妊娠糖尿病について伺いたいです
2017/10/10 村林 奈緒 先生(俵IVFクリニック)
相談者:トマトさん(主婦/32歳)

妊娠糖尿病の診断法は?

妊娠初期に関しては、基本的には随時血糖値(食事をしていても構わない)をみているところが多く、95または100mg/dl以上という値が診断基準となっています。
妊娠糖尿病が胎児に与える影響は?

1つの指標になるのがHbA1cという値。この値が6.4%以上だと先天異常の割合が5.4%、7.4%以上だと17.4%という報告も。妊娠糖尿病と診断されたけれど、値が正常範囲内であれば、先天異常の割合は妊娠糖尿病でない人と同程度といわれています。
このようにHbA1cの値が上がるにつれて先天異常のリスクも高くなるので、通常の血糖値だけではなく、HbA1cにも着目していただくといいかと思います。
また、妊娠初期だけでなく、血糖がずっと高い状態だと赤ちゃんが大きく育ちすぎてしまったり、逆に栄養状態が悪くて育たなくなってしまうことも。肺の成熟が遅れる、生まれてから黄疸になりやすくなる、低血糖になるなどのリスクも考えられます。
お母さん、赤ちゃんともに健康な状態で妊娠継続、出産するためには、きちんと血糖コントロールをすることが重要になってきます。
妊娠糖尿病の治療法は?

インスリンは分子量が大きく胎盤を通過しないので、妊娠中でも使用できるのですが、注射でしか使うことができないので、1日何回もとなると妊婦さんにとっては負担になるかもしれません。ですから、まずは食事でしっかりコントロールしていくのが最初の選択になるでしょう。
食事療法は、やみくもにカロリーを制限したらいいというものではありません。糖尿病というと糖質制限を考えますが、炭水化物は赤ちゃんの唯一の栄養になってくるので、バランスよくコントロールしていくことが必要です。
村林先生より まとめ
妊娠糖尿病の治療は食事療法が基本。体重過多でダイエットが必要だったり、つわりできちんと食事が摂れない場合、何を食べたらいいか迷ってしまう人も多いと思います。不安な時は通院している施設や保健所などに相談して、管理栄養士による栄養指導を受けてみましょう。適切なメニュー提案や必要な栄養素など、わかりやすく指導してもらえると思います。