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設備から胚培養士の技術、 保管環境、危機管理まですべてを徹底しています

コラム 不妊治療

設備から胚培養士の技術、 保管環境、危機管理まですべてを徹底しています

患者さんの大切な卵子や精子、受精卵、胚を日々見つめ続け、生殖医療を支えている胚培養士の皆さん。そこには、並々ならぬ技術力と徹底した管理体制があります。

2011.5.31

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体外受精や顕微授精、胚移植法などの生殖補助医療には、胚培養士がとても重要な役割を担っています。患者さんの大切な卵子や精子、受精卵、胚を日々見つめ続け、生殖医療を支えている胚培養士の皆さん。そこには、並々ならぬ技術力と徹底した管理体制があります。


体外受精、顕微授精において、重要な工程の一つである「胚培養」。受精後の胚を培養していく作業は、多くのクリニックでは専門の胚培養士が行っています。医師とは違って私たち患者と直接接する機会が少なく、その作業を目にすることもほとんどない培養士の仕事や技術について浅田レディースクリニックの浅田先生にお話を伺いました。


ジネコ:昨年8月、"世界に誇るラボラトリー(培養室・通称ラボ)"を備えた、高度生殖医療を中心とする新クリニックを、名古屋駅前に開院した浅田先生。ラボの一角には見学室もあり、培養作業の可視化を実現するなど、徹底した考えのもとで、"浅田式"の培養を実践されています。
浅田先生:不妊専門クリニックで、ラボや胚培養の技術というのは心臓部ですよね。その技術が悪ければ、医師や看護師等がきちんとやっていてもいい成績は出ません。今はどの病院でも、胚培養士に任せるようになっていると思いますが、その胚培養士やラボのレベルがそのまま臨床成績になってくるので、非常に大事な部門です。
だから当院でも、院内の半分がラボエリアなんです。場所をしっかりとって、非常に重視していますね。
ジネコ:胚培養士さんは何人ほど?
浅田先生:勝川駅前のクリニックと合わせると、スタッフ全員で100人規模になりますが、胚培養士は17人ですね。この先、20人くらいにはしたいと思っています。当院では「ISO9001」を取得して教育プログラムを組んでいます。それできちんと教育していくと、入職してから顕微授精ができるようになるまでは、早い人でも最低3年はかかるんですよ。
ジネコ:資格などはあるのでしょうか?
浅田先生:認定資格にはなっていますが、胚培養は、資格があれば仕事がうまくできるというわけではないんです。多少知識があったり、大学で動物実験でやっていましたという人でも、当院では通用しません。人の卵子や精子とマウスのそれを扱うことは全然違いますから。マウスなら「失敗した」で済むけれど、人の卵子ではそれは許されません。卵子のその1個ずつが、赤ちゃんになるかもしれないわけですから。
胚培養士にとって一番大事なことは、「何があっても絶対に卵子を失くさない」ということです。100ミクロン(0.1㎜)くらいのピペット(ガラス管)で卵子を吸って移し替える時、ピペットの端が何かに触れてガラス管が折れたり卵子が飛ぶことがあります。または、ディッシュを落としてしまったり。胚培養士は、そういう事故のような形で卵子を絶対に失くさないこと。たとえ見失っても、必ず探し出すことができる、その技量があって初めて、培養のいろいろなことができるのです。
当院は厳しいですよ。ものすごく細かいステップで試験をくり返して、ある程度間違いなく扱えるようになれたら、たくさんの卵子のうちの何個かを顕微授精させられるようになるとか、実践できるまでに多くの段階を踏んでもらいます。そうして徐々に段階を追って、3年間で学習していくわけです。ベテランの人でも、毎月、個人個人の受精率を出して、一定以上の成績でない人には辞めてもらう場合もあります。
また、教育の時は、上司の胚培養士と一緒に仕事をして覚えていきます。いろいろな段階の技術を持った胚培養士がたくさん必要なんです。
ジネコ:必ずペアで仕事をするんですね。
浅田先生:仕事を覚えるまでは、必ず2人1組で作業しますね。当院のラボの顕微鏡は、外の人がモニターで見られるようになっていて、上司が必ず作業をチェックしています。また、何かアクシデントが起きてしまった時にも、対処できる胚培養士がすぐに代わって作業できるようにしているんです。
ジネコ:配偶子や受精卵の管理方法はどのようになっていますか?
浅田先生:個人が気を付けていれば大丈夫、という方法では絶対に間違いは起こります。ですから、システムで防ぐということで、それぞれのプロセスで複数のチェックをしています。それから、卵子や精子の保管状況はできる限りコンピュータ化していますね。検索もしやすいように、凍結保存専用のコンピュータを使っています。私は、体外受精・顕微授精専門の名古屋駅前クリニックをつくる時に、世界中から誰が見に来ても恥ずかしくない施設にしようと思ったんです。日本の医療レベルの高さをアピールしたい。だから、一番こだわったのがラボです。
たとえば、今まで胚移植の時には、ラボの中のクリーンベンチでカテーテルに移植胚を詰めて、歩いて外に出てきて患者さんの子宮に移植していた。そういう、人が出入りすることによって清潔度が落ちる環境を改善して、採卵を行う手術室からつながるパスボックスで、ディッシュを培養室へ渡すようにしたり。それから、培養器の温度管理がしやすいよう、空気の流れが乱れない、天井吹き出し+床吸い込みの層流方式を採用したクリーンルームにしたり。光は、有害な紫外線を避けるため全部LEDにして、床も、中に炭素繊維が入ったリノリウムにして静電気を逃がすようにしたり……。
そういう素材をいくつも吟味していくと、予算は何百万単位で上がっていきます(笑)。しかし、質を保つためには必要ということで、いろいろなところにこだわりました。
ジネコ:隅々まで徹底されていますね。
浅田先生 : 培養に関する新しい物が出てきたら、採用するかどうかを、常に自分で検証して進めます。あるパティシエの言葉で、「当たり前を重ねていくと特別になる」というのを聞いたんですが、胚培養士の仕事もそうだと思うんです。すべての作業をきちんと行っていって、初めていい仕事になっていく。温度管理やクリーンシステムの管理、CO2や窒素ガスの管理とか、すべてをきちんとやったうえで。

だから、ラボのシステムに何か異常があったら警報が鳴って、その知らせが夜中でも携帯に届くようにしてあります。そこまで徹底して管理しないと、自信を持っていいとは言えなくなるんですよ。まさにこだわりの世界なのです(笑)。





浅田レディース名古屋駅前クリニック 浅田 義正先生

名古屋大学医学部卒業。1993年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004年、浅田レディースクリニック開院。

≫ 浅田レディース名古屋駅前クリニック




 




出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.10 2011 summer



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