていらっしゃって、ホルモン数値を言わないでくださったりするんです。でも、いい時は『いい数値が出てるよ』と教えてくれるので、言わない時は、ああ、あまりよくないんだなってわかってしまうんですけどね(笑)」(ことりmama*さん)安心して治療を続けるためには、主治医とのコミュニケーションや信頼関係も大切。確認したいことや疑問に思うことがあっても、担当医になかなか聞けないという人も多いと
思います。ことりmama*さんは、「言いたいことを言える、聞きたいことを聞けるという関係は、大変だけど自分からつくっていかないとできないものなのかもしれませんね」と、先生との十数年間を振り返ります。「彼女は、病院から帰ってくると『今日はこんな検査だったよ。先生にこんなことを言われたよ』と細かく教えてくれるのですが、その話を聞いていると、彼女の場合、先生に言われたことを『はい。はい』と聞いて帰ってくるだけの患者ではないようなんです」とオット君。先生との小さなやりとりの積み重ねが現在の信頼関係につながっているのではないか、と言います。「私、心配性なので、検査結果や自分の状態でわからないことがあると、すべて質問するんです。そうすると次の検診で、前回私が何を質問したか、何を心配していたかを先生が覚えていて、それについて一言かけてくださいます」(ことりmama*さん)そんな積み重ねが先生への信頼感につながっているそう。「先生は妊娠がわかっても、私には『おめでとう』と言わないんです」それが、妊娠してからは不育症を乗り越えなくてはいけない、自分への気遣いだということも、ことりmama*さんは感じているそう。先生からの「おめでとう」を聞ける日を目標に、ことりmama*さんは、体質改善も含めた治療を今も続けています。 (つづく)





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