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高齢出産のリスクを恐れず、“夫の子”が欲しい

コラム 不妊治療

高齢出産のリスクを恐れず、“夫の子”が欲しい

2016秋

2016.8.26

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高齢出産のリスクを恐れず、“夫の子”が欲しい
夫を父親にしてあげたい。ほんの少しでも希望があるのなら私はチャレンジし続けたい。


40代で再婚。まだ若い年下の夫を「父親にしてあげたい」そう心に決めて、キヨミさんは不妊治療を開始。可能性が0%でないのなら、諦めたくないけれど、治療費のために、働かなくてはならない実状も。



「子ども、産めますか?」に、「必ず産む!」と決意


梅雨明け間近の取材当日は折しもキヨミさん(45歳)の結婚記念日。4年前に入籍されたご主人は7歳年下で、なんと現在でも同じ会社に勤める上司と部下の間柄。バツイチ同士で、お互いに「そろそろ再婚を」と考えていた当時、「一緒に婚活しよう」とプライベートでも会うようになり、職場で見るのとは違う一面を知るうちに自然と惹かれ合うようになったそう。「その時私はすでに40歳を過ぎていました。交際が進み、真剣に結婚を考えるようになった時、彼が口にしたのは“子ども、産める?”との言葉でした。夫は今では“そんな失礼なこと言ったかな?”と記憶が薄れているようですが」と、苦笑いするキヨミさん。
それを受け、「絶対に産んでみせるからね!」と誓い、キヨミさんは結婚後すぐに不妊治療をスタートさせました。


夫の優しさを受け継いだ血のつながった子が欲しい


キヨミさんの初婚は21歳の時。若いうちにママになりたいという思いがあったのと、生理不順を気にされて、念のため婦人科で検診を受けましたが、「真剣に取り合ってもらった記憶がないんです。若かったこともありますが、もう20年以上前のことで、まだ不妊治療というものが今ほど浸透していない時代でしたし、専門クリニックも情報もほとんどありませんでした。当時は太っていたこともあって、“適正体重に近づけるよう努めなさい”と食事指導されただけ」と、キヨミさん。
特には問題ないと診断され、そのままやり過ごすうちに、職場では仕事ぶりが認められて、女性でありながら異例の昇進。仕事にやりがいや責任を感じるにつれ、「このまま夫婦二人でも、子どもがいない生活でもいいかな」と思うように。ところが、結婚生活は16年でピリオドを迎えます。離婚の原因は、子どもができなかったことではありませんでした。
一方、キヨミさんのご主人と前妻との間には、お子さんがいます。男の子で、今年で6歳。「いわゆる“できちゃった婚”だったそうですが、わずか半年で離婚。複雑な事情があり、前の奥様は出産後すぐに実家のご両親のもとへ。だから、夫は生まれたばかりの赤ちゃんの姿を見ただけで、“父親になった”という実感を味わっていないのです」と、キヨミさんはご主人の心の内を慮ります。「今は会うことすらできない息子さんですが、いつかのためにと、夫は毎年お誕生日のたびに積み立てをしています。残高を見れば今何歳かがわかるようにと。こんなに子どもを思いやれる人なのですから、何としても父親にしてあげたくて」


妊娠反応に、一喜一憂 でも、可能性があるなら!


年齢を考慮し、キヨミさんはすぐに顕微授精に挑戦。最初に通ったクリニックでの治療で、半年もしないうちに妊娠反応が。しかし喜びもつかの間、稽留流産という結果でした。その後も治療を続けましたが、病院の方針で胚盤胞に至らない卵子は凍結すらしてもらえず、やむなく転院することに。インターネットの口コミサイトを参考に、「ここなら!」と選んだクリニックも通いやすい場所ではなく、通院も一苦労なのだそう。「管理職でストレスも多いことから、思い切って2年間の休職を願い出ました。それでもその間には妊娠に至らず、この春に職場復帰。すると、なぜか採った卵子が続々と順調に胚盤胞に成長するという嬉しい兆しが!
仕事のストレスがなければ、と思い込んでいましたが、私にとっては不妊治療に専念するのもストレスだったのかもしれませんね。実は、取材のお話をいただいた時も約3年半ぶりに妊娠反応があり、今日は良いご報告ができると思っていたのですが残念な結果に」と、キヨミさん。
不妊治療を始めて4年。最初の病院では採卵8回、移植4回。現在の病院では採卵16回、移植5回。これまでにかかった治療費は、交通費などを除いて約1千万円とのこと。幸いなことにキヨミさんの場合はお仕事が励みになっていますが、高額な治療費を捻出するために、経済的な不安を少しでも軽くするために、女性も“働かなければならない”のが現状なのです。


羊水検査はしないという45歳で妊活する覚悟


不妊治療では、「もう諦めてください」と医師が言うことはありません。患者さんが希望をもつ限りは、患者さんの気が済むまで付き合わざるを得ません。「妊娠の可能性がゼロなら、不妊治療費が払えなくなったら、子をもつことを諦めるきっかけになるのでしょうけれど、今はそうではない。ほんの少しでも希望があるのなら、私はチャレンジし続けたい」と、キヨミさんの決意は揺るぎません。
今回の妊娠反応も、「年齢が年齢ですから、約6割は流産の可能性があるので、喜ぶのはまだ早い」と担当医に言われていたとか。高齢=卵子の老化、という事実は重くのしかかります。「45歳で採った卵子ですから、妊娠が難しいのは理解しています。妊娠できたとしても、高齢出産のリスクが高いのも十分心得ています。それでも、夫の血を受け継いだ子どもが欲しいのです。もちろん妊娠後も羊水検査などは受けるつもりはありませんし、万一何かしら障がいのある子だとしても“私たち夫婦なら大丈夫”と受け入れる覚悟もあります」と、キッパリ。
キヨミさんの願いはただひとつ。「子ども好きの夫を父親にしてあげたい」、ただそれだけ。
「子どもがいない今の二人だけの生活も十分に幸せ。だから、子どもは欲しいけれど、養子を迎えるまでは考えていません。私たちの性格からして、可愛がることはできても、叱ったりはできないだろうから」とも。「もう、そんなに頑張らなくていいよ」とご主人は言ってくれますが、「私の気の済むまで、頑張ってみてもいい?」と、キヨミさん。“自分の年齢”に負けたくない!と、闘いを続けます。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.31 2016 Autumn
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