HOME > 不妊治療 > その他 > アンタゴニスト法で注射を打つ時期はどうやって決めるの?
HOME > 不妊治療 > その他 > アンタゴニスト法で注射を打つ時期はどうやって決めるの?

アンタゴニスト法で注射を打つ時期はどうやって決めるの?

アンタゴニスト法で注射を打つ時期はどうやって決めるの?

アンタゴニスト法で注射を打つ時期はどうやって決めるの?

2015.7.16

あとで読む



相談者

もっちさん(39歳)
低刺激誘発専門の病院から転院し、今周期初めてアンタゴニスト法を試しています。生理3日目に内診と血液検査をして、3~7日目までフォリルモン®300単位を打ち、8日目の今日、一番大きい卵が17㎜になっているということでHMGフェリング®300単位とセトロタイド®0.25㎎を打ちました。血液検査はしていません。9日目も同じで、10日目にまた病院へ行く予定になっています。今までは毎回血液検査があり、ホルモン値をみて次の注射が決められていたこともあり、少し不安になっています。卵の大きさだけで排
卵を抑える注射をする時期を決めることは普通なのでしょうか?他院はどのように決定しているのでしょうか。

 


ジネコまず、アンタゴニスト法について教えてい
ただけますか?


田中先生:体外受精では、卵子を多く採取するために卵胞を育てていくのですが、数多くの卵胞が育つとLHというホルモン値が上昇し、卵胞が大きくなる前にLHサージが起きて排卵してしまいます。そこで、卵胞が大
きくなるまで排卵にブレーキをかけるのですが、そのための薬がGnRHアンタゴニストの注射です。商品名ではセトロタイド®、ガニレスト®の2つがあります。ロング法は、前の周期から長く点鼻薬を使わなくてはならず、時間がかかります。一方、アンタゴニスト法とショート法は、その周期の生理が始まってから動き始めるのでかかる日数は一緒で、ロング法に比べると簡便です。ショート法の場合は、毎日3~4回、8時間ごとに点鼻薬を使わなくてはなりませんが、アンタゴニスト法は受診して注射をするかどうか決めるだけなので、さらに簡便かもしれません。また、アンタゴニスト法のメリットとして、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)を回避できる可能性があります。ロング法やショート法では、最後にHCGの注射を夜に行ない排卵させるのですが、これがOHSSのすべての元凶になります。アンタゴニスト法ではHCG注射以外でも、GnRHアナログという点鼻薬を使っての排卵誘起も可能となります。こちらのほうが血中にとどまる時間が圧倒的に短く、OHSSになることがほとんどないのです。もともとOHSSのリスクが高い方は、アンタゴニスト法をやることで、回避できる可能性が圧倒的に高くなります。おそらくヨーロッパやアメリカでは、ショート法やロング法よりアンタゴニスト法のほうがメジャーになっていると思います。日本では、GnRHアンタゴニストの注射は自費で1本1万円くらいしてしまうので、使いにくい薬ではあります。


ジネコアンタゴニスト法で排卵を抑える注射をす
る時期は、どのように決められるのですか?


田中先生:注射をする時期の決定の仕方は2パターンあります。1つは、生理から始まって何日目と決め打ちするパターン、もう1つは、卵胞の大きさを見て何㎜以上になったら注射というパターンです。型にはめて決まっ
た日に行うか、患者さんに合わせてオーダーメイドなやり方をするかという違いです。日本では、卵胞の発育に合わせて、GnRHアンタゴニストの注射を始める病院が圧倒的に多いと思います。卵胞が14~16㎜を超えたところで注射を始めるというのが教科書的なやり方です。もっちさんも17㎜を超えたということで、注射を始めたのでしょう。また、卵胞の大きさだけで判断せず、採血をして値をあわせて見て決める方法もあり、当院もその方法で行っています。E2やLHの値を見て、まだ早いか、もう注射するべきなのかを判断するのです。卵胞が14~16㎜を超えていても、E2やLHの値が低ければ、注射し始めないこともあります。アンタゴニストは排卵にブレーキをかける注射なので、早くブレーキをかけすぎることで卵胞の勢いを止めてしまい、せっかくの卵胞の発育を妨げてしまうことを否定できません。ぎりぎりまで待ってから注射を始めることで、通常は4~5回するところを、当院の場合は1~2回で済ませています。しかしその一方で、医療者としてなるべく患者さんの負担を少なくすることも常に考えなくてはなりません。採血をすればお金も時間もかかります。必要がない検査は省いていくことも大切なことです。もっちさんの通われている病院では、そのバランスの中で採血をせずに卵胞の大きさで判断して、注射を打ち始めているのでしょう。


ジネコ最初にフォリルモン®、セトロタイド®と合
わせてフェリング®を処方されていますが、これらはどのような薬ですか?


田中先生:どちらも排卵誘発剤ですが、フォリルモン®はFSHしか入っていない薬で、フェリング®はFSHとLHが入っています。セトロタイド®を打ち始めたところから変更しているのは、セトロタイド®が血中のLHを下げてしまうから、それを補充するためにLHが入ったものに変えているのです。


ジネコもっちさんは、今後どのように治療を進め
ればよいと思われますか?


田中先生:もっちさんは低刺激誘発専門の病院から、結果が出なかったので高刺激ができる病院に転院されたということですが、どちらのほうが優れているということはできません。39歳でいらっしゃるわけですが、高刺激で今までより卵が採れるのであればやる価値はあると思います。しかし、注射をしても低刺激と同じようなレベルの個数しか採れなければ、もう一度刺激のレベルを落とすことを考えてもいいのではないでしょうか。高刺激の中で薬を変えることによって劇的に反応性が変わるということはありませんから、もう少し優しい刺激に戻したほうがいいと思います。たとえば、注射を連日打つのではなくて、2日に1回くらいにしておくなど、負担の少ない方法で行うべきだと思います。低刺激とマックスの高刺激との間にも中間の刺激の方法もあります。転院をされたことはしかたがないと思いますが、病院での治療法は1つと決まっているわけではありません。刺激法も試行錯誤しながら、ご自分の体に一番合った方法を先生と相談されるのがいいと思います。



田中 雄大 先生




慶應義塾大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。大和市立病院産婦人科勤務、内視鏡手術の専門病院を目指した矢崎病院婦人科での勤務などを経て、2009年、矢崎病院に不妊治療専門の湘南IVFクリニックを開設。その後、2012年にメディカルパーク湘南を開設。聖マリアンナ医科大学非常勤講師。B型・かに座。神奈川県で内視鏡手術件数2位を誇るメディカルパーク湘南。「手術と不妊治療を組み合わせることで、自然妊娠が望めるようになります。今年は手術によって体外受精を減らし、ますます自然妊娠を増やせるよう、いっそう頑張りたいと思います」。






■ よく読まれている記事 ■


 アメリカで不妊治療中。タイミング療法のやり方に少し疑問を感じます


 治療を始めて約半年...友人のささいな言葉に敏感に。気持ちを切り替える方法は?


 8回移植を行っても妊娠に至りません。続けても見込みはある?


 体外受精2回を経て感じたこと、わかったこと。


 2人目の子どもを望んで 不妊治療を始めたものの、治療のつらさに限界を感じる日々。



あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top