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野田聖子さんと民主党本部に聞いてみました1

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2010.12.16

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「不妊治療は国の経営に関わる社会の大きな柱です」


不妊治療に初めて、保険適用を明言


民主党が政権与党になりました。ジネコ読者にとって今、最大の関心事が、民主党がマニフェストに掲げた、不妊治療への保険適用です。この保険適用について、どう思われますか。


image野田●とても画期的なことだと思います。何と言っても、初めて公約の中に不妊治療が登場し、保険適用が明言化されたのですから。10年以上、少子化や不妊治療の問題に取り組んできた私にとって、党の枠を越えて、とてもうれしいことです。ようやくこれで、第一歩が踏み出せるという思いですね。

これまで私費で払うしかなかった不妊治療の費用は、1回の体外受精で通常、約50万円かかると言われ、大きな負担を患者さんに強いるものでした。保険適用になれば3割の負担で済みますから、患者さんはかなり楽になります。しかし、残りの7割を不妊に関係のない人が払うことになります。

私はこれまで、不妊治療の保険適用について自民党内で働きかけをしてきましたが、実現できなかった理由の一つは、膨大な財源が必要だからでした。これに対し私は、?少子化対策の一環として、取り上げたらどうでしょう?と申し上げてきました。保険という形で国民にご負担いただく金額と、子どもが生まれてからの経済効果を天秤にかけたら、経済効果のほうが高いのではないかと。つまり?中長期的に見れば、保険の安定につながりますよ?と言ってきました。

とはいえ、不妊治療を受けている人が実際どれだけいるかわからない状況に加え、不妊というメカニズムすら明らかになっていない現状をみれば、保険適用には時間がかかるな、少しずつ保険の枠を増やしていくのがいいのかなとも考えています。




ジネコ読者の声を聞くと、保険適用について、もろ手を挙げての賛成だけではなく、不安の声もあります。


野田●それは、当然のことだと思います。不妊治療は、とてもデリケートなものです。保険適用により、精神的なプレッシャーがかかることも考えられます。例えば子どもがいなくてもいいと考えている夫婦を取り巻く環境が、治療を始めるようプレッシャーをかけてくることも想定されます。

そして何より、ドクターのレベルの問題が心配です。初めに保険適用ありきだとすると、不適切な病院も参入してくるようになります。日本産婦人科学会に登録されている施設がすべて、不妊治療を行えるわけですから。現状では不妊治療を行う施設の基準もなく、また本当に技術のあるドクターなのか、把握ができていません。ですから初めに保険適用ありきではなく、まず必要なのは、日本の不妊治療の現場の調査や研究会を作り、根本的な問題を解決することではないかと考えています。

私はこれまでの取り組みや経験から、不妊治療の医療制度は前進させなければいけない問題だと強く思っていますので、党派を越えて協力していきたいですね。


負担が軽くなることへのジネコ読者の期待は大きいです。しかし病院を選ぶ側の読者にとって、治療レベルや取り組みに不安もあります。


野田●私は今、アメリカの不妊治療を勉強しているのですが、アメリカでは体外受精を3、4回やっても妊娠が無理な場合、次に卵子提供に移るということが、システムとして確立されています。私自身の経験から言えば、体外受精を重ねることが、果たしていいことなのかという思いがあります。私もそうでしたが、毎回不安との葛藤で治療のつらさから、精神的なダメージを引き起こす人も多いと思います。不妊治療は、肉体的にも精神的にもつらい治療です。それでも、子どもが欲しいからそのつらさに耐えているわけで、患者さんのそうしたつらさを思うデリカシーが、私はこの問題に関わる側にとても大切だと思います。保険があるから、何十回も体外受精をするのがいいかどうか、このあたりも今後の議論になると思いますね。

とにかく今、必要なのは法律ではないでしょうか。患者さんが安心して治療を受けられるためにも、信頼できる治療環境を整備するための法律が不可欠です。これは、保険適用の前にしなければいけないことだと思います。


保険適用よりも、助成金制度での解決を


経済的な理由で、不妊治療を断念せざるを得ない夫婦がたくさんいるのも現実です。多額の費用がかかる、現在の不妊治療についてどう思われますか。


image野田●不妊治療というのは、たとえば、風邪を引けばこの薬というのとまったく訳が違う、オーダーメードです。それを考えると立て替え、つまり助成金を満額出す制度を提案したいですね。たとえば1人につき5回まで、国が満額出すとか。

私は数多く体外受精を行いましたが、今思うとそんなにやるべきだったのかと思うことがあります。自分の体を痛めつけることでもありますから。でも止め時という判断が、一番難しいのも事実です。保険適用により、費用的に、誰でも何回でもできるようになると、本人たちの精神的ダメージが激しく、離婚するカップルが増える懸念もあります。だからこそ不妊治療について、段階的なシステムを確立する必要があるのではないでしょうか。

今の日本では飛躍的な意見かもしれませんが、将来的には私は卵子提供までOK、それも不妊治療の制度の枠にいれていかれればと思っています。これは欧米ではすでに取り入れられている制度です。最終的には代理母という、不妊治療に段階的なシステムを確立できればとも考えています。本当に子どもが欲しい夫婦であれば、その選択も一つの可能性として考えていくべきことだと思います。

喜ばしいことは民主党のマニフェストが実現し、不妊治療が保険適用になれば、不妊治療自体がオープンになりますから、社会的に位置づけられるというメリットはあります。これはお金だけの問題ではなく、大事なのは、不妊治療を受け入れる社会を作ることです。隠れてではなく、堂々と不妊治療を受けられる社会を目指したいですね。




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