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1つだけ急成長してしまい質の良くない卵子を採卵。胚盤胞まで育ちません。

コラム 不妊治療

1つだけ急成長してしまい質の良くない卵子を採卵。胚盤胞まで育ちません。

2016夏 p28

2016.6.8

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体外受精の第一ステップとなる排卵誘発。
いろいろな方法があるなかで、なんとなく体にやさしいそうな響きの「自然周期法」。
実際にはどんな治療になるのでしょうか。自分に合う誘発法を知るためにもしっかり理解しておきましょう。


自然周期法CASE1


1つだけ急成長してしまい質の良くない卵子を採卵。胚盤胞まで育ちません。



≫ まめこさん(41歳・主婦)からの相談
体外受精デビューして3周期。1周期目は、D3よりセロフェンⓇ1錠、D8にHMG注射で1個採卵し受精するもG3で胚盤胞にならず。2周期目は、D3よりセロフェンⓇとHMG、D5で1つだけ16mmと急成長し、他の卵胞は育たず採卵見送り。3周期目は、D3のチェックですでに9mmの卵胞が1つ。他の卵胞を育てるためにD3とD5にセロフェンⓇとHMGで、最初の大きな卵胞だけが成熟してD8に1個採卵、G3で胚盤胞にならず。D2~3のホルモン値はLH>FSHなので少し気になるのですが、問題ない範囲と言われています。生理は20代の時から25日できっかりきます。刺激法にするか、完全自然にしたほうがいいのか悩んでいます。




成長した卵胞がほかの卵胞を妨げる



初期卵胞は4~5個あるものの、いつも一つだけが急成長してしまい、結果的にあまり質の良くない卵子が1つ採れるだけで胚盤胞まで育たないケースですね。残留卵胞ではないと主治医に言われているようです。
まめこさんの場合は、年齢も関係すると思います。まず、40歳を超えると月経周期が短くなります。その要因としては、年齢が高いと卵胞数が少なくなるために、体が危機感を覚えて脳から卵子を育てる指令を出す。つまり卵胞刺激ホルモンを出すことが挙げられます。そこにセロフェンⓇやクロミッドⓇを投与するとますます助長されてしまうので、卵胞が1つだけ発育するのだと思います。
なぜ1つだけ急成長するかというと、スタートラインが同じだとしても、一番速く発育した卵胞がほかの卵胞の成長を抑えつける物質を出してしまうからなのです。セレクションをかけようとしているとも言えます。HMG注射だけなら均一に刺激を与えるのでそんなことにはならないと思いますが、とてもデリケートなことなので、様子をみながら選んでいくことが重要でしょう。まめこさんの場合は、たとえ刺激を強めたとしても同じ状況になるのではと思います。



完全自然周期のなかで個人に合わせて対策を



卵胞の成長が速い人の場合、基礎レベルを下げて、いったんリセットしたほうがいいでしょう。もしくは、年齢の高い人はまずスピードが比較的遅い完全自然周期でやってみたほうがいいと思います。それでも、卵胞の成長スピードは速いと思いますが。
年齢の高い人が完全自然周期を採用する際に難しいのは、成長スピードに合わせた採卵時期の見極め方です。早く排卵してしまって、採卵しようとしても卵子がなかったり過熟になっていたりと、なかなかタイミングが難しいのです。その対策として、完全自然周期のなかで、採卵前の排卵を抑制する方法があります。注射で排卵しないように抑えこんで採卵のタイミングを調整するというやり方です。
また、早期に採卵するという方法もあります。年齢の高い人はLHサージが早めに出てしまうので、LHサージ開始後に通常よりも早めに採卵します。もちろん未熟な場合もあるのですが、培養して受精できる状態にもっていくことができますから。過熟になるよりは可能性がありますよね。実は、完全自然周期もキャンセル数を減らすための対策を立てる必要があるので難しいのです。



完全自然周期のメリットは体への負担が少ないこと



当院は、年齢に関係なく排卵が定期的にある方へのファーストチョイスとして完全自然周期を採用しています。無排卵などの場合は別ですが、排卵周期に5日程度の幅がある人などは完全自然周期から始めます。何回まで行うかをよく聞かれるのですが、当院でデータを取ったところ、この方法で妊娠した人の8割以上が2回目までで成功したことがわかりました。ですから、まず2回は完全自然周期でやってみて、それ以降は低刺激などほかの方法を考えることにしています。
完全自然周期の良いところは、一番に体への負担が少ないことです。また、ほかの刺激法に比べて費用がかからないこと。そして、体への負担が少ないために次の周期も繰り返しできることです。さらに当院では妊娠した時の流産率が格段に低いというデータもあります(下図)。
一方で自然周期をおすすめする方は、20~30代前半で、卵管が詰まっていたり抗精子抗体といったはっきりとした原因がある方です。当院の場合は、1回で20%程度の妊娠が望めます。
もちろん、年齢の高い人には先ほど申し上げた対策を立てるなど、完全自然周期のなかでその人に合わせた方法をとっています。



検査を行いながら個人の状態に合わせた対策を



当院で、年齢をはじめその人の状態に合わせてどのように対策を立てるかというと、まず情報を集めながら最良の方法を考えていきます。完全自然周期のなかで排卵の自然なタイミングやホルモンをからめた排卵のタイミングを診る。また、子宮内膜の自然の状態や着床状態を調べるといったことです。その人の自然な状態を知ることは、対策を立てるうえで非常に有効です。
まめこさんの場合は、生理が25日きっかりでくるということなので、完全自然周期をやる価値はあると思います。その過程でさまざまな対策をとりながら進めていくほうがいいのではないでしょうか。
もし薬を使う場合は、フェマーラⓇがいいかと思います。初期卵胞がいくつかあるそうなので、フェマーラⓇによってすべての卵胞に均等に卵胞刺激への感受性を上げていければエントリーできる数も増えるでしょう。また、ホルモン値はLHがFSHより高いとありますが、そういった方にもフェマーラⓇが有効ではないかと思います。同じ刺激法で3周期うまくいかなかったら、ほかのやり方を考えたほうがいいでしょう。その際、まめこさんの場合は、先ほど申し上げた理由で完全自然周期法をおすすめします。






福井ウィメンズクリニック 福井 敬介先生

1989年、日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に入局、愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛媛大学産科婦人科学助教授。2001年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊カップルに提供したい」と、福井ウィメンズクリニックを開設する。開院15周年となる今年、初期のスタッフが定年退職になるため職員の新陳代謝を感じるようになったそう。節目の年を新しい気持ちで迎え、県外からの患者さんも積極的に受け入れられる体制を整えているそう。

≫ 福井ウィメンズクリニック




 





出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.30 2016 summer
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