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受精後、胚盤胞に育ちません。顕微授精を続けるべき?

コラム 不妊治療

受精後、胚盤胞に育ちません。顕微授精を続けるべき?

2017autumn P58

2017.8.18

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受精後、胚盤胞に育ちません。顕微授精を続けるべき?


内田 昭弘 先生(内田クリニック)







相談者:ばろんさん(41歳)


胚盤胞移植について


2人目不妊で治療中です。1人目はタイミング法で妊娠し、40歳で出産しました。AMHは0.6~1.1ng/ml程度です。低刺激系かつ胚盤胞移植のクリニックに通い、2回、自然周期で採卵、顕微授精しました。でも、2回とも3~4個が受精したものの胚盤胞まで育たず、移植に至っていません。採卵、受精はできているので、良好な卵子ができるまで採卵の数をこなすべきかとも思いますが、低AMHの場合でもショート法をする病院もあると聞き、このまま今のクリニックで採卵を続けるか、ショート法を試してくれるクリニックに転院するかを考えています。また、初期胚の移植も考慮すべきでしょうか?



 



胚盤胞まで育たない時、考えられることは何でしょうか?


年齢から低AMHというのは明らかですが、41歳にして0.6~1.1ng/mlという数字が出ているので、もう少し刺激したら、卵子がちがう育ち方をするかもしれません。3~4個の受精卵があるなら、採卵の回数を重ねるというのもあるし、胚盤胞を待たずに初期胚の段階での移植もあるだろうし、初期胚を凍結してから移植する方法もあるでしょう。別の方法を試して、その結果でまた次を考えるということだと思います。ばろんさんに関しては、まだほかのプランがありそうな気がしますよ。


内田クリニックでは、どのような治療を提案しますか?


僕は、顕微授精で胚盤胞にならなくても、体外受精ならちがうかもしれないという考え方をします。まずはスタンダードな方法で、卵子数が仮に2個だとしたら、1回目には体外受精をします。それで受精卵にならなかったら、2回目は、おそらく同じ方法に近い内容で排卵誘発剤を使い、その時に卵子の数が2個であれば、顕微授精にするでしょう。結果、卵子数がやはり少ないということになれば、次は低刺激でと変えていきます。僕は、特に採卵周期、卵子を育てる周期にはできるだけ同じことの繰り返しにならないよう心がけています。注射薬の種類や排卵誘発剤の内服薬を変えてみる、点鼻薬を使っていなかったら、今度は使ってみようかとか、何かを変えてみることを伝えます。


ばろんさんは、このまま今のクリニックで採卵を続けるべきか迷っています。


限られた治療法のなかで、ばろんさんが別の方法を模索するのも無理はないと思います。今のクリニックでは、AMHの状況を考えると大きくは変えられないからということかもしれませんが、「変わらないかもしれないことを前提として、別の治療もやってみたいのですが」という提案の仕方はあると思います。今のクリニックの先生から別のプランの提案がないとしたら、ばろんさんから別プランがあるかどうかを先生に確認し、提案があればそれでやってみてもいいですし、なければ、相談のできる施設に転院することもありでしょう。いずれにしても、年齢のことを考えると、決断はできるだけ早いほうがいいと思います。


まずは、抱いた疑問を担当医に伝えることでしょうか?


そうですね。疑問を抱いても、それを聞けずにいるという人は意外と多いようです。転院を考える前に、今、通院している施設の先生に相談することは大切なこと。わからないことがあったら勇気を出して聞いてみましょう。施設の治療方針、別の方法などを聞くことで、転院をするかどうかの判断もできるのではないでしょうか。




内田先生より まとめ


●胚盤胞にならなくても、初期胚での移植も試してみてはいかがでしょうか。
●転院を考える前に、別の方法などを相談してみましょう。



 



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お話を伺った先生のご紹介





内田 昭弘 先生(内田クリニック)


島根医科大学医学部卒業。同大学の体外受精チームの一員として、1987年、島根県の体外受精による初の赤ちゃん誕生に携わる。1997年に内田クリニック開業。生殖医療中心の婦人科、奥様が副院長を務める内科、大阪より月1回来院の荒木先生による心理カウンセリングをもって現在のクリニックの完成形としている。今年は開院20周年を迎え、「島根県で初めて、不妊治療中心の婦人科クリニックを35歳で開業し、皆さんに支えられてきました。これからも、与えられた使命を全うするべく前に進みます」と、気を引き締める内田先生です。


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出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.35 2017 Autumn
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