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卵管癒着の可能性が。腹腔鏡手術をするべき?それとも体外受精?

卵管癒着の可能性が。腹腔鏡手術をするべき?それとも体外受精?

2015冬 P60

2015.11.27

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卵管癒着の可能性が。腹腔鏡手術をするべき?それとも体外受精?



相談者:まりっちさん(31歳)


卵管癒着の可能性。腹腔鏡手術か、体外受精か
結婚3年目です。今年1月、産婦人科で造影剤注入後、翌々日の子宮卵管造影検査で「一応、通ってはいます」といわれました。半年間、タイミング法を実践しましたがダメでした。7月に不妊治療専門の病院の説明会に夫婦で参加。初期検査はすべて異常なし。2回目の子宮卵管造影検査で「骨盤と癒着している可能性が高い」といわれました。腹腔鏡手術をして人工授精するか、腹腔鏡
手術をせずに体外受精に進むかと言われ、非常に悩んでいます。費用が同じになるようなら、手術・人工授精はせずに、体外受精に進んだほうがいいのではと思っています。手術・人工授精よりも、体外受精の確率が明らかに高いのであれば、体外受精に気持ちが傾いています。



 そもそも卵管の癒着とは、どういう状態なのでしょうか。


宮崎先生:卵管が卵子をピックアップする機能を阻害されている状態をいいます。なんらかの原因で卵管が炎症を起こし、炎症を修復する時に卵管がくっついてしまうことがあります。その原因として、主に2つのケースがあげられます。1つ目は、クラミジアが原因で起こる卵管留水腫です。卵管の先(卵管采)に水がたまり、卵管が風船のように腫れる症状です。2つ目は、子宮内膜症が原因で起こる卵管の癒着です。子宮内膜症の程度によっ
て、AMHの値が低くなる傾向があります。
この方は、骨盤に卵管が癒着しているとのこと。子宮、卵巣、卵管はすべて骨盤の中にあります。卵管は卵子を取りに行きやすいよう、卵巣の近くにあります。卵管の片方が癒着することはよくあることです。また、子宮内膜症の場合、キッシングオバリーといって、卵巣同士が癒着することもあります。卵管の周りが癒着していても、卵管の先が機能していれば卵子を取り込むことができ、妊娠は可能です。一方、卵管の先が骨盤壁などに癒着していると、それ以上動くことができず、卵子を取りに行くことが難しくなります。
この方の場合、骨盤付近に造影剤がたまっているとの所見ですが、たまっている箇所を腹腔鏡で調べても、実際に癒着している人は、私の経験では約30%以下です。
ちなみに造影剤を注入後、翌々日に卵管造影をされています。それぞれの施設によっても方法が異なります。造影剤には水溶性と油性があります。水溶性の造影剤は30分以内に拡散します。油性は翌日にかけて造影剤が拡散していきます。この方は、油性の造影剤を使われたのでしょう。


 まりっちさんは、腹腔鏡検査を受けたほうがよいのでしょうか。


宮崎先生:卵管造影の癒着像はありますが、そう確実な所見ではありません。実は癒着像があるからといって、必ずしも癒着しているとは限りません。腹腔鏡検査をする必要性があるかどうか。ようするに癒着を剥がすだけの価値があるかどうかです。腹腔鏡検査は体を傷つけますので、それによって得られる成果と負担のバランスで考える必要があります。明らかになんらかの手術が必要な場合、一緒に手術しておくのはよいと思いますが、この
方の場合はあくまでも、疑いの可能性、です。卵管造影の癒着像があったとしても、実際に癒着している確率は半分以下です。わざわざ手術をする必要はないと思います。特に片方の癒着の疑いであればなおさらです。癒着の程度にもよりますが、片方の卵管が機能していなくても妊娠する確率は十分あります。なかには癒着を剥がして妊娠する方もいますが、ごく稀なケースです。


 腹腔鏡手術を受けない場合、今後どう進んでいくのがよいでしょうか。


宮崎先生:今後の治療を考えるうえで、ご主人の精液検査の結果が気になります。人工授精は本来、乏精子症といった精子が少ない人を対象にしている治療です。一方、ご主人の精子に問題がなくても、妊娠率が高い治療法でもあります。原因不明の不妊の方の原因の一つに考えられるのが子宮頸管因子です。子宮に精子が入れるかどうかが大きなポイントです。精液検査が正常だから人工授精は必要ないという方もいらっしゃいますが、そんな
ことはありません。まずは体の負担を考えて、人工授精を何回か試してみるのがベストだと思います。
ちなみにご主人は先の結婚で、お子さんが1人いらっしゃるそうですが、この結果は残念ながら実績にはなりません。お子さんの数にもよりますが、まず年齢の問題があります。再婚されている場合、ご主人が高齢になっていることが考えられます。たとえば、5年後
に2人目不妊で来られた場合、ご主人の精子所見がかなり悪いことがあります。子どもが1人いるから精子所見は大丈夫だろうという考えは、最初からもたないほうがいいと思います。男性の精液検査は、女性に比べれば苦痛もなく簡単なものです。ご主人にも協力してもらうことが大切です。


 最後にアドバイスをお願いいたします。


宮崎先生:この方は子宮内膜症も考えにくいし、AMHも20代レベルと卵巣年齢も若いので、データで見るかぎりは問題なさそうです。一般的に原因不明というケースが多いのが現状です。さまざまな検査や治療を試すしかありません。31歳で治療歴も1年とのことですので、まずは人工授精を試す価値はあると思います。人工授精を何回か試してみて、それでも結果が出なければ、腹腔鏡よりも体外受精に進まれることをおすすめします。繰り返しになりますが、腹腔鏡手術で片方の癒着を剥がしても妊娠の確率はそれほど高くなりません。それであれば体外受精のほうが精神的にも身体的にも楽です。この方であれば、体外受精の妊娠の確率は50%あります。また、費用も助成金でカバーすることができます。



宮崎レディースクリニック 宮崎 和典 先生
大阪医科大学医学部卒業。学生時代の新生児医療への興味がきっかけとなり、体外受精や不妊治療の世界を志す。同大学産科婦人科講師を経
て、1992年に不妊症、不育症治療専門クリニック、宮崎レディースクリニック開業。開業当初より泌尿器科の専門医による男性不妊外来を開設する。A型・しし座。9月にお孫さんが誕生し、「名実ともにおじいちゃんになりました」と照れ笑いの先生。かわいいでしょう?と尋ねると「いや、かわいくないよー。だってまだ眠ってばかりだもん」といいつつも、満面の笑みを浮かべていらっしゃいました。




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山下 能毅


着床前検査など、患者様のニーズに応じた
オーダーメイドな治療を目指しています


副院長 主任 山下 能毅さんさん




2014年4月に当院の副院長に就任しました。もともと大学病院に勤務していましたが、当院のような不妊に特化した専門クリニックで、患者様のリクエストに応じた、きめ細かくオーダーメイドな治療を行っていきたいと考えています。
さらに、宮崎先生が築きあげた基盤を守りながらも、大学病院で学んだ新しいことを取り入れて、アネックス(別館)をつくるぐらいの気合いで当院を発展させていくことが目標です。現在準備を進めているのが、着床前診断の提供です。当院でも着床
前診断を希望される患者様がいらっしゃいます。その方たちのためにも早期開始を目指します。
女性には体のリズムがあり、男性はそれに協力する柔軟さが必要です。男性が名脇役となって主演女優である女性と素敵なストーリーがつくれるように、みなさんをサポートしていきたいと思っています。





出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.27 2015 Winter
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