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胚移植のタイミング、初期胚か胚盤胞(はいばんほう)か迷っています

コラム 不妊治療

胚移植のタイミング、初期胚か胚盤胞(はいばんほう)か迷っています

体外受精の場合、受精卵を何日目に子宮内に戻すのか、胚移殖のタイミングについて迷う人が多いようです。英ウィメンズクリニックの塩谷先生に詳しくお話を聞いてきました。

2016.10.4

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胚移植のタイミング、初期胚か胚盤胞(はいばんほう)か迷っています



ねこにゃんさん(38歳)
体外受精の移殖のタイミングについて迷っています。前回、3日後に6分割と8分割の初期胚を2つ移植するも、結果は陰性。胚盤胞まで待つと変性してしまって移殖できないのでは?と思ったり、いや、胚盤胞まで培養できないものは移殖しても着床しない?と思ったりしています。アドバイスをお願いします。



体外受精の場合、受精卵をいつ子宮内に戻すのか?という、胚移植のタイミングについての相談です。


塩谷先生:受精卵は5日間ほど培養すると、胚盤胞という200分裂くらいの細胞に育ちます。6分割や8分割など、胚盤胞になる前の初期胚の段階で移植するのか、胚盤胞になってから移植するのか。これはやはり大きな分かれ道なんですね。
まず、当院の場合、不妊症の治療は、なるべく少なくお手伝いするのがいいと考えています。自然に妊娠できるなら、自然が一番いいわけです。体外受精をしなくてすむのなら、体外受精しないのが本来の姿。その観点から考えると、3日間体外で培養する初期胚移植と、5日間体外で培養する胚盤胞移植では、よりたくさんお手伝いしているのは胚盤胞移植ということになりますよね。


ということは……つまり、より少なくお手伝いする初期胚移植のほうがいいということになりますね。


塩谷先生:原則的にはそうです。次に我々は、これから胚移植しようとしている受精卵は、どっちが居心地がいいのかを考えます。もっと培養液の中にいたいのか、それとも子宮の中に早く入りたいのか。いずれにしろ、受精卵が子宮内膜で着床するのは6日目くらいなので、3日目で受精卵を子宮に入れたとしても、6日目までは着床できません。本来、3日目の受精卵は、卵管の中にあるべきものなんですね。しかし、それが体外受精の場合、なぜか受精卵はシャーレーの培養液の中にいる!
つまり、まとめるとこうなります。3日目の受精卵にとって、一番居心地がいいのは卵管の中、二番目は培養液の中、三番めは子宮の中。


なるほど!非常に分かりやすいです。


塩谷先生:実は子宮の中というのは、3日目の受精卵にとって、あまり居心地がよくない場所なんですね。そんな場所に2~3日もいて成長、着床するのはけっこうハードなことです。だから、体外の培養液の中で5日間かけて培養する胚盤胞移植というのはかなり有効なんですね。ところで母体と受精卵は、受精卵ができた段階から、いろんな信号をやりとりしているんですよ。それを隔離してしまうのが体外受精です。初期胚移植なら、隔離する時間は2~3日と短いですが、胚盤胞移植では5日間も母体に一切信号が届きません。
ちなみに、着床は初期胚のほうが胚盤胞よりも少し早く起こることがわかっています。胚盤胞移植は隔離した後に受精卵をいきなり戻すので、子宮がビックリするわけですよ。母体は受精卵からの信号が来ないので、今月はもうあきらめかけている。そこへ急に受精卵がやってきて、慌てて準備を整えなければならなくなるというわけです。


受精卵をいつ子宮へ戻すか、見極めるのが難しそうですね。先生はどのように治療をされますか?


塩谷先生:これらのメリット、デメリットを踏まえ、過去の治療歴の経過などをトータルに見ながら、初期胚か胚盤胞のいずれを移植するか決めることになります。ねこにゃんさんの場合、「3日目に6分割、8分割」というと、これはかなり状態のいい受精卵なんですね。当院なら1個を子宮に戻して、残りの1個は胚盤胞
まで育てて凍結してからシート法で戻すことにします。
シート法とは、受精卵を育てるのに用いた培養液に着目したもので、当院が多くの患者さんの協力によって開発することができた移植の方法です。先ほどお話したように、受精卵からは母体に向けてさまざまな信号が発信されます。それらの因子を受け取った培養液を、移植の3日前に子宮の中に注入し、着床の準備ができたところで、融解した胚盤胞を移植。今まで着床障害で妊娠できなかった人の突破口となることも多いんです。二段階胚移植に近い考え方ですが、これは移殖する受精卵が基本的に1個なので、多胎の心配がほとんどないのもメリットですね。2つの受精卵でよりチャンスを広げることが大切だと考えています。





英ウィメンズクリニック 塩谷 雅英 先生

島根医科大学卒業。卒業と同時に京都大学産婦人科に入局。体外受精チームに所属し、不妊症治療の臨床に取り組みながら研究を継続する。1994~2000年、神戸市立中央市民病院に勤務し、顕微授精による赤ちゃん誕生に貢献。2000年3月、不妊専門クリニック、英ウィメンズクリニックを開院する。

≫ 英ウィメンズクリニック




 







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