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妊活の第一歩は食生活の見直し。必要な栄養を摂って万全の準備を

コラム 不妊治療

妊活の第一歩は食生活の見直し。必要な栄養を摂って万全の準備を

2016夏 p18

2016.5.20

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ベビ待ちの皆さん、毎日の食生活、きちんとできていますか?
妊娠しやすい体をつくるには、妊娠に欠かせない栄養素をきちんと意識することが大切。今の自分に足りない栄養素、摂り入れるべき食材を学んで妊娠しやすい体づくりを目指しましょう!


妊活の第一歩は食生活の見直し。必要な栄養を摂って万全の準備を


「体は自分が食べた物でできている」といわれるように、元気な子どもを産み、育てるために、妊娠前から健康的な食事を摂ることはとても大切。栄養学の知識も持つ佐藤病院の佐藤雄一先生に、知っておきたい食事のことや必要な栄養素などについてお話を伺いました。



「やせ型」の女性が多く、低体重児での出産も増えてきている



近年、生まれてくる赤ちゃんがだんだん小さくなってきている傾向にあるといわれています。その原因の一つとして考えられているのが、お母さんの「やせ」。
BMI(体重と身長の関係から肥満度を示す体格指数)でみると、18.5未満がやせ型、18.5~25未満が普通体重、25以上が肥満となっています。日本人の場合、全体の3割がやせ型といわれていますが、特徴的なのは18.5~20以下の「比較的やせ」という人たちが多いこと。やせ型と合わせると、5割近くがやせぎみの傾向にあります。
低体重の女性が増えているのは、「細いことは美しい」という思い込みからくるダイエット思考が大きいのでは?
今は小学生からダイエットするケースもあるようです。
また、特に減量を意識していなくても、昔に比べて摂取カロリーが全体的に下がってきているといわれています。若い女性だと1日2000kcal程度は摂らなくてはいけないのですが、現状は1400~1600kcalが平均。食べる量自体が少ないことに加え、食べている内容自体も貧弱。
たんぱく質をはじめ、ビタミンやミネラルも不足しており、調べてみると全体の8割から9割の人が栄養不足状態になっています。ランチはコンビニのサラダにカップスープなどで済ませるなど、摂る食事の内容が良くないという人が増えてきているようですね。
お母さんが栄養不足でやせていると、赤ちゃんが低出生体重児(2500g未満)として生まれやすい傾向にありますが、体重が少ないと体の機能も未熟なので、感染症や合併症にかかりやすくなるだけでなく、将来、生活習慣病になりやすいと言われています。また、細胞やホルモンのもととなるたんぱく質、そのたんぱく質を分解・合成するのに必要なビタミンやミネラルが不足した状態だと、赤ちゃんだけでなく、妊婦本人にも影響が出てきてしまいます。



■ 妊活中に積極的に摂りたい栄養素 ■


たんぱく質


細胞や筋肉、ホルモンのもととなる最も大切な栄養素。タンパク質を構成しているのがアミノ酸ですが、1つの食材では必須アミノ酸をすべて摂りきれないので、肉や魚、大豆製品などさまざまな
種類のたんぱく質を摂ることが必要。ちなみに卵はアミノ酸スコア100。


ビタミンB群・亜鉛・鉄分


摂取した栄養素を分解・合成する時に必要になってくるのがビタミンB群。細胞の再生を助けてくれる葉酸もビタミンB群の仲間。鉄・亜鉛・カルシウムなどミネラルも大切です。サプリメントで補う際は、単品ではなくマルチビタミンミネラルで摂取する方が良いと言われています。


ビタミンD


ビタミンDは骨をつくる時に必要なビタミン。日光に当たると合成されますが、近年、UV防止の傾向が高まり、不足している女性が増加。赤ちゃんがくる病になったり、妊娠糖尿病の発症や不妊に関係することも。ビタミンDの改善で、不妊治療の成績があがると言われています。




もしかして不妊の原因?採血による「栄養解析」で自分の栄養状態をチェック



こうした状況にならないように、当院では妊娠前、「今の体の状態がどうなっているか」を知っていただくために栄養解析をおすすめしています。これは、血液検査の値から、たんぱく質や、ビタミン、鉄などの量とそれらがきちんと働いているかを解析します。気になっている症状や普段の食事内容等の問診結果と合わせて、妊娠するための体づくりのアドバイスをしています。
数年前から「栄養プロジェクト」として、妊娠するための体づくりや妊娠中の栄養にも力を入れてから、当院で生まれる赤ちゃんの平均体重は増加傾向にあります。



妊娠力は料理力!きちんと自炊して食事の内容を改善



栄養解析をして、結果を見ながら食事を指導する際は、いきなり「食べる内容や量を全部変えなさい」とはいわず、「この栄養素を含んだ一品を加えてください」ということから入っていきます。ライフスタイルに合わせて、まずは無理なくできることから変えていきます。
ただ、真剣に妊活に取り組みたいということなら、できれば自炊の機会を増やしていただきたいですね。当院の調べだと、自炊が中心の人と外食や中食(なかしょく)が多い人を比べた場合、明らかに後者のほうが栄養状態が悪い。自分で食材を買い求め調理する人は、自然に食への関心も高まり、栄養価が高く新鮮な旬の食材を口にする機会も多いでしょう。妊娠力=料理力と考え、1日1食でもさまざまな食材を取り入れた手料理で、必要な栄養をしっかり摂っていただきたいですね。



ビタミンD不足が不妊の原因だった?



妊娠するために欠かせない栄養素はたくさんありますが、なかでも大切なのはコラムで紹介している、たんぱく質、ビタミンB群・亜鉛・鉄分。これに加え、最近はビタミンDも注目されており、このビタミンが不足している人はAMH(抗ミュラー管ホルモン)が低い、多い人は体外受精の妊娠率がいいという報告
も。着床のメカニズムや免疫系にも関係しているといわれています。ほかに体の酸化を防ぐ抗酸化物質や、DHAやEPAなどオメガ3系の脂肪酸が含まれる良質な油を摂ることも重要です。



妊活中の食事ポイント


○自炊して旬の食材を食べよう!
○高タンパク・低糖質の食事が理想的
○白米→雑穀米でミネラル量アップ




学びカフェ


佐藤病院では、栄養プロジェクトチームによる「学びカフェ~栄養を考える食事会~」を毎月開催。「妊娠のための食生活」や「妊娠中のバランスの良い食事」をテーマに、実際に試食しながら栄養について学べます。ご夫婦での参加も大歓迎!(電話かメールで要予約)。






佐藤病院 佐藤 雄一先生

医学博士・産婦人科専門医・日本生殖医学会生殖医療専門医・日本産科婦人科内視鏡学会技術認定医。佐藤病院院長・高崎ARTクリニック理事長を務める。専門分野だけでなく、栄養学や抗加齢医学などの知識も深く、患者さんにも積極的に「食の重要性」を指導。自身も食生活に気を配り、日本体育協会公認スポーツドクターでもあるので運動も欠かさない。今年は東京マラソンを見事完走!




 





出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.30 2016 Summer
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