超音波では数多く見えた卵胞が、採卵するとわずか2つでした

コラム 不妊治療
超音波では数多く見えた卵胞が、採卵するとわずか2つでした
「採卵2日前にオビドレル®を自己注射しました。ほかに通院時に何度か注射しています。これが何法になるのかわかりませんが、比較的多く採卵できると聞いていました。」
超音波では数多く見えた卵胞が、採卵するとわずか2つでした
苔口 昭次 先生(英ウィメンズクリニック)
相談者:こーたんさん(34歳)
卵胞数と実際の採卵数について

超音波検査で多くの卵胞が見えても、実際に採卵数が少ないことはありますか。

今回の原因を2つの観点で考えます。まず一つは、多嚢胞性卵巣症候群でクロミッド®などの治療を繰り返すことにより、本来は消失するはずの閉鎖卵胞が残っていて、それが今回の注射によってあたかも育っているように見えた。あるいは閉鎖卵胞が近くの卵胞の発育のじゃまをしたという可能性です。さらに多嚢胞性卵巣症候群で考えられるもう一つの可能性は、多嚢胞性卵巣にともなってアンタゴニスト法で排卵誘発をしていく時に、大きい卵胞、小さい卵胞…と卵胞の特徴を見ながらやっていくので不揃いになることが多いということです。強いて言えば大きい卵胞が何個かあって14個見えていても、小さくて未成熟な段階のものはオビドレル®の注射などがあまり反応せず、大きさが不揃いのなかで採卵をして2個しか採れなかった。このような可能性が、多嚢胞性卵巣症候群ならあり得ます。
もう一つの観点は何でしょうか。

一方、真のエンプティフォリクル症候群となると明確な原因は不明です。基本的には卵胞を成熟させるため、最後に注射するHCGやLHレセプターがあまり反応せず、普通は約36時間で成熟するところが40~48時間と長くなってしまいます。この場合は、2~3カ月排卵を抑制して休ませるとよいようです。文献では86%とありますが、私の経験上、ほぼ100%の確率で次の時にはうまく採卵できると思います。
今後の治療方針はどうなりますか。

最後に、こーたんさん自身の治療なので、主治医に納得のいくように説明を聞いて、治療を進めたいですね。もし先生と話すのが難しければ看護師さんなど周りのスタッフに相談してもいいでしょう。
苔口先生 まとめ
●多嚢胞性卵巣症候群の場合、閉鎖卵胞や反応の悪い未熟な卵胞が混在していた可能性が。
●次回の採卵まで2~3カ月卵巣を休ませて、改めて排卵誘発の方法を検討しては。
出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.36 2017 Winter
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