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胚盤胞まで育てた受精卵の移植で、さらにすべて凍結してシート法で戻す方法を基本としています ~体外受精の胚移植~

コラム 不妊治療

胚盤胞まで育てた受精卵の移植で、さらにすべて凍結してシート法で戻す方法を基本としています ~体外受精の胚移植~

不妊治療は、医師の方針や患者さんの希望などで、さまざまな治療の選択肢があるのが特徴です。そこで今回は、5人の先生に同じ質問をしてみました。

2010.11.25

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Question1
体外受精で、新鮮胚と凍結胚、また初期胚と胚盤胞を移植する場合、妊娠率について、どう考えますか?
また胚盤胞を移植する場合、胚盤胞になるまでの時間や子宮内膜の厚さで、妊娠率は変わりますか?



胚盤胞まで育てた受精卵の移植で、さらにすべて凍結してシート法で戻す方法を基本としています


ジネコ:胚移植について、先生はどのように考えていますか?
塩谷先生:当院では、新鮮胚移植と凍結胚移植における妊娠率について、5年前から月ごとのデータをまとめていますが、凍結した周期の受精卵のほうが妊娠率がはるかに高いです。凍結胚とは、37℃からマイナス196℃へと受精卵を一気に瞬間凍結すること。そして、解かす時もマイナス196℃から37℃へと、またドーンと温度を上げます。これでは受精卵にとっていいはずはないですね。
ジネコ:それでは、なぜ妊娠率が上がる?
塩谷先生:この答えは明らかで、凍結した周期のほうが、受精卵を受け取る側の子宮の状態がいいからなのです。普段なら1個の卵子が育つところを、排卵誘発剤を使っていくつもの卵子を育てた場合、ホルモンの値を調べると、自然の状態の何倍もの値になります。新鮮胚移植は、この通常のホルモン状態とかけ離れたところへ戻すことになるので、受精卵の着床する力が非常に弱い。ところが、いったん凍結した受精卵を解かして戻す時というのは、人工的につくった、あるいは自然にできあがった理想的なホルモン状態のところへ戻すので、当然、妊娠率が上がるというわけです。これは、それだけ素晴らしい凍結技術が確立されているということの裏付けでもあります。

また、当院では胚盤胞まで育てた受精卵を移植する時は、すべて凍結してシート法という方法で戻しています。これは簡単にいえば、受精卵を育てた時の培養液を凍結しておいて、凍結胚を子宮へ戻す時に一緒に子宮へ戻す移植方法です。そのまま戻すのに比べて妊娠率が10%もアップしますので、これは当院の大原則。新鮮胚を2個移植するよりも、凍結胚1個の移植のほうが妊娠率が高いため、この方法は多胎を避けるためにも大変有効です。
ジネコ:受精卵が胚盤胞になるまでの時間も、妊娠率を大きく左右しますか?
塩谷先生:通常、受精卵は採卵して5日目に胚盤胞になりますが、6日目でようやく胚盤胞になる受精卵もあります。当院のデータだと、1日遅れると妊娠率はちょうど5日目の胚盤胞の半分。そして、7日目にやっと胚盤胞になれる受精卵は、当院では移植を行いません。なぜなら、胚盤胞になるまでに7日間を要した受精卵を移植しても、出産にまで至った例が今のところないからです。

受精卵の成長が早いことは、それだけ遺伝子の力が強い、つまり細胞分裂するためのエネルギーを生み出す酵素をつくったり、タンパク質を合成したりする力が強いということ。だから妊娠率が高くなるのです。

それに、受精卵を育てる培養液にもまだまだ改善の余地があると思いますね。私たちがつくる培養環境は不完全で、受精卵にとってはまだまだとても窮屈で居心地が悪いもののはず。一方、排卵の影響で子宮内膜も一日一日、刻々と変化します。受精卵と子宮内膜がそれぞれに成長して、両者のタイミングがバッチリ同調したとき、女性は初めて妊娠することができるのです。




英ウィメンズクリニック 塩谷 雅英先生

島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科に入局。体外受精チームに所属し、不妊症治療の臨床に取り組みながら研究を継続する。1994~2000年、神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精による赤ちゃん誕生に貢献。2000年3月、不妊専門クリニッ
ク、英ウィメンズクリニックを開院する。

≫ 英ウィメンズクリニック




 





【特集】 先生の治療方針聞かせてください!


Question1:体外受精の胚移植


着床率が高いのは一度凍結させた胚の自然周期での移植だと考えています


妊娠率を上げるために胚盤胞で凍結させた胚の移植を基本に考えています


初回は初期胚移植で。なるべく手を入れず、シンプルにいったほうがいいと思います


良好な胚盤胞を得ることが妊娠率を上げるポイントだと考えています


Question2:体外受精の目安


目安はあくまで目安、問題にぶつかった場合に他院の先生方との連携も重要だと感じています


初回採卵での高い妊娠率を目標に、患者さんに適した刺激法を選択します


卵巣予備能力=抗ミュラー管ホルモン(AMH)を一番の目安としています


成熟卵を多く採ることよりも、患者さんに合った卵巣刺激法を選ぶことが大切


リスクと妊娠率のバランスを考えると低刺激法で6~8個が理想的だと思います


Question3:ステップアップについて


女性の年齢と卵巣予備能力、精子の状態、治療回数、不妊原因を総合的に加味して考えています


基本的なデータを参考にしつつもご夫婦そろって納得できるかが決め手になります


生活や個人によって基準はそれぞれ。時にはジャンプアップも提案します


ステップアップ治療は一つの目安。治療のプランや内容を知ることで不安は解消。


まずは効果的な治療方法や妊娠率などの情報を提供。ご夫婦の意思を最優先して一緒に決めていきます





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