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黄体ホルモンを開始して8日目の移植は遅すぎる?

コラム 不妊治療

黄体ホルモンを開始して8日目の移植は遅すぎる?

「『着床の窓』は黄体ホルモンを開始してからの日数で決まるのでしょうか? それとも移植するときのP4値で決まるのでしょうか?」

2017.8.18

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黄体ホルモンを開始して8日目の移植は遅すぎる?


生田 克夫 先生(いくたウィメンズクリニック)







相談者:りんごさん(38歳)


移植日について


これまで6回の凍結胚移植を行い、2度の流産、4度の陰性でした。現在、転院した病院で初めて採卵し、ホルモン補充周期での移植で凍結胚移植の予定です。エストラーナテープ®を貼り、子宮内膜とE2に問題がなければデュファストン®を飲み始め、4日目からソフィア®を追加し、8日目に移植の予定だと言われました。以前の病院ではHCGを打ち、その日の夜から黄体ホルモン(腟坐薬)を開始し、6日目が移植だったので8日目では遅い気もして、その旨、医師に聞いたら「飲み薬はゆっくりと効いてくるので大丈夫」とのこと。移植は、黄体ホルモンを開始した日から何日目にするのが大切だとよく聞きますが、8日目は遅くないでしょうか? また、「着床の窓」は黄体ホルモンを開始してからの日数で決まるのでしょうか? それとも移植するときのP4値で決まるのでしょうか?



 



デュファストン®を飲み始めてから8日目の移植との判断についてどう思われますか?


りんごさんがご心配されている通り、8日目というのはやはり遅いと思います。ドクターごとに治療法にはこだわりがありますから、たとえば、少量の薬で時間をかけてじわっと効くような方法であえて遅らせているのかもしれませんが、だとしても、あまりスタンダードなやり方ではないと思います。

8日目というと胚盤胞でもすでにハッチングが済んだ後。その卵子で戻すメリットを感じませんし、むしろ着床には不利だと思います。「飲み薬はゆっくり効く…」というのも正直、どうかな? と思う答えです。薬は服用したらすぐに効いてきますよ。


移植日はどのようにして決まるのでしょうか?


りんごさんの質問内にある「着床の窓」というのは、着床するために子宮内膜にとって最適な時期のことを言います。その時期が移植にも適した時期になるわけですが、その判断はあくまでも黄体ホルモンを開始した後の日数で決まります。あとは常識的な数値のプロゲステロンが出ていれば問題ないわけです。通常は黄体ホルモンが体内に入ってきて内膜の変化が始まってからの日数が問題になってきます。

前の病院では自然周期で戻していたのでしょうか。だとすると少なくともHCGを打ってからの日数ですし、ホルモン補充周期ということであればデュファストン®を飲み始めた日からの日数で判断します。

いずれにしても、胚盤胞での移植なら5日目が一般的な移植日だと思います。


りんごさんには、今後どのような治療が最適と思われますか?


38歳であれば、受精卵ができても6割近くは染色体異常の可能性があります。流産2回とのことですが、着床はできているわけですから、大切なのはいかに良い卵子を採って良い受精卵をつくるかだと思います。

そのためにも、まずは刺激のやり方を今までと変えてみるというのはひとつの手です。これまでどのような方法で採卵し、どんな質の卵子が採れているのかは不明ですが、たとえば、GnRHアゴニストを使うか、またはクロミッド®やレトロゾールなどを使う、または飲み薬を一切使わないHMGだけの刺激という方法もあります。さらに、卵子の質を高めるためにサプリメントを摂取するのもおすすめします。

どの刺激方法を選択するかは検査の結果次第。AMHが高ければ、アゴニストでもHMGの量を抑えるなど、その人ごとの調整は必要です。また、お勤めなどで来院日時に制限がある場合は、やはりアゴニストで採卵時期をコントロールする必要はあるでしょう。そういったご本人の生活環境全般も考えながら、どうされるかをもう一度検討されてはいかがでしょうか。




生田先生より まとめ


●移植日は黄体ホルモン開始後の日数で判断。一般的には5、6日目です。
●検査結果や生活全般を考えながら刺激法を変えてみるのがおすすめ。



 



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お話を伺った先生のご紹介





生田 克夫 先生(いくたウィメンズクリニック)


名古屋市立大学医学部卒業。名古屋市立大学産科婦人科学教室助教授、名古屋市立大学看護学部教授などの経歴を重ねたが、不妊に悩む名古屋の方たちの役に立ちたいという思いで、教育者の立場を辞して独立。地元・名古屋の中心部、栄に開院し、1986年から体外受精の現場を歩いてきた経験と穏やかな人柄で、数多くの患者さんを妊娠に導く。梅雨時期には体調を崩していたという先生ですが、すっかり回復され、患者さんのために全身全霊を傾けて日々、治療にあたっています。


≫ いくたウィメンズクリニック


 


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn
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