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不育症検査では異常なし。4度も流産が続いて精神的につらいです

コラム 不妊治療

不育症検査では異常なし。4度も流産が続いて精神的につらいです

2015秋 P62

2015.8.28

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不育症検査では異常なし。4度も流産が続いて精神的につらいです



相談者:charlieさん(42歳)


不妊検査で異常なしなのに、4度目の稽留流産
39歳でAMHが0.1ng/ml未満とわかり体外受精を始めました。最初の妊娠は7W4Dで胎嚢に赤ちゃんが見えず自然流産。2度目は心拍確認できましたが8W3Dに稽留流産で手術。3度目は7W6Dで胎嚢内に見えず稽留流産で手術。不育症の有名な病院で検査を受けると、異常なしで治療もないとのこと。転院して採卵し、凍結胚盤胞が2個できたうちの1個を移植し、7W1Dで心拍確認。しかし8W1D で稽留流産となりまた手術に。流産手術をした際に赤ちゃんの染色体異常については調べていません。次回の移植の前に夫婦
の染色体は調べてもらう予定ですが、他に何をすればいいですか?漢方も取り入れてみたいのですがいかがでしょうか。

これまでの治療データ
【検査・治療歴】
子宮卵管造影検査 異常なし
不育症の検査 異常なし
AMH0.1ng/ml未満
【不妊の原因となる病名】
不明
【現在の治療方針】
黄体ホルモンが低く、筋肉注射、腟座薬、デュファストンⓇを服用。不育症ではないので、不育症治療は不要とのこと。
【精子データ】
過去に運動率や奇形率が悪い時もあったが、現在のクリニックでは特に問題ない範囲とのこと。



 4回も流産したので不育症検査を受けたけれど、不育症ではないといわれたそうです。


田中先生:一番の問題は、不育症の検査をする前に流産組織の染色体検査をしなければいけなかったということです。ここで胎児の染色体の検査をしていれば、胎児要因なのか母体要因なのかがわかり、だいぶ違う状況になっていたと思います。一般論として、流産の50%以上は胎児の染色体異常が原因といわれています。
もし21番の染色体が1本多く3本あるダウン症だった場合は、約7割が流産するといわれています。他の染色体でも異常は常に起こりますが、これらの場合は必ず流産するといわれています。不育症というのは、こういった染色体の異常による流産を除外したものになります。不育症ではないという検査結果だったということは、4回の流産はすべて染色体異常が原因だった可能性が高いと思われます。


 これからどのように治療を進めていけばよいのでしょうか。


田中先生:charlieさんは42歳で4回臨床妊娠しているというのは驚くべき好成績で、そこはポジティブに捉えていただくべきだと思います。ただ、40歳以上になると、妊娠率の低下よりも流産率の上昇のほうが問題になることが多いです。charlieさんは1回も流産をしない方に比べると、流産しやすい方であることは間違いないと思います。1回流産すると、次も流産する確率が流産経験のない方の数倍になるというデータもあります。一般的な流産の確率が10%だとしたら、数十%の確率で流産する可能性があるということです。
それではどうすればよいかということですが、野球にたとえて、流産がバッターボックスで空振り三振、出産がホームランだとします。打率が低いのだったら、バッターボックスに立つ回数を増やせばホームランを打つ確率が上がります。つまり卵子をたくさん採って移植の回数を増やすことで妊娠、出産までの確率を上げていくという方法です。流産率が他の人の2倍だったら、移植の回数を2倍にすれば確率は同じになります。この方法も考えていただきたい治療の一つです。今ある1つの凍結胚盤胞の移植で本当に最後と、覚悟を決めていらっしゃるのでしょうか。もしそうでなければ、採れるうちにもう少し卵子を採っておくことをおすすめしたいと思います。
もう一つは、もし次に流産することがあったら、どんなことがあっても搔爬の時に胎児の染色体の検査をするべきです。それでもし胎児に染色体の異常があれば、母体に原因がないということになります。また、流産を繰り返す患者さんの中に2~3%の確率で、両親いずれかに染色体の一部が入れ換わる「転座」がある場合があります。転座があっても普段は気づかずに生活していますが、転座が胎児に影響し、流産を繰り返すケースがあるのです。これも流産組織の染色体検査から発見につながることがあります。「ダウン症ではなく、どこかから迷い込んだ染色体の断片がくっついています。父親か母親由来の染色体の可能性があるから、両親の染色体検査をすすめてください」と検査機関からコメントがあり、そこから転座が見つかることもあります。charlieさんも移植の前に夫婦の染色体異常も調べると書かれているので、それはぜひやったほうがいいでしょう。


 ご夫婦に転座が見つかった場合、妊娠は望めないのでしょうか?


田中先生:転座は治療することができません。しかし転座があっても、流産を繰り返しながらも出産できる可能性は十分あります。当院でも今までに転座の患者さんが3人見つかっていますが、そのうち2人は妊娠され、出産しました。「自分たちは流産しやすい体質」とわかるだけで、流産に対する精神的なストレスは軽減されると思います。


 次の移植までに何か取り組めることはあるのでしょうか。


田中先生:生活や習慣や食事などで改善できることは、残念ながらほとんどないと思います。今凍結している受精卵が染色体の異常を持っているかいないかで、運命は最初から決まっているのです。ですから思いつめずに好きな本やテレビなどを見て、穏やかな気持ちで過ごしていただければと思います。漢方を取り入れたいとのことですが、マイナスになることはないので悔いの残らないように試されてはどうでしょうか。先生に相談して出し
ていただくか、許可をとってご自分で漢方薬局で買うこともできます。ご参考までに、当院では流産予防として知られている漢方薬「柴苓湯(さいれいとう)」を胚移植の際、おまじないの意味も込めて、全例にお出ししています。
4回の流産は、胎児側に要因がある可能性が極めて高いと思います。諦めずに前向きな気持ちで治療を進めていただければと思います。



メディカルパーク湘南 田中 雄大 先生
慶應義塾大学医学部卒業。日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医 メディカルパーク湘南の田中雄大先生にお聞きしました。学会生殖医療専門医。大和市立病院産婦人科勤務、内視鏡手術の専門病院を目指した矢崎病院婦人科での勤務などを経て、2009年、矢崎病院に不妊治療専門の湘南IVFクリニックを開設。その後、2012年にメディカルパーク湘南を開設。聖マリアンナ医科大学非常勤講師。
B型・かに座。大学時代に競泳をやっていたこともあり、近所にできたジムのプールに2週間に1度のペースで通うようになったという先生。「1回でも泳ぐとお腹がへこむんだよね。昔に戻るのが楽しみ」とか。でもプール上がりの疲れた姿で患者さんにバッタリ会うのが悩みの種だそう。




≫ ジネコ注目のスタッフ



安澤 圭昭


患者様の力になれるよう日々、卵子と向き合っています


培養室主任 安澤 圭昭さん




当院では培養士外来を行っております。これから治療を始める方には体外受精の一般的な話や排卵誘発と採卵のこと、妊娠率などのデータを。治療中の方には治療のなかで生じる疑問点についてお答えしています。患者様とお話しすると「よろしくお願いします」という言葉をいただくことがあります。この言葉は私たちに、大切な卵子をお預かりする責任を強く感じさせます。当院は産科も併設しているため、治療を行った患者様がそのまま分娩されるケースも少なくありません。無事に生まれてきた赤ちゃんを見た時、この仕事をしていて良かったとやりがいを感じます。
いつでも納得がいく治療ができるよう、不安なことがあれば培養士外来に限らず、積極的に医師や看護師、培養士に声をかけてほしいと思います。





出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.27 2015 Autumn
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