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卵子の真実 妊活セミナーレポート その①

コラム 不妊治療

卵子の真実 妊活セミナーレポート その①

セミナーレポート150829

2015.12.10

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2015年8月29日に行われたジネコ 妊活セミナーより


卵子の真実~最新不妊治療の現場から~


生理があれば妊娠できる、妊娠は努力次第でなんとかなる、いくつになっても不妊治療はできる-。
もしそう思っているなら、すべて間違いです。妊娠の本質を卵子から理解しましょう。最新の不妊治療の現場から、妊活をする上で知っておいてほしい卵子の真実をお伝えします。



 -すべては卵子から始まる-


産みたいのに産めない、卵子の4大衝撃


卵子には4つの衝撃的な真実があります。正しく妊活するためには、まずはそれらを知ることが大切です。


①卵子老化の衝撃


男女の一番の違いとは、精巣と卵巣の違いに他なりません。精巣は精子を作るところですが、卵巣は卵子を保存するところであって、卵巣で卵子を新しく作ることは決してありません。それどころか、卵子は実年齢とともに加齢します。アンチエイジングできない代表が卵子なのです。
◎卵子が加齢した結果、起こること
・染色体分離・遺伝子の発現などがうまくいかず、異常な細胞が増える。
・妊娠率が下がり、流産率が上がる。40歳で妊娠したら2回に1回は流産するのが事実。妊娠の一般的な限界は42、43歳。

しかし、これはある意味、妊娠・出産という負担から母体を守る大切な仕組みです。


②卵子減少の衝撃


卵子のイメージは砂時計です。
卵子は老化すると同時に、その人がもともと持って産まれた卵子の数以上に増えることは決してありません。むしろ、生殖期には1ヶ月に1000個ずつ減少していきます。これは不妊治療をするしないに関わらず、卵子の持つ大きな特徴です。


③妊孕性(にんようせい)低下の衝撃


妊孕性とは、妊娠する能力のこと。
女性が一番妊娠しやすいのは22~23歳といわれ、その後はどんなに健康に過ごしても、卵子は古くなり、数も減り、妊孕性もどんどん低下していきます。
最終妊娠年齢と閉経年齢のピークの差は約10年といわれています。閉経10年前にはすでに妊娠することはほとんど不可能だといえます。生理があってもいつの間にか妊孕性がなくなっているのが事実です。


④個人差の衝撃


卵巣の中にどれくらいの卵子が残っているか=卵巣予備能を知る目安となるのが、AMH(アンチミューラリアンホルモン)検査。不妊治療で重要視されるのは、年齢とこの卵巣予備能ですが、AMH値には非常に個人差があります。
◎AMHの特徴
・AMH値には年齢ごとの正常値や平均値がない。たとえ年齢が若くてもAHMが低い=卵巣予備能が低く、早発閉経が疑われる場合も数多くある。
・AMH値が0でも妊娠できないというわけではない。卵巣予備能が低くても、受精卵さえできれば、実年齢ごとの妊娠率が望める。ただし、治療できる時間は短いことが分かる。
・AMH値は妊孕性の目安にはならないが、採れる卵の数が予測でき、治療の目安となる。
・AMH値は、体外受精で採れる卵の数とよく相関する。
・若い時期に高AMH値であっても、閉経年齢にはあまり影響がない。

AMHを、30歳になったら未婚・既婚を問わず測りましょう。人生設計をする上での重要な指針になるはずです。


妊娠率は卵子の年齢で決まる


先に述べたように、卵子は実年齢とともに老化します。30歳の人の卵子はお腹の中で30年、40歳の場合は40年保存されてきた卵子です。
卵巣には他の細胞と違って、自己複製能力と様々な細胞に分化する能力を持つ幹細胞の性質を持った卵母細胞がありません。ですから、卵巣内で卵子を作ることができないのはもちろん、卵子の若返りは不可能です。
また、子宮は受精卵の環境をサポートしているだけ。子宮側でいくら努力しても妊娠率を上げることはできません。子宮の環境がよほど悪ければ妊娠率を下げる可能性はあります。逆に言えば、若い時の卵子であれば、その年齢時に比例した妊娠率が望めます。凍結しておいた受精卵を他人の子宮に移植しても同じ結果です。昨今、若い時に採卵した卵子を凍結保存しておくことが注目されるのは、そのためです。


良い卵子が選ばれて排卵するわけではない


月経周期と卵胞の成長は無関係です。卵子は月経が始まってから成長するわけではなく、卵子の元になる原始卵胞から約6ヵ月かけて成長します。そして、たまたまその排卵時に成熟してきた卵胞が排卵します。本来、人には、卵子の選択制御機構は組み込まれていません。
また、卵巣の中には質の揃った卵子があり、それぞれが同じように育っていくと思ったら間違いです。むしろ、もともとダメな卵が多い中で、かろうじて生き残っている使える卵子が偶然育ってくるのが真実です。ですから、育ってきた卵子の質がバラバラなのも当たり前なのです。


残っている卵子をいかに有効に使うか、生かすかが不妊治療の要


お腹の中の体温で長い間、保存されてきて壊れずに残っている卵子というのは、食品に例えれば、腐らないように長期間塩漬けにされている状態と同じです。その卵子を利用して不妊治療をする際には、30歳の卵、40歳の卵それぞれに応じた塩抜き加減が必要です。
要は、ずっと休眠状態にあった遺伝子の再稼動を行うのが、しっかりと成熟した卵を採るという作業です。そしてそういったいい状態の成熟卵を採ることこそが、ドクターの実力が問われるところです。その上で、胚培養室の実力で卵に負荷をかけずに受精卵を作り、上手に培養していくことが大事なのです。


妊娠の成否は遺伝子の発現で決まる


同じ年齢で、同じ見た目の受精卵があっても、なかなか妊娠できない人、すぐに妊娠できる人がいます。それは究極的には2人の遺伝子の組み合わせが、妊娠の成否を決めるからです。
同じカップルの受精卵であっても、1個ずつの受精卵は兄弟の差を持ち、1つずつに品質や能力の違いがあります。その中には、ダメになる受精卵もあれば、赤ちゃんまでいける受精卵もあります。
また、同じ年齢でも、5個に1個、50個に1個、500個に1個、それぐらい赤ちゃんまで育つには差があると感じています。ただ、500個に1個であっても、その1個が1番最初に来るのか何番目にくるのかは分かりません。ですから、結果がすぐに伴わなくても、受精卵さえできればしばらくは治療を続けることをおすすめします。


妊娠・出産までに卵子はいくつ必要か


ヨーロッパとアメリカの学会の全データを集計した場合、赤ちゃんがうまれるには平均25.1個、38歳未満で6~16個の卵子が必要だと報告されています。体外受精で1回につき15個くらい採卵できるのであれば、平均、2回の治療で赤ちゃんができるということです。これが1回につき1個ずつ採卵する治療のやり方であれば、2年以上かかってしまいます。






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