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成熟卵を多く採ることよりも、患者さんに合った卵巣刺激法を選ぶことが大切 ~体外受精の目安~

成熟卵を多く採ることよりも、患者さんに合った卵巣刺激法を選ぶことが大切 ~体外受精の目安~

2010冬

2010.11.25

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不妊治療は、医師の方針や患者さんの希望などで、さまざまな治療の選択肢があるのが特徴です。
そこで今回は、5人の先生に同じ質問をしてみました。





Question2
体外受精の際、目安(理想、目標)としている成熟卵の数、子宮内膜の厚さ、受精率(顕微授精含む)、培養液の種類について、基本としている治療方針をお聞かせください。



成熟卵を多く採ることよりも、患者さんに合った卵巣刺激法を選ぶことが大切


ジネコ:体外受精の際、吉田先生が理想とする成熟卵の数は?
吉田先生:患者さんによって違いがありますから、「何個が理想」と明言することはできません。一人ひとりの卵巣予備能力が違いますし、どういう卵巣刺激をするかによっても違ってきます。1個でも大丈夫な人はいますし、8個は欲しいと思う人もいますが、多ければ多いほどいいという問題でもないと思っています。たくさんの成熟卵を採ることがゴールではありませんから。
当院は高刺激が主流と思われているようですが、実は半分は低刺激です。「高刺激で、とにかくたくさん採ろう」という方針ではありません。成熟卵をできるだけたくさん採ることだけを目的にせず、それぞれの患者さんに合った卵巣刺激をするということを最も重視しています。
卵巣刺激に関しては「若い患者さんだからロング法」というように決めてかからないことが重要だと思います。AMHをはじめとしたさまざまな検査で卵巣年齢や予備能力を測り、反応をみながら、1回目で結果が出なければ、また違う方法で刺激してみるというように、患者さんにできるだけ負担をかけないかたちで、ベストな状態の成熟卵が採れるのが理想ではないでしょうか。
ジネコ:子宮内膜の厚さ、顕微授精の受精率についてはいかがですか。
吉田先生:子宮内膜の厚さは、目標としては8mm。6mm程度でも、十分にチャンスはあると思います。
受精率については、当院は低いほうになるかもしれませんね。ただ、クリニックを比較するうえで顕微授精の受精率を指標にするのは、非常に難しいと思いますよ。体外受精で済むようなケースをわざわざ顕微授精させているようなところや、卵胞が14mm以上でないと採卵しないといったクリニックであれば、当然受精率はかなり高くなるでしょう。
精子が極端に少ない難しいケースを多く扱う当院のようなクリニックの受精率は、どうしても低くならざるを得ません。
ジネコ:培養液の種類についてはいかがですか?
吉田先生:最低でも、2種類には分けています。複数の培養液を使うようになったのは当院が先駆けではないでしょうか。
仮に8個の卵が採れれば、4個はA社の培養液、他4個はB社の培養液というように分けています。
2種類の培養液を用いれば、手間も2倍かかりますが、リスク分散としては大いに役立つと思います。
一度結果が出ていて、こちらの培養液のほうがよかったとわかっていれば、次回は1つに絞ることもありますが、同じA社の培養液であっても、作られた時期などによって多少バラつきがあるように感じます。製薬会社によって成分がすべてオープンにされていない以上、何がよかったのか、悪かったのか、さらにどれを用いるかを見極めるのは非常に難しいところでもありますね。




木場公園クリニック 吉田 淳先生

愛媛大学医学部卒業。産婦人科・泌尿器科医。東京警察病院産婦人科、池下レディースチャイルドクリニック、東邦大学第一泌尿器科非常勤講師などを経て、1999年木場公園クリニックを開院。

≫ 木場公園クリニック




 





【特集】 先生の治療方針聞かせてください!


Question1:体外受精の胚移植


着床率が高いのは一度凍結させた胚の自然周期での移植だと考えています


妊娠率を上げるために胚盤胞で凍結させた胚の移植を基本に考えています


胚盤胞まで育てた受精卵の移植で、さらにすべて凍結してシート法で戻す方法を基本としています


初回は初期胚移植で。なるべく手を入れず、シンプルにいったほうがいいと思います


良好な胚盤胞を得ることが妊娠率を上げるポイントだと考えています


Question2:体外受精の目安


目安はあくまで目安、問題にぶつかった場合に他院の先生方との連携も重要だと感じています


初回採卵での高い妊娠率を目標に、患者さんに適した刺激法を選択します


卵巣予備能力=抗ミュラー管ホルモン(AMH)を一番の目安としています


リスクと妊娠率のバランスを考えると低刺激法で6~8個が理想的だと思います


Question3:ステップアップについて


女性の年齢と卵巣予備能力、精子の状態、治療回数、不妊原因を総合的に加味して考えています


基本的なデータを参考にしつつもご夫婦そろって納得できるかが決め手になります


生活や個人によって基準はそれぞれ。時にはジャンプアップも提案します


ステップアップ治療は一つの目安。治療のプランや内容を知ることで不安は解消。


まずは効果的な治療方法や妊娠率などの情報を提供。ご夫婦の意思を最優先して一緒に決めていきます





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