HOME > 不妊治療 > IVF > FTについて教えて!
HOME > 不妊治療 > IVF > FTについて教えて!

FTについて教えて!

専門医Q&A 不妊治療

FTについて教えて!

2017Webコラム

2017.7.14

あとで読む




FTについて教えて!


2017/7/14 中村 嘉宏(なかむらレディースクリニック 院長)







相談者:きよさん(主婦/32歳)


卵管が詰まっているのと年齢が高いため、1年前から体外受精を繰り返しています。仕事を辞めてストレスが激減したり、体にいいことをしているためか、毎月複数採れる卵もだんだんよくなっている(胚盤胞まで2ついくまでになりました)のですが、化学流産までいったものの、妊娠には至りません。
経済的にとても厳しくなってきたので、次回で体外受精はあきらめないといけないのかな?と思っています。あきらめたままだと可能性がほぼ0になってしまうので、FT(卵管鏡下卵管形成術)を検討しています。医師に以前聞いたことがありますが、すぐにまた詰まってしまうし、体外受精のほうが確率は高いという説明を受けました。次回の体外受精で奇跡がおきればいいのですが、ダメだった場合、望みがなくなってしまうのはつらいのでFTを受けてみたいと考えています。



 



FT(卵管鏡下卵管形成術)について教えてください。


子宮の中にある卵管の入り口(卵管口)から、FTカテーテルとよばれる細い管に気圧をかけて順繰りに送り出し、卵管の閉塞や狭窄を治療する方法です。また、カテーテル内に卵管鏡とよばれる細いファイバースコープがはいっていて、卵管内を観察します。

 



FTのメリットデメリットについてお教えください


FTのメリットは3つあります。(1)卵管性不妊に効果が高く、自然妊娠が期待できること(2)侵襲性が低く、日帰り手術が可能なこと(3)保険適応があるため経済的負担が軽いことです。一方で、デメリットは慣れていないと手技的にむずかしい点があります。とくに卵管鏡の画像は不鮮明でピントが合う範囲が限られているため、卵管口を探すのに時間がかかります。また、カテーテルが卵管口にうまく入らず、子宮内をさまよっていても卵管鏡の画像では気づきにくいことがあります。卵管口を探すのは子宮鏡を用いれば簡単です。

当院では、卵管鏡と子宮鏡を組み合わせた「ダブルスコープ法(子宮鏡併用卵管鏡下卵管形成術)」という独自の方法でおこなっています。卵管口をすぐに見つけられることができ、FTカテーテルを確実に短時間で挿入できます。

 



FTはどのような人に向いていますか?また、体外受精と比較した場合、どちらがよいのでしょうか?


卵管が狭窄していたり、卵管に軽度の閉塞がある人に向いています。卵管性不妊の場合、FTをすると自然妊娠の確率は飛躍的に上昇します。効果は1年程度期待できます。卵管性不妊でも卵管の外側が癒着している症例や、卵管采の癒着や卵管水腫にはあまり効果がありません。そのような場合は体外受精を選択します。

この方は卵管が詰まっているので、FTは受けるべきでしょう。年齢も高齢といわれていますが、30代前半なので高齢のうちにははいりません。自然妊娠も十分に期待できます。特に体外受精を受けない場合は、絶対に受けておくべきでしょう。




中村先生より まとめ


FTは、卵管の閉塞や狭窄のある方に有効で、自然妊娠が期待できる、日帰り手術、保険適用があるなどのメリットがあります。当院の「ダブルスコープ法」ではFTを短時間で確実、安全に行えます。



 



[無料]気軽にご相談ください

 



お話を伺った先生のご紹介





中村 嘉宏 先生(なかむらレディースクリニック)


大阪市立大学医学部卒業。

同大学院で山中伸弥教授(現CiRA所長)の指導で学位取得。大阪市立大学附属病院、住友病院、北摂総合病院産婦人科部長を経て、2013年より藤野婦人科クリニック勤務。2015年4月なかむらレディースクリニック開院。

なかむらレディースクリニック


あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top