HOME > 不妊治療 > IVF > 胚の移植数で悩んでいます。過去に2個戻して1個陽性。今回も2個胚移植にすべき?
HOME > 不妊治療 > IVF > 胚の移植数で悩んでいます。過去に2個戻して1個陽性。今回も2個胚移植にすべき?

胚の移植数で悩んでいます。過去に2個戻して1個陽性。今回も2個胚移植にすべき?

コラム 不妊治療

胚の移植数で悩んでいます。過去に2個戻して1個陽性。今回も2個胚移植にすべき?

2016春p48

2016.2.19

あとで読む



胚の移植数で悩んでいます。過去に2個戻して1個陽性。今回も2個胚移植にすべき?



相談者:はなさん(36歳)


胚移植の個数について
現在、5日目胚盤胞(4AB、4BB)と8分割の合計3個を凍結中。転院して初めての移植で、胚盤胞を1個戻すか2個戻すかで悩んでいます。以前の病院では2個戻していて、陽性が出た時も、2個戻して1個だけ着床しました。医師は治療歴が長いことと年齢からみて、希望すれば2個戻すけれど、グレードも悪くないので今回は1個でいいのではと言います。ただ、2個戻しのほうが少しだけ着床率が高いデータもあるとのこと。実際はどうなのでしょうか?最終的に着床するのは1個だけだけとしても、やはり複数戻しのほうが相乗効果のようなものがあるのでしょうか?



 これまでの病院で2個ずつ胚移植をしていたはなさんですが、転院先では単一胚移植をすすめられて悩んでいるようです。このような患者さんのケースでは、先生はどのような判断をされますか?


操先生:基本的にはやはり患者さんご本人の選択を尊重しますが、良好胚を何度戻しても妊娠が成立しない反復不成功例である可能性と、2個戻しによる多胎妊娠のリスクは共に理解していただく必要があると考えます。
現在、日本産科婦人科学会では不妊治療による多胎妊娠を防ぐため、35歳以上の女性や反復不成功例の場合に限り、2個まで胚の移植も認めていますが、適応については現場の医師の判断に委ねられています。
当院では、できれば2回目までは単一胚移植で様子を見て、3回目から相談して、という形をおすすめします。ただ、もちろんこれは胚のグレードにもよります。グレードがあまり良くなければ早い段階から2個戻しも考えていく必要はあります。


 はなさんは現在、5日目胚盤胞(4AB、4BB)と8分割の合計3個を凍結している
とのことです。


操先生:胚のグレードは悪くないですね。しかし、過去に2個戻しを経験されて挙児を得られず、一度は陽性が出たとのことですが、流産というレベルではなく、子宮内に胎嚢が確認されていない化学的流産だった可能性もありますね。
ということであれば、反復以上の不成功例ともいえますし、年齢的にも2個戻しの選択もありかと思いますが、特に胚盤胞でグレードが良い場合は、やはりまずは1個から戻すのがベストです。
なぜなら、胚盤胞で戻す場合は、双子では済まない場合もあるからです。つまり、卵1個を戻しても一卵性の双胎という可能性がありますので、そういったリスクも考えなくてはいけないと思います。


 具体的にはどのようなリスクがありますか?


操先生:多胎妊娠のリスクは母親だけではなく子どもにもあります。双胎の場合、平均出産週数は35週。つまり、必ずといっていい割合で早産となり、生まれてくる子どもは早産低出生体重児になる可能性が高くなります。早産低出生体重児は、発達予後が芳しくないケースも多く、単胎とは比べものにならないくらい高いリスクを覚悟しなければなりません。これは母親の年齢に関係なく生じるものです。


 1個よりも2個移植のほうが、着床率が高いデータもあるのでしょうか?また、複数移植での相乗効果は期待できるのでしょうか?


操先生:先に述べたように、日本産科婦人科学会も生殖医学会も多胎妊娠を防ぐために、単一胚移植を原則としています。それは要するに、一度に複数の胚を戻すのと、1個戻してダメで2個目を戻すのと、2つの確率でみた論文のデータに有意差がないという検討があるからです。つまり、2個戻すから2倍の確率があるということは当然、ありません。
相乗効果に関しても、胚を戻す段階では期待できないと思います。ただ、共培養というか一緒の培養液で複数の胚を培養すると、受精胚の発育が単独よりもいいという報告はあります。ただ、それはあくまでも受精過程までの話。着床においては、胚同士がいい影響を与え合うような効果はないと思います。


 はなさんは特に漢方薬やサプリなどは使用していないとのことですが、そういったものの影響はどうでしょうか?


操先生:当院では、胚移植時に末梢循環を改善する効果などが期待できるビタミンEを使います。反復不成功例に関しては、さらにビタミンCやペントキシフィリンⓇも併用しています。ただ、患者さんたちはそれをサプリとは認識されていないかもしれませんので、はなさんも実際はその程度は使用しているかもしれませんね。
また、血流を良くする当帰芍薬散をはじめ、反復流産を予防するための柴苓湯などの漢方薬を使うのもおすすめです。精神的に不安定な場合には、流産の防止のための精神的な安定作用をもつ漢方薬を投与するケースもあります。


 タイミングから始まり、人工授精を飛ばして体外へと進んでいるようですが、今後、どのような治療法が考えられますか?


操先生:はなさんは卵管造影検査も精子所見も特に問題はなく、生理周期も30日と少し長めですが順調のようですので、一度、ステップダウンしてみるのもひとつの手ではないかと思います。少し休息期間をとるというか、ARTを少し休憩して、その間に一度、人工授精をやってみてもいいのではないでしょうか。
体外受精に比べ、金銭的負担も減りますし、いくら培養技術が進化したとはいえ、卵子にとっては本物の卵管や子宮環境ほど居
心地のいい場所はないともいえます。
年齢的に少しでも早く、という気持ちはわかりますが、特に治療が長引けば、休憩することで肉体的にも精神的にもリフレッシュできる可能性はあり、それが効を奏するケースも多いものです。一度、担当医と相談されてはいかがでしょうか。





操レディスホスピタル 操 良先生

岐阜大学医学部卒業。岐阜大学附属病院で8年間、不妊専門外来を担当し、1992年には岐阜県下初の体外受精に成功。女性ホルモンに関する研究成果が認められ、平成9年度に岐阜県医学研究奨励賞を、平成11年に日本内分泌学会で研究奨励賞を受賞。現在、操レディスホスピタル院長。不妊治療だけでなく妊娠後の検診や出産までトータルで診る先生。休日には、緊急の事態にも即戻れるよう新幹線沿線の旅行をするのだとか。「東京や神戸などのホテルに1泊し、翌朝の朝食が何よりのリフレッシュです」。

≫ 操レディスホスピタル




 





≫ ジネコ注目のスタッフ



坂元 綾子さん


助産師とも連携を取りながら患者様とはじっくりお話をします


培養士 坂元 綾子さん




前職は大学の医学部の産婦人科で研究と培養士の業務。研究から臨床の現場に来て一番感じたのは、私が思っているよりも実際の患者様はストレスを抱えていらっしゃるということ。患者様によっては、いきなり体外受精の話をするとびっくりする方もいれば、どんどん検査して積極的に進めたいという方もいらっしゃいます。体外受精の説明の際には、そのあたりの患者様の気持ちに配慮し、初診でカウンセリングを行う助産師とも連携を取って、じっくりお話を聞くことを心がけています。患者様を焦らせず、必要であれば何度でもお話しをして、少しでもストレスを感じずに治療していただくことは何よりも大切だと思っています。
一番嬉しいのは、やはり患者様が妊娠された時。今後も、患者様が安心して治療でき、多くの方の喜
びに貢献できるよう努めていきたいですね。





出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.29 2016 spring
≫ 掲載記事一覧はこちら





 専門家に相談してみる




あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top