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俵先生に聞きました! ウソ! ホント? 妊娠にまつわるウワサの真相

コラム 不妊治療

俵先生に聞きました! ウソ! ホント? 妊娠にまつわるウワサの真相

2017冬号

2017.11.13

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ウソ! ホント? 妊娠にまつわるウワサの真相


俵 史子 先生(俵IVFクリニック)




「○○したら妊娠できた」「○○はNG!」といった妊娠にまつわる噂や俗説……。ウソなのか、ホントなのか、俵IVFクリニックの俵史子先生に医師の立場から解説していただきます。





Q:妊娠はうつるってホントですか?


結婚4年目で妊娠した親友は、旦那さんの職場に妊婦さんが3人いて、よくお腹を触らせてもらったそう。妊娠ってすごいパワーがあるのかも…と、私も親友のお腹を触らせてもらい、いつも身につけられるように、親友の携帯ストラップをもらってきちゃいました。ことり(主婦 / 28歳)


 


 






A:あくまでもジンクスで科学的根拠はありません。高額な商品に騙されないよう、楽しんで取り入れて


インターネットで、妊娠菌が付いた米を食べると子宝に恵まれる「子宝米」が販売され、詐欺だとして話題になりましたね。当然ながら、科学的根拠は一切ありませんが、妊娠を祈願したジンクスは、古くから存在します。たとえば、マトリョーシカやさるぼぼは子宝を願って作られたものですし、子宝にご利益のある神社は各地にあり、参拝する人も少なくありません。陣痛中の妊婦さんに富士山の絵を描いてもらうといい、というようなものも知られています。

ジンクスだと知りながら信じてしまう、そうした心の動きの多くは、社会心理学的に説明できます。自分に都合の良い意見のみを信じてしまうことは「確証のバイアス」という用語で説明されますし、妊娠したい自分と、なかなか妊娠しない現実に、お守りやジンクスをこじつけて解消しようとするのを「認知不協和の解消」と言います。つまり「子宝米」や「お腹を触ると妊娠する」も、妊娠を、ジンクスやお守りの効果として誤認していると考えられます。

とはいえ、これらは決して悪いことばかりではないのです。本来、お守りやジンクスは、精神的な支えを得るためのもの。お守りがあることで心の支えになったり、前向きな気持ちになって不安が和らいだりして、結果的に体調に良い影響を与える可能性は大いにあります。医学の世界にも「プラシーボ(偽薬)効果」といって、薬ではないビタミン剤等を与えたら、それを薬と信じて飲んだ人の痛みが治まった、という現象があります。ですから、お守りやジンクスを楽しめているのであれば、心の支えとして取り入れてもいいのではないでしょうか。ただし、くれぐれも不安や悩みに付け込んだ高額な商品や勧誘に騙されないよう気を付けてください。



 


 






Q:デブだと妊娠しにくいの?


結婚3年目ですがなかなか妊娠しません。これまで主人の両親からは何も言われたことがなかったのですが、先日主人が義父に、私が太ってるからでは? ダイエットさせなさいと言われたと聞き、昨夜はショックで涙が止まりませんでした。太っていると妊娠しにくいですか? ぶぅ子さん(主婦 / 35歳)


 






A:肥満は妊娠に悪影響があるという報告があります。その後のライフサイクルのためにも体重コントロールを


体重と妊娠の関連性についてはこれまでさまざまな形で報告されています。およそ50万人のART患者を対象にした研究(2016年、アメリカ)。これによると、痩せすぎおよび肥満の女性は、標準体重の女性より妊娠率、出生率とも低く、どちらも低体重児と早産のリスクが高いことが明らかになっています。(※1)

また、これもアメリカの研究ですが、約24万人の新鮮胚移植実施者を、痩せ、普通、肥満に分類し(BMIの数値では痩せBMI:18.4kg/m2以下、普通18.5~24.9kg/m2、肥満25.0kg/m2以上)、BMIが普通の人と肥満の人との妊娠結果を比較したところ、痩せや普通の女性に比べて、肥満の女性はBMIが高くなるほど妊娠率が低下し、逆に流産の確率が上がるという結果が公表されています。つまり、肥満女性のほうが、通常体重や痩せすぎの女性よりも妊娠しにくく、流産しやすいと言えます。(※2)

そして何より、肥満による悪影響は、不妊治療や妊娠・出産だけに限ったことではありません。肥満は、脂質異常症や糖尿病、子宮内膜がんや乳がんのリスクに密接に結びついていることがわかっています。喫煙よりも肥満のほうが死亡率を高める重要な因子となるとさえ言われ、肥満であることは、その後の人生にも大きな影響を与える一因になっているのです。妊娠、出産はもちろんですが、それらを含めた女性のライフサイクルを長い目で見た時、やはり適正な体重コントロールが必要です。そうしたリスクを取り除き健康を保つには、BMIを20~24ぐらいに保つのがもっとも良いとされています。不妊治療の際には、そういった要素も視野に入れて、取り組んでいただければと思います。


※1=出典/Fertility and Sterility vol.106,2016Dec,1742-1750
※2=出典/Fertility and Sterility vol.105,2016Mar,663-669



 






Q:お酒は不妊の原因になる?


不妊治療3年目の主婦です。私はお酒が大好きで晩酌は毎晩、週末は必ず外に飲みに出かけます。不妊の原因になり得るだろうなと思いつつ、治療のストレスもありやめることができません。やはり子づくりをしようと思ったら飲んではいけませんか? サンさん(主婦 / 31歳)


 






A:アルコール摂取量が多いと妊娠しづらいという研究結果も。男女とも、適量を意識して


アルコール摂取量と妊娠の関連性について調べてみました。アメリカでタイミング指導を行った女性124人を調査したところ、自然妊娠では、お酒を飲まない人の妊娠率は24.5%、1週間に91g以上のアルコールを摂取した人の妊娠率は8.3%でした。1週間に90g以内の摂取量であれば、飲まない人との大きな差は見られませんでした。(※3)

また、2545組4729周期のIVF実施女性のアルコール摂取状況を調べたところ、1週間に4ドリンク(56g)以上飲んでいた女性は、それ以下の女性に比べて出生率が16%低下。さらに、男女両方が1週間に4ドリンク飲んでいた場合は、出生率が21%低下していたと報告されています。(※4)アメリカの調査なので「1ドリンク=14g」となっていますが、日本では厚労省が日本人の適量な飲酒量として「1日平均純アルコール20g」を目安と定めています。これはビール中ビンなら1本(500ml)、缶チューハイ1缶(500ml)、ワインはグラス1杯(約180ml)に相当するため、いずれもこれと照らし合わせて考えることができます。

同様に、男性不妊への関与についての調査もあり、過去1年間に1週間のうち最低でも5日間あたり、アルコール度数40~50%のブランデーなどを最低でも180ml飲んでいた66人を調べると、精巣の構造や精子形成に影響を与えることがわかっています。(※5)
 お酒を飲むこと自体は、リラックス効果が得られるなどのメリットもありますが、やはり適量を心掛けていただきたいですね。覚えておきたいのは、男性より女性のほうがアルコール代謝能力が低いということ。顔が赤くなるかどうかは、お酒の強さの基準にはなりません。また、過剰な飲酒は乳がんや骨粗しょう症の影響も心配されます。

言うまでもありませんが、妊婦の飲酒は胎児性アルコール症候群や成長障害といった悪影響を及ぼしますので、絶対にやめてください。


※3=出典/Hakim et al., Fertility&Sterility,1998
※4=出典/Brook et al., Obstet Gynecol,2011
※5=出典/Muthusami et al., Fertility&Sterility,2005



 






俵先生よりまとめ


「1人目出産後は妊娠しやすい」「こうしたら男女の産み分けができる」といった噂は多くあり、実際に学会で報告されたものも存在していますが、そのほとんどは確率、つまり単なる数字的なデータであり、医学的にはっきり証明された根拠はありません。お一人お一人不妊の背景や薬の反応は異なりますから、1つの方法がみんなに効果的とはいえないでしょう。やはり、検査や治療の結果をその都度見ながら、ご自身に合ったやり方で進めていくことが大切だと思います。



 



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お話を伺った先生のご紹介





俵 史子 先生(俵IVFクリニック)


浜松医科大学医学部卒業。2004年愛知県の竹内病院トヨタ不妊センター所長に就任。2007年、俵IVFクリニックを開業。2015年静岡駅前に移転、リニューアルオープン。開業10周年に向け、内部スタッフがさらに充実。専門性の高い医師も増え、メンタルヘルスケアや妊娠初期管理にもますます力を注いでいる。


≫ 俵IVFクリニック



出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter
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