HOME > 不妊治療 > その他 > 卵子の真実 妊活セミナーレポート③
HOME > 不妊治療 > その他 > 卵子の真実 妊活セミナーレポート③

卵子の真実 妊活セミナーレポート③

コラム 不妊治療

卵子の真実 妊活セミナーレポート③

セミナーレポート150829

2015.12.15

あとで読む



2015年8月29日に行われたジネコ 妊活セミナーより


卵子は進化をたどる



人類もいろんな動物も、受精卵が分割し、胎児となっていく初期は同じような姿をしています。
私たち一人ひとりの発生は、35億年前から始まった生物の進化の過程をたどって産まれてきています。我々はお母さんのお腹の中では水の中で生きています。
卵子は進化をたどっているのです。それは、1866年にエルンスト・ヘッケルが提唱した反復説の「個体発生は系統発生を繰り返す(ある動物の発生の過程は、その動物の進化の過程を繰り返す形で行われる)」ということに他なりません。

国立遺伝学研究所の所長さんは、見学する子供たちに必ず言う言葉があるそうです。それは、「自殺してはいけません。その瞬間に35億年間に渡って連綿と受け継がれてきた遺伝子が絶たれてしまいます。あなたが今ここに生きていることは本当に奇跡なのだから、命を大切にしましょう」-。

私たちは35億年前から始まったバトンリレーを誰もがしています。バトンリレーだけを目的に生きているわけではありませんが、命のバトンリレーは私たちの大切な役目です。
バトンリレーには、テイクオーバーゾーンというバトンを手渡せる範囲があります。またその区間には限りがあります。命の引継ぎには大きな制限があります。テイクオーバーゾーンは個人差があります。それが生殖年齢です。
私たちは壮大な宇宙に生まれた奇跡の存在です。不妊治療を通して、貴重な命を大切にし、次世代のためにDNAのバトンを渡していきましょう。



セミナー参加者から寄せられたQ&A



Q.40歳以上の受精卵が胚盤胞まで育つ確率は?また胚盤胞移植で成功するにはどんなグレードがあったらよいですか?

A.まず、胚盤胞にすると妊娠率が上がると誤解している人が多くいますが、実はそうではありません。胚盤胞まで育てるというのは元気な卵を選ぶということに意義があるのです。つまり、卵がたくさんある中でいい卵をさらに選出するために胚盤胞まで育て、その時点で育たない卵はカットしているわけですから、採卵から考えると胚盤胞移植での妊娠率はむしろ下がっています。
とはいえ、20代であれば、10個くらい受精卵があれば6割くらいは胚盤胞まで到達します。凍結できるある程度いいグレードの胚盤胞は4~5割といったところです。これは年齢によってどんどん低くなります。40歳以上になれば胚盤胞になる率は2~3割です。凍結できるグレードとなれば1割くらいです。
高齢になってくると、体外培養に対する卵のストレスが強くなって胚盤胞になる率が低くなるのです。しかし、ほとんど胚盤胞にならなかった人の卵を3日目の分割期で移植すればきちんと妊娠率は出ます。
ですから、高齢になればなるほど胚盤胞移植にこだわってはいけないと思います。長い間、培養すればするほど卵に負担がかかります。ましては培養の技術が悪ければ、余計卵を悪くしてダメにしてしまいます。
また、胚盤胞は膨らんだり縮んだりしているので、グレード判定はあまり重要ではありません。当院では全例凍結融解胚移植になっていますので、6日目にできたものでも7日目にできた胚盤胞でも、凍結しておいて5日目の内膜に移植すればちゃんと妊娠率が出ます。新鮮胚移植で、6、7日目の胚盤胞を6,7日目の内膜に戻しても、妊娠しません。そのところはいろんな技術でカバーできるようになっています。




Q.現在40歳。男性不妊があり、顕微授精に進んでいます。よい受精卵を作るために卵子の質を上げるために今からできることを教えてください。

A.40歳とか年齢に関わらず、飛び抜けて効果が上がるとは言えませんが、唯一ご自分でできることは血液の循環を良くすることくらいです。女性が排卵するときには視床下部というところから出たホルモンが脳下垂体に行き、脳下垂体からのホルモンが卵巣に行き、卵子を育てます。そしてその間を繋いでいるのが血液の循環です。排卵誘発剤も血液の中で分解される間にどれだけ卵巣を通ったかでその効き目が違います。下肢の静脈は体にかえってくる時には卵巣のすぐ横を通っているので、足の冷たい人は常に卵巣を冷やしていることにもなります。同じ注射を打っても、冷え性を治す、血流を良くすることで少しは効果が上がる可能性はありますが、その効果は極めて限定的です。

やはり一番大事なことは、その人の予備能に見合った受精卵をたくさん作ることです。きちんと刺激をして、成熟した卵の数を採ることが妊娠率の向上に繋がります。例えば卵が10個採れて、2個成熟卵だったとしたら、それは成熟率が悪いということになり、妊娠率も悪くなります。10個取れたら8個くらいは成熟卵が採れるくらいの成熟率にこだわることが大切です。卵胞の大きさだけではなくて、なかのホルモン構成などもきちんと見て、一番いい時期に採卵して成熟率のいい卵を採ることが妊娠率の向上に繋がると思います。




Q.卵管が両方詰まっていると言われました。卵管造影検査や通水でもやはり通りが悪いようです。妊娠は難しいのでしょうか。治す方法はありますか?

A.卵管というのは精子が通っていって、卵子と出会う場所です。精子が通るには、5ミクロンあれば大丈夫。つまりかなり細くても問題ありません。しかし、受精卵になった後、その受精卵が戻ってくる際には、120ミクロン(0.1mm)くらいなければ詰まってしまい、そこで止まってしまえば子宮外妊娠という可能性もあります。
また、卵管では、精子は自分で通っていきますが、受精卵は卵管上皮の細かい毛のようなものの運動で運ばれていきます。ですから、卵管が詰まる、なにか炎症があるというのは、細くなっているとかそういうことだけではなくて卵管上皮の繊毛運動が障害されているという可能性も考えられます。つまり卵管は通ればいいというわけではありません。通すだけの治療法はありますが、それで妊娠率が上がるというわけではありません。体外受精ができる今となっては、その治療もそれほど有効ではないと思われます。








 ジネコ妊活セミナー




あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top