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40代の不妊治療~高齢での妊娠継続のために できることは何ですか?~

コラム 不妊治療

40代の不妊治療~高齢での妊娠継続のために できることは何ですか?~

高齢での妊娠継続のために、どのような対策をしたらよいのかを神谷レディースクリニックの神谷博文先生に伺いました。

2016.11.1

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高齢での妊娠継続のために できることは何ですか?



40代の流産は原因のほとんどが加齢による染色体異常


年齢と妊娠には密接な関係があり、年齢を重ねれば重ねるほど妊娠しにくくなりますし、流産率も上昇します。
女性は、生まれた時に卵巣内に約200万個の卵子をもつといわれています。新たにつくられることはなく、その数は思春期には約30万個に減り、30歳で10万個を切り、37歳頃には約3万個、閉経する50〜52歳頃にはわずか1000個くらいに減ってしまいます。卵子は本人とともに年をとるため、数が減るだけでなく、質も低下していきます。そのため妊娠率が下がります。たとえ体外受精をしても、数と質の低下を超える妊娠成績をもたらすことができず、妊娠自体が難しくなるのが高齢での不妊治療の現実です。
妊娠する割合と、妊娠後出産に至る割合は年齢とともにどう変化するのかを、日本産科婦人科学会が発表した2014年のデータで見ていきましょう。体外受精治療をした人の妊娠率は30歳前後では40%ですが、40歳前後には25%に低下。その後、42歳では17・7%、44歳では10・7%、46歳では4.4%です。出産に至る割合は、30歳前後では21〜22%、40歳前後では8.8%、42歳では4.4%、44歳では1.6%、46歳では0.4%と徐々に下がっていきます。
流産の原因の60〜70%を占めるのが染色体異常です。受精前の卵子や精子に異常がなくても、受精や卵割の段階で染色体異常が発生し、流産につながります。その割合は加齢によって増え、45歳以上の流産では80〜90%が染色体異常が原因といわれています。
その他の原因としては、多くはありませんが、内分泌異常や自己免疫疾患、血液凝固異常などによる不育症や反復流産があります。また、精神的なショックやストレスを受けた場合は、体調不良や免疫力の低下につながり、多少の影響があるかもしれません。


心身ともに健康な状態に保つことが自分自身でできる対策


染色体異常には、残念ながら治療法はありませんが、少しでも妊娠しやすい状態に近づけ、妊娠を継続させるためには心身ともに健康な体づくりを行うことが重要です。適正体重を保つこと、十分な睡眠をとること、適度な運動を行うこと、ストレスを解消しバランスの良い食事をとること。アルコールやカフェインの摂取を避けることも大切です。また、最近注目されている活性酸素を除去する抗酸化作用のある食べ物やサプリメントなどを摂取して、少しでも老化を防ぐことを心がけたいですね。
流産の原因が染色体異常以外の場合、黄体機能不全なら黄体ホルモンの補充、自己免疫疾患や血液凝固異常が疑われる場合はアスピリンやヘパリン、ある種の漢方なども有効といわれます。現在の検査では、不育症の原因のすべてが解明されているわけではありませんから、アスピリンの予防的投与も有効かもしれません。
年齢の上昇とともに、流産率は上昇します。40代で不妊治療をされている方は、期待と不安、落胆などで心と体が疲れてしまうこともあります。大切なのは、妊娠率だけでなく、出産に至る割合や流産率もきちんと確認すること。そのうえで、治療を続ける期間を決めておくこと。私も医療従事者として、必要な情報を伝え、結果の見直しを行ったうえで、患者さんの決定を尊重しながら、きめ細かな治療法を選択していかなければと考えています。





神谷レディースクリニック 神谷 博文先生

札幌医科大学卒業。同大学産婦人科学講座、第一病理学講座に入局後、斗南病院にて産婦人科科長を10年間務める。1998年、神谷レディースクリニックを開業。

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出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.32 2016 Winter
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