HOME > 不妊治療 > AIH > このままAIH(人工授精)だけを続けていていいのでしょうか?
HOME > 不妊治療 > AIH > このままAIH(人工授精)だけを続けていていいのでしょうか?

このままAIH(人工授精)だけを続けていていいのでしょうか?

コラム 不妊治療

このままAIH(人工授精)だけを続けていていいのでしょうか?

「ヒューナーテストが良好な場合、IVFはすすめない」と先生に言われてしまいました。いったい何が原因なのでしょうか?

2016.7.11

あとで読む





ちゃんまるさん(33歳)
主治医のすすめでAIHにトライして2回目もダメでした。私は体外受精のほうが確実だと感じるのですが、「ヒューナーテストが良好な場合、IVFはすすめない」と先生に言われてしまいました。いったい何が原因なのでしょうか?



今回はぜひ田中先生に意見を伺いたいという、ジネコユーザーの方の相談内容を詳しい診断データとともにお持ちしました。原因不明のままAIHにトライしているのですが、ご本人は体外受精にステップアップしたい、でも担当医は消極的、ということなのですが……。


田中先生:ちょっと待って。じっくり読ませてね(そう言って、しばら
くデータに目を通す先生)。


ちゃんまるさんのデータの中で気になる部分はありますか?


田中先生:この方は腹腔鏡検査をしているんだね。これは大変いいことだと思いますよ。普通はあまりしない検査だけど、やることでとても多くの情報が得られます。子宮内膜症かどうかもわかるので、この病気の心配はないでしょう。精子通過も調べているんだね。これを調べる先生は少ない。子宮に精子を入れて腹水をとり、そこに精子がいれば通過良好。精子が本当に卵管の先端までたどり着いているか調べる、それなりに意味のある検査なんだよ。


卵管の状態はどうですか?


田中先生:卵管狭窄というのは内腔の状態なので、腹腔鏡検査ではわかりません。おそらく、子宮卵管造影の検査で診断されたんだろうね。あとは、卵管采棒状(らんかんさいぼうじょう)……。うーん、これはちょっと気になるなぁ。棒状というのは卵管采が変形しているということで、大抵は炎症によるものです。もしかしたら、クラミジアに感染している可能性もあるね。クラミジアが陽性なら、この方の卵管はあまりよい状態ではないと言えます。


では男性側の検査、精子データについてはいかがでしょうか。


田中先生:量は3mlというのは立派な数字だね。運動率は少し弱いかな。でも、もっと重要なのは運動性なんですよ。チョロチョロなのか、元気に動いているのか、精子の運動の仕方を調べるのが重要なのね。+++の活発な精子が2~3割いたら問題なし。だから、まだ運動性を調べていないようなら、もう一度きちんと検査してもらってください。


ヒューナーテストが良好だから大丈夫、ということではないんですね。


田中先生:ヒューナーテストが良好というのは、動いている精子がたくさんいるということだけなんです。それよりも精子の運動性。これが大事なんですよ。


総合的にみて、ちゃんまるさんの一番の問題点は……。


田中先生:精子については、運動性をきちんと調べること。それから卵管采棒状については、まずクラミジア検査を受けることをおすすめします。もし陽性だったら、薬を飲めば治る病気ですから。ただし、変形の程度によりますね。ソーセージみたいに膨らんでしまっていたら卵子のピックアップに支障をきたすので、変形の程度が中度から重度だったら僕は体外受精をおすすめします。


先生がご指摘された部分をもう一度きちんと調べて、大きな問題がなければこのままAIHをトライし続てもいいですか?


田中先生:担当医を信頼できるようなら、あと2~3回続けてもいいと
思います。でも、ちょっと疑問なのが「有効率が2%しか変わらない」とおっしゃっていること。これは間違ったデータですよ。一般的な体外受精の有効率は35歳以下で50%前後、人工授精では10%届きません。


そのへんはもっと先生に詳しい説明を求めたほうがいいですね。


田中先生:そう、とにかく納得するまで医師に質問すること。怒ったり、患者の意見に耳を貸さないような医師ならやめたほうがいい。自信がないから怒るんですよ。不安を感じたり、相性が合わなかったら転院することも一つの選択だと思います。
とにかく不妊治療で大切なのは、患者側は「この病院なら妊娠させてもらえる」、医師側は「この患者さんを何とか妊娠させてあげたい」という気持ちを双方が持つことですよ。そういう関係がないと長続きできないんじゃないかな。


今回も熱く語ってくださった田中先生。「1人でも多くの人を妊娠させたい」という熱意とオーラに取材スタッフも圧倒されっぱなしでした!





セントマザー産婦人科医院 田中 温先生

順天堂大学医学部卒業。越谷市立病院産科医長時代、診療後ならという条件付きで不妊治療の研究を許される。度重なる研究と実験は毎日深夜までに及び、1985年、ついに日本初のギフト法による男児が誕生。1990年、セントマザー産婦人科医院開院。

≫ セントマザー産婦人科医院




 







あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top