見えたのは遺残卵胞か空胞?排卵したかどうか不明です

コラム 不妊治療
見えたのは遺残卵胞か空胞?排卵したかどうか不明です
「今回の排卵については、あったような所見は見受けられる(少量の出血のあと?)といわれたのですが、本当に排卵したのでしょうか。」
大島 隆史 先生(大島クリニック)
相談者:しーまさん(31歳)
排卵したかどうか不明です

卵胞は確認できたけれど、遺残卵胞かどうかわからないということはあるのでしょうか。

これは基本だと思いますが、まず生理3日目くらいに排卵誘発をスタートする時は、必ずエコーで見て、卵胞の大きさが10㎜未満であることを確認します。そこから誘発剤を飲んでいただいて、8日目や10日目に卵胞の経過をみる。だいたい10日以内に大きな卵胞だったら、中身がないことが多いんですね。8日目で15~18㎜程度の大きさだと空胞の可能性が高いので、その経過を見ていけば36㎜が適正かどうかわかると思います。
最後は17㎜を過ぎたところで、条件が良ければ排卵させる注射を打ち、排卵した翌日に卵胞が潰れているのを確認するのが理想的な手順だと思います。
前回のものが残っていた遺残卵胞である可能性もありますか。

遺残卵胞は決して珍しいことではなく、HMGを毎日300単位程度打つなど卵巣刺激をかなり強くすると、小さい卵胞が排卵できなくて、これが膨れあがって次の周期まで残ってしまうことがあります。また、未排卵の卵胞が残ったままHCGを打つと、刺激を受けて膨れてしまうケースも。
前周期の卵胞が残っていて、なおかつご本人が早めに治療を進めたいという時にはピルを飲んでいただきますね。生理の3日目くらいから、卵胞が大きい場合は2週間程度ピルを服用して整え、次の生理から治療開始ということになります。
少量の出血があったというのは何かのサインなのでしょうか。

ホーリーさんのような場合、クロミッド®以外にどんな排卵誘発法がありますか?

先生から生理のお話があったり、現在、ルトラール®とプレマリン®を服用しても、なかなか体温が上がらないということ。総合的にみると、今回は排卵していない可能性が高いのではないでしょうか。
前述したように手順を踏んで卵胞の経過を見ていけば、このように困惑することはなかったのでは。抵抗がある方もいるようですが、患者さんも「スタート時は生理の時にきちんと診なくてはいけない」という認識をもつことが大切。疑問点があればエコーの時も画像を見ながら、積極的に質問していただきたいと思います。
大島先生より まとめ
●排卵誘発をスタートする時は、生理時に必ずエコーで卵胞の確認を
●遺残卵胞がある場合はピルを使って整え、次の生理から開始します
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.33 2017 Spring
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