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重症の乏(ぼう)精子症と診断されましたが顕微授精が必要ですか?

コラム 不妊治療

重症の乏(ぼう)精子症と診断されましたが顕微授精が必要ですか?

2011春

2011.2.25

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精液中の精子の数によって診断される乏精子症。福井ウィメンズクリニックの福井先生に治療の選択肢について詳しくお話を聞きました。



ぽんたさん(無職・31歳)からの投稿
3回の精液検査の結果、精子の数は90万/mL。夫が重症の乏精子症と診断されました。いきなり顕微授精をすすめられたので別の病院へ行き、人工授精からスタート。ただ、そこの先生も「男性不妊の治療として手術もあるし、念頭に置いておいて」という感じでした。もし精子の状態が少しでも改善されるのなら、手術を考えて泌尿器科を受診してほしいのですが、乏精子症と診断された方はどのように治療しているのか気になり、質問しました。



ジネコ:重度の乏精子症ということですが、90万/mLという数値ではやはり自然妊娠は難しいのでしょうか。
福井先生:残念ですが、かなり厳しいといっていいでしょう。運動率はそう悪くないということですよね。今は人工授精を行っておられるようですが、やはり顕微授精を視野に入れて治療を進められたほうがいいと思います。そして何より、まずご主人が泌尿器科の診察を受けることをおすすめします。

乏精子症は原因のはっきりしない原発性のものと、尿路感染症、前立腺炎、精索静脈瘤といった疾患が原因で起こる続発性のもの、この2種類に大きく分けることができます。もし泌尿器科で続発性の乏精子症と診断されれば、それを治療することでかなり症状が改善される可能性があるでしょう。もしかすると顕微授精は必要なくなるかもしれません。
ジネコ:どのような治療がありますか?
福井先生:性感染症や尿路感染症が原因なら抗生物質、前立腺炎の場合も投薬で改善されます。精索静脈瘤の場合は手術が必要です。しかし、検査をしても原因が見つからないケースだって当然あるわけですよね。もしそうなると、90万/mLという数値では人工授精では難しいかもしれません。100万/mL以下では体外受精も厳しいといわれていますから。
ジネコ:いずれにせよ、まず泌尿器科を受診したほうがいいのですね。
福井先生:そうです。もし泌尿器科系の疾患が隠れているのだとしたら、それを治すことが先決でしょう。最終的に体外受精や顕微授精に進むことになっても、やはり男性の性感染症なども、受精卵の培養に影響を及ぼす可能性があります。放っておくと本人の健康にも影響を与えますから、治す努力をしたほうがいいでしょう。

そして、もし精子の造成機能に問題がある原発性の乏精子症なら、これはもう迷わず顕微授精を考えたほうがいい。いずれにせよ、そこをはっきり確認したほうがいいということです。
ジネコ:なるほど。ご主人に男性不妊外来の受診をすすめるのは、女性からは切り出しにくいという意見もまだまだ多いです。そのような場合、先生はどうアドバイスされますか?
福井先生:まずは二人でセミナーなどに出席することから始めてはいかがでしょう。不妊には男性側にも原因があるということをよく理解してもらう必要があります。体外受精などの高度な治療に進む場合は特に重要です。当院でも、夫婦で面談に来られない方には体外受精や顕微授精を行っていません。
男性と女性の不妊原因は半々、そのうち25%は男性と女性の両方に原因があるといわれていますので、実に4人に1人の割合で男女の両方に不妊の原因があるということになります。それはどちらが悪いということではなく、不妊治療は夫婦の問題であるということ。それをまず夫婦で理解することが大切です。当院でもまだ全体の1割くらいですが、診察には必ず二人で来られる方もいらっしゃいます。毎回は無理でも、治療の節目や新しい展開がある時などは、二人で受診されたらいいと思いますね。
ジネコ:デリケートな問題だからこそ、ご主人との話し合いや協力が欠かせないということですね。
福井先生:そうです。だからぽんたさんご夫婦にもしっかりと話し合ってほしいですね。ぽんたさんの投稿を拝見していると、少しご主人に遠慮しているのかなぁと感じる部分もありました。もしかしたら「子どもはもういいよ」と言われるのを恐れていらっしゃるのかもしれない。
男性心理として「あなたにはほとんど精子がありません」と言われるのは相当ショックなことです。いわば「告知」のようなものですから、精神的にガックリきて当然です。精液検査は1回だけだとストレスや体調に数値が左右されることも多いのですが、3回とも結果がよくなかったということは、重度の乏精子症という診断はほぼ間違いないでしょう。
ただ、昔ならばすぐに子どもを諦めなければならない状況ですが、今は無精子症でも、精巣内から組織を採取するTESEという技術がある時代です。ご主人の場合は、数が少ないながらも精液中に運動精子が確認されています。年齢もお若いですし、本当に子どもを望んでいらっしゃるなら、まだ諦めるのは早いと思います。
乏精子症だからといって顕微授精での妊娠率が著しく低くなるというデータもありませんし、運動精子さえ見つけられれば、顕微授精で妊娠できる可能性がある。少なくともそこは納得というか理解してもらってほしいです。
ジネコ:あとはご主人に受診をどう切り出すかですね。
福井先生:最初に顕微授精をすすめられた時、ご自身の意思で転院して人工授精も試みたとのことですし、ぽんたさんのなかではもう納得されて、ある程度の道筋は立っているのかもしれませんね。

それならやはり勇気を出して、まずはご主人と一緒に男性不妊外来のある泌尿器科を受診してください。投稿には「受診してほしい」とありましたが、理想は「一緒に受診しよう」です。不妊治療は夫婦の問題ですから、二人で行って話を聞くのがベストだと思います。




福井ウィメンズクリニック 福井 敬介先生

1989年、日本大学医学部卒業。卒業と同時に愛媛大学産科婦人科に入局、愛媛大学大学院医学専攻科修了。2000年愛媛大学産科婦人科学助教授。2001年、「高度な生殖医療をより身近な医療として不妊カップルに提供したい」と、福井ウィメンズクリニックを開設する。

≫ 福井ウィメンズクリニック




 







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