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採卵できない場所に卵胞があるといわれました

コラム 不妊治療

採卵できない場所に卵胞があるといわれました

2015秋 P76

2015.9.14

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採卵できない場所に卵胞があるといわれました



相談者:みいさん(41歳)


採卵できない場所に卵胞がある。今後どうしたらいいのか
昨年11月に右50mm左36mmチョコレート嚢腫、20mmの子宮筋腫が見つかりました。年齢的なことと精子の運動率が低いこともあり、体外受精にトライ。いざ採卵という日になり、針はさしたものの卵胞かと思ったら子宮内膜症だったり、2つほどある卵胞が子宮内膜症の裏側にあり、針をさすことができないと言われ、「採卵できず」という結果でした。次にトライしてもまた採卵できない場所に卵胞ができてしまうのではないか、人工授精に切り替えればその周期を無駄に過ごさなくてすむのではないかなど、今後の方針について考える日々です。子宮内膜症の治療をする間は、妊娠できないし、手術すると機能低下につながるかもしれないから、不妊治療を優先したほうがいいと先生からは言われていますが、このまま進んでよいのか不安です。



 子宮内膜症があるために採卵できなかったとのこと。年齢的にも今後の治療に不安を感じていらっしゃるようです。


奥先生:採卵の妨げになっているというのは、チョコレート嚢腫、すなわち卵巣に発症する子宮内膜症のことだと思うのですが、チョコレート嚢腫があっても、通常、そのまま貫通して採卵することも可能です。嚢腫が大きい場合は体外受精の前にどうするかということがポイントとなるでしょう。
みいさんは41歳ということですので、やはり卵巣年齢も高くなってきていて、現在、もしかすると採卵してもあまり卵子がたくさん採れないような状況にあるのかもしれません。その状態でチョコレート嚢腫の核出手術を行いますと、正常な卵巣の組織まで取ってしまうことから、ますます卵巣の反応が悪くなり、卵胞が育ちにくくなります。こういう場合に有効なのがアルコール固定術という方法です。アルコール固定術をすることによって嚢腫は小さくなりますので、採卵しやすくなる可能性があるでしょう。もし、嚢腫が大きくて採卵を妨げる原因となっているのであれば、試してみる価値があると思います。


 人工授精に切り替えれば、その周期を無駄にしないのではないかという考えについてはいかがですか?


奥先生:精子の運動率が悪いので体外受精にトライされたという経緯を見ると、人工授精による妊娠は難しいのではないでしょうか。年齢的にもあまりおすすめはしません。子宮内膜症のある方は、たとえば卵管が卵子をピックアップできないとか、受精卵の発育が悪いとか、そういうことが背景となって不妊症となっているケースが多い。人工授精はあくまでも精子を腟内に送り届ける補助的な治療なので、今後は体外受精でいかに採卵数を増やすかということを考えていくべきだと思います。


 やはり主治医がおっしゃるように、子宮内膜症の治療よりも不妊治療を優先したほうがよいでしょうか?


奥先生:そう思います。子宮内膜症については、以前はよく手術による治療を行っていたのですが、明らかに術後の採卵数が落ちて体外受精の妊娠率が下がったという報告が多い。子宮内膜症を根治しましょうということであれば手術ですけれど、今後、体外受精のために採卵をするのであれば、特に年齢の高い方にはおすすめできませんね。
当院ではチョコレート嚢腫があれば体外受精の前にアルコール固定術を実施後、採卵を行います。私が手術や薬物療法でなくアルコール固定術をおすすめするもう一つの理由は、時間的な問題です。子宮内膜症の薬物療法は擬似的に4~6カ月もの間、閉経の状態を作り出します。年齢を考えると、不妊治療を半年も中断する時間がもったいないと思います。1周期休むだけで、次の周期からすぐに治療を再開できるアルコール固定術には大きなメリットがあると考えます。



レディースクリニック北浜 奥 裕嗣 先生
1992年愛知医科大学大学院修了。蒲郡市民病院勤務の後、アメリカに留学。Diamond Institute for Infertility and Menopauseにて体外受精、顕微授精等、最先端の生殖医療技術を学ぶ。帰国後、IVF大阪クリニック勤務、IVFなんばクリニック副院長を経て、2010年レディースクリニック北浜を開院。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本生殖医学会生殖医療専門医。培養室に「タイムラプスモニタリングシステム」を導入して以来、4日目に胚盤胞に達する(成長の早い)受精卵の着床率の高さに、改めて驚いたという先生。「よい結果が出たら蓄積したデータをまとめて発表したいと思っています」



出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.27 2015 Autumn
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