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40代の不妊治療~着床のために何をすればいいですか?~

コラム 不妊治療

40代の不妊治療~着床のために何をすればいいですか?~

「何度移植してもなかなか着床しない」「胚盤胞を移植しても結果が出なかった」など、着床しない原因やその治療法などについて、大島クリニックの大島隆史先生にお話を伺いました。

2016.6.10

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着床のために何をすればいいですか?



胚盤胞まで到達しても40代だと異常率は7割以上


着床は胚、ホルモン、そして胚を受け取る側の子宮という3つの要素で成り立っています。着床しない、いわゆる着床障害と聞くと、子宮側の問題だと考える人が多いかもしれませんが、筋腫が飛び出ていたり、子宮内膜が極端に薄いなどの条件を除けば、子宮だけが原因というのは少ないのではないでしょうか。ホルモンに関しても、体外受精の場合は後からホルモンを補充しますから、ホルモンの状態だけが悪くて着床しないというのも考えにくい。そうなると、特に40歳以上の方の場合、着床するかしないかというのは胚が大きく関わっているような気がします。「その胚が、最終段階の胚盤胞まで育てば妊娠率が高いのでは?」と思われるかもしれませんが、たとえ胚盤胞までいったとしても、必ずしもいい状態の受精卵だとはいえません。グレードのいい胚盤胞を戻しても妊娠しなかったり、逆にグレードの悪い胚盤胞であっても、「これは明らかにダメだろう」という胚を戻して妊娠・出産される方もいるんですね。
胚盤胞になり、グレードが良くても、それは見た目の細胞の量で評価しているものなので、中身がいいかどうかははっきりとわかりません。胚盤胞までいっても、40代の方だと染色体の異常が起こる確率は7割以上といわれています。胚盤胞移植という好条件でも、若い方と比べるとどうしても着床率が下がってしまうのは避けられない事実だと思います。
とはいえ、胚盤胞になるというのはやはり力をもっている受精卵なんですね。すべての受精卵が胚盤胞になるわけではなく、初期胚から胚盤胞まで到達する確率はだいたい25~40%といわれています。そういう意味では自然に振り分けられているわけですから、胚盤胞までいった受精卵のほうが着床・妊娠率は高いのではないかと思います。


凍結融解胚盤胞移植で着床のタイミングを合わせる


40代の方の場合、胚盤胞の染色体異常率は7割以上と前述しましたが、では残りの3割のチャンスを生かすためにはどうしたらいいでしょうか。
私が大切だと思っているのは着床のタイミングをしっかり合わ
せること。着床のタイミングは排卵から数えて7日±2日の間といわれています。胚の戻し方には凍結と新鮮の2通りあると思いますが、タイミングを合わせるためには、胚盤胞を凍結してホルモン補充周期で移植するのが最適で、妊娠率も上がるのではないかと思っています。
ほかに、着床のために効果的な方法があるかどうかについてですが、残念ながら劇的に改善する方法はありません。患者さんご自身でできるものとして、当院ではDHEAのサプリメントをおすすめしており、高齢の方でも採れる卵子の数が増えたり、なかには自然妊娠された方もいらっしゃいます。ただし、効き目に個人差がありますし、改善率が極端に高いわけではないのです。私個人の考えとしては、年齢が高い方は治療に集中して、できるだけ多くの卵子を確保しておくことが重要だと思っています。時間をかけて卵子の質を改善しようとするより、とにかく着床・妊娠の確率を上げるということですね。
体外受精における妊娠の予測値というデータがあり、それによると34歳以下の方で15~30個卵子が採れると、出産までいく確率が39%程度。ところが40歳以上になると、15個採れても15%程度なんですね。40歳以上で一度に
15個も採れることは少なく、だいたい2~3個。4回採卵して1回につき3個、12個くらいになると10%を少し超えた妊娠率が得られるかもしれない。卵子がまだ採れるうちに4、5回採卵をして、ある程度卵子の数を確保しておけば、着床・妊娠の望みはあると思います。


着床前診断の効果はまだ明確に認められていない


また、皆さん、気になっていると思われる受精卵の着床前診断についてですが、これには「診断」と「スクリーニング」の2種類があります。現在、国内でできるのは診断で、これについては学会に申請して認められれば、遺伝子疾患や習慣性流産など特定な疾患について調べることができます。
すでに欧米では実施されているスクリーニング検査は、受精卵の5日目8細胞の一部を採って染色体や遺伝子を調べ、いい受精卵かどうか見極めて選別するものですが、それが妊娠に効果的かどうかはまだはっきりわかっていません。ヨーロッパの文献では、スクリーニングで異常がない受精卵を戻した例と何もしなかった例を比べた場合、後者のほうが妊娠率が高かったという報告もあります。
このような現状を考えれば、やはり確率を上げていくことが現実的。できれば43歳くらいまでに集中して、採卵を頑張っていただき
たいと思います。





大島クリニック 大島 隆史先生

自治医科大学卒業。1982年、新潟大学医学部産科婦人科学教室入局。産婦人科医として3年間研修後、県内の地域病院の1人医長として4年間勤務。1992年、新潟大学医学部において医学博士号を授与される。新潟県立がんセンター新潟病院、新潟県立中央病院勤務を経て、1999年、大島クリニックを開設、院長に就任。先日、近隣の中学校から「職業人に学ぶ」という講義の依頼を受けたという大島先生。生徒の中には同院で生まれた子も。将来の夢を聞かれて「宇宙の果てを見たい」「iPS細胞の実用化」「落語のマスター」と答えたそう。

≫ 大島クリニック




 





出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.30 2016 summer
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