HOME > 不妊治療 > その他 > 早発閉経の場合、自然妊娠より早めに体外受精をしたほうがいい?【特集:排卵障害の不妊治療】
HOME > 不妊治療 > その他 > 早発閉経の場合、自然妊娠より早めに体外受精をしたほうがいい?【特集:排卵障害の不妊治療】

早発閉経の場合、自然妊娠より早めに体外受精をしたほうがいい?【特集:排卵障害の不妊治療】

コラム 不妊治療

早発閉経の場合、自然妊娠より早めに体外受精をしたほうがいい?【特集:排卵障害の不妊治療】

早期に閉経状態になり残りの卵胞の数も少ないといわれる早発閉経。貴重な卵胞を生かすための治療法を小田原先生に聞きました。

2018.5.21

あとで読む

早期に閉経状態になり、残りの卵胞の数も少ないといわれる早発閉経。
貴重な卵胞を生かすためにどのような治療法がいいのか、ファティリ
ティクリニック東京の小田原靖先生にお話を伺いました。


※2018年5月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.38 2018 summer」の記事です。





まるまるこさん(31歳)からの相談


▶ 早発閉経の自然妊娠の可能性は?


1年前に早発閉経といわれ、カウフマン療法による治療を続けてきました。先生から「次に卵胞が見つかったら採卵しますがいいですか?」といわれたのですが、自然妊娠が無理だということが受け入れられず、ステップアップする決断ができずにいます。早発閉経の自然妊娠は少ないとの報告があり、早めに体外受精を行ったほうが可能性は高いようです。早発閉経と言われたけど自然妊娠することはできるのでしょうか?






Doctor’s advice


〜可能性があるうちは前向きに治療の継続を〜

ホルモン値がよくなったり、また悪くなったり、卵子を待っていてもなかなか出なかったりと、早発閉経の治療は忍耐を必要とします。大変だと思いますが、可能性があるうちは前向きに治療を続けていただきたいですね。




お話を伺った先生のご紹介

小田原 靖 先生(ファティリティクリニック東京)


東京慈恵会医科大学卒業、同大学院修了。1987 年、オーストラリア・ロイヤルウイメンズホスピタルに留学し、チーム医療などを学ぶ。東京慈恵会医科大学産婦人科助手、スズキ病院科長を経て、1996 年恵比寿に開院。治療以外でも患者さんのフォロー体制が整っている同クリニック。毎月開催されるセミナーのほか、疑問が残る場合は、専門のカウンセラーによる治療や遺伝、心の悩みの相談も随時受け付けています。

≫ ファティリティクリニック東京

早発閉経はどんな病気?その診断基準は?


一般的に、排卵をつかさどるホルモンのどこかの状態が悪いことを総称して卵巣機能不全といっていますが、そのなかで卵胞数がかなり少なくなっている、要するに卵胞が少ない状態が元々あって、月経不順やFSH値の上昇を起こしている状態を「早発閉経」と呼んでいます。
 早発閉経の診断基準は、43歳未満で、FSHの値が30 mIU/ml以上と高く、E2の値は逆に低くて無月経という状態。年代別の出現頻度としては20歳代で0.1%、30歳代で1%と、年齢とともに上がっていきます。
卵胞の数が1000個以下になると閉経といわれており、それに近い状態になるとFSH値がぐんと上昇します。しかし、FSH値が閉経レベルでも治療をして卵子が採れることも。卵子はもうないのか、それとも少ないながら残っているのかという診断は非常に難しく、経過を見ていって、卵子が出てくる周期があればそれに期待して治療をしていくことになるかと思います。



 



早発閉経になりやすいのはどんな人?


もともと卵胞の数が少ない人もいれば、ある程度の数をもっていてもその減少が早いという方もいます。
数が少なくなってくる場合、手術で卵巣をかなり切除してしまったケースもあれば、がん治療に伴う薬物や放射線の影響も。あとは自己免疫疾患、ターナー症候群といった染色体異常などの疾患がある人は早発閉経になりやすいといわれています。ただ、多くは原因不明となっているので、予防という点では難しい病気といえるでしょう。


有効な治療法や妊娠できる可能性は?


まったく卵子がないという状況であれば自分の卵子を使うことは難しいですから、体の不調を抑えるためにホルモン補充療法をしていくしかないでしょう。ホルモン補充療法はエストロゲンとプロゲステロンを補充して、月経周期と同じようなホルモン状態をつくるもの。それはみかけだけなので、排卵につながるわけではありません。治療が困難で強くお子さんを望まれる場合は、卵子提供を受けるという選択肢もあるかと思います。
FSH値が20~30 mIU/mlとある程度低い方の場合は、まだいくつかの治療を試せる余地があると思います。
体の中のエストロゲンが減ってくると、それを補充しようとFSHが高くなります。ただ、FSHが高い状態というのはなかなか排卵をしないという状況ですから、バランスを正すためにある程度FSHを下げるような形にもっていく治療をすることになります。
そのためのホルモン補充としてエストロゲン製剤のほか、GnRHアナログの点鼻薬を使うことも。このような治療を続けて、生理的に排卵可能なホルモンのバランスが戻ってきた時点で卵胞が1個でも出てくれば、それを妊娠に結びつけるようにしていきます。
自然のタイミングでの妊娠を期待することもありますが、なかなか卵胞が出ない場合は、貴重な1個ということで少しでも妊娠率が高い体外受精をご提案するケースもあります。どちらにするかは、その方の状態やお考えに合わせて決めていくことになるでしょう。
総卵子数が少ないということは、良質な卵子が採れる確率も下がってしまうということ。私のこれまでの経験で、FSH値が90 mIU/ml近くで妊娠・出産された方がいらっしゃいましたが、そのようなケースは少なく、治療としては困難であることは間違いないと思います。


今後期待される新しい治療法は?


早発閉経の先進医療としては、今、IVAという治療法が注目されています。これは腹腔鏡で卵巣の一部を摘出して凍結。休眠状態にある卵胞を化学物質で活性化させてから再び体内に戻し、卵胞が発育してくるのを待つという方法です。
これまでのやり方と比べて非常に画期的ではありますが、まだ始まったばかりの治療なので、今後の経過を見ていく必要があるかと思います。


image


あとで読む

この記事に関連する記事

この記事に関連する投稿

女性のためのジネコ推薦商品

最新記事一覧

Page
top