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体外受精を4回行いましたが未成熟卵しか採卵できず、妊娠に至りません。

コラム 不妊治療

体外受精を4回行いましたが未成熟卵しか採卵できず、妊娠に至りません。

2016夏 p50

2016.5.30

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体外受精を4回行いましたが未成熟卵しか採卵できず、妊娠に至りません。



相談者:詩音さん(34歳)
PCOSで未成熟卵しか採卵できず、移植ができません
体外受精を4回経験するも、未だ妊娠に至りません。1回目は受精卵になり、OHSS(卵巣過剰刺激症候群)になる可能性が高いということで凍結し、3カ月後に移植するも着床せず。2回目は未成熟卵のみで終了。3回目(転院後)は38個の卵子を採卵し2個の卵子を培養、受精卵になるも成長が止まり終了。4回目は10個の卵子を採卵し主席卵胞は15mm、GV期の未成熟卵で培養し、うち1つは2分割までいきましたが成長が止まり終了となりました。現病院は自然周期に近い形での妊娠を目指す方針で、前病院も低刺激での治療でした。「この年齢で、成熟卵がなぜ採取できなのか現段階ではわかりません」と主治医に言われましたが、もう私は妊娠することは難しいのでしょうか?



 詩音さんは、体外受精で採取した卵子がいつも未成熟卵ばかりということですが。


浅田先生:まず、卵子というのは成熟した段階でちゃんと採らないと結果が出ないわけで
す。成熟していないということは、成熟を阻害する素因があるのか、成熟卵の採卵の仕方が下手だということ。GV期(卵核胞崩壊開始前の卵子)からちょっと成熟するとMⅠ、完全な成熟卵をMⅡと言いますが、本当に成熟卵がまったく採れない人や、MⅠばかり採れる人というのは当院でも過去に数人いました。中の染色体がバラバラになっているとか、次の段階の染色体の配分がうまくいかずに未熟卵の形のものがたくさん含まれているという患者さんは実際にいます。でもこれは、ごく例外的な人です。詩音さんは、これまで自然周期採卵や低刺激での採卵をされてきたということですが、これは、本当に若い人で何もしなくても成熟卵が育つ人、あるいは高齢になって注射をたくさん打ってもその効果がないという人には有効ですが、普通の生殖年齢の人に行う採卵としては、極めて成績の悪いものになると思います。


 詩音さんの不妊の原因となっているPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)は、どのように作用しているんでしょう。


浅田先生:PCOSというのは、排卵障害に起因する月経異常です。エコー所見で卵胞がたくさん見えて、排卵しにくい病態で、AMH(卵巣予備能)を測るとかなり高い値が出る。詩音さんは測っていないようですが測ってみると高いはずで、月経周期が長いのも特徴が表れています。
排卵は、卵子の数も成長も人によってもともと違いますが、何個か何十個かの卵子が育っていくなかでだんだん絞られていって、1個大きな卵子が育ってあとは萎んでいく、というのが普通の仕組みです。でもPCOSの人はそこの仕組みがうまくいっていないので、中途半端に育っている卵子が卵巣の中にいっぱいあるんですよ。いっぱいあるということはどういうことかというと、刺激をきちんとして補助してやらないと成熟卵まで育たないんです。
詩音さんが3回目の体外受精で38個も採卵できたのに2個しか培養できなかったのは、うまく刺激をして成熟卵まで育てられなかったということです。見かけはMⅡでも中身が未熟なので、臨床的に結果は出ないですね。4回目の体外受精でも採卵した主席卵胞が15mmだったということですが、当院ではその大きさでは採卵しません。副作用が多くなるから早めに全部採卵したということだと思いますが、今は調節卵巣刺激のGnRHアンタゴニスト法ならHCGを使わずに採卵できるので、30個、40個と卵子がたくさん採れてもほとんど副作用はないです。受精卵はもちろん全凍結にしておいてホルモン補充の内膜調整法で移植すれば、すごく良い成績が出ます。
昔、「卵子がたくさんある人は卵子の質が悪い」と言われていたのは、採卵するドクターが副作用を怖れて正しいタイミングで採っていなかったのと、卵子の数が多くてそのまま移植すると黄体ホルモンが早めに上がるので、子宮内膜の状態や着床の条件が悪くて成績がよくなかったんですね。だからPCOSの人は「卵子が悪い」と言われ続けてきたんですが、それは患者さん側の問題ではなくて、治療する人の技量です。PCOSが不妊治療のなかで一番ドクターの技量の差が出るところで、それをいかにうまくできるかが、僕は不妊治療専門医の実力のバロメーターだと思いますよ。


 一度転院されていますが、状況は変わっていないので、さらに新しいクリニックを探したほうがいいでしょうか?


浅田先生:PCOSの病態をよく理解した、刺激がきちんとできるクリニックでやりな
さい、というのがアドバイスですね。それと“成熟卵をちゃんと採る”ということが一番大事、PCOSの人は特にそうです。1個か2個、成熟卵になるのを待つと、ほかの卵子もみんな成熟卵になる。そうすると一回の採卵で兄弟分をつくっても余るくらいの受精卵ができるんだけど、それをきちんと治療できるクリニックでなければ、いつまでたっても結果は出ません。
卵巣予備能と年齢を評価して、その人に合った刺激で成熟卵を採って、それも何個か採れるなら採ってあげる。卵子の数のマキシマムは、半年前に育ち始めた原始卵胞の数で決まっています。その目安がAMHです。成熟卵をちゃんと採るのがドクターの技術で、それを傷めずに培養して育てていくのが培養士の技術です。br />体外受精で1回失敗したら、同じ方法を繰り返すのではなくて、やり方を変えてやってみることが必要ですよね。もし3回やってもダメだったら、やっぱりそれはそのドクターの限界ということで、クリニックを変えてみるのも方法のひとつだと思います。どの患者さんにも共通して言えるのは、結果が出なければ同じところに留まらない、ということです。





浅田レディースクリニック 浅田 義正先生

名古屋大学医学部卒業。1993年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004年、浅田レディースクリニック開院。2006年、生殖医療専門医認定。2010年、浅田レディース名古屋駅前クリニック開院。昨年開講したドクターアカデミーを通して「浅田先生の不妊治療を勉強したい」という医師からアクセスがあり、今年の1月から新たに2名の女医さんが仲間入りされたとか。「非常に教えがいのある先生が入って嬉しい」と、浅田先生。

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出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.30 2016 Summer
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