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着床しなかったのはプロラクチンの高値に原因があるのでは?

着床しなかったのはプロラクチンの高値に原因があるのでは?

2015冬 P66

2015.10.28

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操レディスホスピタル 操 良先生


蔵本ウイメンズクリニック 蔵本 武志先生


着床しなかったのはプロラクチンの高値に原因があるのでは?



相談者:みほさん(35歳)


プロラクチンについて
治療年数は2年ですが、その間に採卵4回、移植5回を繰り返してきました。夫は重度の乏精子症のため、MD-TESEを受け、凍結精子の数に限りがあります。私はプロラクチンが0.7ng/mlと極端に低かったため、プリンぺランⓇを飲んで上げていました。飲み始めて2週間後に採血したところ、正常値に戻っていたため、移植を繰り返しました。しかし、良い受精卵ができても弱陽性が二度出るのみで、結果が出ないので改めてプロラクチンを測定すると200近くありました。不育症や子宮鏡、卵管造影などの検査をしても異常が見つからなかったので、プロラクチンさえ正常値に維持されていたら、子どもを授かっていたのではないかと、とても悔しいです。プロラクチンがきたした着床への影響を教えてください。



 みほさんはプリンぺランⓇを服用して、プロラクチン値を上げたそうですが、プリンぺランⓇとはどのような薬剤なのですか?


蔵本先生:本来、プリンぺランⓇはドパミン(D2)受容体の阻害薬であり、吐き気止めに使われます。胃や十二指腸にあるドパミン2受容体を遮断して、胃腸の運動を活発化させて消化機能の異常症状を改善したり、吐き気を抑える働きがあります。ですから通常は、胃腸薬に多く含まれている成分です。
一方、プロラクチンは脳の下垂体から分泌されますが、ドパミンは下垂体においてプロラクチンの分泌を抑制します。つまり、ドパミンが多いと、プロラクチン値が低くなります。そこでドパミンの作用を阻害するプリンぺランⓇを服用することで、プロラクチン分泌を促進させるのです。このためプロラクチン値が上がります。確かに、プリンペランⓇ服用中は場合によっては高プロラクチン血症となることもあり、無排卵や黄体機能不全となることも考えられます。ヒトではプロラクチンの低値が理由で妊娠率が下がることはあまりないと思います。


 ではなぜ、みほさんの主治医はプリンペランⓇの服用を処方したのでしょうか?


蔵本先生:詳しくはわかりませんが、おそらく主治医の先生は、プリンペランⓇによって極端に低かった血中プロラクチン値を正常化させようと考えたのだと思います。それ自体は問題ではないでしょう。現にみほさんの場合も、服用して2週間で正常値に戻っているようですね。プリンペランⓇを中止すればプロラクチン値はすぐ下がると思います。今回の着床障害は高プロラクチン血症だけが原因ではないと考えられます。


 それはどういうことでしょう?


蔵本先生:高プロラクチン血症であっても、顕微授精を行った受精卵を胚移植する際に、あらかじめ黄体ホルモン剤で黄体補充をすることが一般的です。そのため、今回の高プロラクチン血症が問題で着床しなかったとは考えにくいのです。
みほさんの場合、できたら受精卵を胚移植のための最終発育段階である胚盤胞まで培養し、胚凍結しておくといいでしょう。そしてその間に、みほさんのホルモン環境を調整し、子宮内膜の着床環境を改善しておいてはどうでしょう。着床条件を整えて、凍結胚を融解させ、胚移植を行えば、最も妊娠率は高くなると思いますよ。甲状腺刺激ホルモンや甲状腺ホルモンも一度チェックしてください。また、ストレスもプロラクチン値を上げる原因の一つに考えられていますし、プロラクチン値とは別に考えても、強いストレスが長く続けば着床環境に影響を及ぼします。ストレスをため込みすぎないように、気持ちをリラックスさせることを大切にしてください。



蔵本ウイメンズクリニック 蔵本 武志 先生
久留米大学医学部卒業、山口大学大学院修了。山口県立中央病院産婦人科副部長、済生会下関総合病院産婦人科部長を経て、1990年オーストラリア・PIVETメディカルセンターへ留学。帰国後、1995年蔵本ウイメンズクリニック開院。年内に開院20周年を記念した記念誌を発行する予定です。「数をこなすだけでなく、これからも丁寧に確実に不妊の治療を続けたい」常にカンファレンスを怠ることなく、患者さん一人ひとりの不妊治療に向き合っています。



出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.27 2015 Winter
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