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子宮腺筋症で早産。悲しい思いはもう嫌。手術したほうがいい?

コラム 不妊治療

子宮腺筋症で早産。悲しい思いはもう嫌。手術したほうがいい?

子宮腺筋症があるものの妊娠。が、子宮頸管無力症で入院、22週で早産。手術をすれば妊娠・出産できる?浅田先生に伺いました。

2018.5.23

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子宮腺筋症があるものの妊娠。しかし、子宮頸管無力症で入院、22週で早産。子宮腺筋症の影響でしょうか? 手術をすれば無事に妊娠・出産できるのでしょうか? 浅田レディースクリニックの浅田先生に伺いました。




※2018年5月25日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.38 2018 summer」の記事です。


 


 





相談者:はるさん(43歳)からの相談


子宮腺筋症が後壁に6.5~7cmほどあり、子宮の大きさは86×108(エコー)。第一子は5年前に38週6で出産。今回、第二子を妊娠するも、19週で子宮頸管2.5cm、20週で子宮頸管1.2cmになり子宮頸管無力症で入院。マクドナルド法手術で2回縛るも22週で結び目が滑落して胎胞脱出、出産。胎盤の検査では絨毛膜羊膜炎による早産で、子宮腺筋症の影響は不明とのことですが、体外受精のクリニックでは子宮腺筋症が原因で、子宮頸管無力症ではないといわれました。第一子は子宮前壁に、第二子は子宮後壁の腺筋症の上に胎盤がありました。子宮腺筋症の上に胎盤ができたので絨毛膜羊膜炎になりやすかったのでしょうか? 子宮腺筋症核出手術をしたほうがいいのか悩みます。痛みもなく、今までもすぐに着床はしているので、手術によって子宮の状態が変わってしまって、妊娠がしづらくなったり、赤ちゃんが育てられなくなったらと不安です。リスクのほうが大きいでしょうか?


●これまでの治療データ


【検査・治療歴】子宮鏡検査、体外受精
【不妊の原因となる病名】子宮腺筋症、子宮頸管無力症、絨毛膜羊膜炎
【現在の治療方針】不明
【精子データ】不明






Doctor’s advice


●6.5~7cmの大きさなら手術は可能。
●年齢的にまずは凍結卵を確保しよう。
●手術自体が無駄になる可能性も覚悟を。




お話を伺った先生のご紹介

浅田 義正 先生(浅田レディースクリニック)


名古屋大学医学部卒業。1993年、米国初の体外受精専門施設に留学し、主に顕微授精を研究。帰国後、日本初の精巣精子を用いた顕微授精による妊娠例を報告。2004 年、浅田レディースクリニック開院。2006年、生殖医療専門医認定。2010年、浅田レディース名古屋駅前クリニック開院。

≫ 浅田レディースクリニック

子宮腺筋症とはどのような病気ですか?


子宮腺筋症は、昔は内性子宮内膜症ともいわれていて、子宮内膜症の一種です。
本来、子宮内膜は子宮の内側にあるものですが、その子宮内膜に似た組織が内膜以外のところでできてしまうのが子宮内膜症です。
なぜそのようなことが起こるのか、一番有力な説としては、月経中に剝がれ落ちた子宮内膜の一部が、経血とともに腟から体外に排出されず、卵管を通って卵巣や腹腔に達したり、血管やリンパ管を通ってほかの部位に移動するためだろうといわれています。
そして、それがたまたま子宮の筋層の中に入り込んで、増殖したのが子宮腺筋症です。


子宮腺筋症だと妊娠・出産は難しいのでしょうか?


同じ子宮筋にできる子宮筋腫も同様なのですが、子宮腺筋症がどの場所にどの程度ならば妊娠しにくいというきちんとしたデータはありません。妊娠して出産している人のなかでも、子宮腺筋症や子宮筋腫の人はいます。
 受精卵が着床する一つの条件として、低酸素環境であることがポイントになると思います。子宮というのは血管の塊のようなもので、本来、高酸素の状態です。子宮内膜が厚くなるのは、一時的に低酸素環境を作り出すためだと考えられます。人間の細胞にとってはもともと5%ほどの低酸素環境が一番よく、それは当院の受精卵の培養環境条件でもあります。子宮内でもそういう環境が実現されていないとうまくいかない可能性がありますし、異所性妊娠が起こるのは、そのような低酸素環境が整っていれば、実は受精卵にとって着床するのはどこでもいいということなのかもしれません。
子宮筋腫はざっくりとしたイメージでいうと、畑の中にある大きな岩のようなもの。筋腫の塊の中にはほとんど血管がありません。子宮腺筋症は砂地みたいなイメージです。胎盤を張ろうとした時に伸縮性がなくて広がれず、だんだん圧が子宮口のほうにかかり、子宮口が開けば流産・早産の原因になってしまいます。


はるさんの早産の原因はやはり子宮腺筋症なのでしょうか?


はるさんは、ちょうど後壁の子宮腺筋症の上に胎盤が形成されたとのことですから、前述のように流産の要因にはなると思います。
また、絨毛膜羊膜炎は、細菌によって胎盤の組織である絨毛膜や羊膜が炎症を起こす疾患です。炎症を起こす菌がエンドトキシンという物質を作り出すと、その防御因子が反応し、それが子宮収縮など早産の原因を引き起こします。
この炎症さえ起きなければもう少しうまくいったかもしれませんが、なぜ起きたかは確かな説明がつきません。子宮腺筋症が原因で子宮がうまく伸び切れず、だんだんと子宮頸管が開いてきて、腟のほうから菌が入ってきたのかもしれません。原因を特定するのは非常に難しいといえます。
ただ、22週といえば通常は安定期に入ってきて、あまり早産が起きるような時期ではありません。となると、やはり子宮腺筋症の影響の可能性は否定できないと思います。


子宮腺筋症は手術したほうがいいのでしょうか?


はるさんの子宮腺筋症は6.5~7cmとのこと。エコーで見るとまた違ってくるかもしれませんが、数字だけでいえば、まだそう大した大きさではありません。手術できるならしたほうがいいと思います。
ただ、手術自体は難しいもので、手術ができる施設も限られると思います。当院からは茨城県の霞ヶ浦医療センターへ2~3人、紹介したことがあります。一般的な産婦人科の医師であれば、「手術をすることで子宮腔内が歪んでしまえば、余計に条件が悪くなるからしないほうがいい」というアドバイスをする方が多いかもしれません。
また、手術をして妊娠して順調に育っても、子宮の筋層が少なくなっているため、胎児の発育に伴って子宮が大きくなることが難しくなり、妊娠中に子宮破裂を起こす可能性は高くなります。ですから、子宮筋腫でも子宮腺筋症でも手術後は陣痛がくる前に帝王切開をすることが原則となります。


はるさんへの治療アドバイスをお願いします。


もし手術をするのであれば、まずは、凍結卵を確保することをおすすめします。現在、43歳とのことですから、今から手術をして半年後とか1年後にいざ採卵しようとしても、年齢的に、肝心な卵子が採れなくなってしまう可能性があります。
ですから、手術後に2~3回は移植できるくらいの卵子は凍結保存してください。ただ、その移植でも結果が出なければ、手術自体が無駄になる可能性があることも覚悟していただきたいと思います。


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