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採卵4回、移植5回を実施。 卵巣刺激法を工夫して 採卵を優先すべき?

コラム 不妊治療

採卵4回、移植5回を実施。 卵巣刺激法を工夫して 採卵を優先すべき?

「少しでも若い卵子を確保するため、採卵から始めたほうがいい? また一般的に、39歳では残り3つの受精卵が正常である確率はどれくらいですか?」

2016.11.1

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採卵4回、移植5回を実施。 卵巣刺激法を工夫して 採卵を優先すべき?



相談者:ノミコさん(39歳)
最後の採卵に向けて
38歳で治療を開始。不妊原因は夫の閉塞性無精子症、PCOS、片側卵管閉塞です。TESEにより精巣内精子を採取して顕微授精を行い、現在まで採卵4回、移植5回で4回目のみ陽性。しかし、8週目で流産してしまいました。あと2日目4分割胚1個、胚盤胞2個凍結してあります。卵巣刺激法は4回ともアンタゴニスト法です。凍結精子があと1回分のみであることと私の年齢を考慮し、採卵はあと1回で終わらせるつもりですが、刺激法はまた同じでいいでしょうか。まもなく治療を再開するつもりですが、少しでも若い卵子を確保するため、採卵から始めたほうがいい? また一般的に、39歳では残り3つの受精卵が正常である確率はどれくらいですか?



 採卵4回、移植を5回行ってもなかなか妊娠に至らない原因は? やはり卵巣刺激法などを変えていったほうがいいですか。


吉田先生:4回目の採卵では17個中10個が変性卵、3つが未成熟卵だったということ。数はたくさん採れているのに、成熟卵が4個だけというのは少ないですね。断定的にはいえませんが、おそらく女性側の年齢とPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)、両方の要素でなかなか良い卵子が獲得できないのだと思われます。
 卵巣刺激法に関して、この方は4回同じ方法を繰り返していらっしゃいます。どの回も16~30個と、数は採れても良い結果が得られていないので、やはり次回から工夫していく必要があると思いますね。
PCOSの方の場合、当院ではIVM(未成熟卵体外培養)というやり方で、ある程度成果を上げています。この方法は卵胞が未成熟の状態で採卵し、体外で卵子を培養して成熟させるというもの。通常の体外受精では卵胞の直径が20㎜前後の時期に採卵を行いますが、IVMでは10~12㎜の大きさになる頃を目指して採卵を行い、体外で成熟させた後、体外受精または顕微授精を行って胚を移植します。
このやり方なら卵胞を成長させなくてよいので、排卵誘発のための注射を減らすことができるし、卵巣への刺激が少ないのでOHSS(卵巣過剰刺激症候群)のリスクを避けることもできます。また、妊娠率も年々上がってきており、当院の最近のデータでは40%近くに。どこでもできる方法ではありませんが、実施を始めた施設は全国的に徐々に増えてきています。
もう一つ、これは刺激法ではありませんが、PCOSの方で、インスリン抵抗性をもっている場合、それを下げるメトホルミンというお薬を採卵前3カ月程度飲んでいただくと、卵子の質が改善されることがあります。
当院ではIVMの前にもほとんどの方に処方しているので、このような形で体質改善を試みるのも一つの手だと思います。


 今39歳ということですが、やはり移植より採卵を優先したほうがいいのでしょうか。


吉田先生:この年代になると、半年、1年のスパンで卵巣機能がどんどん低下していきます。ノミコさんはまだ卵子が採れていますから、できれば30代のうちに採卵しておくことがベターなのではないかと思います。
凍結してある、胚盤胞2個を含む残りの受精卵が正常かどうかの割合ですが、これについて現状では着床前診断を受けてみないとわかりません。一般的に、40歳を過ぎると卵子の染色体異常の割合は5~7割といわれています。着床するかどうかはまた別の問題ですが、うまく着床できたとしても流産しやすくなる。
このようなことから考えても、もし次の採卵を考えているのならなるべく早く、できるだけ質の良い受精卵でトライできるよう、集中して治療に臨んでいただきたいですね。





仙台ARTクリニック 吉田 仁秋先生

獨協医科大学卒業。東北大学医学部産婦人科学教室入局、不妊・体外受精チーム研究室へ。米国マイアミ大学留学後、竹田総合病院産婦人科部長、東北公済病院 医長を経て、吉田レディースクリニック開設。2016年1月に「仙台ARTクリニック」として移転・リニューアルオープン。クリニックをオープンしたばかりで毎日多忙な日々を送っている吉田先生ですが、趣味のサックスはコツコツ練習しているとか。1階には先生がサックスを演奏している素敵なオブジェが飾られているので、来院の際はぜひチェックを。

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出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter
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