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未成熟卵、空胞ばかりで移植できません

専門医Q&A 不妊治療

未成熟卵、空胞ばかりで移植できません

低刺激で5回採卵するも未成熟卵や空胞が多く、培養にも進めない。未成熟卵や空胞はなぜできる? 高刺激にすれば卵は育つもの?

2018.4.14

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相談者:きりんさん(28歳)



未成熟卵、空胞ばかりで移植出来ません

体外受精にステップアップし、1年がたちます。AMHは歳相応、卵管造影も問題なし、子宮内膜症などもありません。生理3日目のFSHは8~13程度です。
低刺激系のクリニックでこれまで5回採卵し、以下の通りの結果です。






1回目:フェマーラ+ゴナールエフ→2個成熟卵→1個異常受精、1個新鮮分割胚移植(結果陰性)

2回目:セロファン10日間+ゴナールエフ注射→1個受精卵、2個空胞→6日目凍結胚盤胞移植→心拍確認後流産

3回目:移植周期のため自然→変性卵

4回目:セロファン10日間のみ→1個変性卵、4個空胞

5回目:フェマーラ+ゴナールエフ注射→成熟卵1個、空胞2個、変性卵1個→桑実胚で培養中止






このように成熟卵が採れず培養にもすすめないことが多く、20代でこれだけ卵が育たないのであれば、第二子のためにも早めに複数凍結しておきたい気持ちもあります。

低刺激で育たない卵が高刺激にすると成熟しますか?
また、職業柄、生活も不規則で体型も痩せ型、冷え性なども卵の質に関係しますか?

現在、ショウキTタンポポ茶、ヘム鉄、マルチビタミン、亜鉛などは摂取しています。ほかに自分で努力できることがあれば教えてください。



 


未成熟卵、空胞とはなに?




卵子は、FSHホルモンの働きにより卵胞内で成熟していき、排卵直前のLHホルモンの一過性上昇により、最終的に受精能力を持つことになるのですが、未成熟卵というのは、卵胞内で十分に成熟できず、LHホルモンにも無反応のまま、結果として受精することができない卵子のことをいいます。


また空胞というのは、十分な大きさに発育した卵胞を穿刺したけれど、何らかの原因で卵子が採取できなかった状態をいいます。


さらに、卵子そのものが変形していたり、小さかったり、中の細胞質が黒ずんで見えるなど、形態的な異常のあるものは変性卵といわれます。


成熟卵が採れなかった原因は?


きりんさんの場合、28歳で年齢的には若く、AMHの数値も年齢相応ですし、残念ながら流産となってしまいましたが、2回目の移植で妊娠してみえるので、体質的に未成熟卵や変性卵しか採れないということはないと思います。確かに3回目、4回目は変性卵しか採れていませんが、治療周期が、流産後から日数的にあまり経っていなかったとしたら、妊娠中のホルモン環境の影響があった可能性も考えられます。


卵胞はもともと1-2mmの大きさから約2か月くらいかけて少しずつ育っていき、排卵する周期で5-6mmの大きさとしてスタートラインに立ちます。治療周期の前の周期、前々の周期が正常なホルモン環境であることはとても重要です。


また、空胞ができるひとつの原因に遺残(いざん)卵胞があります。遺残卵胞とは、本来消えるべき前周期の卵胞が残ってしまい、それが刺激によって膨らんできたもので、十分な大きさの卵胞になったとしても、卵子が採れなかったり、採れても質に問題があることが多いです。


高刺激にした方がいいのか?


一般論として、成熟卵をたくさん採ろうという時には高刺激を行います。若い方でAMHもFSHも問題がなく、注射を毎日打つことが可能であれば、アンタゴニスト法やショート法あるいはロング法をお勧めることになると思います。


ただ、どのような刺激をするにしても、刺激を開始する時点での卵胞の状態を確認することが大切です。リセットされた新しい卵胞がどれくらいあるかによって、質のよい成熟卵がどれくらい採れるか変わってきます。


低刺激法で良い結果が得られないのであれば、リセットされた卵胞であることを確認した上で高刺激法に変えてみるのは、よい手段であると思います。次の刺激方法については、第2子もご希望があることも含め、一度、ドクターとご相談されてはいかがでしょうか。


卵子の質を良くするため、何かできることは?


冷え性で痩せ型ということが、卵子の質に直接影響を及ぼしている可能性は少ないと思いますが、卵巣の血流量と刺激に反応する卵胞の数には、ある程度相関があると考えられており、漢方薬やサプリの内服、適度な運動など血行を良くする試みは意味のあることと思います。


バランスよい食事、適度なカロリー摂取など栄養の面でもいろいろ気を遣ってみえると思います。


お仕事上、不規則な生活を避けるということは難しいかもしれませんが、過度のストレスも血流を悪くする要因になりますので、できる範囲で、休養と気分転換を取りながら、日常を過ごして頂ければと思います。



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お話を伺った先生のご紹介

岡田 英幹 先生(おかだウィメンズクリニック 院長)


藤田保健衛生大学医学部卒業。名古屋市立大学医学部産科婦人科学教室入局、名古屋市立大学医学部産科婦人科助手、豊川市民病院産婦人科部長、一宮市立市民病院産婦人科部長を経て、2014年に開業。医学博士、日本産科婦人科学会専門医、日本抗加齢医学会専門医、母体保護法指定医


≫ おかだウィメンズクリニック

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