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意外と多い、セックスレスの夫婦。原因と治療のチョイスは?

インタビュー 不妊治療

意外と多い、セックスレスの夫婦。原因と治療のチョイスは?

実は意外と多いと予想される「セックスレス」。原因として考えられることは何か、そしてセックスレスの夫婦にはどんな治療の選択肢がある?

2018.8.26

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実は意外と多いと予想される「セックスレス」。原因として考えられることは何か、そしてセックスレスの夫婦にはどんな治療の選択肢があるのでしょうか。セントマザー産婦人科医院の田中温先生に伺いました。



 



 


※2018年8月27日発刊「女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn」の記事です。





Doctor’s Advice


〜セックスレスこそ人工授精を〜
元気な精子が採れることがわかるだけで、夫婦の溝が埋まり、失いかけていたお互いへの愛情や期待感が復活することも。採取した精子での人工授精で妊娠・出産できれば、夫婦の関係も良好になり、2人目が自然に授かるケースも多いのです。



お話を伺った先生のご紹介

田中 温 先生(セントマザー産婦人科医院)


順天堂大学医学部卒業。越谷市立病院産科医長時代、診療後ならという条件付きで不妊治療の研究を許される。度重なる研究と実験は毎日深夜にまで及び、1985年、ついに日本初のギフト法による男児が誕生。1990年、セントマザー産婦人科医院開院。日本受精着床学会副理事長。順天堂大学医学部客員教授。

≫ セントマザー産婦人科医院

ライフスタイルや価値観の変化が夫婦生活に影響


性行為の回数が多ければ排卵日にあたる可能性が高まると同時に、男性の性欲が正常で性行為が健全にできるという証にもなります。そのため妊娠率は当然高くなりますから、性行為の回数と妊娠の相関関係はあると考えられます。
回数が少ない理由には2つあり、排卵日に集中するために精子をためておき、ベストタイミングに賭けているというのが一つ。この場合、回数は少なくても妊活には前向きな姿勢であるとも言えます。もう一つは、愛情はあるけれど夫婦生活は求めない、セックスのために結婚したのではないという価値観の変化。結婚しても子どもをつくらないという夫婦もいますし、仕事優先で子どもはなかば諦めている、など近年の女性のライフスタイルの変化も大きく影響していると言えます。また、男性側も結婚前と後では相手に対する求め方が変わり、よい意味では安定なのかもしれませんが、奥さまを結婚前より求めない男性も増え、女性観やセックス観も変化しているという印象を受けます。インターネットの普及によって情報の得かたが大きく変わり、それに伴って人とのコミュニケーションの取り方や重要さも変わってきています。それも、セックスに対する男女、夫婦の関係に影響しているのではないかと思われます。



 



自分の魅力を高める意識が妊活にも効果的だと知って


当院の患者さんのうちセックスレスの夫婦は全体の1〜2割と多く、それは相談されなくても診察で話を聞いていればわかります。自ら相談してくるのは圧倒的に女性のほうが多い。男性はほとんどの場合、不妊治療を開始すると性欲が減ります。愛情に伴う夫婦生活があり、その結果として子どもを求めるのが“普通”だと考えるなら、治療は子どもをつくるだけの“行為”だと捉えてしまう。女性は排卵日というベストタイミングに一生懸命になり、極論を言えば妊娠するために射精さえしてくれればいい、とさえ思ってしまいます。そうなると男性はやる気を失い、奥さまに対する性欲がわかなくなって性行為の対象として見られなくなります。
しかし、月に10回以上と確実に仲良しの夫婦はいて、「すごいね」と言うと二人で声を揃えて「頑張っています!」と笑顔で言うんです。回数の多さは若々しさとパワーをみなぎらせ、女性なら卵巣機能の若返りはできなくても老化のスピードを遅らせることはできます。その結果として妊娠率にも大きく影響を与えるのです。異性に魅力的に見られたい、セックスアピールを感じてもらいたいと思うこと、きれいを保つために自分自身の生活環境を高める努力は、非常に大事だと理解しましょう。


勃起障害の要因を把握し、適切な治療を選択する


最後に、ED(勃起障害)について触れておきましょう。ペニスが勃起しない、または夫婦生活の途中で勃起しなくなるなどの症状で、原因は2つ。病的要因のインポテンツは男性ホルモンの低下によるもので、通常は外科的治療の精巣上体回収法(MESA)で精子の採取を試みます。
夫婦生活の中で起きたつまずきなど、精神的要因の場合はご自身で射精できるはずなので、その精子で人工授精を試みます。有名な内服治療薬のバイアグラRやシアリスR、レビトラRなどは勃起状態を持続させる効果があり、血管を拡張させてペニスへの血流量を増やすため血圧が下がります。そのため、低血圧や心臓疾患の方には危険が伴いますので注意が必要です。
勃起しても性欲自体が足りずに射精に至らない場合は、薬では解消されません。脳内で活性化された性欲を最後まで持続させ、興奮状態で射精できることが大事です。セックスレスで悩んでいる奥さまは「子どもが欲しい」というプレッシャーを毎月ご主人に与え、ご主人は毎月の排卵日が苦痛になって夫婦生活ができなくなる。カウンセリングも大切ですが、1人目の赤ちゃんが生まれるとその後の夫婦生活によい影響を与えるケースも多いことから、セックスレスに悩んでいる夫婦には「まず人工授精を試してみては」とアドバイスしています。
治療中はどうしても子づくりという感覚に陥りがちですが、お互いを思いやり、お互いの人生を諦めない。そんな意識も、共に歩む二人の生活には大切ではないでしょうか。


出典:女性のための健康生活マガジン jineko vol.39 2018 Autumn
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