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多嚢胞性卵巣症候群の場合どんな排卵誘発法がよいのでしょうか?

多嚢胞性卵巣症候群の場合どんな排卵誘発法がよいのでしょうか?

2016秋

2010.9.7

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妊娠の可能性を高める方法の一つに卵巣を刺激して排卵を促す、排卵誘発という方法があります。
おもな方法は、患者さんの状態や治療方針に合わせて排卵誘発剤を使用するショート法、ロング法、アンタゴニスト法などがあります。
また逆に、排卵誘発を行わずに、自然排卵での治療を選ぶという選択もあります。どの方法が適しているかは患者さんによって異なりますが、医師はどのような考えをもって選択しているのでしょうか。全国の先生方にお話を伺ってきました。


誘発法によっては卵巣過剰刺激症候群も起こしやすい多嚢胞性卵巣症候群。最適な排卵誘発法は?そして採卵後のテクニックまでクリニックママの古井先生にお伺いしました。



みんとさん(主婦・35歳)からの投稿
多嚢胞性卵巣症候群で治療中。先日、2回目の体外受精が陰性でした。2回ともアンタゴニスト法で誘発し、5個採卵、3個受精、グレード1の胚を2つ戻しましたが、ダメでした。次回の相談をしたら、「採卵数が多ければ、質のよい卵子がある可能性もある。卵巣が腫れるのを覚悟でロング法も選択できる」とのこと。この場合、アンタゴニスト法からロング法に変えたほうがいいでしょうか?



ジネコ:まず、多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)の患者さんの場合、古井先生が一番最初に選択される排卵誘発法は何ですか?
古井先生:ファーストチョイスは、アンタゴニスト法です。これはPCOSに限らず、患者さんの強い希望がない限り、初回の排卵誘発法としての私の方針です。
PCOSの場合、アンタゴニスト法はロング法に比べると、卵巣過剰刺激症候群(OHSS)になりにくいと思います。また一般の患者さんにおいても、ロング法のように長い期間、スプレキュア®やナサニール®などの点鼻薬をやるストレスがない。ではショート法はというと、私はショート法よりもロング法のほうが質のよい卵が採れると考えているので、ショート法は年齢の高い方の場合や、注射を打ってもなかなか卵が育たないという場合に限り選択しています。
また、アンタゴニスト法を行う場合には、卵の直径が15mmくらいまで育ってから、アンタゴニストを投与開始しています。ですから、アンタゴニストの投与量は、多くても3~4本です。また、妊娠率もロング法と比べて同等なので、負担の少ない方法ということでアンタゴニスト法を第一選択としています。
ジネコ:みんとさんの場合は、2回ともアンタゴニスト法でダメだったそうですが。
古井先生:まず、この方のグレード1の胚というのは、見た目の特徴から胚の質を分類するビーク分類での一番よい胚という意味だと思うのですが、ビーク分類では受精卵の分割の速度などは加味していないんです。
たとえば3日目の受精卵でも、4分割の受精卵もあるし、8分割の受精卵もある、いろいろあるわけです。そのあたりの受精卵の評価は難しく、当院の場合では、3日目で7分割以上なら3点。あとは受精卵の割球の大小不同があるかないか、それから受精卵が分割していく際に出現するフラグメンテーションの割合が多いか少ないかで点数を加算していき、5点満点で3日目の受精卵の質をスコアリングする方法をとっています。3日目で5点なら、60%くらいの確率で妊娠しますね。胚盤胞到達率も80%くらいでしょうか。
そういう意味でいうと、このグレード1というのが本当の意味で良好胚かどうかがわかりませんが、グレード1が質のよい受精卵という意味であれば、良好胚が2つも採れているのだから、今回の場合、排卵誘発法としてアンタゴニスト法が悪いというわけではないと思います。逆に良好胚を2つも戻したのに着床しない、ということのほうが問題かもしれません。
ジネコ:つまり、排卵誘発法を変える必要はないと?
古井先生:通常HCGを打って2日後に採卵しますが、PCOSの場合、HCGを注射する直前のエストラジオール(卵胞ホルモン)値がかなり高いと思います。エストラジオール値が高すぎると着床にはよくないといわれています。ですから、みんとさんのように良好胚が採れるのであれば、排卵誘発法に問題があるのではなく、着床しやすい環境をつくってやって胚移植してやればよいかもしれません。これについては後で説明します。

アンタゴニスト法でも不良胚しかできない人もいます。その場合はロング法で卵をたくさん採るのも一つの方法かもしれませんが、みんとさんの場合は少し違うケースのようですね。
ジネコ:古井先生なら、次にどんな方法を選択されますか?
古井先生:もう一度アンタゴニスト法をやってみて、5日目まで受精卵の様子をみます。実は、2002年以降、当院では、全症例、胚盤胞まで育てています。5日目まで培養を続けて本当に胚盤胞になるかどうかを見極めて、良好胚盤胞になったら、いったんそれを全胚凍結します。その後、ホルモン補充周期で内膜を作成し、着床の環境を整えてから融解胚移植をするという方法が、みんとさんの場合はよいと思います。
これはPCOSで自然排卵がない場合や、アンタゴニスト法でもOHSSになってしまう場合には有効です。
また、最近、私は、5日目に良好胚盤胞が複数できた場合は、患者さんの承諾を得たうえで、一番よい胚盤胞は凍結保存しておいて、2番手、3番手の胚盤胞をまず新鮮胚で戻しています。それで着床すればいいですし、ダメだった場合には、ホルモン補充周期で子宮内環境をできるだけよい状態にして、1番手の胚盤胞を戻します。実際、この方法はかなり妊娠率が高く、1回の採卵での妊娠の可能性が広がります。
ジネコ:単に排卵誘発法を変えるだけでなく、ほかにも方法があるのですね。
古井先生:そうですね。排卵誘発法にしても、この方法でないといけないということはないと思います。アンタゴニスト法がダメならロング法というだけではなく、たとえばクロミフェンを使った自然周期法や、クロミフェンとHMGを併用するなど、方法はいろいろあります。
さらにもう一つ、排卵誘発法だけではなく、培養液をかえてみるのもよいと思います。現在は5~6種類の培養液がありますが、Aの培養液ではダメだけれど、Bだとうまくいく、ということもあります。そういったことも含めて、ドクターと相談してみるとよいと思います。




クリニックママ 古井 憲司先生

1986年日本医科大学卒業。1987年名古屋大学産婦人科学教室入局後、名古屋大学付属病院の文部教官を務める。大垣市民病院の産婦人科医長を経て、1998年クリニックママ開院。

≫ クリニックママ




 





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