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原因を知りたいのに夫は検査を嫌がってばかりいます

コラム 不妊治療

原因を知りたいのに夫は検査を嫌がってばかりいます

男性に原因がある不妊の場合、治療には夫の協力が必要不可欠。男性不妊の検査の内容やご夫婦の治療への向き合い方などについて、秋山先生にお話を伺いました。

2011.2.25

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ムーさん(会社員・37 歳)からの投稿
はじめまして。顕微授精で治療中です。私の旦那は精子がかなり少なく、顕微授精しかできない数です。それなのに旦那は「痛いことが大嫌いだから、検査してまで子どもはいらない」と逃げてばかり……。私の治療のストレスを少しでも緩和しようと家事は手伝ってくれていますが、それよりもきちんと検査を受けてもらって、原因をはっきりしたうえで不妊治療したいと思っているのですが。



ジネコ:ムーさんはご主人の精子が少ない原因を調べたいということですが、男性不妊の場合、どのような検査を受ける必要があるのでしょうか。
秋山先生:男性不妊の検査の入り口は、精液検査になります。ムーさんご夫妻は現在、顕微授精にトライされている状況なので、精液検査はすでに何回か受けられているはず。もう少し詳しく調べたいということでしたら、その先は泌尿器科で行う検査になると思います。
泌尿器科での診察の流れとしては、最初に過去の手術歴などを伺う問診が行われます。子どもの頃にヘルニアの手術などをした場合、精子を運ぶ通路である精細管が詰まってしまうケースもありますので。続いて触診、ホルモン値を調べる血液検査、超音波検査などが行われます。
ジネコ:ご主人は「痛いので検査を受けたくない」とおっしゃっているようですが、実際に強い痛みをともなう検査はあるのですか?
秋山先生:基本的な検査は、特に痛みをともなうことはないと思います。精密な検査に進んだ場合、受ける方によって多少の苦痛を感じるものといえば、精巣生検でしょうか。これは無精子症の方に実施されることが多い検査で、精巣に直接針を刺して、精子がいるかどうか調べる検査です。
ジネコ:ムーさんのご主人は、治療や検査に関して誤解されている部分もあるのかもしれませんね。
秋山先生:詳しく知りたくないというのは「自分が原因で妊娠しづらくなっていたら、それを認めたくない」という男性の心理からきているのではないでしょうか。奥様から話しても、プライドや申し訳なさが先に立ってなかなか素直に聞くことができず、ケンカになってしまうということも多いのでは。お二人で向かい合うと、きちんと話せない、ということでしたら、ご主人がリラックスして話せる環境をつくったほうがいいのかもしれません。
ジネコ:二人きりではないほうが素直に話せる場合も……。
秋山先生:当院では不妊カウンセリングも実施しているのですが、ご夫婦でいらして、僕の所には来ないで、そこでお話だけされていく方も多くいらっしゃいますよ。医師の前でいろいろ……というより、そのほうがうち解けて悩みを相談できるようです。帰りに待合室を見ると、自分と同じような悩みを持つ男性が何人か待っていらっしゃる。それを見て、「僕だけではないんだ」と少し気持ちも楽になられるようですね。
それも難しいという場合は、『ジネコ』のように不妊治療について書かれた雑誌や本をご主人に見せて、それをきっかけに治療に関する知識を学んでもらったり、意見を交換されるのもいいと思いますね。
ジネコ:ムーさんは原因をはっきりさせなければ不妊治療に集中できないようですが、ご主人が検査を受ければよい方向に向かいますか。
秋山先生:ムーさんの「原因をはっきりさせたうえで不妊治療をしたい」という気持ちはよくわかります。
ただ、精子に問題があった場合でも6割の方が原因不明、ご夫婦どちらにも異常がなくても妊娠できない方は全体の3割を占めます。たとえば精索静脈瘤(静脈がこぶのようにふくれてしまって起こる精子の障害)などの病気が原因の場合は、治療して改善することもありますが、検査をしても原因がわからないこともあります。
ですから、原因の追及に固執しすぎてしまうのも危険な気がします。原因がはっきりしない=妊娠しない=夫が悪い、という考え方になって、さらにご夫婦の関係が悪化してしまったら困りますしね。
ジネコ:お二人の気持ちが、少しずれてしまっているのかもしれませんね。
秋山先生:テムジンさんの投稿にもあるように、お互いの考えが食い違っている状態で不妊治療を続けるのは難しいと思います。
治療はスタートです。もし治療をしてお子さんを授かったとしても、そこから先の子育てはどうでしょう。このまま向き合えずにいたら、そこでも意識の違いが出てきてしまいますよね。ご主人は奥様を気遣って家事を手伝い、治療も受けていらっしゃいます。それでも不満を言ってしまうのは、もしかしたらムーさんにも焦りやストレスがたまっているからかもしれません。
ご主人にも評価すべき点はあると思いますから、まず奥様はそれに対して感謝の気持ちを示してから、話し合ってみてはいかがでしょうか。早く次の治療へ、というより、二人できちんと話し合って根本的な問題を解決してから、前へ進まれたほうがいいのではないかと思います。




秋山レディースクリニック 秋山 芳晃先生

東京慈恵会医科大学卒業。東京慈恵会医科大学附属病院、国立大蔵病院に勤務後、父親が営んでいた産科医院を継ぎ、不妊専門病院として新たに開業。

≫ 秋山レディースクリニック




 







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