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第4回テーマ:男性不妊 ~セントマザー★田中温先生の不妊治療講座~

コラム 不妊治療

第4回テーマ:男性不妊 ~セントマザー★田中温先生の不妊治療講座~

これから不妊治療を始める方や、治療を開始したばかりの方に、不妊治療の流れや基礎知識をわかりやすく紹介する「田中先生の不妊治療講座」。連載第3回は、高度生殖医療(ART)について、詳しく教えていただきます。

2016.11.10

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第4回テーマ:男性不妊




精液検査でわかる不妊原因と治療方法



現在は最初から夫婦揃って検査することを勧めています。その結果、不妊の原因となるのは女性と男性はほぼ同じ割合、残りは原因不明で、割合は4:4:2であると考えられます。
男性不妊とは文字通り、子どもができない原因が男性にあるということです。大別すると精子の数、動き、形。これを精液検査で判断します。
精子の数は、正常値であれば1㎖あたり6000~8000万匹程度で、その数に達していなければ「乏精子症」。軽度なら人工授精が可能ですが、中等度では体外受精、2~3回射精して得られる精子が1~2匹しかいない場合は重度と診断され顕微授精の対象になります。運動率が70~80%を下回れば「精子無力症」で、軽度なら漢方などの内服治療を試すこともありますが、中等度では人工授精、重度で体外受精か顕微授精を行います。精液中に精子がいても、まったく動いていない症状は「精子不動症」。動かない精子の中で、生存精子が1匹もいなければ受精は不可能ですが、運動するための組織の発育が不十分なだけで精子自体が生きていれば、HOST法という方法で生存精子を判別・採取して顕微授精を行うことが可能です。
精子の奇形は「頭部奇形」と「尾部奇形」。頭部奇形はDNA異常のため卵子と受精できません。そのため、精巣を覆う陰嚢にメスを入れ、精巣と精管の間にある精巣上体という部位から精子を採取するMESAで別の精子を探します。それでも正常な精子を採取できなければ精巣にメスを入れて切り開き、精巣内精子または精子になる前段階の円形精子細胞を採取するMicroーTESE(顕微鏡下精巣内精子採取術)を行います。尾部奇形であればDNAに問題はないので、採取した精子で顕微授精が可能です。



閉塞性無精子症と非閉塞性無精子症



閉塞性無精子症ならMESAで良質な精子を採取し、顕微授精を行える可能性が高いのですが、この症状の患者さんの中には、当院を受診するまでにMicroーTESEで何度も精巣にメスを入れてこられる方もたくさんいます。同様に、睾丸上部に流れる静脈が異常肥大する精索静脈瘤が不妊に関連しているともいわれ、泌尿器科で受診をすると大抵の場合にこの手術を行います。しかし、精索静脈瘤と精子に関連はないと世界保健機関(WHO)が認めています。精索静脈瘤の手術は、痛い、重いなど自覚症状がある人に限るべきもので、精子の動きや数、ましてや無精子症への効果はまったくないことが世界的に証明されていますので、この事実は絶対に知っておいていただきたいです。
非閉塞性無精子症の場合であればMicroーTESEで精子を採取しますが、それでも精子が見つからない、見つかっても奇形・不動精子しか見つからない場合、円形精子細胞を採取して顕微授精を行います。



精神的ストレスが招く男性不妊もある



最近では夫婦生活が最後までできない、もしくは最初から勃起できない、という悩みを抱えて来院する夫婦の確率がかなり高くなっています。いわゆる男性の勃起障害「ED」です。その原因は病的要因と、夫婦生活間で起きた精神的要因の2つで、精神的要因がかなりの割合を占めているのが特徴です。
精神的要因で挙げられるのは、生殖のため、義務のためだけに夫婦生活を「強いられている」という感情、そして夫婦生活に「満足できない」「満足させてあげられない」と自信喪失によって勃起できないケースです。精神的であれば自分で射精することは可能なので、その精子を用いてまずは人工授精を試してみるのも一案でしょう。



男性の機能にもエイジングが影響する



一般的に男性の精子は、女性の卵子ほど急激に質は落ちません。しかし、男性の精子も年齢を重ねると遺伝子に老化=エイジングが起こるという説もあり、なるべく男性も早く結婚したほうがいいといわれています。卵子はあらかじめ決まった数が製造されており、経年とともに減っていきますが、精子は最後まで睾丸でつくり続けられます。ですがやはり精子も経年で数が減り、運動率が落ちていくのです。AIDで精子を提供する男性の年齢が、日本生殖補助医療標準化機関(JISART)のガイドラインで満55歳未満であることからも理解していただけるでしょう。
エイジングは男女問わず気になるキーワードですが、見た目の若さを保つなど異性同性の目を意識することで、日常生活においてのアクティビティが上がり、意欲も湧きます。何でも不妊治療のためと決めつけるのではなく、夫婦がお互いを意識して、お互いのために日常の幸福度を上げることが第一だということを、特に忘れないでいただきたいですね。





セントマザー産婦人科医院 田中 温先生

順天堂大学医学部卒業。越谷市立病院産科医長時代、診療後ならという条件付きで不妊治療の研究を許される。度重なる研究と実験は毎日深夜にまで及び、1985年、ついに日本初のギフト法による男児が誕生。1990年、セントマザー産婦人科医院開院。日本受精着床学会副理事長。

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出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter
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セントマザー★田中温先生の不妊治療講座


第1回テーマ:不妊治療の検査


第2回テーマ:一般不妊治療



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